小日向白朗学会 HP準備室BLOG

小日向白朗氏の功績が、未だ歴史上隠されている”真の事実”を広く知ってもらう為の小日向白朗学会公式HP開設準備室 情報など

4月9日の牛久散歩ツアー~大野芳氏のお話し~

2022-11-30 | 小日向白朗学会 情報
 もうすでに8か月近く前になってしまいますが、4月9日にかっぱ村の方たちが河童ゆかりの街・牛久散歩ツアーに出掛けたとのことです。大野芳氏が1975年に開村した「かっぱ村」は当初は日本浪漫派の文豪である中河与一氏を村長にスタート、氏の没後は言い出しっぺの大野氏が二代目村長となった経緯があります。中河与一氏の「天の夕顔」についてはまた後日論じることもあろうかと思いますので今回は割愛。
 つい最近、大野芳氏の残された諸資料原稿等々の管理一切を託されている高橋氏からお手紙をいただいたのです。と同時に「かっぱ村公報」をたくさん送っていただきました。これも白朗学会が管理する大野芳文庫の資料の一つとさせていただきます。私信ではありますが、高橋氏の許可を得て若干公開させていただきます。
 『・・・・大野さんが最後の“遠出”となった牛久散歩ツアーです。・・・・このツアーの昼食時、掘りごたつ風の座席でしたが、昼食後、大野さんはなかなか立ち上がれず、Oさんらが両腕に肩を入れて介護していました。・・・入口に近い私たちが先に出て談笑しているところにSさん(大野氏の盟友とされる作家)が「大野は秋までだ、秋だ」と我々の前で言い放ち、「そんな」という声に、「いや、秋だ、秋」と断言。結局、盟友の断言の前に、旅立ちました。・・・・牛久は大野さんの発案で、急遽行きました。今から思えば、という感じがします。Kさんと三人で秩父に行ったのも、いろいろな意味でうなづけることがあります。』(吉田宛の高橋氏の私信から)
 私はその場にいたわけではないけれど、ジーンとするものがあります。盟友S氏の言葉を大野氏はどのように聞いたのでしょうか。私には≪今、春になったばかりだ。秋までにはたっぷり時間があるぞ!≫という励ましの声のようにも感じます。その10日後くらいに私も、大野氏と伊藤博文を論じていたN氏とともに埼玉のご自宅を訪れました。それから2週間余りの時を経て逝かれたのです。あのときベッドからは離れはしなかったもののしっかりした口調で話される大野芳氏の横顔が思い出されます。合掌!      (文責:吉田)
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映画『アンタッチャブル』を地で行く統一教会という犯罪者集団(2) ―統一教会を犯罪者集団と断定した「フレーザー委員会」報告書―

2022-11-30 | 小日向白朗学会 情報

はじめに
 2022年11月28日に『映画『アンタッチャブル』を地で行く統一教会という犯罪者集団(1) -「内部告発者を裏切り者として刺殺未遂」、脱税、国体破壊等の犯罪-』を寄稿した。この中で統一教会は、元世界日報編集局長だったの副島嘉和氏が統一教会の内部告発を行ったことから文鮮明の怒りを買い刺殺未遂事件を起こしたことを紹介した。この刺殺事件からもわかる通り統一教会は宗教法人という仮面をかぶった犯罪集団だと述べてきた。
昨今の国会論議の中で統一教会の扱いはと云うと、依然として「か弱い宗教者」の扱いである。国会論議の中で統一教会を真正面から犯罪者集団であるとする意見は意外に少ない。無論、自民党国会議員の半数以上が統一教会の影響下にあって、背乗り(はいのり)状態であることから致し方のないことかもしれない。筆者が調べた限りでは、最近の国会関係資料に出て来るのは次にものであった。
 令和4年8月3日、衆議院に宮本徹から「統一協会」=世界平和統一家庭連合に関する質問主意書」とする質問主意書が提出さている。その冒頭部分を引用する。
 『……かつて、アメリカ下院の外交委員会国際機構小委員会(フレーザー委員会)の最終報告書では、「文鮮明が関係している多数の教会、企業、委員会、財団その他の集団は、文の中央集権的な指導と統制下にある実質上単一の世界的機関の一部分である」「これらの多数の組織のあいだには、主として諸組織間の人事異動や財政の混合の点で、あれこれの構成要素を一体であるかのように使用する点で、そしてもちろん、文という人物において、たえまない、緊密な交流がある」として、それらを総称して「文鮮明機関」と呼んでいる。
  「統一協会(家庭連合)」は、国際勝共連合、原理研究会、ハッピーワールド、世界日報、世界平和女性連合、天宙平和連合、世界戦略総合研究所、勝共UNITEなど様々な顔を持ち活動しているが、この質問主意書では、これらを「統一協会(家庭連合)」もしくは「統一協会系団体」と呼ぶ。……』
この質問主意書では、統一教会の本質をアメリカ下院の外交委員会国際機構小委員会(フレイザー委員会)(Subcommittee on International Organizations of the Committee on International Relations)の報告書に求めている。いくら「テッシー」こと勅使河原秀行が統一教会の改革を訴え子羊のごとく「信仰の自由」を希う姿が、いかに欺瞞であることを同報告書は見事に説明しつくしているのだ。宮本徹は、この質問主意書で統一教会の問題の所在から始めている姿勢は完全に正しい。

一、1970年代極東のデタント
 フレーザー委員会報告書が作成されることになった直接の原因、1978(昭和53)年に「コリアンゲート事件」が発生したことから始まる。この点を知るには1970年代の世界情勢から考える必要がある。

 1968(昭和43)年におこなわれたアメリカ大統領選挙で共和党のニクソン(Richard Milhous Nixon)は、公民権運動やベトナム反戦運動で暴徒化、過激化することに対して「法と秩序の回復」を、そして長引くベトナムからは「名誉ある撤退」を主張して当選した。
 当選後、ニクソンは直ちに、ネルソン・ロックフェラーの外交政策顧問を務めていたキッシンジャー(Henry Alfred Kissinger)を、直々にスカウトして国家安全保障問題担当大統領補佐官に就任させた。後に、シティー・バンクがいち早く中国進出を果たしたのは、この関係があったからである。そしてキッシンジャーは秘密裏に中国との関係改善を模索することになった。このキッシャンジャーに協力したのが小日向白朗であった。白朗は、1970(昭和45)年9月15日から同年10月10日までアメリカNSCの依頼を受けて訪米することになった。アメリカに到着後の小日向はアメリカ国家安全保障会議(NSC:National Security Council)と行った会議の冒頭でアメリカ外交の基本であるニクソン・ドクトリンについて、その本心を確認することから始めた。小日向が作成した論文は予め配布されていたためか、対応したNSCスタッフは、小日向の持論であるドクトリンの完全実施、即ち、ベトナムからの撤退を断言した。ただし小日向は、アメリカの完全撤退には懐疑的であった。そのためアメリカがドクトリンを実施するにはアジア人の信頼を獲得することが重要であり、そのためには1969(昭和44)年11月から日米間で始めていた沖縄返還は当初の声明通り核抜きで実施することと、ベトナム戦争を放棄することの二点は完全に実施することを薦めている。ただし、アメリカが直ちにベトナム戦争を放棄した場合にアメリカの敗北宣言と見做されることから沖縄返還後に行うことを提言している。さらに小日向は念を押すように、アメリカはベトナムとの戦争に勝利できないため名誉ある撤退を行うのかと問い質したところNSCスタッフもその考えに同意した。
 ところで大統領に就任したニクソンは、1969(昭和44)年7月25日に、グアム島で行われた記者会見でアジアの地域紛争への過剰介入を見直す方針を明らかにしていた。ニクソン政権は翌1970(昭和45)年3月に在韓米軍の削減方針を韓国政府に通告した。このニクソンの通告に韓国政府は強く反発したにもかかわらず同年7月には削減方針を公表にしてしまった。ニクソン政権は約2年で削減を実施することを韓国政府に打診していた。最終的にアメリカは、ベトナム、タイ、韓国といったアジア大陸部における米軍すべての撤兵を考えていた。そして、実際に翌年3月末までに在韓米軍の主力2個師団の一つである第7歩兵師団およそ2万名が半島を離れた。
 朝鮮半島での在韓米軍の削減などを行ったうえで、1972(昭和47)年2月21日、第37代アメリカ大統領リチャード・ニクソンは中華人民共和国の首都北京に大統領専用機で到着した。その夜、ニクソン大統領は同行のキッシンジャー大統領特別補佐官(Henry Alfred Kissinger)とともに中南海に向かい、毛沢東主席と歴史的な会談が実現した。その会談は第2次世界大戦以降、長らく対決を続けた中国とアメリカによる直接対話が実現したことを意味する。そしてリチャード大統領と周恩来首相によって開始した対話を要約したものとして、1972(昭和47)年2月28日に「上海コミュニケ」として発表している。その中でアメリカは、次の内容を確認している。
 『……米国側は次のように表明した。米国は,台湾海峡の両側のすべての中国人が,中国はただ一つであり,台湾は中国の一部分であると主張していることを認識している。米国政府は,この立場に異論をとなえない。米国政府は,中国人自らによる台湾問題の平和的解決についての米国政府の関心を再確認する。かかる展望を念頭におき,米国政府は,台湾から全ての米国軍隊と軍事施設を撤退ないし撤去するという最終目標を確認する。当面,米国政府は,この地域の緊張が緩和するにしたがい,台湾の米国軍隊と軍事施設を漸進的に減少させるであろう。……』
 また、米中が台湾問題を協議する過程でアメリカは「二つの中国」や「一つの中国、一つの台湾」という解決方法を明確に拒否し中国の内政問題扱いとすることで合意した。そのため台湾、チベット、南沙諸島、ウイグル、内モンゴルなど様々な問題を抱える地域は全て中国の国内問題となったのである。
上海コミュニケに記載はないものの、ニクソンは沖縄を日本に返還する用意があることを佐藤栄作に伝達済みであることを次のように周恩来にあかした。
『……アメリカが沖縄を返還したように、(ソ連も)日本に対して寛大になることを望みます。私は佐藤(栄作首相)にサクラメントであった時にいいました。沖縄は日本のものだから、時がたって、決断したことは正しかったと……』
このニクソンの発言は、アメリカにとって沖縄返還は、アメリカの寛容さと誠実さを中国に示すためであるとともに、中国の意向に沿ったものでもあった。つまり沖縄返還ができたのは小日向白朗のNSCに対する助言と周恩来が同意したことで可能となったもので、日本政府の外交努力とはほど遠いものであったのだ。

二、韓国政府によるアメリカ議会工作(コリアンゲート事件)
 ところで、ニクソンから在韓米軍削減を告げられた朴正煕を首班とする韓国政府は、国家存続にかかわる重大事であったことから強い危機感を抱いた。そこで韓国政府は、朝鮮半島に駐留する残存勢力を維持することと、米軍撤退の代償とされた韓国軍近代化援助を確実なものとするためアメリカ国内で議会工作に乗り出すことにした。
 議会工作を担ったのは、大韓民国中央情報部(KCIA)であった。KCIAは、実業家朴東宣を通じて前職及び現職議員計32人に85万ドルの選挙資金として賄賂を提供した。
ところが1973年、ニクソン大統領はウォーターゲート事件の疑惑で、国民からの批判を受け、辞任に追い込まれようとしていた。そのような中で統一教会もKCIAのもとで積極的な議会工作を行っていた。当時の統一教会は、1961(昭和37)年に大韓民国中央情報部(KCIA)部長金鍾泌の指示で「韓国政府機関」として再組織され日本で政治工作の実績を持っていた。
1973(昭和47)年11月30日「ニューヨークタイムズ」に掲載された「許せ 愛せ 団結せよ」というニクソン擁護の意見広告を掲載している。

その後、1974(昭和49)年2月1日には、文鮮明はニクソン大統領と単独会見した。文鮮明は、ニクソンに対して「国民の前で 今までの罪を 涙を流して謝罪し、そして、大統領を辞任しないよう」訴えた。
文鮮明のニクソン擁護は、単にニクソン大統領のためではなく、アメリカを共産主義から守るためでもあり、世界を共産主義から守るためだという理由であった。しかし、ニクソンは1974年8月8日、大統領を辞任することを発表した。



 
 KCIAによる政界工作は徐々に成果を表すようになったのは、1976(昭和51)年に行われる大統領選挙に民主党候補として出馬したジミー・カーター(James Earl "Jimmy" Carter, Jr.)は大統領候補の指名獲得に先立つ1976年6月、「韓国と日本との協議のうちに徐々に在韓米地上軍を撤退させることは可能であろう」とニクソンが開始した駐韓アメリカ軍削減問題を継続しようとしていたが挫折していった。
 1976(昭和51)年に韓国政府による米政界への工作が発覚して政治スキャンダルとなった。アメリカ合衆国下院は、事件の真相を調査するためにフレーザー委員会を設置した。その後の公聴会で、KCIAの元部長金炯旭や米国統一教会のさまざまなメンバーが、朴東宣の関与を証言した。

三、フレーザー委員会の結論
1978(昭和53)年11月1日にフレーザー委員会は最終報告「韓国の対米関係に関する調査」を公表され、これは議長のミネソタ州選出・ドナルド・M・フレーザー下院議員にちなみ「フレーザー報告書」と呼ばれている。同委員会の統一教会に対する結論は次の通りである。
  1. 文組織(注:「文鮮明機関」(Moon Organization))が主催する統一教会その他多数の宗教・非宗教団体は、実質的にひとつ国際組織を形成している。この組織は、その関連団体を相互に交流させることができること、および人的・財政資産が国境をこえて、また営利事業と非営利団体の間で、自由に移動することができることに大きく依拠している。
  2. 文組織は文鮮明によって描かれた目標の達成を企図しており、文鮮明は、それらの目標追求のために文組織が企てる経済的、政治的、宗教的諸活動にたいして実質的な統制力を握っている。
  3. 文組織の目標の中には、教会と国家の分離が廃止され、文鮮明とその信徒によって統治される世界政府の樹立が含まれている。
  4. これらの目標追求のために文組織は、成功の度合いはまちまちだが、米国や他国の企業および他の非宗教的諸機関に対する運営権の獲得ないし確立を企てるとともに、米国において政治活動を展開してきた。これらの活動の中には、韓国政府を利すため、あるいは米国の外交政策に影響を与えるために企てられたものもある。
  5. 文組織は、独自の目標を追求しながら、同時に韓国政府の利益を促進し、時には韓国の政府諸機関や要人と協力して、あるいはその指示を受けてこれを行った。文組織は、いく人かの韓国政府要人と互恵的結びつきを保持していた。
  6. 文組織は、表向きは韓米関係推進のための非営利財団としてKCFF(韓国文化自由財団)を設立したが、組織自体と韓国政府の政治的・経済的利益を助長するためにKCFFを利用した。
  7. 文組織は、米国の上院議員や下院議員、大統領、その他の著名人の名前を広範に利用して募金活動を行い、文組織自体と韓国政府のための政治的影響力を醸成した。
  8. 組織の一企業は、韓国における主要な防衛契約業者であり、M-16型ライフル、対空砲その他の兵器の生産に関与している。
  9. 文組織の代理人は、米企業から韓国製のM-16の輸出許可を取りつけようとした。M-16は、米国政府認可の共同生産協定にもとづいて製造されており、米国政府はM-16の生産を韓国政府の独占管理下に置いている。それにもかかわらず文組織の代表が一明らかに韓国政府の代理として一協定延長交渉に現れた。
  10.  組織は、教会員の名前で株式を買うのに使う資金の出所と見せかけて、ディプロマット・ナショナル・バンクの過半数の株式を手に入れようと企てた。
  11.  文組織は、自らの政治・経済活動を支えるために教会その他の免税団体を利用した。
  12.  文組織の目標や活動の多くは合法的、適法的ではあったものの、文組織が米国の税、移民、金融、通貨関係の各法規、外国人代理人登録法、ならびに慈善事業を装った詐欺行為に関する州や地方の法律を計画的に犯していたこと、またこれらの法律違反が俗世界の権力の獲得という文組織の全目標と関係があることを示す証拠があった。
 統一教会という組織と活動の全体像と、アメリカで行った不法行為が列挙されている。さらにフレーザー委員会では、他にもの不正を明らかにしている。
  1. 金大中事件に韓国中央情報部(KCIA)が関与したこと。
  2. ソウル地下鉄建設の際に車両価格の水増しがあり、日韓の政界にリベートが流れたこと。
  3. 朴正煕政権下で不正な資金工作と蓄財があり、日本の政財界もこれに絡んでいたこと
  4. 文鮮明機関と韓国政府・KCIAの結びつきは複雑かつ緊密であり、両者のパイプ役を四人の韓国軍将校が担っていたこと(うち一人が文鮮明の側近の朴普煕(文鮮明の娘と結婚した統一教会の古参幹部)であった。
  5. 文機関が、金鍾泌や朴鍾圭など韓国政府内に多数の支援者を持っていたこと。
  6. 文機関のアメリカでの活動資金や人員の多くが日本から送られていること、などが明らかにされた。
 このフレーザー委員会の報告書で特に注目すべきは(3)の「……教会と国家の分離が廃止され……」である。日本の国体である日本国憲法には第20条に「政教分離」を定めている。これを根拠に統一教会は昭和39(1964)年7月15日に宗教法人となった。したがって統一教会は、日本で活動する限り政治と宗教とを分離することが求められるとともに厳守する必要がある。ところが統一教会は宗教法人となった後も、空気銃の輸入や不正送金など様々な社会問題を引き起こしきた。それにも関わらず日本政府は憲法20条で保障されている信教の自由を重視して、重大な社会問題を起こしている統一教会の規制には及び腰であった。日本政府が及び腰であったのは、文鮮明の脅しに屈したわけではない。憲法重視の姿勢が表れた結果なのである。
 令和4年10月19日、午前の参院予算委員会で岸田文雄首相は統一教会の宗教法人法に基づく解散命令請求の要件について、「民法の不法行為も入り得ると整理した」と答弁している。前日には解散命令請求の要件となる法令違反の解釈について「平成8年の最高裁判決を維持している」「民法の不法行為は入らない」と明言した。当たり前なのだ。

まとめ
1978(昭和53)年11月1日にはフレーザー委員会は最終報告として「韓国の対米関係に関する調査」を提出している。その中で統一教会は犯罪者集団であると認定済みである。そして宗教法人統一教会とは、多面的な犯罪者集団であって、宗教の仮面をかぶった犯罪者集団なのだ。ところが日本の国会論議は、宗教法人統一教会だけを見て犯罪性の有無を論議する日本政府の対応は、完全に間違いである。
以上(寄稿:近藤雄三)
P.S.
安倍晋三を中心とする自民党の中の統一教会閥は、統一教会が犯罪者集団であることを十分に認識しかつ、その犯罪を庇ってまでも協調してきたのかという大きな疑問がわいてくる。
次回の寄稿はこの疑問に答えてみたいと思う。
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『文藝春秋』1984年7月号( 134-151頁) これが『統一教会』の秘部だ  世界日報事件で『追放』された側の告発

2022-11-29 | 小日向白朗学会 情報
 昭和59年6月2日に起きた刺殺未遂事件の引き金になったとも推察される被害者副島嘉和氏の告発文が大手メディアである文芸春秋の1984年7月号に掲載された。たまたまネット上に露出しているのを見つけたので、いわば忘備録的な記録として掲載させていただく。出所は下記にあるように朴正華氏の『六マリアの悲劇・真のサタンは、文鮮明だ!!』というサイトである。
 これを見ると、副島氏のジャーナリストとしての感覚は高く評価されてよいのではないかと思う。もしもであるが、文鮮明氏が副島氏についてその新聞人としての経営感覚を高く評価して世界日報の運営編集を任せていたら、世界日報紙はおそらく朝日、毎日、読売、日経、サンケイの主要5紙を凌ぐクォリティペーパーに成長していたに違いない。なぜなら主要メディアがタッチできないような中枢の政治暗部問題に内側から触ることのできる唯一のメディアになったに違いないからだ。惜しいことをしたものである。
・・・・・・・・・・・・・・・
出所:『六マリアの悲劇・真のサタンは、文鮮明だ!!』
   統一教会創始者 朴 正華(パク チョン ファ)

    副島嘉和(そえじまよしかず)(「インフォメ一ション」編集発行人)
    井上博明(いのうえひろあき)(「インフォメ一ション」営業担当)
・・・・・・・・・・・・・・・
 ~暴カをふるって占拠~
 唐手つかいを含む約百人の男たちが、東京の渋谷にある九階建てのビルの裏口にはいった。昭和五十八年十月一日の正午である。世界日報というささやかな新聞社が、このビルの三階以上の四つのフロアにある。侵入者たちは暴力をふるって社を占拠し、役員を長時問監禁して、十名ほどの社員に負傷を負わせた。この事件は一部の新聞に報道されたので、ご存じの読者もあると思う。
世界日報は、世間に様々の話題を投げて来た統一教会=世界基督教統一神霊協会一の発行していた日刊紙であり、当時私(福島)はその編集局長をつとめていた。その前年までは私は統一教会本部広報局長も兼務しており教会の方針を決定する最高決議機関の十二人の局長会議のメンバーの一人だった。また同僚の井上博明は、統一教会の四国ブロック長(四国全域の責任者)を経て、当時は世界日報社の営業局長の要職にいた。
 統一教会というより、「原理運動」といった方が、あるいはご理解が容易かも知れない(原理運動は統一教会の学生組織をさすのだが)。とにかく侵入して暴力をふるったのもその「原理運動」、すなわち統一教会の男たちである。統一教会の政治団体、国際勝共連合の梶栗玄太郎理事長以下が、統一教会の日刊紙を発行していた新聞社を襲った。理由は私たちが世界日報を、一般知識人の読むにたえる新聞にしようとしたことにある。
 昭和四十九年一月一日、世界日報は統一教会の教祖である韓国人「文鮮明氏」の指示で、統一教会と勝共連合の出資によって一般紙を目標として設立された。しかしそう簡単に日刊紙ができるわけはなく、世界日報は創刊来六年間、宗教団体である統一教会の一機関紙部門という状態から発展することができなかった。事実社員はすべて統一教会の一会員であったし、経営的にも欠損は全額、統一教会に補填してもらうという事態が延々と続いていた。
 創刊から六年後の昭和五十五年十月、私と井上博明が入社した時は、有料購読部数が約七千部しかなく、毎月六十万円の欠損を統一教会に捕填してもらわなければ維持してゆくことができない新聞であった。背後に統一教会、勝共連合があるということで、一般に評価されている学者、文化人の寄稿はなかった。自ずと執筆者は限定され、松下正寿氏、福田信之氏、入江通雅氏という統一教会の学者組織である「世界平和教授アカデミ一」の会員や、広田洋二氏、弘津恭輔氏などの勝共連合の顧間に依存するという状態であった。

 ~なぜ訣別したのか~
私たちは厳しい決断を迫われた。一宗派の宣伝紙ではなく一般紙をつくろうとする以上、編集権と経営権の独立を保持し、一宗派や特定の政治団体に偏しない紙面作りを考えなければならないだろう。そのためには以下のような方針を取らなければならない。
 世界日報の紙面を統一教会、勝共連合の布教、宣伝に用いない。統一教会、勝共連合とこれに関連する団体の報道は原則として他紙と同程度に扱う。事情によっては他紙よりも控えめに取り扱う。ただし論調はサンケイ新聞よりも強い反共、愛国の方向をとる。これにより出資者である統一教会と勝共連合には、自由主義陣営の擁護と日本の共産化を防衛するという点で間接的に寄与するということである。
 私はこの基本姿勢を社員に周知徹底させ、これまでは世界日報に登場することのなかった学者、文化人の説得にあたった。時と共にその成果があがり、武藤光朗氏、勝田吉太郎氏、林健太郎氏、田中美知太郎氏、草柳大蔵氏、加藤寛氏、竹山道雄氏、尾崎一雄氏など多数の著名な知識人が寄稿するようになった。加えて源田実氏の「風なりやまず」と村上元三氏の「田沼意次」という、これまでは企画することもできなかった強力な連載小説が続き、部数拡大の大きな戦力になった。
 一方、報道の面では昭和五十七年、教科書検定報道の際、その誤報を真っ先に指摘して、マスコミ報道のあり方に警鐘を鳴らし、「悪魔の飽食」の写真誤用事件のキャンペーンでは、言論機関の倫理問題を問い質した。さらに昭和五十八年に入っては、レフチェンコ事件報道でいちはやくKGBのエージェントを割り出すというスク―プがあり、その国際的陰諜を摘発する先陣を切ることができた。これらの報道の成功は、世界日報が他の週刊誌、月刊誌に引用されるという現象を生み、知名度は飛躍的に向上した。さらに竹村健一氏と渡部昇一氏が世界日報をテレビで紹介するということがあり、全国から購読中し込みが殺到した。
 経営の正常化を可能にしたのは、有料購読部数の増加と社内の合理化だった。営業局長井上博明は当初十店舗しかなかった販売店を三年後には七十四店舗まで増設し、有料購読部数を七千部から三万五千部まで引きあげた。また、二百人余の大幅人員削減と二億円余の売掛金回収も二年がかりで完了した。こうした経営努力により、世界日報への統一教会と勝共連合の援助金は完全に停止した。次に着手したのは、統一教会会員が社員の大部分を占める異常な社員構成を修正することだった。これは世界日報が新聞協会に加盟するための条件だった。そこで昭和五十九年度からは思いきって社員の一般公募を開始することにした。
 しかしその自由な言論機関をという私たちの理想に不満を抱いていた、統一教会と勝共連合が、突然、世界日報に全面介入してきたのである。
この暴力事件や世界日報乱入、占拠事件の際の社員に対する傷害、暴行事件などについては渋谷署に目下告訴中だが、その暴力を行使した当人の梶栗勝共連合理事長が世界日報の社長に就任している。
私たちは、宗教団体を代表すると自称する人々が、己れの利益のために世界日報を占拠し、私物化しようとするやり方に絶望して社を去ったが、新役員をみると、統一教会と勝共連合の役員が世界日報の役員を独占しており、そこに政治団体国際勝共連合と宗教法人統一教会の宣伝のための「機関紙化」の意図が明瞭にでている。
 その後、事件の前年まで統一教会本部広報局長をつとめ、教会の幹部であった私は、井上博明と共に教会から除名されることになるが、むしろ私たちの方が、すでに長く抱いてきた統一教会への信頼を急速に失って来ていた。何よりも私たちをそうさせたのは、あれほど敬慕していた「文鮮明氏」と久保本修己(亮光と改名)日本統一教会長への、ぬきさしならぬ失望、疑惑の深まりであった。とくに、世界日報の暴力事件も、梶栗理事長らに暴力をふるえと命令したのは「文鮮明氏」自身であり、久保本会長がそのことに見て見ぬふりをしたということである。それが、私たちの統一教会からの訣別を決意させる、決定的要因となった。

~「愛のマグロ釣り研修」とは~
世界日報暴力事件が「文鮮明氏」の指示に基づいたという証拠資料はある。事件二日後、教会本部が全国の組織幹部にあてて出した「世界日報事件についての対応」という指示それだ。
 「九月下旬訪米した梶栗理事長に、天より、世日を大掃除し、人事を一新せよ、との命が下されました。天の悲しみと公憤は甚しく『信仰の伝統基準を破壊するものは許されない。たとえ新聞を一ケ月いや三ケ月休刊しても、その損失より天の伝統を確立することの方が重要である』とのみ言を頂き、新人事として梶栗理事長が世日の新社長……に任命されました。そして久保木会長に世日問題を根こそぎ整理し、新人事を行うようにとの御指示がありました」
ここでの「天」とは、もちろん「文鮮明氏」のことである。また暴力をふるった張本人である梶栗氏も、それが「文鮮明氏」の指示であったことを認めている。梶栗氏は事件から四日目の十月五日に、世界日報の社員を統一教会本部に集め次のような演説を行っている。
「なぜ私が世界日報へ力でもってこれを占拠したか……九月二十三日十時二十五分、イ一ストガ一デン(ニューヨークにある「文鮮明氏」の私邸)のお父さま(「文鮮明氏」のこと)の前で世界日報の人事発令がなされた。この人事発令を申しあげる。共同社長石井光治(統一教会の責任役員)、梶栗玄太郎(勝共連合理事長)……副社長国時昭彦(国際勝共連合機関紙「思想新聞」の元編集長)……二十七日、世界日報に関する会議が行われた。そこで(「文鮮明氏」から)この世界日報の間題解決の一切の責任を石井及び梶栗両社長に一任された。……二十八日午後五時成田に到着、……九時から会長(久保本亮光のこと)を中心に会議を開いた……」
  「三十日に社長、副社長不在のとき、通知もなくこのような会議をして、役員会議と称するのは二人(副島と井上)がかってにやった陰謀の会議によって、……お父さま(「文鮮明氏」のこと)の許可なく本人も知らないところで解任し、自分が(副島のこと)代表取締役になる……この会社(世界日報)は統一教会から離れ、もはや独立した別の会社になってしまう。もはや統一教会は会社(世界日報)全体を失うことになる。このような犯罪事実が明確になった。これ以上待つことはできない……」それで世界日報社を襲撃したというのである。
 宗教組織にとって、教祖の存在は絶対であり、信者に対するその権力は絶大である。しかし、教祖を頂点とし、その教義に固く帰依はするが、世界各国に組織をもつ統一教会は、それぞれが会長のいる単一の組織として、各国の状況に応じて活動をつづけて来たのである。ところが、いつの間にか、日本国内の統一教会の活動が、次第に久保本会長を長とする日本統一教会の決定によるものではなく、すべてアメリカにいる「文鮮明氏」の直接指示によってなされはじめた。
「世日事件についての対応」の指示の中で、私たちの「反逆行為について」として、「天の召命に応ぜず、情報管理して天のみ言が末端まで伝わらない」など「信仰の伝統を破壊する」と書いている。「天の召命に応ぜず」の具体的内容として「最近では、愛のマグロ釣り研修をボイコットした」ことを挙げている。
 「愛のマグロ釣り研修」とは、「文鮮明氏」が毎年、アメリカ・ボストン沖で、マグロ釣り漁船に幹部を三、四人ずつ交代でのせてマグロ釣りをやらせ、その船上や宿合で訓話をたたき込むという、実利を兼ねた(とったマグロは教会系の漁業会社に回す)一石二鳥の一風変った幹部研修である。そのマグロ釣りの働きぶりを見て、人事替えも行われる。これを「文鮮明氏」は霊眼による人事と説明している。
 昨年も七月から八月にかけて、日本から約七十名の幹部がアメリカに行って、このマグロ釣り研修に参加させられ、うち二十人がアメリカヘの人事異動を発令された。言葉も不自由なアメリカに突如やらされ、教会系の会社や日本料理店などで経済活動につかされて、いまそれらの人たちは苦労しているだろうと思う。
 たしかに、私もこのマグロ釣り研修参加者リストに入っていた。しかし、私は、日刊紙である世界日報の編集局長として、十日もマグロ釣り研修のために職場を離れることは、新聞づくりに支障を来すと考えた。
 これまで、私は日本統一教会の幹部の一人として組織の決定に従い、かつては統一教会本部広報局長、あるいはやはり「文鮮明氏」が総裁を兼ねる国際文化財団(この援助でつくられた学者・文化人組織が「世界平和教授アカデミ一」)の事務局長などとして懸命に働き、さらに世界日報の編集局長になってからは、社会の公器としての役割を呆す一般紙として成功させることが、教会の底力となって寄与することになるという考えで、努力を重ねてきた。そのため、あくまで言論機関という原則を守ってゆくことを第一に考え、統一教会員が多数を占めてはいるが、世界日報社内では宗教上の礼拝を社員にはさせないという思い切った指示を出し、それを守らせてきた。私が入社する前は、役員会議や編集会議の前後に全員で「文鮮明氏」を讃えるお祈りをしていた。そういうことも、「文鮮明氏」に忠実な日本教会幹部たちの反感を招いたといえるかもしれない。

~日本語版から削除された個所~
 昨年十二月末、朝日新聞が世界日報事件と私の統一教会批判の動きを記事にし、その見出しに「韓国色濃い儀礼」とつけていた。その文中で「統一教会はキリスト教の完成をめざす世界宗教のはず。しかし文師の考えで、儀式の服装、拝礼、用語など韓国色が強すぎる。欧米では、人事も韓国人が偏重されている。日本人として改善の必要を感じていた」という趣旨の私の談話を載せていた。その私の気持は今いっそう強くなっている。
 たとえば、先に引用した「世日事件についての対応」という指示の中で「これらの事実(私たちが反逆行為を行ったなどの)を全食口に周知徹底させ」と「食口」といぅ韓国語をつかってある。食口とは韓国語で「家族」の意で、統一教会では会員のことをそう呼んでいる。
 さらに昨年十一月五日出された「子女の日特別指示」には「本日を期して韓国語を全食口学ぶように!」と書かれている。朝日新聞の記事にも書いてあるが、統一教会では韓国語を将来の「祖国語」といういい方で、信仰の母国語と規定しているが、このような韓国語全員学習の特別指示が出されることは、初めてのことだ。
 統一教会は、韓国で生れ、韓国人「文鮮明氏」を教祖とする宗教であることは、いうまでもない。そのために、信仰儀礼などに、いくばくかの韓国習俗的なものがあることは仕方がないとしても、問題はただそれだけでなく、「韓民族」が選民であり、他民族に優越していると説くことである。この考え方は、キリスト教本来の世界宗教としての性格を否定することになる。選民に対する考え方こそが、民族宗教と世界宗教を分つ点である。
このようにみれば、「韓民族」が選民であるとか、韓国が世界の中心であるという考え方は、キリスト教の正統をつぐ世界宗教としての統一教会という原則と明らかに矛盾する。しかし、統一教会の教典「原理講論」の韓国版には、そのことを明示した記述がある。
 ところが、この部分は日本語版の「原理講論」から意図的に削除されてきたのである。韓国版「原理講論」の第六章第二節「イエスはどこに再臨されるか」の以下の個所に、「韓民族」を選民とし、韓国語が祖国語、世界共通話になるなどの韓国中心主義、世界宗教とは異質な韓国の民族宗教的なものであることが示されている。
 「古来より東方の国とは、韓国、日本、中国の東洋の三国をいう。ところでそのうちの日本は、代々天照大神を祟拝してきた国として、その上全体主義国家として再興期に当っており、かつての韓国のキリスト教を苛酷に迫害した国であった。そして中国は共産化した国であるため、この両国はいずれもサタン側の国家である。したがって端的にいって、イエスが再臨される東方のその国とはまさに韓国である……イエスが韓国に再臨されるならば、韓民族は第三イスラエル選民となるのである」
 「この国(韓国のこと)であらゆる文明が結実しなければならない。有史以来、全世界にわたって発達してきた宗教と科学、即ち精神文明と物質文明とは韓国を中心として、みな一つの真理のもとに吸収融合され、神が望まれる理想世界のものとして結実しなければないないのである……ゆえにまさしくあらゆる文明が結実しなければならない韓国においてなされなければならないのである」
 「言語はどの国で統一されるであろうか?その問いに対する答えは明白である。子供は父母の言葉を学ぶのがならわしであるからである。人類の父母となられたイエスが韓国に再臨されることが事実であるならば、その方は間違いなく韓国語を使われるであろうから、韓国語はまさに祖国語となるであろう。
 したがってすべての民族はこの祖国語を使用せざるをえなくなるであろう。
この日本語版で削除された再臨に関する部分が、原理講論の結論だといっていい。いわんとすることは、再臨主とは韓国人である「文鮮明氏」のことであり、「韓民族」は選民であるから、「文鮮明氏」によって世界は統一され、必然的に韓国は世界の中心となり、韓国語が世界の共通語となる。そして、「文鮮明氏」夫妻が、全人類から「お父さま」「お母さま」と尊称される「真の父母」になるということである。
 このような教義には日本人に対する韓国人の歴史的に屈折した心理が反映しているのであろう。それが「文鮮明氏」の日本統一教会とその幹部に対する、強い不信となって表れて来る。そのような「文氏」の実像と統一教会の本質をあらわにみせたのが、「子女の日」の指示事項の中で、とくに責任者に祈禱の指示をした「大石様とエバ国家が心情一体となれますように」という項目である。
~敬礼式の奇怪な儀式~
大石様とは、東海大を卒業し、日本に滞在している「文鮮明氏」の先妻の子文聖進氏の日本名である。日本滞在中の「保護者」となっている二人の日本教会幹部の苗字の最初の字を組合せてつくったものだ。「エバ国」とは日本のことをいう統一教会用語である。では、この「大石様」と「エバ国」が「心情一体となれ」とは、どういう意味なのか。それは、文聖進氏を日本統一教会が誰よりも大事にして尊重せよ、ということになる。したがってそれは、日本統一教会の久保木会長は文聖進氏に従え、ということを意味しているに他ならない。
「文鮮明氏」を「メシア」「王の王」とみなす象徴的な、不愉快な儀式が統一教会にあることも書いておく。統一教会が四大名節と呼ぶ記念日には、早朝五時からの敬礼式という儀式があり、そこでは聖壇に座った「文氏」とその家族に対し、統一教会の主要幹部が三拝の拝礼を行う。場所はだいたい「文氏」の私邸であるアメリカ・ニュ一ヨ一ク州のイ一ストガ一デンである。その際、天皇陛下をはじめ、レ一ガン大統領、全斗換大統領ほか主要国の元首の身代りを、それぞれその国の教会幹部が担当し、文教祖一族に拝跪して全世界の主権者が文教祖に拝礼したという儀式を行うのである。
 日本の天皇陛下の身代りを演ずるのは、日本統一教会会長の久保本氏なのである。何とも奇妙で、そして国民の象徴として天皇を上にいただく日本国民としては見逃せぬ情景ではないか。それだけではない、イエス・キリスト、釈尊、孔子、マホメットなど主要な宗教の代表の身代りを務める人も決っており、同様に「文鮮明氏」とその家族に平伏をする。これは「文氏」がすべての宗教の上に立つ権威をもっていることを示す重要な儀式なのである。
これをみても解るように、統一教会と国際勝共連合が行っている、宗教活動や愛国運動は、「文鮮明氏」の野望を実現することを目的とした方便なのである。
 さらに注目されるのは、「文鮮明氏」が五十九年の年頭標語を「祖国創建」と決めたことである。「祖国創建」とは、文字通り統一教会が国家を創るという意味である。その「祖国」とは、いうまでもなく韓国である。その韓国での「祖国創建」のためとして、韓国内での勝共運動要員の名目で、百五十人の日本教会会員の人事異動発令がなされているといわれている。
みていると、「文鮮明氏」と韓国人の統一教会幹部には、日本統一教会内に日本人としての誇りを持つ人間が現れることの警戒心が強い。日本人に対しては、とくに尊大になる。この「文鮮明氏」の日本統一教会とその幹部への強い不信と、そこから来る強圧的な姿勢の根底には、くりかえすが韓国・朝鮮人としての日本人に対する、反日感情がある。「文氏」は、日本の幹部に経済活動による金集めや、その献金の指示を出すとき、必ず常用するいい方がある。それは、日本の復興は朝鮮戦争の特需によるもので、韓国・朝鮮人の犠牲のうえに日本の繁栄が成り立っているという理屈である。だから、教祖は、日本から莫大な金額を持ち出すことも、そのために日本人会員が苦吟することにも、良心の呵責を感じないと断言している。
 統一教会は、創立後二十数年の新興宗教だが、いまや世界百三十力国に傘下の教団組織をもつ、一大宗教組織へと発展した。しかし、その実体は、最も教勢を誇る日本で八千人、アメリカが二千人、ヨ一ロッパ全域で二百数十人、発祥の地である韓国は大部分が名前だけの会員で、教会活動に専従しているのは二千人程度にすぎない。にもかかわらず、あたかも巨大な組織という印象を与えている原因は、豊富な資金力にものをいわせた種々の行事、大会、事業体、施設等の宣伝効果による。

~金集めに狂奔~
 世界日報事件と、それをきっかけとした私の統一教会からの訣別には、統一教会員、とくに統一教会の重要企業であるハッピーワールド関係者の、物品販売などの経済活動のあり方、平たくいえば、金集めの狂奔ぶりに対する批判が大きな要因としてある。私たちが「裏切り者の烙印を押されることを十分予期して、この手記を公表しようと決意したのは、これまで書いて来た統一教会の本質や「文鮮明氏」の実像に加え、巧妙な脱税や許欺まがいの高額商品販売など、おそるべき経済活動の実態をしっかり世間に知ってほしいと思ったことにある。▲ 多宝塔
 実際、統一教会員が、資金カンパ、歳末助け合い募金、印鑑、大理石のツボ、多宝塔の販売などによって、金集めに狂奔している実態は、宗教法人の宗教活動の域を、はるかに逸脱している。昨年来、世界日報社員もインドシナ難民救援の街頭カンパを実施したが、これら街頭カンパの実態も、自分たちの資金づくりをすることが目的であると断言していい。

 
 朝日新聞が昨年十月、統一教会が九州と韓国の間に「日韓トンネル」を掘ることを計画、佐賀県下や壱岐、対馬海峡で、ボ一リングによる地質調査や、調査船による海層調査を進めており、その調査費など数百億円をすべて統一教会が出しているという記事を掲載していた。事実、この「日韓トンネル」構想は、「文鮮明氏」の提唱による大プロジェクトだが、調査にたずさわっている学者や技術者などは調査そのものだけでも意義があるとはしても、「実現不可能な夢物語」と思い、これにかかわっている統一教会関係者自身もそう思っているのである。
 それでも「文氏」の提唱だからと何百億という金を惜しげもなくつぎ込んで、懸命に計画に取り組んでゆく。宗教組織の異様さがそこにあるが、問題は、一体その金がどこから出ているか、ということである。
統一教会はアメリカでいま伝道の中心となっている元ニュ一ヨ一カ一・ホテルや新聞社を買い取るなど、多くの施設をふやし、各種の会議を開いたり、事業活動を拡大している。最近も、南米のウルグアイで、銀行をおさえ、首都モンテビデオ最大のホテルから月刊新聞社、出版社を買収、ラジオ放送局を開設したことを、フランスの新聞「ル・マタン」が報じている。このウルグアイについては、昨年五月に私が訪韓命令をうけて行った済州、島グランドホテルでの幹部会議で、「文鮮明氏」から直接聞いている。話の中で「文氏」は「世界復帰のために四権を握れ」という指示を出し、四権の一つの経済に関連して、資源国ウルグアイに基盤をつくるため、すでに銀行を買収中であると語った。
その四権の他の三権についていえば、思想に関しては、学者、文化人組織世界平和教授アカデミ一を七十力国に設立する。世界平和教授アカデミ一は昭和四十九年に日本にも設立され活動を続けている。科学技術については、西ドイツで買収したバングラ社を基盤に統一産業(韓国にある統一教会系企業)の技術を世界的水準にもってゆく。言論に関しては、先に設立した「ワシントン・タイムズ」を中心に全米五カ所にタイムズグル一プをつくる。日本では朝日、毎日、読売のどれかを買収する。信じ難いことであるが、日本の大手新聞社買収の件は現在、具体的な話が来ているので、二年後には着手する、といった内容だった。
 統一教会は毎年、学者を集めた「科学の統一に関する国際会議」、マスコミ関係者を集めた「世界メディア会議」などを開いており、今年十月、第六回の「世界メディア会議」を、十一月には「科学の統一に関する国際会議」を東京で開く準備を進めている。
 これらのおぜんだて「正解平和教授アカデミ一」の日本組織は、元立教大学総長松下正寿氏や、現筑波大学長福田信之氏らが中心となっている。実は、統一教会はこの両氏を含む四人の学者を教会に貢献する重要人物に指定し、定期的に手当てを支払っていた。統一教会本部局長会議での予算配分の報告の時は、四人に対する支払い金額が記録されていた。その金額は私が記憶するかぎり、月々六十万円が二人、四十万円が二人だった。
 いずれにしても、相当の資金が必要なことはいうまでもない。日本ばかりではなく、世界各国で、統一教会が多くの人に疑惑の目でみられているのは、この豊かな資金についてだろう。そして、ここで重要なことは、これらアメリカの各施設、韓国の企業群、南米、アフリカの開拓教会などの設立や維持資金は、日本統一教会員がカンパや募金、人蔘茶、印鑑、ツボ、多宝塔などの販売、しかも詐欺まがいの高額販売や巧妙な脱税によってつくり出されたものだという事実である。
 資金ばかりでなく、アメリカはじめヨ一ロッパ、南米、アフリカなどで布教活動に従事しているのは日本人教会員であり、世界各国に統一教会網を発展させた原動力は、「文鮮明氏」のカリスマ性一般で、日本の統一教会で、あったということができるのである。日本人の温順、勤勉という特性が、特異な統一原理への魅惑とからまって、日本統一教会の大きなエネルギ一を生み出したといえる。日本人に対する本来の不信、反感がありながら、「文鮮明氏」が日本教会への期待を捨てず、人事や組織について、次々と指示を出してくるのは、日本統一教会員の活動なくして、財政、資金の調達ができないからである。
~「ハッピーワールド」社とは?~
昨年十一月五日の「子女の日」指示は「百二十日路程大勝利を期して」となっている。この「百二十日路程」とは教会用語で金集め期間のことであり、「文鮮明氏」が金集めのために決めた十一月十六日から一月二十一日までの非常に重要な期間であるから、統一教会とその傘下の全組織は、一切の活動を停止して、「経済復帰」一一金集めに努力を集中せよ、ということである。これは、世界日報事件が世界日報内だけでなく、統一教会員の間に混乱を起し、かなりの経済活動が停止した。二十日間休刊にした世界日報の欠損も補填しなければならなかったし、それよりも毎月二十億円、五十年七月の送金命令以来計二十億円余も送ってきた「文鮮明氏」への納金も、とどこおってきた。この財政危機を打開するための「百二十日路程」の命令だったのである。
統一教会についての問題点は、先にものべたとおり、その経済活動、物品販売活動にからまる巧妙な脱税操作と、詐欺まがいの商品の高額販売である。「ツボに仏霊が宿っており、これを買うと幸せになる」と老女に大理石のツボを高価で売りつけたセ一ルスマンが詐欺で逮捕されたり(五十七年四月、東京・大塚署)、印鑑、ツボ、多宝塔、高麗人蔘など総額四千四百万円を売りつけられ、消費生活センタ一が間に入って返還させたり(五十八年二月、福島)、「ツボをなでてお祈りすれば極楽へ行ける」など執拗な押売りでツボや多宝塔を高額で買わされた主婦らが、代金の返還請求訴訟を起したり(五十八年十一月)など、新聞ザタになった悪質販売事件は多い。今年一月には、セ一ルスで知り合った女性を「悪霊がついている」と旅館に連れ込み、霊払いの儀式をして千二百万円もの金を祈禱料としてだまし取った印鑑などのセ一ルスマンニ人に、青森地裁で執行猶予つきの有罪判決が言い渡されている。
 これらの事件の場合、統一教会や事業部門のハッピーワールドや事業当事者は、統一教会員やハッピーワールド系のセ一ルスマンであることを完全否定しているが、金額返済などトラブル解決に当っているのはハッピーワールド本社関係者やその顧問弁護士であることなどから、その関係を否定することはできない。また警察も充分承知している。教会側が懸命に否定する事業部門との結びつきについても、それを証明する多くの資料が存在する。
経済企画庁の外郭団体、国民生活センタ一が五十七年十一月、全国二百四十七の消費者センタ一、国民生活センタ一について五十一年来の相談について調査した結果、印鑑、大理石のツボ、多宝塔に関する悪質な販売件数が計二十六百三十三件、金額にして約十七億円に上っていた。
 その報告書は「最初印鑑を購入させられ、次に『まだたたりが消えない』等の理由で大理石の壺をより悪質な手口で購入せられる、といったように、同一人が複数の被害を受けたケ一スが相当数ある」「消費者への勧誘は、口頭によるだけでなく購入しなかったため実際に不幸に見舞われたという人のケ一スをスライドやビデオテ一プで見せる。商品を祈禱した後で渡し、祈禱料を請求する等手の込んだものがある」と書いている。
 これらの統一教会員の物品販売の元締めは、東京の渋谷区神南に本社をもつ、ハッピーワールドである。渋谷パルコの道をはさんで前のビルに大きな看板が出ている。同社側は外部に対し統一教会との関係を否定しているが、同社の古田元男社長は統一教会の経済担当副会長の地位にあり、アメリカの「文鮮明氏」への資金送金を一手に握っている人物である。
 現在はアメリカの元ニュ一ヨ一カ一・ホテルの伝道本部にほとんどいて、「文鮮明氏」の指示をうけながら日本から人事異動でやって幹部や教会員の職務の割り振りなど、日本人の采配に当っている。
この古田社長のハッピーワールドの下、全国を十地域に分けて、販売会社、さらに特約店、小売店という四段階の販売網が組織されている。セ一ルスに従事する統一教会員は小売店に所属するが、あくまで個人の委託セ一ルスマンとして登録してある。
  したがって、未端のセ一ルスマンが引き起したトラブルは、小売店、特約店でくいとめられ、セールス本人も取調べなどに対して決して統一教会員であることをいわないように指導されているため、本社のハッピーワールドや、統一教会の名がトラブルにからんで決して表面に出ることのないよう、体制ががっちりと固められている。

~脱税の手ロ~
 ここで明らかにしたいのは、販売活動における脱税の手口である。そのやり方を下部セ一ルスマン、統一教会員に指導する、驚くべき資料もある。その一つは、ハッピーワールド本社経理担当の溝口志津氏が、五十五年十月、会計会議で行った発言資料である。
 「ハッピーワールドの取扱商品は各々三~四つの卸売段階を経て販売されていますが、経理はこれらの卸売会社を別々に考えるのではなく、経理上完全に一つの組織であると考えて下さい。この会計処理のシステムは、いかに万物をこの世(税務署)に渡さず、天の側(ハッピーワールド)に復帰するかということに基づいています。卸売会社を数段階に分けたのは、そもそも利益分散すなわち税務対策のため考えられました……登記等による表面に出ている販社(販売会社のこと)代理店に利益を出さず(税務対策)、個人である委託セ一ルスマン(統一教会員)に最終小売値の七〇%を利益として落します。この方法では、個人の所得税問題が発生しますから、高額所得者となっている委託セ一ルスマン(会員)をピックアップしておき、ハッピ一本社の定期的な人事異動の時に優先するなり、住民票を地方に散らす等の指示に従って下さい。私達は天の知恵で税務署の目を逃れなくてはなりません。さらに委託セ一ルスマン(会員)に落した七〇%の利益はハッピ一本社に個人の必要生活費を除いて、全額返金するシステムです。各店舗は一体ですから、これは帳簿上の動きだけであって店舗間では実際の現金は動きません……もちろんセ一ルスマン以外の従業員(会員)についても、給料は実際支給する給料の三倍~五倍を計上して、差額を天への献金(裏金)とします。この裏金の運用方法の一例として、本社では兄弟達(会員)の名義でマル優の定期預金に積んでいます。なお本人には一切知らせる必要はありません」
要は「天」への裏金づくりの脱税工作のため、卸売会社を数段階に分け、個人扱いのセ一ルスマン(教会員)の所得として利益の七〇%を落して販社、代理店に税金がかからないようにし、しかもそのセ一ルスマンも税金逃れのため定期的に住所を移し、渡した七〇%の所得も最低生活費を除いて本社に返金させる、実に巧みな手口である。
 東京の新宿二丁目に「ワコム」という株式会社がある。五十六年十一月、統一教会の資金で設立したコンピュ一タ一会社だが、ここのコンピュ一タ一に全国の三千人以上のセ一ルスマンがすべてインプットされており、一人一人の売上金、売掛金がすべて記録されており、その業績をにらんで、三カ月から半年ぐらいで所得税逃れの異動操作を行う。脱税工作のための人事管理のコンピュ一タ一利用である。
先にあげた脱税の手口を説明した資料には、次頁にあるような販売物品の原価率や小売倍率、各卸売段階での卸値と利益の一覧表がつけてある。
これをみて明らかなように原価一万一千三百円の印鑑が数十倍の百二十万円、一万円の人蔘エキスが八倍の八万円、ツボに至っては五千円のものが実に四百倍の二百万円、十万円の多宝塔が五百倍の五十万円で売られているということになる。

  ▲ 多宝塔
何という暴利だろう。国民生活センタ一の調査結果でも、印鑑が最高百六十万円、ツボが八百五十万円、多宝塔二十三百万円で売られたとされている。

 ▲ 韓国・仏国寺の多宝塔

セ一ルスマン用の手引書
これだけの暴利販売をやるには、尋常の手段では到底駄目のはずである。そこで、活用されるのが、世間で「霊感商法」といっている「霊能者」や「先生役」をつかっての、相手を巧みにさそいこむ知能的やり方である。先に挙げた刑事事件になったケ一スもすべてそうだが、霊能者、先生役を演ずるものをセ一ルスマンが連れて行き、相手の弱み、心の痛みにつけこんで、品物の霊験を信じこませ、買うように仕向ける商法である。そのための「ヨハネト一ク」と名づけたセ一ルスマン用の手引書などが用意されている。

 ▲ 印鑑
「先生は非常に霊感のある方なんです。見えない世界のことも、よくわかる先生なのです……先生の御指導を受けて、その通りになさって導かれ、幸福になられた方が沢山いるんですよ」と「先生」役を迎えに行くまでにまず吹き込み、先生が入って来たら「あっ、先生が来られましたと手で示してあげ、座ぶとんをおりて仰ぎ見るようにしてから、深々とお辞儀をする」そして、先生ト一クの内容によって「うなずく!『そうですね。なるほど』感動する!『ほんとうですか!恐しいですね』」。先生が座を外したとき「先生はほんとうにお客様のことを思っているんですね」といい、先生が祈禱のため抜けたとき「このツボを通じて、ご先祖、ご子孫が報われていくんですから、苦労のしがいがありますね。金銭面においてもいろいろな事情があるかも知れませんが、ご先祖様の冥福とご子孫の繁栄を祈りつつ決意されたらいいですね。案外この日の為に準備されてあったんじゃないですか。たとえば定期預金とか、保険とか、株がうまく当ったとか」

外部『販社、代理店、統一教会員、委託セ一ルスマン、顧客
 ※ 小売価格一〇〇、〇〇〇円の印鑑の各段階卸値
多宝塔、壺、人蔘、印鑑、品種
 原価率、小売倍率、販売事例

 そして、この「ヨハネト一ク」には、「お客様のウイ一ク・ポイントをつかむために」として「①自殺者はいないか②精神病者はいないか……⑫短命の家糸ではないか……㉒高齢独身者はいないか」など、客選びの二十二の基準が書いてある。

▲人蔘
統一教会は、とくに五十二年ごろから資金集めにやっきとなったが、五十二年から五十四年にかけ、二十一日、百二十日、五十日、八十日という「経済路程」を、下部教会員に指示していた。この間の目標額は一人一日一万円、一年間に二百七十万円の献金であった。その後、このノルマは上がる一方で、末端の信者までに月々百万円もの献金を求めるようになった。
普通の方法で、一般教会員がこれだけの金を集めるのは困難である。それを達成するには、手段を選ばず、強引なセ一ルスに狂奔するよりない。販売のやり方がより過激に、詐欺的に、取り扱い商品がより高額なものへとエスカレ一トしたのは当然だったろう。

▲壺
 ここまで書くということは、私たちの青春を全否定する決断と身の危険を覚悟した上でのことである。信じ難いことであるが、これまで宗教法人、統一教会の地方組織だった各教会は、今ではほとんどセ一ルスの支店に変ってしまっている。宗教法人、世界基督教統一神霊協会の看板が掛かっているのは、東京渋谷区松濤町にある本部教会ただ一カ所になってしまったという。
このような点を衝かれると、統一教会側も事業本部のハッピーワールド側も、両者は全く関係のない別組織であると抗議する。たしかに、法人登記上の役員など、同一人物が両者にまたがって名前を出していることはない。しかし、税務対策に登記役員の名を重複しないようにするのは、統一教会、ハッピーワールドでなくとも、世間の法人組織でよくなされることである。
 が、統一教会とハッピーワールドが、統一教会の資金づくりのための一体組織であることは、ハッピーワールドの古田元男社長が統一教会の経済担当副会長であることにまず明らかである。また、統一教会本部局長会議で、分担金の割りあてや、収益の報告がなされていた。さらに、教会のマル秘資料などに、販売会社と統一教会の確認事項といった形で、次のようにはっきりと書かれている。
  「各教会は事業部との交渉窓口となる責任者を決め、その人が一切の処置にあたって下さい」
  「教会独自で壺展を開く場合は前もって計画を美工部長(ハッピーワールド傘下の世界のしあわせ社)に知らせて下さい」
  「クレ一ムがあった場合、必ず販社の専務ヘ報告し、指示を受けて、処理して下さい」「これからの日本の経済路程は、久保木会長を中心とし、日本食口一丸となって、全体勝利がエバ国の実績となる」
  「経済の集金された分は、会長、古田局長(古田ハッピーワールド社長・現経済担当副会長)でもって処分、他は一切関知しない」「経済組織になった天のはからい(「文鮮明氏」の指示をさす)は、日本が世界経済基盤という外的経済心情基準をつくって、世界に国家一丸となって外的経済基盤をつくったという実績を示す為であり、また、久保木会長をハッピーワールドの会長としながら、全食ロが社員となり、自社製品販売が大前提であります。これが世界のハッピーワールドとして、世界と経済基盤をつくることとなり、また、国内においては、今後のホ一ムチャ一チと経済との一体化への天のはからいを実現させる基盤となると思います」「(文鮮明氏」からの局長会議への指示事項)
ここで重要なことは、この経済第一主義へと日本教会が変質せざるを得なかったのは、それがすべて「文氏」の命令、圧力によるものであったということである。
 昭和四十七年、「文鮮明氏」は、もともと日本統一教会の事業部門であるハッピーワールドを、日本教会から分離させた。ハッピーワールドは、日本のためでなく、世界のために働かなければならないというのが、その名目であった。それ以後、事業部門による日本統一教会への献金は停止し、収益はすべて「文氏」へ直接納金されることになった。この結果、日本教会は全経費を地方組織から徴の結果、日本教会は全経費を地方組織から徴収しなければならなくなり、各地方教会へ人蔘茶販売とカンパ活動を奨励し、新たに事業部門を設けるように指導した。
 五十年、経済一本化という方針が出された。地方教会に所属する経済活動従事者は、全員ハッピーワールドに吸収されるというものだった。教会事業部門よりも、ハッピーワールドの方が、収益率が高いという理由だった。
五十三年から五十四年にかけ、統一教会関連の全組織が集金活動に専念する期間一一経済路程が設定されたことはすでに書いたが、翌五十五年、統一教会の構造を完全に変質させる、「文氏」からの命令が出た。それは、経済局の設置と、古田元男ハッピーワールド社長の経済局長就任である。その際の内容の一部が、先に紹介した局長会議に提出された指示事項である。
 この指示事項の中で重要な点は、統一教会の地方組織を統括する桜井設雄伝道局長がハッピーワールドの古田社長の部下になったことである。この時の「文氏」の命令で、統一教会とハッピーワールドの上下関係は逆転した。その結果、統一教会の久保木会長は完全にタナ上げされて、組織運営の実権を失い、統一教会および関連の諸団体が、ことごとくハッピーワールドの実質的な子会社となり、経済集金活動に狂奔するという、今日の状態が生れたのである。
私は、この統一教会の経済第一主義への変質を危険だと感じ、局長会議の席で何度も修正の発言をした。そして先に書いた指示事項が出された時は、たまりかねて「経済体制に提案」という文書を本部に提出した。その中で私は「経済チェッタによる、全組織の心霊、生活の支配も意図されている」「ハッピーワールドは日本統一教会運動の経済という一門の担当である。……経済路程期間であるから、あるいは経済優先だからという魔術によって、(伝道、勝共、渉外など他の部門の)それぞれの個性的運動が破壊されている。これでは、日本統一教会の全組織は、金を集めるためだけの存在となり、やがて社会から孤立してゆく」と書いた。
 五十八年五月、済州島グランドホテルで行われた幹部会議で、「文鮮明氏」は、四年間かかって、教会とハッピーワールドの一本化がやっと終了したといった。そこには、自分の思い通りにやり遂げることができたという、満足感が現れていた。

~米国における脱税裁判~
 世界日報事件から約八カ月間、「文鮮明氏」、そしてそれに盲従する統一教会幹部が、成功させようと懸命に祈り、その実現のために暗躍してきたことが、二つあった。一つは、アメリカで脱税の罪に問われ一審、二審で有罪とされている「文鮮明氏」の上告審での無罪獲得であり、他の一つは、十一月に東京で開催を予定している「世界メディア会議」に参加するための「文鮮明氏」の日本入国ビザの取得である。
 金集めの百二十日路程の勝利をかかげた「子女の日」の指示の中で、先に書いた「大石様とエバ国家が心情一体となりますように」ということとともに、「裁判の勝利をさすように」と責任者に特別祈薦を命じてきた。しかしこの「文氏」と統一教会幹部の祈りは、無慚にも裏切られた。五月十四日、米連邦最高裁は、米司法省の上告棄却要求を受けいれ、「文鮮明氏」の上告を却下した。これにより「文氏」は下級審の判決どおり、一年六カ月の懲役刑に服さなければならなくなった。
 「文氏」は、一九七三年から七五年にかけて、個人名義の銀行預金の利子約十一万二千ドルの脱税をはかり、また五万ドル相当の株の譲渡を受けたことを申告せず、虚偽の所得申告をしたとの理由で起訴され、米連邦ニョ一ヨ一ク地裁で五十七年七月十六日、懲役十八カ月、罰金二万五千ドルの判決をいい渡されていた。「文鮮明氏」側弁護士がただちに控訴の手続きをとり、保釈金二十五万ドルで収監を免れたが、控訴をうけたニュ一ヨ一ク高裁は五十八年九月十三日、第一審支持の有罪判決出した。これに対して弁護側は、控訴審判決が二対一の分立議定になっていること、少数意見が同裁判の「宗教弾圧」性を明らかに主張しているなどを理由に、この一月ニ十六日、米連邦最高裁に上告手続きをとっていた。米連邦最高裁は、書類審査を行って上告を許可するかどうかの判断を下すということで、その結論は裁判日程発表の六月ごろとされていた。しかし米連邦最高裁は予定よりも一カ月早く、「文氏」側には厳しい結論を下したものである。これをうけて米司法省スポ一クスマンは「六月十八日から刑に服すと、少数意見が同裁判の「宗教弾圧」性を明と、少数意見が同裁判の「宗教弾圧」性をあきらかに主張しているなどを理由に、この一月二十六日、米連邦最高裁に上告手続きをとっていた。米連邦最高裁は、書類審査を行って上告を許可するかどうかの判断を下すということで、その結論は裁判日程発表の六月ごろとされていた。しかし米連邦最高裁は予定よりも一カ月早く、「文氏」側には厳しい結論を下したものである。これをうけて米司法省スポ一クスマンは「六月十八日から刑に服するように文被告側に通告した」(朝日新聞五月十五日付)と述べていることから、「文氏」の収監は避けられないものとなった。但し、刑執行までの猶予期間に国外退去すれば、収監を免れることもできるため、「文氏」が服役と国外逃亡のどちらを選択するか注目されるところである。いずれにしても、これまで十年間本拠としてきたアメリカから去らねばならなくなるということは「文氏」と統一教会にとって、たいへんな痛手であることはまちがいない。
 昨年十一月以来「文鮮明氏」は保釈金を積んで韓国に帰り、勝共後援会の名目で地方回りをしていると伝えられるが、今年の年頭標語の「祖国創建」も、アメリカを去らねばならぬ場合を予期しての、韓国での受け皿づくりであったと解釈することができる。また、ウルグアイでの大がかりな拠点づくりも、韓国に次ぐ拠点づくり、あるいはアメリカ、日本部隊の新しい活動の場として、南米に目をつけての動きとみることができよう。
 この「文氏」の脱税裁判と関連して、日本の統一教会が昨年来千ないし二千人の青年男女信者の渡米計画を進めている事実も見逃せない。事実、この三月四日、東京三鷹市の三鷹市公会堂ホ一ルで開かれた、国際勝共連合三鷹支部主催の「日本の平和と安全を守る大会」で、河西徹夫勝共連合事務総長が「民主党候補が当選すれば、日米関係は危険になる。ぜひレ一ガン大統領を再選させなければならない」と強調しレ一ガン再選をかけて青年活動家千五百人をアメリカヘ派遣中だ」と演説した。四年前のアメリカ大統領選挙の際も、レ一ガン大統領応援に勝共連合の活動家が渡米しているが、今回の大量のメンバ一の派遣は、明らかにレ一ガン大統領に取り入ることによって、「文氏」裁判を有利にもちこもうとするねらいがあったことは間違いない。
つけ加えれば、この信者青年男女の大量のアメリカ派遣は、アメリカでの信者、とくに若い信者の減少によるバラや絵売りなどの経済活動の低下を、よく働く日本の青年男女信者で埋め合せようとするねらいもあり、パスポ一トやビザを取得しようとする子供の動きに驚いた親たち約八十人が、一月三十一日在日アメリカ大使館へ行き、「入国査証発給差し止めに関するお願い」の陳情書を渡すという事態も起っている。
 世界メディア会議は、「文鮮明氏」の指示で、去る五十二年以来、毎年開かれている。今年第七国会議を東京で開くことに決定したのは、世界日報事件で統一教会の社会的評価が失墜し、それまで協力的だった学者、文化人、ジャ一ナリストが離れていったことを、何とか回復しようというのが、最大の理由のようだ。
もう一つは、これまで入国ビザの出たことのない「文鮮明氏」へのビザをこの会議に向けて日本政府に発給させ、日本政府に統一教会と「文鮮明氏」を公に、正式に、「認知」させようということだ。
 「文鮮明氏」については、これまで五十四年以来三度統一教会から日本政府に対し入国ビザの発給申請を行ったが、日本政府は発給していない。それは「文氏」が五十年二月に入国した際、通過ビザであったにかかわらず武道館で布教講演を行ったこと、また五十二年九月日本に通過ビザで入国した際も、埼玉県神川村で千六百十組の合同婚約式を行ったことが、日本国内では宗教活動、政治活動を行ってはならないとする入国管理法に抵触したとして、それ以後の発給拒否の理由となっているようだ。
第一回目は、五十四年六月、「文氏」の韓国帰途中十日間の通過ビザを出してほしいと申請した際、法務省側が発給をしぶった。その七月、衆院法務委員会で横山利秋社会党議員の質問に対し、法務省入管局長は「単純な通過目的ならば入国を認める」「ただし、過去いろいろな問題があったから、統一教会、原理運動、勝共連合のいかなる集会、会合にも出席しない旨の誓約書を提出することを条件としている」と答弁した。このような法務省の強い姿勢から、自民党の山崎武二郎氏らに依頼した発給交渉も功を奏さず、「文氏」は入国を断念した。
 第二回目は五十六年、「文氏」は合同結婚式を日本で行おうとビザの発給交渉を統一教会に指示、教会側は教会とハッピーワールド顧間弁護士で、教会、勝共、ハッピーワールドの組織をあげて選挙応援をした自民党の高村正彦代議士と、山崎武三郎代議士に裏交渉を依頼し、法務省側は、東海大学大学院に留学中の前妻の長男文聖進氏に面会するという名目で、通過ビザを発給しようとした。しかしこんどは「文氏」の方が、合同結婚式を実行することを法務省に承認させ、宗教活動を目的とするビザをとれといってきたため、これもご破算となった。
 第三回目は、五十七年十月十四日、韓国ソウルで行われた五千八百三十七組の史上最高の大合同結婚式とからんでいる。その三カ月前の七月、ニュ一ョ一クで二千七十五組の合同結婚式が行われ、「文鮮明氏」はつづいて十月に日本で合同結婚式を行うことを表明、その準備を指示していた。このため日本統一教会側は、再び自民党、さらに民社党代議士などを動かして、当時の坂田法務大臣にビザ発給の働きかけを行う一方、名古屋市体育館を信者大会名目で借り受けていた。しかし、坂田法相、法務省側はこんどもビザ発給に首をたてにふらなかった。
 今年十一月の「世界メディア会議」への「文氏」の入国については、日本統一教会は先の二回目のときと同様、滞日中の長男文聖進氏に面会するという名目を用いて、法務省とビザ発給の交渉を行ってきたが、これも今回の米連邦最高裁の上告葉却決定によって、全て水泡に帰した。この四月十一日の衆院法務委員会で、法務省入管局長は入管法第五条を引用して「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若くは禁鋼」「に処せられたことのある者。これは上陸を拒否する」と明言している。これにより「文鮮明氏」の日本入国ほぼ永久に不可能になったといえよう。
 「文鮮明氏」の最終目的は何かというと一国の「王」である。かねがね「文鮮明氏」は、北朝鮮の金日成をサタン側のアダム(再臨主)と呼び、自分を神側のアダム(再臨主)と自称してきた。そして最終的には神側、サタン側の双方のアダムが戦い、金日成を打ち破らなければならないと表現してきた。そのためにはまず、「文鮮明氏」が韓国の金日成になるということであり、韓国に文王朝を建てたいと願っていることになる。これは十数年前までは、単なる宗教家の空想でありスロ一ガンに過ぎなかった。しかし、それは現在「文氏」の中で具体的野望となりつつある。そこまで「文氏」を舞い上がらせたのが、日本人会員による二千億円以上の納金であった。またそれによって買われた、学者、文化人、ジャ一ナリスト、政治家その他の人々の組織であり信用であった。
 良識あるリベラリスト、愛国者は、この実体をはっきり知って、統一教会、勝共連合を腹中の毒として排泄するべきである。彼らは平和教授アカデミ一、学際会議、科学の統一に関する国際会議、世界メディア会議、知識、世界日報など、様々な顔をもって接近してくる。この統一教会、勝共連合から、日本の良識と伝統精神、そして多くの青年男女を守りたいというのが、私たちの現在の心境である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(寄稿:近藤雄三)
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映画『アンタッチャブル』を地で行く統一教会という犯罪者集団(1) -「内部告発者を裏切り者として刺殺未遂」、脱税、国体破壊等の犯罪-

2022-11-28 | 小日向白朗学会 情報

 映画『アンタッチャブル』は、禁酒法時代のアメリカ・シカゴを舞台に、正義のためにギャングのボスであるアル・カポネを逮捕しようとするアメリカ合衆国財務省捜査官たちのチームの戦いの日々を描いた1987年公開の実録映画である。エリオット・ネスを演じるケビン・コスナーの拳銃さばきには目を見張るものがあるが、宿敵アル・カポネを演じるロバート・デニーロも演技としては大変に素晴らしく映画ファンなら忘れられない逸品だ。映画なら、もちろん、大歓迎であるが、この日本で実際にマフイア同様の事件が起きていた。
 昭和59(1984)年6月2日に、世界日報の編集局長だったの副島嘉和氏が世田谷代田駅から帰宅途中の午後8時40分頃に韓国空手の使い手に襲われ、左側頭部、左上腕部、左首筋、背中と次々にメッタ刺しに合った。警察発表による被害者の状況は「背中から左胸部に達した刺し傷は、深さ15センチ心臓を2センチ外れていたが肺が破れて血が溜まっていたため、一時は、重態に陥ったほどだった。左上腕筋は、40センチに渡って切り裂かれた。3度の手術が成功し、2日後に意識が戻った。」であった。
 副島氏は長崎大学に在学中に統一教会に入信している。昭和40(1965)年に大学を中退後は東京の教団本部や勝共連合の幹部として活動していた。昭和45(1970)年 10月21日の777組合同結婚式に参加している献身的な信者であった。昭和57(1982)年までは統一教会本部広報局長を務めていたほか局長会議のメンバーの1人でもあった。
 副島氏が行おうとしてきたのは、世界日報を教団の宣伝紙から一般紙へ脱皮させることで部数拡大につなげるという方針をたてた。そのためには、一宗派や特定の政治団体に偏らない紙面づくりをすることと、紙面を教団や政治団体の宣伝や布教には使わないこと、論調は産経新聞よりも更に反共で愛国色を強く打ち出すことで、統一教会や勝共連合を紙面から支援することであった。その他に、世界日報社内では統一教会の礼拝を禁じ、寄稿者の多様化をすすめ新聞社の雰囲気を変えることにも気を配った。
 ところが、この副島氏の世界日報の改革を文鮮明や教団は副島氏による乗っ取りと受け止めた。そして統一教会本部は常識を超えた狂信的な動きをとることになった。
 昭和58(1983)年 10月1日、統一教会は副島の編集長解任を目的に、渋谷にある世界日報本社ビルが、国際勝共連合理事長梶栗玄太郎ら約100人が占拠し社員を監禁、暴行して世界日報社員約10名に負傷を負わせるという事件が起きて警官80人が出動することになった。既にお気づきであろうが梶栗玄太郎は日韓海底トンネルで幾度か登場した、あの梶栗である。
 そして、同年10月5日に副島は辞任に追い込まれ、10月7日には、井上博明(元世界日報社営業局長)と共に統一教会を除名されることとなった。一方、副島解任後の経営陣は「社内の権力主義者が社長を解任するなど会社乗っ取りを画策したので阻止した」とその正当性を主張した。
 この事件で追放された元編集局長副島嘉和らは教団のこの措置に不満だった。そこで副島と井上博明は連名で『文藝春秋』に内部告発文文書を掲載することにした。
 そして起きたのが冒頭で紹介した副島氏刺殺未遂事件なのである。まるで映画のような話であるが、これは国会議事録に副島氏刺殺未遂事件が掲載されていることから映画の世界ではなく事実なのだ。事件を最初に取り上げたのは『第101回国会 衆議院 法務委員会 第13号 昭和59年7月4日』のことであった。

『……
111 野間友一
○野間委員 これは白昼公然というか警察官の目の前でやられた事件なので、ぜひ厳重に、早期に捜査をしていただきたいと思います。
関連して、文芸春秋の七月号に、副島という統一協会の元幹部、最高幹部の一人ですね、世界日報の前編集長でありますが、「これが「統一教会」の秘部だ」というテーマで特集がありますが、この副島嘉和という人が、たしかことしの六月二日ですか、刺傷された事件がありますね。これの事件の捜査はどうなっておるでしょうか。そして被疑事実はどうなっていますか。
112 藤原享
○藤原説明員 お尋ねの事件でございますが、今お話しのように本年六月二日午後八時過ぎ、東京都世田谷区の路上におきまして、徒歩で帰宅途中の被害者が年齢三十歳くらいでございますが、氏名不詳の男に刃物様の物で背中などに傷害を負わされたという事案でございます。
この事件につきましては、警視庁におきまして被害直後に一一〇番の届け出を受けまして事件を認知いたしまして、その後、関係者からの事情聴取、現場付近の聞き込みなど現在強力な捜査を行っておるという過程でございます。
……
115 野間友一
○野間委員 次に、統一協会の文鮮明、いわゆる教祖のアメリカでの脱税事件の裁判の結果についてでありますけれども、四月十一日のときにも私お聞きしたわけですが、外務省お越しですね。これは連邦最高裁判所で十八月の実刑、懲役ですね、それから二万五千ドルの罰金刑、これが確定しておるわけですが、その事実の確認と、今執行はどうなっておるのか、その点についてだけお答えいただきたいと思います。
……』

副島氏が瀕死の重傷を受けたおよそ一週間後の6月10日に文藝春秋7月号に副島と井上博明は連名で「これが、統一教会の秘部だ」とする論文が掲載された。
その要点は次の5点であった。
  • 文鮮明によって、世界が統一され、韓国語が世界の共通語になり、統一教会の教理は韓国中心主義というもの。
  • 統一教会の儀式では、文鮮明に拝礼するが、当時の統一教会の会長久保木が天皇陛下の身代わり役で拝礼する。
  • 1975年7月に文鮮明は日本から送金することを命じたが、その総額は9年間で二千億円余りに昇った。
  • 文鮮明への送金の責任者は、ハッピーワールド゛の古田元男社長である。
  • 霊感商法には、マニュアルが存在し、脱税の指導が行われている。
現在、国会で問題となっている(三)の献金について文鮮明は「文鮮明先生み言葉選集」320巻」で次のように述べている。
『……
ここにいる人たちは、家庭や親族を通して1億ずつ募金運動(献金活動)してください。どうですか? 借金をするなり、どのようにしてでも募金運動(献金活動)をしなさい。そうすれば良いことがあるかもしれません。
……』
 ところで(四)の霊感商法のハッピーワールド送金責任者であった古田元男は、鮮文大学から名誉博士学位(経営学博士)を受けている。稀有の詐欺師が経営学博士なのである。また、平成2年6月20日開催、衆議院 建設委員会で日韓トンネルが追及された時に明らかになった「細亜技術協力会」の中に作った「日韓トンネル委員会」の一員で、日本政府のODAに狙いを定め公金を文鮮明の思い付きに貢ごうとしていたのだ。ハッピーワールドの霊感商法の手口は「これが、統一教会の秘部だ」に出ている。
『……
 これら統一教会員の物品販売の元締めは、東京の渋谷区神南に本社をもつ、ハッピーワールドである。渋谷パルコの道をはさんで前のビルに大きな看板が出ている。同社側は外部に対し統一教会との関係を否定しているが、同社の古田元男社長は統一教会の経済担当副会長の地位にあり、アメリカの「文鮮明氏」への資金送金を一手に握っている人物である。
 現在はアメリカの元ニュ一ヨ一カ一・ホテルの伝道本部にほとんどいて、「文鮮明氏」の指示をうけながら日本から人事異動でやって幹部や教会員の職務の割り振りなど、日本人の采配に当っている。
この古田社長のハッピーワールドの下、全国を十地域に分けて、販売会社、さらに特約店、小売店という四段階の販売網が組織されている。セ一ルスに従事する統一教会員は小売店に所属するが、あくまで個人の委託セ一ルスマンとして登録してある。
  したがって、未端のセ一ルスマンが引き起したトラブルは、小売店、特約店でくいとめられ、セールス本人も取調べなどに対して決して統一教会員であることをいわないように指導されているため、本社のハッピーワールドや、統一教会の名がトラブルにからんで決して表面に出ることのないよう、体制ががっちりと固められている。
   ~脱税の手ロ~
ここで明らかにしたいのは、販売活動における脱税の手口である。そのやり方を下部セ一ルスマン、統一教会員に指導する、驚くべき資料もある。その一つは、ハッピーワールド本社経理担当の溝口志津氏が、五十五年十月、会計会議で行った発言資料である。
「ハッピーワールドの取扱商品は各々三~四つの卸売段階を経て販売されていますが、経理はこれらの卸売会社を別々に考えるのではなく、経理上完全に一つの組織であると考えて下さい。この会計処理のシステムは、いかに万物をこの世(税務署)に渡さず、天の側(ハッピーワールド)に復帰するかということに基づいています。卸売会社を数段階に分けたのは、そもそも利益分散すなわち税務対策のため考えられました……登記等による表面に出ている販社(販売会社のこと)代理店に利益を出さず(税務対策)、個人である委託セ一ルスマン(統一教会員)に最終小売値の七〇%を利益として落します。この方法では、個人の所得税問題が発生しますから、高額所得者となっている委託セ一ルスマン(会員)をピックアップしておき、ハッピ一本社の定期的な人事異動の時に優先するなり、住民票を地方に散らす等の指示に従って下さい。私達は天の知恵で税務署の目を逃れなくてはなりません。さらに委託セ一ルスマン(会員)に落した七〇%の利益はハッピ一本社に個人の必要生活費を除いて、全額返金するシステムです。各店舗は一体ですから、これは帳簿上の動きだけであって店舗間では実際の現金は動きません……もちろんセ一ルスマン以外の従業員(会員)についても、給料は実際支給する給料の三倍~五倍を計上して、差額を天への献金(裏金)とします。この裏金の運用方法の一例として、本社では兄弟達(会員)の名義でマル優の定期預金に積んでいます。なお本人には一切知らせる必要はありません」
……」
 これら一連の詐欺行為を、古田元男はどのように感じていたのかといえば『祝福家庭』103号(2021冬季号)の中で次のように述べている。
『……「八百万(やおよろず)の神を一瞬に絶対神の前に一つに整理した驚くべき女性」(2005年9月、米国アラスカ・コディアク)
  これは、古田元男さん(777双)の母・みつ子さんが真のお父様から頂いたみ言です。
 古田家で最初に伝道されたみつ子さんは、それまで龍神様を熱心に信仰していましたが、統一原理を学んで、「これこそが求めていた真理だ」と悟り、家庭連合に飛び込んだのです。
  「どんなときも常にそばにいて私を守り、正しい道を示してくれたのが、母でした。……この母がいなければ、今日の私はありません」と語る古田さんの自叙伝は、両親の生い立ち、過酷な満州引き揚げのようすから始まります。
 真の父母様の願いを受けて数々の重責を担いながらも、一貫して「真の父母様を証す伝道師」に徹して歩んできた古田さんは、1992年2月28日、真の父母様から、氏族メシヤ宣布の「日本で第1号」として認定を受けました。……」
古田は、人々から邪悪な宗教であるといわれても、信仰により行動しており極悪な詐欺行為を社会悪だとは考えていないのだ。

 統一教会は、宗教法人という仮面をかぶった犯罪者集団なのだ。宗教法人法の範囲内で統一教会に社会的な制裁を加えることは不可能である。犯罪者であり、国体の破壊者であるという観点から処罰し消滅させる以外に方法はないはずである。統一教会の犯罪を追及する鍵は「……経理上完全に一つの組織であると考えて下さい。……」と明言している点にあるのではではなかろうか。いずれにせよ資金移動を徹底的に追及することが突破口になるであろう。
 禁酒法時代のアメリカ・シカゴで巨大な勢力を誇る犯罪組織のボスがアル・カポネであった。その犯罪者を詰めたのはアメリカ合衆国財務省酒類取締局捜査官エリオット・ネスであった。ネスは、カポネの小さな脱税を糸口として追い詰めたことが逮捕のきっかけとされている。また脱税の決定的証拠となった組織の売上金明細を捜査官に提供して人物は、後年、何者かに暗殺されている。
 
 統一教会の副島氏刺殺未遂は、ギャングのやり方とそっくりなのだ。

併せて安倍晋三を中心として自民党内首脳が三分の二の議席数を確保するため犯罪者集団である統一教会を選挙運動に利用して国体の破壊として天皇を卑しめ憲法改正をおこなおうとしたことは、村上曰く「国賊」が正論なのだ。
(第一回終了)(寄稿:近藤雄三)
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「被害者救済新法」は「統一教会救済法」!!

2022-11-25 | 小日向白朗学会 情報

 2022年11月23日、「宗教2世」の山本サエコ(仮名)さんが記者会見を行い政府が進めようとしている「被害者救済新法」を「統一教会救済法」と強く批判した。その様子は2022年11月23日付け東京新聞『被害救済新法「再検討を」』は次のように伝えている。
 『世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題で政府が検討している被害者救済法案に関し、教団の信者を親に持つ「宗教2世」らが23日、東京都内で記者会見した。これまでに政府が与野党に示した法案の概要では、救済される範囲が限定的などとして「被害者の声を聞いた上で再検討を求める」と訴えた。2世は仮名で、会場とオンラインから参加した。
 山本サエコさんは、概要では、個人を「困惑」させた場合に寄付の取り消しができるとしていることを巡り、信者は使命感から献金し、実態と懸け離れていると指摘。「教団側に『これなら安全ですよ』と指南しているようで『統一教会救済法』だ」と批判した。』

 筆者も2022年11月21日に『救済新法は統一教会の暴走を止られるのか』を寄稿した。その中で「……統一教会は、法人として寄付を募っているわけではない。寄付を求めているのは「再臨のメシア」つまり「16歳の時、祈祷中にイエスが現れ、イエスから人類救済の使命を託された」文鮮明という神様が信者に寄付を募っていたからだ。……」と述べた。
 山本さんも「……(神の啓示により)信者は使命感から献金し(た)……」と献金の実態を述べている。それに併せ山本さんは、同法により統一教会が追及を受けた場合に予想される言い訳まで喝破しているのだ。
法律により追及された場合に統一教会の言い分は「献金は神様と信者であるあなたとの契約によりなされたものだ。新たにできた救済法など心配せずに、神の指示に従いなさい」というに違いないと言っているのだ。だから新法は「統一教会救済法」だ。まさに名言である。そのため本稿のタイトルに使用させてもらった。

 被害者救済新法を中心的にまとめているのが自民党茂木敏充幹事長である。その茂木が新法の基本的な方針について2022年11月20日付け日経新聞に次のように述べている。
『自民党の茂木敏充幹事長は20日、金沢市で講演し世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題の被害者救済に向けた新たな法案について発言した。「各党から意見や提案があれば、どうすれば新法に反映できるかも含めてこれから早急に検討する」と話した。
具体的な項目は言及しなかった。新法について「この国会への提出・成立を目指していきたい」と強調した。……』
 茂木の頭の中は、統一教会問題を如何に回避するかについて懸命ではあるが、如何なる法にすればよいかのアイデアもなく「各党から意見や提案があれば…反映できるかも含め……検討する」と高飛車に構えるだけで、法律に必要な社会科学の知識も欠如した人物なのである。
 明治14年に伊藤博文が憲法調査にドイツに出かけベルリン大学のルドルフ・フォン・グナイストとウィーン大学のロレンツ・フォン・シュタインの両学者から「憲法はその国の歴史・伝統・文化に立脚したものでなければならないから、いやしくも一国の憲法を制定しようというからには、まず、その国の歴史を勉強せよ」云わざるをえない。」という助言を受けた。
 まさか茂木は「私は東京大学経済学部卒業だ」と言い出しかねないが、どこの大学を卒業していようと法律を作る仕事をしているならば常識なのだ。
『人間が、神様の行動を規制する法律を作ることはできないのだ。』!!
以上(寄稿:近藤雄三)


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自民党総裁と統一教会が連携して行った選挙運動

2022-11-24 | 小日向白朗学会 情報

 今回は、統一教会の申し子、安倍晋三が行ってきた選挙運動の手法について寄稿する。はじめに統一教会が国政選挙に関与するようになった経緯から始めるが、参考にしたのはこれまで多くの『御言選集』を提供してくれた『ちゃぬの裏韓国日記』である。
 統一教会は、昭和43(1968)年に統一教会関連の「幸世物産」を通じて、空気散弾銃「B3」を大量に貯蔵し敵対勢力と武力対峙することを準備していた。このことは昭和48年の国会でも大問題となっていたが、具体的な規制を受けることはなかった。ところが昭和62(1987)年に起きた一連の朝日新聞襲撃事件以降は、方針を転換し、翌年の昭和63(1988)年になると国政を乗っ取ることを計画し具体的に動き出した。具体的には「(御言選集173巻「太平洋時代の旗手」1988年2月18日 韓国・漢南洞公館)」[1]に次のような記述がある。
 昨年(筆者注:1987年)の選挙当時、日本のお金で60億円以上使いました(※政治家への選挙資金・人員提供=賄賂)。お金を使わなければならないというのです。時が尋常ではありません。国会の局面をつかまなければならないと言って、国会に新しく出てきた人たち(※新人候補)を、私たちが...。統一教会は怖いのです。 (選挙応援の信者が)40人いれば一人当選させることができます。これらの人たち(選挙応援の信者)は、いわば訓練された精鋭部隊です。一人が何軒まで訪問をするかというと最低が300軒です。最高訪問記録が1300軒です。訓練されなければなりません。』
 ここで出てくる『昨年の選挙当時』とは、昭和62(1987)年7月6日に行われた第三八回衆議院議員総選挙と第一四回参議院議員通常選挙、そして同年10月20日に行われた中曽根康弘の任期満了にともなう自由民主党(以後は自民党)総裁選挙のことである。その時、ポスト中曽根を狙っていたのは党総務会長の安倍晋太郎、党幹事長の竹下登、大蔵大臣の宮澤喜一の三氏であった。文鮮明によれば、支援する候補者一人に40人の訓練された選挙スタッフを付けることで国会議員一名を誕生させることができるとしている。これは、それまで文鮮明が推進していた20万民兵計画を転換し、政府中枢を選挙で支配する方向に転換したものと考えられる。つまり非合法活動から合法活動に路線転換したのだ。
 この選挙の時に、統一教会は、支援する候補に送り込む秘書を教育する設備まで準備したとされている。この件に付いては有田芳生『統一教会とは何か』が詳しい。
 また同ブログは、文鮮明が国政選挙に選挙スタッフを送るという手法の詳細とその目的に付いて『愛国運動の基地 1986年10月9日 韓国・漢南洞公館』を引用して説明している([2])。
『・・・勝共連合議員だとか、統一教会を代弁する議員だとかいう看板を受けなさいというのです。今回、サインしろというのです。今回、サインしなければ、私は後押し(選挙支援・秘書支援等)しないというのです。
 ・・・そこで今回、日本の国会議員を中心としてこれ全部・・・。今回の選挙で私のおかげで当選した人が多いのです。
・・・昔はお前達(国会議員)が好き勝手に言っても私たち(統一教会)は協力しましたが、これからは私たち(統一教会)が必要な要件をしっかりやれ!(という時がきました)
そのため、三つの条件を(要求する)...。
  第1条は「私は勝共連合勝共議員になることを宣誓する」、
  第2条は「私は統一教会を絶対的に支持する」、
  第3条は「統一思想は人類を解放することができる思想であることを受け入れる」
というものです。三大条件ですよね。ここにサインしろというのです。そして選挙してすぐ140人の議員の名前を書いて、全員勝共連合が後援したと広告を出してしまったのです。このやろうたちめ、どの口でいうのか...。そんな広告などしなかったと言ってみろ、こいつらめ! ぶん殴るというのです。世界日報に全部掲載するというのです。全部発表したら自分たちは身を引くことができますか? (サインを)しないというのなら見ていろ! 反対でもしてみろ! 青い顔をして自分たちがしたサインが全て(こちらに)あるのに・・・。条件として勝共議員になると宣誓したのに、その誓約した人が今どこにいるのか? 身動きできないでしょ? 
このやろう、発表してしまうのです。それ(サインした勝共議員名簿)を世界的に利用するのです。ここにそのサインしたものを持って来ているか? うん? 勝共連合にあるか? (「はい、あります」)
私はそんなに馬鹿ではないのです。先生がすることは抜け目がないというのです。』

 つまり文鮮明は、国会議員の選挙を支援する代わりに「宣誓書」を提出させ、統一教会を裏切った場合には公表すると恫喝していたのだ。そして勝共連合が発行する「思想新聞」に文鮮明の求めに応じた自民党議員150名の名簿を公開してしまった。
 更に(「文鮮明先生み言葉選集」192巻より 1989年7月4日 韓国・一和修練院)[3]では国政選挙には秘書が重要であると力説している。
『(一番目は)国会議員との関係強化です。そのようにして国会内に(統一)教会を作るのです。国会内の教会ですよ。衆議員教会・・・。国会議員たちを120人以上束ねことのできる名簿を作成するように言っただろう? 今からそのようにして、それ(日本の国会議員)が教会の組織になるようにするのです。そこで原理を教育するだとか・・・すべてのことが可能になるのです。
二番目は、秘書です、秘書。(統一教会から)国会議員の秘書を排出するのです。
三番目は、国会内の組織体制を形成するのです。
四番目は、党の収拾と連合。
五番目、行動結束と挙国。
 それで自民党の安倍派などを中心にして、(勝共の)久保木を中心として、超党派的に、その議員を結成して、その(勝共議員の)数を徐々に増やして行かなければならないのです。わかりますか?』

 文鮮明が国政選挙に提供した秘書が如何なる人物であったのかについては『「韓国は人類の祖国」 1989年6月18日 韓国本部教会』[4]で明らかにしている。
『日本人はおまけが好きですよね? おまけが好きでしょう? (笑)今回の結婚の場合、日本人同士が結婚したのは、おまけ(添え物)の結婚なのです。
そう、最も優れた(日本の)男たち...。東大(東京大学)の卒業生が13名います。国会議員秘書長だった人が43人もいます。
韓国人は知らないでしょう。また、一心病院の医師が7人も入っています。その大半はすべて有名な大学の卒業生です。
 そのような人たちが韓国に来て、新聞配達をします。それはどれほど素晴らしいですか? 歴史にないことです。この歴史的な日をなすのは、千年万年自慢話として日本の秀的精神(ずば抜けた精神、素晴らしい精神)の功績事件として称賛すべきことです。そう思いますか?』

  恐れ行った話である。昭和64(1989)年には国会議員の秘書室長43人が合同結婚式に参加していたというのである。そして、一旦選挙となれば、統一教会員は大活躍したという[5]。
『……九〇年二月の総選挙のとき、統一教会員たちは青山にあるビルに寝泊まりしながら大塚雄司の選挙活動に従事した。その人数は前年十二月から十名ほど、九〇年一月からさらに十人ほどが加わった。その時活動した元統一教会員たちによれば、もし警察に捕まっても後援会のメンバーだと答えて統一教会員とは決して言わないこと、寝泊まりしたビルには文鮮明教祖の写真や教えを説いた本などを置かないこと。内部用語は使わないことなどを幹部から指示されたという。
  選挙活動の内容は、勝共カンパ、ポスター貼り、他陣営候補者のポスター破り、挨拶まわり、推薦はがきの宛名書き、演説会の案内状書き、支持依頼の電話かけなどだった。統一教会員たちは、この青山のビルで「神の側(文鮮明教祖の側ということ)にいる大塚雄司候補をかならず当選させるため最善を尽くそう」と何度も祈った。大塚雄司も何度かこのビルにやってきて、選挙活動をする統一教会員たちを激励したという……』
 
以上が、統一教会がいうところの選挙支援の実態であった。
ところで近年、安倍晋三を中心に統一教会を利用した選挙はどのように行っていたかを調べてみた。これに付いては、前参院議員宮島喜文の例が最もその実態を示していて、2022年8月20日付け朝日新聞「旧統一教会側の支援受けた自民・宮島氏 陣営幹部「教団の力すごい」」に記載がある。
『2016年の参院選で「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の友好団体から支援を受けた自民党の前参院議員の宮島喜文氏(71)が朝日新聞の取材に応じ、その経緯や支援の実態を語った。今夏の参院選前にかわした安倍晋三元首相とのやりとりの内容も証言した。そこから浮かぶのは、選挙を通じた自民と教団側との深い結びつきだ。
 安倍氏の銃撃事件の後、宮島氏は複数回にわたって取材に応じた。宮島氏の陣営の複数の幹部らも別に取材に応じた。
 宮島氏は、12年から日本臨床衛生検査技師会(日臨技、東京都)の会長を務め、16年の参院選比例区で初当選。改選を迎えた今夏の参院選では教団側からの支持が得られなかったことなどを理由に、すでに得ていた党の公認を辞退して立候補を取りやめた。
 16年参院選への立候補は、伊達忠一・元参院議長(83)から「選挙の1年ほど前に打診を受けた」ことがきっかけだった。伊達氏は臨床検査技師出身で、当時の役職は参院幹事長。派閥は清和会(現安倍派)に所属していた。
 宮島氏の陣営は当時、日臨技の政治団体とほかの関連団体などで、計10万票を得たいと思っていた。自民が比例で18議席を得た13年の参院選では、自民の比例候補の当選ラインは7万7千票、12議席だった10年は10万8千票だった。この10年参院選では、12番目に滑り込んだのが臨床検査技師出身の候補だった。
 「正直、当選できる自信はなかった」。宮島氏はそう振り返る。当選を確かなものにするために、さらなる上積みが必要だった。そこで加わったのが、教団側からの支援だったという。
 宮島氏は公示の直前に伊達氏から「党の支援団体の票をもらってきたと言われた」。団体名は「世界平和連合」と聞いた。陣営幹部から旧統一教会と関係があると教えられ、戸惑ったという。平和連合は教団の友好団体。陣営幹部は宮島氏に「上がつけてくれた団体ですから、もうあとには引けません」と進言した。
 宮島氏は伊達氏の指示で都内の関連施設で平和連合幹部にあいさつしたという。宮島氏らは「教団側の支援が公になると危うい」と考え、「一部の陣営幹部のみが知るトップシークレット」と位置づけた。宮島氏は陣営幹部から「外でおおっぴらに言っちゃいけません」と忠告された。
陣営幹部「教団票は6万~7万票あったと思う」……』

 自民党総裁であり内閣総理大臣である安倍晋三は、憲法改正に必要な三分の二の国会議員を獲得するために「自民党県連」と「日韓トンネル推進県民会議」を組み合わせた選挙運動を編み出した。
支援する候補者の条件は、自民党公認候補であっても当選後は、安倍派も若しくは麻生派に属して憲法改正に積極的に活動を約束したものを選ぶことにした。その斡旋をしたのが地方組織の幹部なのである。次の踏み絵が、候補者が当選後に食い逃げしないように文鮮明が編み出した「誓約書」での提出である。当初は「誓約書」としていたが、それではあまりにも語調が強いため「推薦確認書」に変更したと考えられる。
また「推薦確認書」を「政策協定」を読み替えるマスコミがいるが、これは間違いである。「推薦確認書」を提出する議員は、憲法改正に必要な人数を揃えるための数合わせであるとともに、政策は既に自民党と統一教会で策定済みであって独自の協定を結ぶことなどはありえない。候補者にも若干の自尊心が残っていた表れであろうか。
くどい様であるが統一教会から選挙運動の支援を受けた議員は、必ず「誓約書」若しくは「推薦確認書」を提出している。「なんとなく」とか「いわれるがまま書いた」ということはあり得ない。
以上(寄稿:近藤雄三)
P.S.
令和元年7月21日に行われた参議院選挙で河井克行と河井案里は公職選挙法違反で逮捕されている。この事件を思い出すに、安倍晋三が統一教会の運動員を全国規模で動員して行った選挙が適法であったのか疑わしいと思うのは筆者だけであろうか。ちかいうちに、安倍晋三の公職選挙法違反を追及してみたいとおもう。
[1] 『朝日新聞襲撃事件(1987年)と同時期に文教祖は朝日新聞を攻撃するように幹部に指示していた』https://ameblo.jp/chanu1/entry-12195140161.html
([2]) 「文教祖が日本の国会議員に統一教会信者の秘書を送り込んだ理由」『ちゃぬの裏韓国日記』https://ameblo.jp/chanu1/entry-12050744081.html(2022年9月04日閲覧)。
[3] 『文教祖が日本の国会議員に統一教会信者の秘書を送り込んだ理由』
https://ameblo.jp/chanu1/entry-12050744081.html
[4] 『文教祖が日本の国会議員に統一教会信者の秘書を送り込んだ理由』
https://ameblo.jp/chanu1/entry-12050744081.html
[5] 有田芳生『統一教会とは何か』97頁。

 

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石川や 浜の真砂は 尽きるとも 世に盗人の 種は尽きまじ~~世に暗殺の 種は尽きまじ

2022-11-24 | 小日向白朗学会 情報
 石川五右衛門さんの辞世の句だそうだ。残念ながら真実なのだろうと思う。時の流れは人の心を善の道へと導いてくれる、などというのは幻想なのだろう。
 1909年明治42年10月26日に伊藤博文公が暗殺された。安重根さんが犯人とされたが、今の常識では別の真犯人某が致命傷となった弾丸を撃ち込んだとされている。ただ「某」が特定されてはいない。1932年昭和7年5月15日、世にいう515事件だが、犬養毅が暗殺されたが、暗殺犯は死刑になっていないという。1963年昭和38年11月22日、そう59年前の今頃、ジョンエフケネディが暗殺された。JFKのソ連との共存方針、政府による通貨発行権の奪還、CIA解体計画などがある方々から嫌われてしまい、当たり前のように消されてしまった。そういえば、その1年前1962年10月キューバ危機を一発の爆弾も撃ち込まずに収拾したことも嫌われた理由の一つだろう。ある方々は「さーっ核戦争だ!!!」と意気込んでいたのだから。
 暗殺未遂っていうのもある。昭和59年6月2日副島嘉和さん(世界日報の元編集長)という方が襲われた。心臓のすぐそばにまで刃先が届いていたというから相当な殺意だったのではないだろうか。でも、生き残り命を懸けて言いたいことをアピールしていたようだがわが国の主要マスコミは沈黙していたようである。
 私が思うのに、暗殺される本人も暗殺される瞬間まで自分が殺されるというような切羽詰まった危機感を感じてはいないのではないかということだ。さらに、暗殺する側においても、「人を殺す」などというつまり「殺人」など私が冒すわけがない、という≪良識≫の持ち主だったりするように思う。要は暗殺は現実として実行されるのだけれども、それを実行する人間も殺される人間にとっても「暗殺」はフィクションなのだ。
 ただこんな話も聞く。小日向白朗が戦後キッシンジャーらとのやり取りの中でくっきりとその姿を浮上させてきていた亡国奴たち、いわゆる台湾ロビー等々政界の大物や右翼の大物・暴力団の大物etc・・・・だが、彼らのうちに自らの命を狙う眼差しを感じていたようである。当時ぴったりと白朗に侍従していた腹心のT氏に「(危ないから) 当分私に近づくな」と言っていたそうである。そうした危機意識が功を奏したのか白朗は暗殺されることはなかった。
 「物語」としての暗殺が何度も何度も繰り返される。確実に命が遮断抹殺されているのだけれどその重みを感じる人は意外と少ない。この辺で暗殺のメロディーを止めたいものである。(文責:吉田)
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統一教会関連パンフレットが売出された

2022-11-22 | 小日向白朗学会 情報

 昨日(2022.11.20)確認したことであるが、商品販売サイトに統一教会関連パンフレットが販売された([1])。別段購入したいわけではないが、パンフレットの中身が「日韓トンネル」関係であることから非常に興味を引いたので寄稿しておく。同サイトによれば商品構成は次のように書かれている。
『 商品構成
日韓トンネル推進鳥取県民会議 結成1周年大会パンフレット(約15ページ)
日韓トンネル推進鳥取県民会議結成2周年大会パンフレット(12ページ)
日韓トンネル推進山陰大会パンフレット(8ページ)
小冊子「日韓トンネル」をつくろう(15ページ)
献金用封筒、関連資料A4版 10枚程度
有名な有識者のゲストが講演していますが本人の名誉のため写真では黒塗りに加工しています。
複数の自民党議員の名前があります。
日韓トンネルと安倍晋三首相の発言も冊子にあります。
 資料にシミと折れがあります。……』
とある。
そして価格であるが「販売価格10,500円⇒6,300円」と4000円の値引きしている。二度と使用することのない大量のパンフレットが売りに出されたという設定であろう。
パンフレットが作成された経緯は、2011年3月に6日に上村忠史(鳥取県議会議員)を議長として「日韓トンネル推進鳥取県民会議結成大会」が開かれてから一周年と二周年を記念した大会用のものである。
その中に「日韓トンネル・プロジェクトの沿革」が写り込んだ一枚の写真がある。冒頭に「……1981年11月 第10回「科学の統一に関する国際会議」(ICUS)で文鮮明総裁、国際ハイウエー構想を提案(韓国ソウル)」……」とはっきりと、日韓トンネル構想の端緒が文鮮明であることを読み取ることができる。
これまで「日韓トンネル推進全国会議」の関係者は、統一教会との関係を問われると「知らなかった」「うかつであった」と逃げ回るのが常であった。しかしこのパンフレットをみれば、そのような逃げ口上は通用しない。

このサイトにパンフレットを販売した人に「Good job!」と云いたいところである。

([1]) https://practice.absencecop.shop/index.php?main_page=product_info&products_id=26664

  (寄稿:近藤雄三)

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被害者救済新法は統一教会の暴走を止られるのか

2022-11-21 | 小日向白朗学会 情報

 2022年11月18日、産経新聞に「政府が示した被害者救済新法の概要」の記事が掲載された。幾多の新聞も同様に政府は「被害者救済新法」の概要を示したことについての報道はあるものの、その内容に付いては情報がない。そのため産経新聞を利用することにした。

 政府が18日、与野党6党の幹事長・書記局長に示した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を巡る被害者救済新法の概要は次の通り。
対象
・個人から法人(※1)に対する寄付(※2)を対象にする
  ※1 代表者や管理人の定めがある法人でない社団又は財団を含む
  ※2 契約だけでなく、単独行為として行う債務の免除や遺贈を含む
寄付に関する規制
【1】寄付の勧誘に関する一定の行為の禁止
  ・法人が寄付の勧誘をする際に、一定の行為(※3)をして個人を困惑させてはならないこととする。
   ※3 消費者契約法第4条第3項に規定する次の行為
  ・不退去(退去を求めたのに退去しない)
  ・退去妨害(退去したいのに退去させない)
  ・勧誘することを告げずに退去困難な場所へ同行
  ・威迫する言動を交え相談の連絡を妨害
  ・好意に乗じ関係の破綻を告知
  ・霊感等による知見を用いた告知(※4)
  ※4 霊感等による知見として、本人や親族の重要事項について、現在又は将来の重大な不利益を回避できないとの不安をあおり、又は不安を抱いていることに乗じて、当該不利益を回避するためには寄付をすることが必要不可欠であることを告げること
【2】借入れ等による資金調達の要求の禁止
・法人が寄付の勧誘をする際に、個人に対し、借入れや、個人等が居住する建物等の処分により寄付資金の調達を要求してはならないこととする
【3】寄付の取消し
・個人は、法人が【1】の禁止行為をしたことにより困惑して寄付の意思表示をしたときは、その意思表示を取り消すことができる
・取消権の行使期間は追認できるときから1年、意思表示をしたときから5年(※5)
  ※5 霊感等による知見を用いた告知の場合は、それぞれ3年、10年
【4】子や配偶者に生じた被害の救済を可能とするための特例
・寄付をした個人の家族は、民法の債権者代位権の特例(※6)として、扶養義務等に係る定期金債権(※7)のうち期限が到来していない部分を保全するために、【3】の取消権を行使できることとする(※8)
  ※6 民法の債権者代位権は、期限が到来している債権を保存する場合でなければ行使することができない
  ※7 夫婦間の協力義務、婚姻費用、養育費、子の扶養を受ける権利に係る定期金債権(一定額の金銭などを定期的に給付させることを目的とする債権)
  ※8 取消権行使により寄付の返還を実現した場合、定期金債権のうち期限が到来していない部分に相当する金額は供託させる
【5】不当な勧誘により寄付をした者に対する支援
・国は、日本司法支援センター(法テラス)と関係機関が連携した相談体制を整備するなど、不当な勧誘により寄付した者の支援に努める
【6】勧告等の措置
・首相(※9)は、特別に必要があるときは、法人に対し、寄付の募集に関する業務の状況に関し、報告を求めることができることとする
・首相は、【1】や【2】の禁止行為を行い、引き続き行うおそれが著しい法人に対して、禁止行為の停止を勧告し、勧告に応じなかった場合には措置を命令することとする
  ※9【6】の首相の権限は、消費者庁長官に委任する
【7】罰則
・【6】の措置命令違反などに刑事罰を適用する
【8】その他
・法人が寄付の勧誘をする際には、寄付された財産の使途について誤認されないようにする等の配慮をしなければならないこととする
広告
・この仕組みの運用にあたっては、法人の活動において寄付が果たす役割の重要性に留意する

 政府が示した法律案で注目すべき点は、法律制定の目的部位分である【1】である。それに「法人が寄付の勧誘をする際に……」とある。法人とは宗教法人である。つまり、宗教法人が寄付を募るときの条件を定めたのが新法の目的ということになる。
 この一文からいえることは、この新法では問題となっている統一教会の行動を制限することは100%できない。統一教会は、法人として寄付を募っているわけではない。寄付を求めているのは「再臨のメシア」つまり「16歳の時、祈祷中にイエスが現れ、イエスから人類救済の使命を託された」文鮮明という神様が信者に寄付を募っていたからだ。規制の対象は宗教法人であって神様ではない。文鮮明が神として寄付を募っていた様子は「ちゃぬの裏韓国日記」([i])に詳しい。その中で文鮮明が献金を求める様子について「公的統治の法度 1970年6月4日韓国前本部教会」の一部を引用している。

 『キリスト教の十一条を見ると、そこには実に怖い内容があることを知るようになります。十一条を出さなければならないという聖書の一節もあります。十の中から一つを神様に捧げなさいということです。「神様に見えるのか。十一条とは何か」と言う人もいるでしょうが、十一条は、一つだけ行って十まで行くということです。
  これと同様に、十一条は私が所有している物質の中から十分の一を神様に捧げることによって、全体を捧げるという意味をもっているのです。父に全体は捧げないけれども、その中の一つを精誠を込めて捧げるということは、そのような意味で価値があるのです。そのように一つを捧げることによって、残りの九も聖なる物として取り扱われるようになるのです。このように十一条を捧げて生きる人は滅びることがないのです。日がたてばたつほど彼の倉庫が増えるようになっているのです。』

 文鮮明の献金に対する執着は相当なもので、最初は収入の10%([ii])であったものが、時代と共にその金額が増大し30%([iii])に、さらには70%([iv])セントとなり、ついには100%([v])にまで増大していったというのである。統一教会の神様は、通常の人には理解できないほど実に強欲なのである。
 そして此の寄付の本質は、神様の御言葉による宗教行事なのである。また宗教法人統一教会と文鮮明という神様の関係であるが、教団(同じ教義を信じる人たちによって組織された宗教団体)と神様の関係であって、文鮮明という神様が、宗教法人という人格を持っているわけではない。したがって今後の統一教会は、宗教法人としては解散になるであろうが、その宗教活動を止めることはない。むしろ宗教法人が取り消しになった場合の方が、宗教活動としての献金は、何ら規制を受けるものもなくなって、かえって上手くいくことになる。
もしも、この法律が成立した場合に、他の宗教法人に及ぼす影響もある程度予測がつく。この法律ができて苦しむのは、統一教会ではない。強い影響を受けるのは、統一教会のように過激な物販による資金源を持たない「創価学会」や「幸福の科学」なのだ。おりしも『週刊新潮』2022年11月24日号には創価学会のお布施のことが出たばかりである。
 そして、これももしもであるが、政府の新法に賛成する国会議員がいたとするなら、それは無教養な議員か、さもなければ統一教会を支援する議員のいずれかである。そもそも律法は神が民衆に与えたものであって、人間が作った法律で神様の行動を律するなど、前代未聞、いや、人類史初の快挙なのだ。これは皮肉であるが、このように表現する以外に方法がないほど駄法螺な法律案である。
 日本の官僚機構は、安倍晋三の後始末のため「黒塗りの弁明書」を作り続けたことで、まともな法律を作ることができないほどに弱体化してしまった。この点について、村上誠一郎が安倍晋三の国葬について本年9月20日に「財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊した。国賊だ。国葬には出ない」と発言したことがいかに正論であったのかは「被害者救済新法案」が如実に示しているといえよう。

 これからは、とくと、新法に賛成する議員の表情や行動を観察することをお薦めする次第である
以上(寄稿:近藤雄三)

([i]) https://ameblo.jp/chanu1/entry-10839787409.html

([ii]) (至誠感天・家和万事成 第三節 献金生活の生命化1972年10月22日)。

([iii]) (1996年3月10日 中和新聞・み言葉に学ぶ天一国生活(第19回)。

([iv]) (統一式のみ言葉1976年1月31日ソウル本部教会)。

([v]) (宗族的メシヤP272 1988年6月15日他 イーストガーデン他)

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萩生田光一政調会長の動向からみた統一教会問題と憲法改正

2022-11-18 | 小日向白朗学会 情報
 今年九月から統一教会に関する堅苦しい話が続いてきたので、今回は、統一教会に関心があれば興味をそそる話を寄稿してみる。最初は、統一教会系自民党役員萩生田光一政調会長から取上げる。政調会長とは「政務調査会長」の略で、その役割は「自民党として如何なる政策を打ち出すか」を取りまとめる責任者である。すなわち自民党のこれからの動きがある程度予測できることになる。
 筆者は2022年10月03日に「統一教会と萩生田光一政調会長」を寄稿した。その時に萩生田は「旧統一教会への解散命令は困難」であると述べていた。自民党と協力関係にある公明党が、統一教会問題が国会で追及される過程で「政教分離」問題にまで発展しないよう「信仰の自由」という枠の中で論議するように躍起となっていた。これが令和4年10月3日に召集の第210回国会の運営方針であった。しかし、自民党内に統一教会から多くの選挙支援を受ける際に提出した「推薦確認書」問題や山際大臣辞任などがあったことから、旧統一教会被害者救済法や、統一教会に対して解散を視野に入れた「質問権行使」にと進んだことで、最も恐れた「政教分離」問題までには行きつくことなく前半戦を終了した。この状況は、羽生田の政調会長としての手腕が秀でたことによるわけではない。野党の中に統一教会や幸福実現党と手を結ぶ隠れ会員が潜んでいることから、論議が本質問題に発展しないように動いていることが幸いしたに過ぎない。
 そんな萩生田が、同年11月13日、後半国会の方針をぶち上げた。それが東京新聞「地方での改憲議論を要請」である。

自民党の萩生田光一政調会長は13日、地方組織の政策責任者を集めた会議を党本部で開き、憲法改正に向けて「都道府県連でも地方議員と連携しながら細かく議論を進めてほしい」と要請した。海外進出した製造業について、円安を機に国内回帰を促すため、地域でニーズを掘り起こすよう求めた。
 改憲を巡っては、岸田文雄首相(党総裁)が今年3月の全国幹事長会議で「地方において国民的な議論を盛り上げていくことが必要だ」と協力を求めた経緯がある。
 出席者からは、物価・エネルギー高騰対策や、防災力を強化する国土強靱化のさらなる推進が必要との意見が出た。

 この記事の不思議なところは、統一教会が問題となる前の本年3月に全国幹事長会議で改憲論議を盛り上げるように指示していたことを受けて、統一教会が問題となっている今になって(11月13日)論議を活発化させるように指示していることである。
自民党の改憲理由は「GHQの押し付け憲法はNOだが、統一教会案はYESだ」という恐ろしく無謀な論理で進めようとしている。この自民党改憲案は、統一教会の要請で進められてきたことが明らかになっているうえ、近年の国政選挙は憲法改正に必要な三分の二を確保するため統一教会の選挙支援を最大限に利用して行われたことが判っている。選挙支援を行う際の手口は、自民党公認候補であっても統一教会に「誓約書」いわゆる「推薦確認書」を提出させて身動きが取れないようにすることであった。これで自民党内部にいる反安倍派や改憲反対勢力を一掃する狙いがあった。この差配の中心にいたのが統一教会の申し子であって、自民党を私物化していた安倍晋三なのである。これらは本年7月に行われた参議院選挙までは実にうまく機能していた。
 その後の政局は、統一教会を解散させる方向で動くことになった。そのような中で、萩生田光一政調会長は「地方において国民的な議論を盛り上げていくことが必要だ」と云い始めたのだ。つまり萩生田は、これもまた統一教会が地方議会を抑えるために準備した「日韓トンネル推進全国会議」を中心にして改憲運動を盛り上げようと考えているのだ。しかし、各地区の中心人物は、地方議会の議長などであることから、いま、下手に改憲を口にして動き出すと「推薦確認書」問題を追及され統一教会系の議員であることを自ら名乗り出ることに等しい。挙句の果ては、自らの政治生命する失う恐れすらあるのだ。そこまでの危険を冒して各県幹事長が改憲に動き出すかといえば、懐疑的な見方をするしかない。おそらく、政界中央の統一教会問題が地方議会に拡散するだけなのである。もしも、内閣支持率の低い岸田総理大臣が解散総選挙に打って出ても、地方組織は壊滅状態で、とても2022年参議院選挙のように統一教会を積極的に使った選挙運動を展開することはきない。ましてや、岸田総理大臣は、既に統一教会との関係を解消すると宣言している以上は、さらに、統一教会の支援を得ることはありえない。そのくらいの情勢分析ができているからこそ岸田総理大臣は、口が滑っても解散を言い出せないのだ。それなのに、なぜ、萩生田が、改憲論議を口にしたかである。
 恐らく、平成29(2017)年10月22日に実施した衆議院選挙と同じような、姑息な手口でこの危機的な状況を脱しようとしているのだ。平成29年の衆議院選挙とは、森友学園問題及び加計学園問題で窮地に陥った安倍晋三を助けたるため、小池百合子が希望の党を設立することで野党を分断して安倍晋三の窮地を救うことであった。新興宗教の全面支援のもとで「緑のたぬき」と揶揄される小池百合子が八面六臂の大活躍で、当時の最大野党民進党を分裂させてしまった。その時の影響は、未だに尾を引いて、与党に対峙する野党という存在がなくなり大政翼賛会の様相を呈している。
それでは萩生田は、2022年11月に如何なる方法で、末期的な状態の自民党を救おうとしているのか。参考になる記事がある。
2021年11月12日付け、読売オンラインに「自民、憲法改正に積極的な維新に接近」が掲載された。

 自民党が、衆院選で躍進した日本維新の会に接近している。憲法改正や防衛力強化に積極的な維新との連携で議論の前進を図るためだ。同様に国民民主党との連携も模索する。自民の改憲案の実現や防衛力強化に消極的な公明党をけん制する思惑もある。
国民民主との連携も模索
 自民党の茂木幹事長は9日夜、維新の馬場幹事長と東京都内の中国料理店で会食した。茂木氏は「国民投票法を何としても一度は国民の手に委ねたい。国民に憲法を触らせたい」と述べ、改憲の国会発議と国民投票実施に意欲を見せた。馬場氏は「(国会で)憲法審査会をしっかり動かしてほしい」と要請した。
 会合は、自民側が持ちかけた。両党の国会対策委員長らも同席し、国会で連携して改憲議論を進める方針を確認した。
 衆参両院の憲法審査会では、野党第一党の立憲民主党などが開催を拒み、今年1~6月の通常国会では、衆院で4回、参院で6回の開催にとどまった。状況打開のため、自民は国民にも触手を伸ばす。自民党憲法改正推進本部の衛藤征士郎本部長は8日、国民の玉木代表に電話し、改憲論議で協力を要請。玉木氏は「憲法の議論は、どんどん進めなければいけない」と応じた。
 自民内には「維新、国民を巻き込めば、与党だけで議論を進めていると批判されずに済む。今が改憲のチャンスだ」(幹部)との見方が広がる。与党に維新、国民を加えると、衆参両院で改憲の国会発議に必要な3分の2以上に達する。
 維新と国民は衆院で計52議席を持ち、公明の32議席を上回る。自民党幹部は、「維新、国民と話をまとめれば公明は改憲の議論に乗らざるを得ない」と皮算用をする。維新は「野党として是々非々で付き合っていく」(松井代表)としながら、改憲論議ではむしろ加速に向けて自民に圧力をかける構えだ。

 この記事にあるように、自民党と国民民主党そして維新の会は、既に、改憲に関して合意が成り立っているのだ。そして統一教会問題で窮地に立っている自民党は、統一教会に対する「質問権」を行使する前に「被害者救済法案」を成立させ、自民党内で脱統一教会が進んでいという体裁を取り繕いながら、同法案の成立とともに憲法問題に論点を切り替えることで、これ以上、統一教会に関係する不都合な事実が出ないようにすることを狙ったのだ。とくに文鮮明の「御言選集」が流出したことで安倍晋三、中曽根康弘など歴代自民党総裁のスキャンダルが続々と出て来る可能性が高いだけに、一刻の猶予も許されない。その結果として、萩生田は、今次国会の議会運営を憲法改正問題に切り替えて、統一教会問題で結束している野党を分断して事態の収拾を図ることを決意したのだ。それが本年11月13日の萩生田政調会長の発言の真意なのだ。
国会運営の力点を統一教会から憲法改正に切り替えるとどのような効果がうまれるかといえば、本年9月21日に立憲民主党と維新の会が統一教会問題で合意した国会内での共闘を終了させることができる。この共闘が終了したところで、維新の会と国民民主党が改憲問題で共闘することで、一枚岩ではない野党第一党立憲民主党も分断できる。つまり、萩生田の打った一石は、二鳥にも三鳥にもなる絶妙の野党分断作戦なのだ。加えて、改憲に慎重な公明党にとって最大のアキレス腱「政教分離」問題まで踏み込まれるよりは改憲に同意することで延命をはかることは願ってもない妙案なのだ。
つまり荻生田なかなかの策士なのである。
以上(寄稿:近藤雄三)
P.S.
実は、上記の寄稿日を一日伸ばしたところ、面白いニュースが配信されたので追記する。
2022年11月17日付け産経新聞「維新が改憲論議リード 立民を牽制、共産を攻撃、自民を叱咤」という記事である。

日本維新の会が今国会で改憲論議の「旗振り役」を務めている。憲法改正に慎重な立憲民主党に協力を呼びかける一方、改憲を「党是」と位置付ける自民党には主導権を発揮するべきだと発破をかける。自民と立民がともに党運営で弱みを抱える中、「第三極」の強みをいかし、来春の統一地方選や次期衆院選に向けて存在感を示す狙いもありそうだ。 「緊急事態条項の議論がかなり煮詰まってきている。憲法改正は必ずホットな話題になる」。維新の馬場伸幸代表は17日の衆院憲法審終了後の党会合で、改憲論議の進展に強い意欲を示した。
維新の存在感は先の通常国会に比べて高まっている。立民が憲法審をめぐり本格的な日程闘争を避けている理由の一つに、維新との政策実現を目的とした共闘関係を壊さないための配慮があるのは明らかだ。
一方、維新はそんな野党第一党の足元を見ている。支持層に護憲派も抱える立民は17日の憲法審で、改憲手続きに関する国民投票法改正の議論などを優先すべきだと主張した。維新幹部は「論点を拡散し、改憲テーマを絞り込ませないようにする魂胆が見え見えだ。しかし、改憲勢力のスクラムが崩れることはない。立民が背を向けるなら『さよなら』だ」と牽制(けんせい)する。
憲法審の開催にすら反対する共産党には容赦がない。馬場氏は先月27日の憲法審で、「維新が『憲法9条改憲の突撃隊』となっていることは明らか」とツイッターで発信した共産党の志位和夫委員長に反論。「SNS(交流サイト)といった土俵外でモノ申すのは止め、この場で堂々と意見表明されたらいかがか」と〝宣戦布告〟した。 維新の矛先は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を受け、憲法改正を訴える余裕がなくなったと指摘される自民にも向かう。馬場氏は先月27日の憲法審で、改憲実現への自民の奮起を促す一方、「それでも進まないなら維新が突撃隊となって改憲論議を引っ張っていく覚悟だ」と訴えた。 自民関係者は「うちが『結論を出そう』と呼びかけたら立民は蛸壺に入ってしまう。自民が受け身で対応できるよう、維新にはもっと声を出してほしい」と期待する。

是でお判りであろう。萩生田光一政調会長の号令で、維新の会、国民民主は統一教会問題で機能不全に陥っている自民党政権を救済するため、敢えて、この時期に憲法改正問題を持ちだしたのだ。今回の野党分断工作の中心となる維新の会と国民民主にも多くの統一教会関係者がいて、統一教会問題が自党に飛び火する前にもみ消す絶好の機会であると判断して「ユダ」役を演じることにしたのだ。そして、うまくいけば憧れの自民党公認が待ち受けている。




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