静岡古城研究会会長:もっちーのブログ

静岡古城研究会会長:望月のブログです。主に静岡県内の中世城郭関係の情報を発信します。※当ブログはリンクフリーです。

興国寺城跡(二の丸虎口)の発掘現場を見学しました

2014-11-30 22:53:18 | 現地説明会情報・参加報告(静岡県内)

11月30日(日)、沼津市の興国寺城跡にある穂見神社の祭典に合わせて同城の発掘現場の一般公開が行われたので、行ってきました。

今年度は三の丸から二の丸に入る虎口の部分を調査していましたが、写真のように南北→東西方向にL字形に折れ曲がった石垣遺構が検出され、昨年度東側で検出された石垣に続くものであり、近世の絵図に描かれた虎口の形状がほぼ正しいものであることが確認されました。

この石垣の遺構は戦国時代末~江戸初期のものであろうと推測され、同城が慶長12年(1607)に廃城になる直前の天野氏時代のものか、その前の中村氏家臣河毛重次時代のものなのではないかと推測されます。

今年度の興国城跡の発掘調査はこれで終了、とのことですが、今後の史跡整備に向けて目が離せない城跡の一つではないでしょうか。

 

いささか余談になりますが、その後箱根を越えて小田原市の遺跡調査発表会に途中から参加し、小田原城三の丸や御用米曲輪の調査報告を聴いてきました。特に御用米曲輪の庭園遺構の威容には改めて感嘆させられました。やはり、先週見てきた津久井城や今日見た興国寺城とは「格」が違いますね。

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津久井城発掘調査(第5号曲輪)現地説明会に行ってきました

2014-11-23 23:31:44 | 県外の城郭の情報

神奈川県相模原市の津久井城では、平成22年度から相模原市教育委員会と地元住民の協働による発掘調査が行われていますが、今年度も津久井湖城山公園で行われた「収穫感謝祭」に合わせて、11月23日(日)に現地説明会が開催されました。

今年度は、昨年度行われた根小屋地区東側の「第5号曲輪」の調査区を拡張するような形で調査が行われ、昨年度ある程度存在が推定できていた虎口と石敷きの通路、そして南側斜面の土塁と思われる高まりを確認することができました。また、これらの遺構は、戦国時代後期のある時期に大規模な造成工事により埋め立てられ、曲輪が拡張されていることも明らかになりました。

また、遺物は陶磁器・かわらけの他に、金銅製の筒型をした製品も発掘され、話題を提供しています。

今回の津久井城の調査は、面積としては昨年度同様決して広いものではありませんが、虎口や土塁の構造、そして曲輪の改修状況も確認できたとのことで非常に意義深い調査であり、次年度以降も成果が大いに期待できると思います。

    

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旧鈴木家屋敷跡(万斛西遺跡)の現地説明会に行ってきました

2014-11-23 22:59:19 | 現地説明会情報・参加報告(静岡県内)

浜松市東区中郡町にある旧鈴木家屋敷跡(万斛西遺跡)では、現在史跡公園整備のための発掘調査が行われており、11月15日(土)に現地説明会が開催されました。

鈴木家は、江戸時代、浜松藩内でも藩主への拝謁を許されている有力な「独礼庄屋」として地域に君臨し、徳川家康の側室阿茶局と深い関わりがあったとされる由緒ある豪農の家柄です。昨年度第1次調査が行われ、戦国時代~江戸時代の土器を含む、南北方向に掘削された溝を確認したとのことですが、今回の調査でも、屋敷の西側で南北方向に掘削された溝の遺構を確認しました。

江戸時代に描かれた鈴木家の家相図などから、同家の屋敷地は、母屋を中心とした二重の区画に分かれていたことが推測されていましたが、今回の発掘調査でその構造がある程度明らかになってきた訳です。溝の年代は、戦国時代後期~江戸時代のものとみられ、鈴木家が徳川家康と結びついて力を蓄えていたことをうかがわせるものでした。

また、屋敷地北側では、鎌倉時代に掘削されたとみられる複数の溝を確認しており、鈴木家の屋敷地が形成される以前に何らかの人工的区画が存在していたことも明らかにされました。また、発掘された土器をはじめとする遺物は、奈良時代(8世紀)から近代に至るまで多岐にわたっており、古くから人間が生活していた痕跡が確認できました。

旧鈴木家屋敷跡は、土塁は痕跡らしき高まりが認められるだけではっきりした遺構は認められませんが、南側の水田が「堀」の痕跡とみられ、相当規模の戦国期土豪屋敷の名残りをとどめています。今後の調査が楽しみな遺跡の一つです。

    

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鉢形城歴史館で特別展「関東三国志」開催中です

2014-11-02 22:57:54 | 展示会情報

11月1日(土)、戦国史研究会の例会が埼玉県寄居町の鉢形城歴史館で行われ、同館の開館10周年特別展「関東三国志-越相同盟と北条氏邦-」を見学してきました。展示はそのタイトルのとおり、甲冑や軍配、肖像画など、北条氏康や上杉謙信、武田信玄の戦国期関東の三英雄に関連する物が目をひきましたが、永禄11年(1568)12月に武田信玄が駿河に侵攻して以降、上杉謙信との越相同盟に奔走した鉢形城主北条氏邦に関する文書類も見応えのあるものでした。

北条氏邦は武田軍としばしば駿河で戦っており、文書の中には興津河原、深沢新地、豆州口など駿河での戦況が記されているものもあり、鉢形領から兵を率いて、はるばる駿河~北伊豆(薩埵山、深沢城、韮山城周辺など)で転戦を重ねる氏邦の様子がうかがわれ、静岡県の人間としては非常に興味深く文書を読むことができました。

展示の見学会の前に、鉢形城も“自主的に”見学しました。 あいにくの雨天でしたが、城跡は比較的整備が行き届いており、主要部分はじっくり観察することができました。今後、更なる整備のための発掘調査も計画されているようで、楽しみです。

 

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