以前、このブログでお知らせしましたが、1月20日(土)13:00~ 伊豆の国市のアクシスかつらぎで伊豆の国市文化財講演会「韮山城をめぐる攻防」が開催されました。講演会には、地元の伊豆の国市の皆さんをはじめ、県内外の中世城郭に関心を持つ人たちが多数参加し、会場は1階席のほとんどが埋まる盛況ぶりでした。
講演会は、伊豆の国市長のあいさつ、伊豆の国市文化財課の溝口課長の趣旨説明の後、滋賀県立大学の中井均先生の講演「韮山城を攻める」から始まりました。中井先生は、小田原合戦における韮山城攻めの経緯について触れた後、信長・秀吉による城攻めや、他の戦国大名による攻城戦の遺構について紹介し、韮山城攻めの際に築かれた付城遺構や平野部の包囲網(仕寄りの堀・土塁など)について、大変興味深いお話をしてくださいました。
続いて、江戸東京博物館の齋藤慎一先生による講演「韮山城を守る」が行われました。齋藤先生は、韮山城の変遷を、伊勢宗瑞以前、宗瑞没~河東一乱まで、永禄・天正期、内藤信成段階 の4段階に分けられ、小田原合戦の際の韮山城は第3段階の永禄・天正期に位置づけられ、北条氏の「境目の城」として優れた防御構造を持っていた、と述べられました。豊富な文献史料や縄張図等を駆使した非常に興味深いお話で、天正期における韮山城の守りの要は当時の史料からすると城砦群の周囲に設けられた「大構」で、北条方の城兵は相当の自信を持っていたようだ、とお話してくださいました。
休憩の後、伊豆の国市の溝口文化財課長をコーディネーターに、中井・齋藤両先生のトーク・セッションが行われました。天正18年(1590)の韮山城の攻防戦を攻める側・守る側から掘り下げる興味深いお話で、会場のお客さんも大変満足されていたようでした。
伊豆の国市は、伊勢宗瑞(北条早雲)没後500年に向けて、来年も韮山城に関する講演会を計画しているとのことで、今から楽しみです。