静岡古城研究会会長:もっちーのブログ

静岡古城研究会会長:望月のブログです。主に静岡県内の中世城郭関係の情報を発信します。※当ブログはリンクフリーです。

葛山かくれ城、大畑城を踏査しました

2020-11-15 23:09:27 | 報告、その他お知らせ

静岡古城研究会はコロナ禍の影響もあり、しばらく事業を休止していましたが、11月15日(日)、事業再開の第1弾として新企画「山城踏査」を実施しました。

第1回目の目的地は裾野市にある葛山かくれ城(葛山古城)と大畑城でした。

参加者は会員13名と、地元の事情通の方1名の計14名。9:30に葛山城下の仙年寺前の駐車場に集合し、先ずそこから歩いて葛山かくれ城を目指しました。

麓の登り口まで歩くこと約40分。そこから山道 時々 道なき道を登って30分ほどで城域の南東部にたどり着きました。同城は遺構が江戸時代宝永期の噴火の際の火山灰にかなり埋もれているようで、堀切などは今一つはっきりしない所が多かったのですが、それでも切岸あり、横堀や虎口らしき遺構や土塁もあり、なかなか面白い遺構のある城でした。記録や考古学的な年代の裏付けなども一切なく築城年代や城主などは不明と言わざるを得ませんが、最終形態は、一説には永禄12年(1569)頃の北条氏と武田氏の抗争の際の「逃げ城」的なものではないかと思われます。

        

次なる目的地は大畑城。近くの裾野中央公園の駐車場まで移動しそこに車を止め、歩いて15分ほどで城の南側の一角に到着しました。

城の南側の麓一帯は「殿屋敷」といい、西側に土塁の一部が残っています。また城の南側麓部分には横堀と土塁が残存しており、城と居館の関係性を考える上で重要な遺構となっています。

城山の尾根部分には程なく着き、しばらく北西に向けて歩くと幅8mほどの堀切があり、そこを抜けると虎口部分があり、「二の曲輪」といってもいい土塁を伴う平坦部に入ります。その西側部分の細い通路を北側に進むと複雑な折れをもつ技巧的な虎口があり、その複雑な虎口の通路を抜けると西側に土塁を伴う主郭(本曲輪)に入ります。

これらの主要部の北側には幅15mほどの大堀切が存在します。この大堀切は下からも地形の変化が確認できるほどの大規模なものです。

以上のように大畑城は、築城主体や築城年代が全く不明ですが、コンパクトながらも導入・遮断部分にかなりの技巧性が認められ、非常に興味深い城郭遺構です。ただ、惜しむらくは写真で見てもわかるように城の主要部分の藪の繁茂がひどく、一般の見学には向かない「残念な城」です…。

      

以上、2城の踏査会でしたが、参加者一行は久々に歩く険しい山中や藪の中をものともせず、全員無事元気に2城の見学を終えました。皆さん十分満足してくださったようでした。

コロナ禍の収束がいまだ見込めない中、当会では当面バス移動による「密」を避けて、現地集合・現地解散を基本とする今回のような「山城踏査」(基本的に会員限定・健脚向け)と、今後予定している「城めぐりウォーキング」(会員外の一般の方も含めた比較的歩きやすい城の見学会)を行っていきたいと考えています。「城めぐりウォーキング」については、このブログでも事前にお知らせしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

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