少し前の話になりますが、2月3日(土)、小田原駅前(東口)の再開発事業に伴う発掘調査の現地説明会に行ってきました。現場は小田原城天守閣の北側にあたり、戦国期の小田原北条氏時代の遺構が出土したということで、説明会には多くの見学者が参加していました。
検出された遺構は、戦国時代の大溝、建物遺構、大型土坑、素掘りの井戸、畝状遺構(畑跡か)などです。
大溝は幅約6mの不整形で、暗渠や溝を埋めた後に掘削されています。暗渠は玉石造りで、埋土の遺物が16世紀半ばを下らない時期のものであることから、それ以前に造られたものと考えられます。 -ということは、その上層の大溝は16世紀半ば以降に掘られたもので、16世紀後半頃における小田原城下の何らかの改変が推定されます。大溝の南側には短径約10mの楕円形(?)の大土坑が検出されており、小田原城に関わる何らかの城郭遺構の可能性もありますが、現状では何とも言えません。
建物遺構は周囲が溝で方形に区画されており、縁辺部には縁石と立木が並べられており、方形の内部の四隅には玉砂利が敷かれているという不思議な遺構です。恐らく通常の住居などとは性格の異なる建物(施設)が建っていたことが考えられます。
また大溝の南側上段には素掘りの井戸が検出されており、中国(明)の景徳鎮窯で焼かれた白磁の菊花皿の完形品が9枚重ねられた状態で出土しました。同じ場所からは瀬戸美濃焼の水注が出土しており、井戸に伴う何らかの祭祀(まじない)が行われた可能性もあります。
以上、同地点からは今回面白い遺構・遺物が出土しており、戦国期の小田原城下を考える上で重要な資料を提供してくれたと思います。