静岡古城研究会会長:もっちーのブログ

静岡古城研究会会長:望月のブログです。主に静岡県内の中世城郭関係の情報を発信します。※当ブログはリンクフリーです。

シンポジウム「小田原北条氏の絆」が開催されました

2018-01-19 05:49:57 | 講演会・シンポジウム情報

1月13日(土)、小田原市民会館においてシンポジウム「小田原北条氏の絆」が開催されました。このシンポジウムは昨年10月1日(日)~12月24日(日)まで小田原城天守閣で開催されていた特別展「小田原北条氏の絆」に関連するイベントで、会場は1,000名が収容できる大ホールでしたが、その1階席(750名)がほぼ満杯になるほどの盛況ぶりでした。

シンポジウムは小田原市長の挨拶の後、小田原天守閣館長の諏訪間 順 氏の特別講演「小田原北条氏のイメージと小田原城」で始まりました。諏訪間館長は、近世以降に形成された小田原北条氏の従来のイメージが最近変わりつつあること、伊勢宗瑞(北条早雲)の小田原城奪取は明応9年(1500)ではないかということ、発掘調査からみた戦国期の小田原城について、等々熱く語ってくださいました。

続いて、静岡古城研究会の名誉顧問でもある小和田哲男先生の基調講演「小田原北条氏の領国支配とその絆」が行われました。小和田先生は、伊勢宗瑞(北条早雲)、北条氏綱・氏康と続く小田原北条氏の領国支配の政策や、氏康の子どもたちと支城ネットワークについて、いつもながらのソフトな語り口で、わかりやすくお話してくださいました。

昼休みをはさんで午後は、国立歴史民俗博物館名誉教授の小野正敏先生の基調講演「戦国大名と京都-小田原北条氏にみる権威の演出」で始まりました。小野先生は、小田原城御用米曲輪と八王子城御主殿地区の発掘調査で検出された庭園遺構について、京都型の武家屋敷の空間構成を実現したものであり、小田原北条氏の権威を見せるものとして造られた、ということを他の戦国大名の同様の遺構と比較しながらお話してくださいました。

講演の最後は、東北学院大学の竹井英文先生の「城郭関係史料から小田原北条氏を考える」というお話でした。竹井先生は小田原北条氏の城郭に関する文献史料を丁寧に分析し、小田原北条氏の城郭の運用・維持・管理の状況について、文献史学の視点からお話してくださいました。文献史料で見ると、北条氏政はかなり細かい人だったようですね。

講演の後、小田原城天守閣の佐々木健策氏を司会・進行役として、同日講演を行った諏訪間氏、小和田氏、小野氏、竹井氏に加え、このシンポジウムに先立って11月・12月に講演を行った齋藤慎一氏(江戸東京博物館)、池谷初恵氏(伊豆の国市)、浅野晴樹氏(埼玉県立嵐山史跡の博物館)をパネリストに迎え、パネルディスカッションが行われました。従来の小田原北条氏のイメージが最近次第に変化しつつあること、小田原北条氏の城郭の特徴、小田原北条氏の権威・権力への志向等々について、会場にいる研究者からの発言も交えて、時間をオーバーするほど議論が盛り上がりました。

静岡県東部の伊豆・駿河東部の地域は、小田原北条氏の領国の西端に位置する訳ですが、韮山城・山中城に代表される城郭を核として、小田原をはじめとする関東地方の小田原北条氏ゆかりの地域とも連携して、小田原北条氏の城をもっとPRしていきたいものです。

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