絶好の日和に恵まれ、鎌倉防備の要「切通」構造を体感見学!
1月20日(日)、今年一番の暖かな好天に恵まれた見学会は、参加者30名(会員26名・非会員4名)と、ここ数年では一番の盛況となりました。
36人乗り大型バスをチャーターし、雲ひとつかからない富士山や真っ青に輝く駿河湾を車窓から眺めながら、順調に鎌倉へと向かいました。今回は、当会顧問の小和田哲男先生(静岡大学名誉教授)がご参加くださり、 車中では、“鎌倉城”のいわれやその研究史にもふれていただき、また先生ご自身も、鎌倉七口のなかでもとりわけ遺構が明瞭な朝比奈・名越・大仏坂の切通を踏破する企画にたいへん興味をもたれていました。(見学コース概略は当ブログ・最新記事「第235回見学会のご案内」に記載)
今回案内担当の望月副会長を先頭に、一行はまず鎌倉東防備の要地「朝比奈切通」を見学。横浜市側から鎌倉市中心部に向かって1.5km程の切通遺構を残雪や凍結に注意しながら歩き、その規模の大きさや切岸加工、側溝の完成度などを確認しました。私見ですが、切通頂部(峠)から東側、つまり外側の切通は両壁面が極端に狭くなっている箇所もあり、外からの軍勢侵入防止に一工夫あったことが分かりました。逆に内側道は、峠頂部まで一間半程の道幅を確保しており、峠警備の軍兵移動をスムースにしていたのかもしれません。なお、下見時に数カ所確認したのですが、峠ピークの左右高所や道の屈曲部には、番兵を配備した曲輪遺構もありました。
次に、鎌倉きっての古刹杉本寺から名越に通ずる衣張山ハイキングコース約2kmを歩きましたが、適度なアップダウンが快適で、なんといっても景観の素晴らしさに感動しきり。山頂からは、鎌倉市街はもとより丹沢山系・富士山・伊豆半島が見渡せて最高でした。ここが今回の見学会のポイント地点で、 一方は海、三方は山稜という天然の要害“鎌倉城”を概観・理解する絶好の場所でありました。
山頂で昼食をとった後、「名越切通」へと南進。途中の一騎駆けや小曲輪構造は長城ラインを彷彿させるなど想像を逞しくさせてくれました。「お猿畠大切岸」「まんだら堂やぐら群」を次々見学すると「名越切通」に到着。人ひとりがやっと通り抜けられる挾間構造や真上からの横矢掛りに参加者は口をそろえて「こりゃ凄い」を連発。もっとも堪能した瞬間でした。
そして最後は、鎌倉西防備の要地「大仏坂切通」を約1km歩きましたが、ここも随所に横矢掛りが見られ、特に西入口は、近世城郭の大手門を連想させる枡形の大空間と食違い虎口などあり、圧巻でした。
その足で、鎌倉名物「高徳院の鎌倉大仏」を参詣し、今年一年の無事長久を祈りました。
帰路は、休日の慢性渋滞あたり前の湘南海岸道をぼちぼち西進し、夕日に映える江の島をかすむ目で眺めつつ、秦野中井から東名高速道路で無事静岡に帰着しました。