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岸田首相「仮想敵国リストから中国を外さないと日本外交は成り立ちません」

2023-11-29 | 小日向白朗学会 情報
 またもや日本政府は、大恥をかいてしまった。
 2022年末以来、岸田首相内閣は「防衛三文書」で、日本の仮想敵国を中国、北朝鮮、ロシアとし莫大な国家予算を割いて反撃能力を含む武力増強を行うことにしていた。ところが、APEC首脳会談期間中の2023年11月16日に、岸田文雄首相と習近平国家が会談をおこなったさいに岸田は「台湾との関係に関する日本の立場は、昭和47年=1972年の日中共同声明にあるとおりで、一切変更はない」[i]ことを伝えている。
 これは、日本政府と中国政府と結んだ日中共同声明(1972年)、日中平和友好条約(1978年)、平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する日中共同宣言(1998年)、「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明(2008年)の4つの条約と政治文書をすべて再確認したということである。これにより日本は尖閣問題や台湾有事で中国と武力対峙しないことを確認したことになる。
 ところが日本政府は、二枚舌外交で時間稼ぎをすることになってしまった。
2023年11月27日、NHKは「日中韓外相会議 “首脳会議 適切な時期開催へ”作業加速で一致」とする記事を配信している。
『……
日中韓の外相会議が韓国で開かれ、2019年を最後に開かれていない3か国の首脳会議を、できるだけ早く適切な時期に開催するため、作業を加速させることで一致しました。
冒頭、上川大臣は「3か国は隣国であるがゆえに困難な問題に直面することもある。大局的な観点に立って3か国の協力を再スタートさせる契機としたい」と述べました。そして、3か国が未来志向で実務的な協力を進めていくことが地域と世界の平和と繁栄に重要だという認識で一致しました。
会議の冒頭で中国の王毅外相は「世界経済がいま大きな課題に直面している中、3か国は地域と世界の発展に積極的な役割を果たすべきだ。中国は一衣帯水の隣国として、引き続き、韓国と日本とともに努力し、3か国の協力を正しい軌道に戻し、健全で安定的かつ継続的な発展を推し進めていく」と述べました。
一方で、会議のなかで王毅外相は今後の3か国協力のあり方を巡り「最も重要なのは歴史を直視し、互いの発展の道筋と核心的な利益を尊重し、デリケートな問題に適切に対処することだ」と述べたということです。

さらに「3か国の協力によって東アジアの協力をリードすべきであり、地域協力が陣営の対立になることに反対すべきだ」とも強調し、台湾海峡や南シナ海などを巡ってアメリカとの連携を重視する日本と韓国をけん制したものとみられます。
……』
 APEC首脳会議期間中に岸田首相と習近平国家主席が「一つの中国」であることを再確認した後に、開催される会議が日中韓外相会談であったことを考えると極東の安全保障問題が前進する可能性はあった。
 ところが、日本政府は、APEC首脳会議後に、急遽、中国に対する反撃能力と位置づけされているトマホークを輸入するなど、決して中国敵視政策を変更しないばかりか、本年度も拡大した防衛予算を執行しようとしている。そして開催されたのが、2023年11月26日開催の日中韓外相会議なのである。
 その席で王毅外相は「3か国の協力によって東アジアの協力をリードすべきであり、地域協力が陣営の対立になることに反対すべきだ」と台湾海峡や南シナ海などを巡ってアメリカとの連携を重視する日本と韓国をけん制したのだ。
つまり、王毅外相は日本政府と韓国政府に対して、APEC首脳会議で日本は「一つの中国」を再確認したのだから、日本の安全保障を定めた「防衛三文書」から中国を敵国としたことを改めよと言っているのだ。
 ところが日本政府は、総論では「台湾海峡で武力行使はしない」ことには賛成するものの、各論では反撃能力の増強を行い、島嶼防衛用塹壕の整備を進めるだけではなく、来年度予算も防衛力強化は推し進めるとしているのだ。
 これでは、三国外相が宴会を開いて友好をアピールなど、あり得ない話なのだ。もしも、王毅外相が、この誘いに乗ったならば、政治生命を失う可能性すらあるだけではなく、しぶしぶ「一つの中国」に同意しているアメリカに、誤ったメッセージを送る事にもなるのだ。
 日本政府も韓国政府も「一杯飲ませ、食わせて始める、田舎政治」とは訳が違うことを認識すべきである。
 中国が「一つに中国」を認めた日本政府に求めているのは、具体的な政策変更、つまり、仮想敵国から中国を外すか、その道筋だけでも示さない限り、日中関係に一切の進捗はない。

・(2023年10月27日)『王毅外相とブリンケン国務長官会談
・(2023年06月22日)『上海コミュニケ
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