小日向白朗学会 HP準備室BLOG

小日向白朗氏の功績が、未だ歴史上隠されている”真の事実”を広く知ってもらう為の小日向白朗学会公式HP開設準備室 情報など

小日向白朗って、「狼の星座」のモデルなんですよ…

2023-10-31 | 小日向白朗学会 情報
 横山光輝さんがこう書かれています。「昔多くの日本人が満州へ渡り、馬賊となりました。中でも伊達準之助、小日向白朗は代表的な馬賊でしょう。‥‥」そして、実際に白朗に会って波乱万丈の青春時代のお話を聞いたとおっしゃっています。
 そして、戦後を迎えた白朗は眈黙洞で静かに過ごしながらおかしな方向へと曲がっていく日本の、そしてアジアの姿を見つめ続けていたのです。そんな時にベトナムという名の底なし沼に足を取られていた米国キッシンジャー氏とNSCを通じて接触、ともにアジアの平和に向けた動きを具体化させていったのです。
(NSCを通じて白朗に届いたキッシンジャーからの招待状)(文責:吉田)

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乳(石油)と蜜(天然ガス)の流れる約束の地“カナン”の行方は~~ヤハウェの神は何をたくらむか

2023-10-31 | 小日向白朗学会 情報
 旧約聖書の出エジプト記(岩波文庫・関根正雄訳)の四七 神の現在~第33章にはこう書かれている。
 『ヤハウェがモーゼに語られた。「さあ、ここから君も君がエジプトの地から導き上った民もわたしがアブラハム、イサク、ヤコブに君の子孫にそれを与えると誓った地へと上れ、わたしは君の前に一人の使いを遣わし、カナン人、アモリ人、ヘテ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人を追い払う。乳と蜜の流れる地へと。というのはわたしは君の間にあって上らない。君は項強き民だから、わたしが途中で君を滅ぼすことのないためである。・・・・・・・』
 続けて四八再度の契約~第34章には、『・・・・・・今日わたしが君に命ずることを守りなさい。見よ、わたしは君の前からアモリ人、カナン人、ヘテ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人を追い払う。君がそこに入ろうとしているその土地の住民と契約を結ばぬように気をつけよ。それが君の間でわなとならないためである。かえって君たちは彼らの祭壇をこぼち、その石柱を砕き、そのアシュラの像をこわさなければならない。何故なら君は他の神を拝してはならないからだ。ヤハウェはその名を妬みと呼び、彼は妬みの神なのだから。君がその地の住民と契約を結ぶことのないように───────・・・・・・・』
 約束の地カナンへと導かれるイスラエルの民・神の子たち、乳と蜜の流れる地へと。今、その地は石油とガス(天然ガス)が流れる地へと変貌しているのか。いや、そうではないような気がしている。そもそもモーゼの時代から、もともと彼の約束の地には民の生き死にを左右するエネルギーが充満していたのではないだろうか。神はすべてを見通しているはずであるから。これを独り占めにせよ、そして、決して他の神と契約などしてはならない。・・・と。(文責:吉田)
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「5%賃上げと10%の消費税廃止」どちらが得か指算もできない芳野友子連合会長 ―連合は国民と労働者の敵である―

2023-10-31 | 小日向白朗学会 情報
     これまで、幾度となく連合(日本労働組合総連合会)は売国政党自由民主党の補完組織であることを述べてきた。

 それを裏付ける記事が、2023年10月19日に日本経済新聞から『賃上げ二極化、持続力に試練 連合「5%以上」要求』として配信された。
『……
連合は19日、2024年の春季労使交渉で「5%以上」の賃上げを要求すると発表した。23年は30年ぶりに大幅な賃上げが実現したものの、企業規模や業種間での上げ幅の差も目立つ。物価高により実質賃金の目減りが続くなか、24年以降も高水準の賃上げが続くかが景気の行方を左右する。
芳野友子会長は19日の記者会見で「すべての働く人の生活を持続的に向上させ、23年を上回る賃上げを目指す」と力説した。今後連合の要求をもとに、24年春に向けて各社の労使協議が始まる。
新たな要求目標は23年の5%「程度」から「以上」に表現を強めた。5%の数字自体は変えなかった。連合内部では目標の引き上げと維持に意見が分かれ、最終的に表現を強める形でまとめた。
連合は23年に賃上げ要求を4%から5%に引き上げ、結果は平均3.58%と30年ぶりの水準になった。ただ定期昇給を除いたベースアップ部分は、定昇とベアを明確に区別できる3186組合で2.12%。3%以上で推移する消費者物価の伸びには届いていない。実質賃金のマイナスが続き、十分な賃上げの実感にはつながっていない。
 賃上げ率は企業規模や業種によって異なる。23年の春季交渉では従業員1000人以上で平均3.69%だった一方、100人未満では2.94%にとどまった。差は0.75ポイントで22年(0.23ポイント)より広がった。業種間でも製造業が3.92%なのに対し、交通運輸は2.50%と差が大きい。両者の差は22年の0.23ポイントから大きく広がった。
連合は「中小の賃上げ率が相対的に低位だ。価格転嫁が遅れ収益を圧迫している」と中小企業の賃上げが特に重要だと強調する。企業数で99%を占める中小企業の賃上げ動向は経済の先行きに直結する。
ただ24年の春季交渉で高水準の賃上げが実現するかはまだ見通せない。日本商工会議所の小林健会頭は19日の記者会見で「5%以上という目標は少なくとも中小企業では、なかなか難しいのではないかというのが実感だ」とクギをさした。
日銀の植田和男総裁は、大規模な金融緩和の変更を判断する上で「賃金上昇率の動きを重要な(指標の)一つとして注視している」と指摘する。賃上げ動向は日銀の金融政策にも影響する。
日本の賃上げは海外に比べて遅れている。フランスでは23年第2四半期に実質賃金がプラスに転じ、賃上げ率が5.1%に達した。人材の海外流出を防ぐためにも、中小企業まで広く実感の持てる賃上げの実現が欠かせない。
……』
 連合は「すべての働く人の生活を持続的に向上」させるため「2024年の春季労使交渉で「5%以上」の賃上げを要求する」と宣言したのだ。
勇ましい限りだ。
 ところが「企業数で99%を占める中小企業の賃上げ」は「相対的に低位だ」と5%賃上げが難しいことを認めている。つまり連合は全企業数の1%の企業は賃上げを目指すものの、残りの99%の企業に付いて賃上げは難しいと言っているのだ。
 連合は「すべての働く人の生活を持続的に向上させ、23年を上回る賃上げを目指す」はずではなかったのか。それならば「すべての働く人」に、賃上げと同等以上の効果をもたらす消費税を廃止する、もしくは、下げること以外に選択肢はないではないか。
 現在の消費税の内、四分の一は輸出企業へ還付金として支払われていることは、既に常識となりつつある。それにも拘らず、消費税減税を拒み続けるさまは、経団連の回し者と云われても仕方がない。
日本政府は防衛費と云う既得権益を極限まで拡大するため、それまでの福祉政策をぎりぎりまでそぎ落とし、さらには、消費税を19%まで拡大することで賄おうとしていることに、喜々として付き従う連合は「さもしい」の一言である。
芳野会長!「国民はイデオロギーでは腹はふくれない」
連合がやるべき仕事は、過酷な増税で国民を苦しめながら、遮二無二、軍拡を進める売国政党自由民主党を打倒すること以外に無いではないか。
何時まで国民民主党と共に野党分断工作を続けるのか。
特に国民民主党代表選挙に出馬した前原誠司氏が絶賛していた「防衛三文書」は、論理的に成り立たないだけではなく、国民を苦しめる増税の根拠となったものである。
 日本の労働者及び一般市民は、このような、おバカ政策は決して容認しない。
 連合は国民と労働者の敵である。
以上(寄稿:近藤雄三)

「輸出大企業の還付金上位20社」(湖東京至氏作成)から引用。

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再度云う。中国が日本産水産物を輸入禁止にするのは、日本が中国を仮想敵国にしたから!

2023-10-30 | 小日向白朗学会 情報
   2023年10月30日、KSB5CHは『中国大使館「経済的威圧はG7の特許」 日本産水産物の輸入停止撤廃求める声明批判』とする記事を配信した。
『……
G7=主要7カ国貿易相会合で発表された中国による日本産水産物の輸入停止の撤廃を求める声明に対し、日本にある中国大使館は「経済的威圧はG7の特許である」と強く批判しました。
 G7の共同声明では水産物の輸入停止の撤廃を求めたほか、輸出制限などの「経済的威圧」が「拡大していることを憂慮する」と中国を念頭に牽制(けんせい)する内容も明記されました。
 これに対し日本にある中国大使館は、原発処理水の海洋放出をあらためて批判したうえで、「経済的威圧はG7の特許である」と反論しました。
 さらに、「公平な競争条件を損ない、グローバル・サプライチェーンの安全と安定を乱すのはG7のよくやる行為だ」と指摘したうえで、「G7が正常な国際貿易・投資秩序を維持するための行動をとるよう強く求める」と批判しました。
……』
 今月26日に王毅外相が訪日して、ブリンケン国務長官と会談を行いアメリカが「一つの中国」政策に回帰することを約束させた。更に王毅外相は、認知機能問題を懸念されるうえに「習近平を独裁者」とまで言っていたバイデン大統領に「一つの中国」政策に回帰することを認めさせてしまった。もはや、日本政府が策定した安全保障政策は破綻してしまった。しかし、自由民主党としては折角取得した莫大な防衛利権を放棄したくないことと、令和6年度防衛予算を確実なものとしておきたいという理由で、国民の目を「中国による水産物の輸入禁止」が「中国による日本虐め」と映るように、わざわざG7貿易相会合で議題として持ち出した。これに対して在駐日大使館が、即座に反論してきたのだ。
 政府自由民主党は、国民が未だ対中政策が破綻していることに気が付いていないと、高を括っていたのだ。その証拠に、安全保障政策としては無駄、無意味、無知の極みのような島嶼防衛作戦を実施する心算でまだ「塹壕堀」しているのだ。日本政府が策定した作戦では、島嶼部に雨の様に降り注ぐロケット弾を日本自衛隊はじっと塹壕で耐え忍び、自衛隊救出に駆けつけるアメリカ軍を待ち続けるのだ。しかし、アメリカ軍は島嶼部支援にはせ参じることはない。アメリカは、王毅外相にそう約束したのだ。
 日本政府は防衛費を拡大するため、福祉政策をぎりぎりまでそぎ落とし、さらには、消費税を19%まで拡大することで、賄おうとしている。その前提が、手前味噌で作成した防衛三文書だった。この防衛三文書が根拠のないものであったことが明らかになったのであるから、即座に、防衛予算は執行停止にすべきなのだ。それを、未練がましく「中国のいじめ」と見せかけるのだ。自由民主党による「三文役者の田舎芝居」を喜んでみる観客は、もう、誰もいない。

 尚、これまで米中関係と防衛三文書については下記のスレッドで述べてきた。
・(2023.06.22)「上海コミュニケ
以上(寄稿:近藤雄三)

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王毅外相とブリンケン国務長官と再度会談 -アメリカは中国にイランへ働きかけ要請-

2023-10-29 | 小日向白朗学会 情報
 王毅外相が訪中しバイデン政権に「一つの中国」政策に回帰することを求めたことに対して同政府が同意したことで国際紛争の一つである台湾有事は解決の目途は立った。続いて、10月7日に発生したパレスチナ問題に米中とも軸足を移すことになった。
 その動きが、2023年10月28日、日本経済新聞『ブリンケン氏、中国にイランへ働きかけ要請 ガザ衝突』に表れている。
『……
【北京=田島如生】ブリンケン米国務長官は26〜27日、米国を訪れている中国の王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相と会談した。イスラエルとイスラム組織ハマスとの衝突を巡り協議し、ハマスの後ろ盾とされるイランと友好関係にある中国に対し、イランの関与を防ぐための働きかけを要請した。
米国は中東問題を巡り「中国がより建設的なアプローチを取るよう」促した。パレスチナ自治区ガザでの衝突を大規模な戦闘に発展させないため、イランに影響力を持つ中国に対応を求めた。
中国外務省の発表では、王氏は「より大きな人道的災害を防ぐことが急務だ」と述べた。イスラエルとパレスチナが平和裏に共存する「2国家解決」の必要性を訴えた。
王氏は「大国は冷静かつ公平を貫くべきであり、国連は必要な役割を果たさなければならない」とも語った。米国が国連などの場でイスラエル支持の立場を明確にしてきたのを念頭に置いた発言とみられる。
……』
 ブリンケン国務長官が王毅外相に「イラン」への働きかけを要請したのは、イランとサウジアラビアの国交回復を仲介したのが中国であったからである。これにつてはNIDSコメンタリー『サウジアラビア・イラン国交回復における 中国の仲介的役割について』に詳しい[i]。
『……
2023年3月6日から10日にかけて、サウジアラビアのアイバーン国務相兼国家安全保障顧問とイランのシャムハニ最高安全保障委員会書記は北京で協議を持ち、中国の王毅・中国共産党中央外事工作委員会弁公室主任の仲介で国交回復に合意したことを発表した。それまで反目していた中東の二大地域大国が突如として国交回復を発表したこともさることながら、域外国である中国が仲介役を担ったことが世界の注目を集めた。この近年、中東地域において主に経済面で影響力を増していた中国が、政治面でもプレゼンスを高めており、そのことが中東地域の緊張緩和につながっていることを世界に印象づけたのである。 
……
(2)中国が仲介役を担った要因   それでは、中国がサウジアラビアとイランの国交回復で仲介役を担うことができた要因はどのようなものが考えられるだろうか。 第一に、中国政府が中東地域の紛争問題に対して積極的に関与する姿勢を見せつつ、協議の場を提供するなどの外交努力を続けていたことであろう。2014年から習近平政権は「中国の特色ある大国外交」を掲げており、この実践として「国際社会・地域において火種となる問題の平和的解決を推進する」ことを追求している。その一環として、世界のために「中国の知恵」、「中国のプラットフォーム」を提供することを掲げていた。2021年3月下旬に王毅外交部長(当時)がサウジアラビア、トルコ、イラン、UAE、バーレーン、オマーンの 6 カ国を訪問し、この訪問中に受けたプレスインタビューで、①相互尊重の提唱、②公平正義の堅持、③核不拡散の実現、④集団安全保障の共同構築、⑤発展協力の加速を旨とする「中東の安全と安定を実現する5つのイニシアティブ」を披露した25。この中では、シリア、イエメン、リビアなどの内戦問題、パレスチナ問題の解決、イラン核問題に加えて、湾岸地域国家の平等な対話と協議の推進を掲げ、これまでの経済中心の関与のみならず、政治や安全保障の面を含めた地域秩序形成に関与する姿勢を示していた。 習近平政権は2022年4月から「グローバル安全保障イニシアティブ(Global Security Initiative: GSI)」を掲げ、同イニシアティブの一環として中東における対話の促進や関係改善を位置づけ始めた。
……
実際に、国交回復の合意発表に同席した王毅中央委員は、サウジアラビアとイランの国交回復の仲介について、GSIの実践であるとの成果をアピールした。 イニシアティブの提起のみならず、これまでの外交的資産を活かした外交努力も展開された。国政府はここ一年の間に、サウジアラビアとイランに対して、首脳訪問を含む二国間協議、多国間協議(中国・GCC戦略対話、中国・アラブ連盟協力フォーラム、上海協力機構)、アドホックな協議(アフガニスタン隣国外相会議)など多層的なハイレベル協議の機会を活用して、自らの意向を伝えつつ、双方のコミュニケーションのチャネル役を務めてきた
……
こうした意味では、日本もサウジアラビア・イラン双方と比較的良好な関係を保っているとはいえ、米国との同盟関係やイランへの影響力の観点から、サウジアラビアとイランの双方から仲介役を期待されることは難しかったであろう。つまり、米国と一定の距離を置き、イランへの影響力を得ていることが、仲介者には求められたのである。
……』
 以上の経緯を踏まえるならば、ブリンケン国務長官が中国にパレスチナ問題に対してイランに働きを強めるように要請したのは、ある意味で当然のことなのである。
 それは、これまでの中東紛争とはことなる解決方法が求められるからである。
 つまり、イランとサウジアラビアが国交を回復したということは、これまで中東問題の原因をスンニ派とシーア派の対立に求めていたが、これでは説明できない状況が生まれてしまったということである。そのため、今次のパレスチナ問題では「イスラエルVS.イスラム教シーア派」ではなく「シオニストVS. オール・イスラム」となってしまった。これではイスラエルに勝算はない。イスラエルに残るはアメリカに介入を求める以外に方法はない。そして、いよいよアメリカがパレスチナ問題に軍事介入する直前で、米中は「国際社会・地域において火種となる問題の平和的解決を推進する」一環としてアメリカは「一つの中国」政策に回帰することを約束したのだ。つまり、パレスチナ問題解決を中国に要請する以外に方法はなくなったといことになる。ところで今回引用した論文であるが、最近の防衛省防衛研究所はウクライナ問題でプロパガンダとなって悪質なデマを流布する中心となっていたことを考えると、地道な研究を重ねている職員がいたことに留飲を下げる思いである。
 話をパレスチナ問題と中国問題に戻す。
中国はパレスチナ問題の本質が資源問題であるという認識に基づき、これまでの中東外交関係を利用して積極的な役割を果たそうとしている。その本気度を示す出来事が起きている。それは、王毅外相が訪米する直前に公表された李尚福国防相解任である。
 その様子を2023年10月24日、ロイターは『中国、動静不明の国防相を解任 外相に続き2人目』で紹介している。
『……
[北京 24日 ロイター] - 中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は24日、李尚福国防相の解任を決定した。閣僚の解任は7月の秦剛前外相に続き2人目となる。国営テレビのCCTVが報じた。
常務委員会は李氏と秦氏の国務委員の解任も承認した。
解任の理由などの説明はない。李氏の後任は任命されず、国防相は空席となる。中国は29日から地域の安全保障会議「香山フォーラム」を開催する。
李氏は2カ月前から動静不明となった。ロイターは先月、同氏が防衛装備品の調達などを巡る汚職で捜査を受けていると伝えていた。
……』
 ところで、現在の中国石油産業は「三桶油」とよばれる中国石油天然気(天然ガス)集団公司(China National Petroleum Corporation: CNPC)、中国石油化工集団公司(China Petrochemical Corporation: Sinopec Group)および中国海洋石油総公司(China National Offshore Oil Corporation.: CNOOC)の三大国有石油会社が圧倒的な地位を占めている。特に中国海洋石油総公司は、中国大陸沖合(東シナ海お含む)における石油および天然ガスの探査、採掘、開発を行っている。それと共に、中国海洋石油総公司(CNOOC))は人民解放軍と深い関係にあることは夙に知られていることである。その関係は、2020年11月30日、Bloombergは『米国、SMICとCNOOCをブラックリストに追加へ』で明らかになっている。
『……
米国のトランプ政権は中国人民解放軍とつながりのある企業として中芯国際集成電路製造(SMIC)と中国海洋石油(CNOOC)をブラックリストに加えようとしている。ロイター通信が文書および事情に詳しい匿名の関係者3人の話を基に伝えた。バイデン次期大統領が就任する前にトランプ政権が打ち出している対中強硬策の1つだ。
……』
 つまり、中国は、今次のパレスチナ問題を解決するため人民解放軍の抑止力(中国が中東に艦艇6を派遣)を利用してでも平和的解決するためには、中国解放軍トップが天然ガス関係会社と密接な関係を維持していては、パレスチナはもとよりアラブ諸国の同意を取り付けることが難しくなるとの判断から、これを避けるための処置ではなかったのかと考えられる。
 また、本年7月に解任された秦剛も李尚福国防相解任と同様の理由であろう。2023年6月18日、ブリンケン米国務長官が訪中した際に秦剛国務委員兼外相と会談を行い、米中が衝突回避のため双方の対話を継続するため秦外相(当時)をワシントンに招聘することとに合意している。そして中国外務省当局者も秦剛外相がブリンケン米国務長官の招請を受入れていた。そして秦剛外相が訪米する直前の国営新華社通信が2023年7月25日に解任を発表した。習近平は、アメリカの「一つの中国」政策に回帰することを求める交渉に秦剛が不適格であると判断したことから解任したと考えられる。

 習近平国家主席と王毅外相から、パレスチナ問題を平和的に解決しようとする並々ならない決意を感じる次第である。

 日本は、パレスチナを国家として承認し、イスラエルの残虐行為を国連のもとで裁くことを外交方針とすべきではなかろうか。これくらいの外交方針を立てなければ今年11月に行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)では「金魚の糞」と揶揄されるだけであろう。

尚、これまで米中関係については下記のスレッドで述べてきた。
・(2023.06.22)「上海コミュニケ
以上(寄稿:近藤雄三)

[i] 八塚 正晃「サウジアラビア・イラン国交回復における 中国の仲介的役割について」『NIDSコメンタリー』防衛研究所(2023年8月1日)。

http://www.nids.go.jp/publication/commentary/pdf/commentary269.pdf


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王毅外相とバイデン大統領の会談 -アメリカは「一つの中国」政策に回帰した-

2023-10-28 | 小日向白朗学会 情報
 訪米中の王毅外相は、前日、ブリンケン国務長官と会談したのちに、10月27日にはバイデン大統領と会談を持つことになった。
その様子を、2023/10/28、毎日新聞『バイデン氏、中国外交トップの王毅氏と会談』から見ておく。
『……
バイデン米大統領は27日、訪米している中国外交トップの王毅共産党政治局員兼外相とホワイトハウスで会談した。米政府によると、バイデン氏は米中関係を責任を持って管理し、両国で意思疎通を維持する重要性を強調。米中が協力して世界的な課題に対処する必要性も述べた。
 バイデン氏は、27日に死去した中国の李克強前首相への哀悼の意も示した。
ワシントンを訪れた王毅共産党政治局員兼外相(右)=2023年10月27日、AP
 王氏は26~27日の2日間にわたってブリンケン米国務長官と国務省で会談。両氏は、11月に米西部カリフォルニア州サンフランシスコで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に合わせた米中首脳会談の実現に向け、最終調整を行ったとみられる。
……』
 2023年10月26日から訪米していた王毅外相とバイデン政権首脳との会談は大成功であった。バイデン政権が抱えている国際紛争の内の一つが解決したからである。
この影響は、ウクライナ問題やパレスチナ問題と直結する。
そもそも「一つの中国」政策を企画立案し実施したのはキッシンジャー氏であった。ところが、バイデン政権では、ペロシ元下院議長が台湾を訪問したさいに議会で「(ロシアがウクライナ侵攻したことと同じ様に)中国は極めて危険である」と非難したことで、これまでの米中関係の規範であった「一つの中国」政策を放棄してしまった。これに対して、バイデン政権に「一つの中国」政策に回帰するように求めたのはキッシンジャー氏であった。その結果として、王毅外相が訪米して今月26日にブリンケン国務長官、27日にバイデン大統領と会談して「一つの中国」政策に回帰することに同意した。これはバイデン政権が進めてきた外交政策、特に、ウクライナと中国政策を、大きく変更したということである。キッシンジャー氏がアメリカの外交政策を変更させるだけの隠然とした力を持っていることを示している。この点に注目すると、ウクライナ問題は自ずと結論が見えてくる。
2022年5月23日に開催された世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)でキッシンジャー氏の発言が注目を浴びた[i]。
『……
【ロンドン=工藤彩香】ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官の発言が、ロシアに対するウクライナの領土割譲を容認したと受け止められ、波紋を呼んでいる。ウクライナは猛反発し、ロシアは発言を利用してウクライナに要求を受け入れるよう迫っている。
キッシンジャー元米国務長官(ロイター)
 キッシンジャー氏は23日、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)でオンライン演説し、「理想的には、(ロシアとウクライナの)境界線を戦争前の状態に戻す必要がある」と述べた。今後2か月以内に和平交渉を進め、停戦を実現するべきだとも主張した。この発言が、2月のロシア軍侵攻前を指し、2014年7にロシアが併合したクリミア半島や親露派が支配する東部ドンバス地方の領土割譲をウクライナに提案したと受け止められた。
 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は25日のビデオ演説で、「ロシアへの領土割譲を助言するような人は、そこに住むウクライナ人のことを考えていない」と反論。ロイター通信によると、ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は26日、キッシンジャー氏の発言を受け、「ウクライナがロシアの要求を満たすことを期待する」と述べた。ロシアはウクライナに対し、併合したクリミア半島の主権承認や、親露派支配地域の独立国家としての承認を要求している。
……』
つまり王毅外相は、アメリカ政府に「一つ中国政策」を認めるならばウクライナ問題は「2014年にロシアが併合したクリミア半島や親露派が支配する東部ドンバス地方の領土割譲」を求めるであろうことは充分に想像できることになる。
今回の王毅外相が訪米したことで、バイデン政権は「一つの中国」政策に回帰することを再確認したことから、それまでの「ウクライナ支援と反中国」政策をワンセットで進めてきた政策を変更してゼレンスキー政権に停戦を呼び掛ける以外に選択肢は無くなったと考えられる。さもなければ、2023年11月に開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)でバイデン大統領と習近平国家主席との首脳会談は実現できないことになる。おりしも本年11月は、アメリカの国家予算上限問題が控えており強硬にウクライナ支援はできない状態であることからウクライナ問題は終局に向かう可能性は高い。

パレスチナ問題であるが、王毅外相が訪米直前に、中国は中東に軍艦6隻を派遣している。その様子は、2023年10月24日、The NEWS LENS JAPANは「ガザ危機背景に中国が中東に軍艦6隻派遣」を配信した記事が詳しい[ii]。
『……
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、中国の第44海軍護衛任務部隊はこの1週間、この中東の海域で「通常の作戦」に参加していると伝えた。同部隊は中国人民解放軍東部戦区に所属する052D型誘導ミサイル駆逐艦「淄博」、フリゲート艦「荊州」、補給艦「千島湖」などから構成されている。
国営・新華社通信によると、同部隊はオマーンの首都マスカットでオマーン海軍との合同軍事演習を行い、軍事基地を訪問した後、21日にオマーンの首都マスカットを出港した。どこへ向かったのかは不明。同部隊は半年前にソマリア北部のアデン湾に到着して以来、中東各地を移動し、輸送船の護衛を支援している。
中国の習近平国家主席は、イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの紛争は、「双方による解決」が現状を打開する唯一の方法だと主張。「現在の最優先事項は、紛争が拡大したり、制御不能に陥り、深刻な人道危機を引き起こしたりすることを避けるために、一刻も早い停戦を望む」と述べた。
……』
これに先立ち、中国外務省は、ガザ地区でハナスとイスラエルとの衝突に付いてのその立場を明確にしている。それは2023年10月23日、REUTERS『中ロ、ガザ危機で「パレスチナ支援」の共通大義』である。
『……
10月20日、イスラエルのパレスチナ自治区ガザ攻撃に中東全域で怒りが高まる中、中国とロシアはパレスチナ人支援という共通の大義名分を見いだしている。

[北京/ワシントン 20日 ロイター] - イスラエルのパレスチナ自治区ガザ攻撃に中東全域で怒りが高まる中、中国とロシアはパレスチナ人支援という共通の大義名分を見いだしている。
ロシアと中国にとって、ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの奇襲攻撃を受けてイスラエルがガザを砲撃したことは、同盟国イスラエルの後ろ盾に徹する米国とは対照的に、開発途上国の擁護者としての信任を高める好機だ。
中国は一貫して自制と停戦を求めてきたが、イスラエル批判も強めている。
中国国営メディアによると、王毅外相は「イスラエルの行動は自衛の範囲を超えている」と述べ、ガザ住民に対する「集団的懲罰」をやめるよう求めた。
また、ロシアのプーチン大統領は先に、ガザ危機は「米国の中東政策の失敗の実例であることに多くの人が同意すると思う」と述べた。
プーチン氏と中国の習近平国家主席はともに、経済的機会のほか、おそらく米国とその同盟国の外交的影響力に対抗する方法として、グローバルサウスとの関係を深めようとしている。
……』
この二つの記事から、中国が中東に艦艇6が隻を派遣したのは「中国とロシアはパレスチナ人支援」に動き出したことの結果であるとみてよい。
今回訪米した王毅外相は、バイデン大統領とブリンケン国務長官に「アメリカはパレスチナ問題に介入しないよう」に求めたことは想像に難くない。
いずれにせよパレスチナ問題を早期に全面停戦に持ち込まれなければ第三次世界大戦が始まってしまう。いま世界は、習近平主席と王毅外相が進める和平工作に期待するしかないといっても過言ではない。
翻って、自民党政権の無能な外交は見るに堪えない。
唯一の希望は、鈴木宗男議員によるロシア訪問と、福田康夫元首相が王毅外相と民間外交の火を消さないでいることだけである。

尚、これまで「一つの中国」政策についてまとめたスレッドは次の通りである。
・(2023.06.22)「上海コミュニケ
以上(寄稿:近藤雄三)
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王毅外相とブリンケン国務長官会談

2023-10-27 | 小日向白朗学会 情報
 2023年10月27日、タス通信は『中国外務省長官、中国と米国には相違点と共通の利益があると発言』を配信した。
『……
王毅外相は、各国は関係を安定させ、「持続可能な発展」の道に戻す必要があると指摘した。
ワシントン、10月27日。/タス/。中国と米国には相違点もあるが、共通の利益もあり、両国は包括的な対話を必要としている。中国の王毅外相が国務省でのアントニー・ブリンケン米国務長官との会談で述べた。
「中国と米国は相違点のある二大国だが、同時に共通の利益もあり、共に対応すべき課題に直面している。我々は対話を再開するだけでなく、対話を深め、対話を深めなければならない」包括的だ」と中国大臣は述べた。
……
王毅氏はまた、米国と中国は二国間関係を安定的かつ持続可能な発展に戻すよう努力すべきだと指摘した。
「対話によって、我々はより深い相互理解を達成することができ、協力して共通の利益の範囲を拡大し、双方の利益のために協力するよう努力することで、中米関係を安定させ、関係を元の状態に戻すことができる」健全で安定した持続可能な発展の道」と彼は言いました。
王毅氏は「中国と米国の関係には時折不協和音が生じるだろう」と指摘した。同氏によれば、「このようなことが起こったとき、中国は冷静に行動する」という。中国外務省の責任者は、「より強く発言する人が正しいのではなく、国際法と中国と米国の間の3つの共同コミュニケの規定に従って行動する人が正しい」と強調した。そして国際関係の基本規範。」王毅氏は「対話が建設的で前向きなものになると確信している」と強調した。
ブリンケン氏は「外務大臣の発言に同意する。どういたしまして」と述べた。
……』
 王毅外相はブリンケン国務長官との会談の中で、米中の関係は三つの共同コミュニケに立ち返ることをもとめた。これに対してブリンケン国務長官は「一つの中国」政策に回帰することに正式に同意したのである。
ここで王毅外相のいう三つの共同コミュニケ(Three Joint Communiqués)とは次のものである。
第一回目
1972年2月28日、リチャード・ニクソン大統領と周恩来首相により取りまとめた。いわゆる「上海コミュニケ」である。アメリカは、「台湾海峡の両側のすべての中国人が、中国はただ一つであり、台湾は中国の一部分であると主張している」ことを正式に認めた。
第二回目
1979年1月1日、鄧小平とジミー・カーターは「外交関係樹立に関する共同コミュニケ」(Joint Communiqué on the Establishment of Diplomatic Relations)に調印した。これにより、アメリカは、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを認めたうえ正常な関係の開始を正式に宣言した。これにより、アメリカは、中華民国(台湾)との正式な政治的関係を終了した。加えてアジア太平洋地域におけるいかなる国の覇権も回避したいとの考えを再確認した。
第三回目
1982年8月17日、双方が経済、文化、教育、科学、技術面での関係をさらに強化していくことを再確認した。台湾への武器売却問題については決定的な結論は出なかったが、アメリカは台湾への武器売却を段階的に減少させる意向を表明した。

外交政策は大失敗となった。自由民主党、どうする!
間違った外交政策から始めた防衛予算増額は全額執行停止すべし!


これまで以下のスレッドで、アメリカと中国が「一つの中国」政策に回帰してゆくことを述べてきた。
・(2023.06.22)「上海コミュニケ
以上(近藤雄三)
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パレスチナ紛争のもう一つの側面 ―ガザ沖天然ガスとパレスチナ、イスラエル、エジプト-

2023-10-27 | 小日向白朗学会 情報
 パレスチナのイスラム組織ハマスが2023年10月7日、ロケット弾や戦闘員の侵入によってイスラエルへの大規模な攻撃を仕掛けたことから、イスラエルが報復を開始しました。これにより、世界は、第三次世界大戦の危機に直面することとなりました。
ところで、今次の紛争も、実は、領土問題であり資源問題という側面を持っている。それはガザ沖に広がる莫大な量の天然ガスが存在するからである。このガザ沖沖合の天然ガスについては独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が、2009年6月8日 付け「イスラエル・パレスチナ自治区: ガス資源開発が平和をもたらすものとなるか?」[i]という報告書を提出している。その報告書の要旨は次のとおりである。
『……
  • 2008 年末からのイスラエル軍のガザ侵攻から約半年が過ぎた。イスラエルではネタニヤフ首相が率いるリクードが連立政権を組閣し、再び政権を握った。イスラエル軍のガザに対する軍事行動は引き続いているが、改めてイスラエルのエネルギー安全保障について考察すれば、エネルギーの地政学的な重要性が垣間見えてくる。
  • ガザ沖合いでは、相当量のガス資源の埋蔵が明らかとなっている。しかし、パレスチナ自治区政府内の政治的対立、同自治政府の統治力が海域まで十分に及んでいないことなどから、開発のめどは立っていない。2008 年末からのイスラエルのガザ侵攻が、ガザ沖合いのガス資源を狙ったものであるとの憶測も呼んだ
  • 2008 年 5 月に、エジプトから長年の敵対国であるイスラエルに天然ガス輸出が開始された。一方、地政学的リスク回避からイスラエルはトルコ経由の複合パイプラインも計画している。
  • 増大する国内需要に対応するため東地中海域の探鉱を進めていたイスラエルは、2009 年1 月大規模な海底ガス田を発見した。
……』
 つまり、この報告書では、2008 年末にネタニヤフ政権がガザ侵攻を行ったのは「ガザ沖合に、相当量のガス資源の埋蔵」を独占するためであったのではないかと報告しているのである。

 ところで、2008年12月に起きたイスラエルによるガザ侵攻作戦とは「キャスト・リード作戦」(Operation Cast Lead)のことである。同作戦は「イスラエル市民に対するガザ地区からの執拗なテロ活動と絶え間ないミサイルの脅威」を理由として開始したものであるが「ガザ戦争」「ガザの大虐殺」とも呼ばれる残虐なものであった。その一方で、同作戦終了後のイスラエルは、は東地中海の「イスラエル沖」でリヴァイアサン天然ガス田を発見したことも発表している。そのガス田は、「…東地中海地域の約 83,000 平方キロメートルをカバーするレバント盆地の準探査地域でこれまでに発見された最も著名なガス田」で、ノーブル・エナジー(Texas based Noble Energy:現在はChevron Cor)、デレク・ドリリング(Delek Group )、アヴナー・オイル・エクスプロレーション(Avner Oil Exploration)、レシオ・オイル・エクスプロレーション(Ratio Oil Exploration)が開発権利を保有する結果となった。
ところで、同作戦に付いてはGlobal Researchが配信した『戦争と天然ガス:イスラエルの侵攻とガザ沖合ガス田』に詳しい[ii]。少々、長いがそのまま掲載する。
『……
2008年12月のイスラエル軍によるガザ地区への軍事侵攻は、戦略的な海洋ガス埋蔵量の管理と所有権に直接関係している。
これは征服戦争だ。2000 年に発見されたガザ海岸線沖には広大なガス埋蔵量があります。
ブリティッシュ・ガス(BGグループ)とそのパートナーであるアテネに本拠を置き、レバノンのサッバーグ家とコウリー家が所有するコンソリデーテッド・コントラクターズ・インターナショナル・カンパニー(CCC)は、1999年11月にパレスチナ自治政府と締結した25年間の契約で石油・ガス探査権を付与された。
海洋ガス田の権利はそれぞれブリティッシュ・ガス社(60%)である。統合請負業者 (CCC) (30%); パレスチナ自治政府の投資基金(10%)。(ハーレツ、2007 年 10 月 21 日)。
PA-BG-CCC 協定には、田畑開発とガスパイプラインの建設が含まれています。(中東経済ダイジェスト、2001 年 1 月 5 日)。
BGライセンスは、イスラエルのいくつかの沖合ガス施設に隣接するガザ沖合海域全体をカバーしている。(以下の地図を参照)。ガザ・イスラエル海岸線に沿ったガス埋蔵量の60パーセントがパレスチナに属していることに留意すべきである。
BG グループは 2000 年にガザ海洋-1 」と「ガザ海洋-2 」の 井戸を掘削しました。ブリティッシュ・ガス社によると、埋蔵量は約 1 兆 4,000 億立方フィート、金額にして約 40 億ドルと推定されています。これらはブリティッシュ・ガスが公表した数字だ。パレスチナのガス埋蔵量はさらに大きくなる可能性がある。
ガス田の所有者は誰ですか
ガザのガス田の主権問題は極めて重要である。法的な観点から見ると、ガス埋蔵量はパレスチナに帰属します。
ヤセル・アラファト氏の死、ハマス政権の選挙、そしてパレスチナ自治政府の崩壊により、イスラエルはガザ沖合のガス埋蔵量に対する事実上の支配を確立することが可能となった。
ブリティッシュ・ガス(BGグループ)はテルアビブ政府と取引を行っている。その結果、ハマス政府はガス田の探査・開発権に関して回避されてきた。
2001 年のアリエル シャロン首相の選挙は大きな転換点でした。海底ガス田に対するパレスチナの主権はイスラエル最高裁判所で争われた。シャロンは「イスラエルは決してパレスチナからガスを買わない」と明言し、ガザ沖合のガス埋蔵量はイスラエルのものであるとほのめかした。
2003年、アリエル・シャロンは、ブリティッシュ・ガスがガザの沖合井戸からイスラエルに天然ガスを供給することを認める最初の合意に拒否権を発動した。(インディペンデント、2003 年 8 月 19 日)
2006年の選挙でハマスが勝利したことは、マフムード・アッバスの代理政権の下でヨルダン川西岸に限定されたパレスチナ自治政府の崩壊に貢献した。
2006年、ブリティッシュ・ガスは「エジプトにガスを供給する契約に署名するところだった」。(タイムズ、2007 年 5 月 23 日)。報道によると、英国のトニー・ブレア首相はエジプトとの合意を回避する目的でイスラエルを代表して介入した。
翌年の2007年5月、イスラエル内閣はエフド・オルメルト首相による「パレスチナ自治政府からガスを購入する」という提案を承認した。提案された契約は40億ドルで、利益は20億ドル程度で、そのうち10億ドルがパレスチナ人に渡されることになっていた。
しかし、テルアビブにはパレスチナと収益を分配するつもりはなかった。イスラエルの交渉チームは、ハマス政府とパレスチナ自治政府の両方を迂回し、BGグループとの合意を打ち破るためにイスラエル内閣によって設立された。
イスラエル国防当局は、パレスチナ人が物品やサービスで支払われることを望んでおり、ハマスが支配する政府には一切資金が流れないよう主張している。」(同上、強調追加)
その目的は本質的に、1999年にBGグループとヤセル・アラファト政権下のパレスチナ自治政府との間で署名された契約を無効にすることであった。
2007年に提案されたBGとの合意の下では、ガザの沖合井戸からのパレスチナのガスは海底パイプラインによってイスラエルのアシュケロン港に運ばれ、それによって天然ガスの販売管理がイスラエルに移管されることになっていた。
取引は失敗に終わった。交渉は中断された:
「モサド長官メイア・ダガンは、その収益がテロ資金になるとして、安全保障上の理由からこの取引に反対した。」(国会議員ギラッド・エルダン、「ハマスに役立つ支払いが行われる場合、パレスチナ人からガスを購入するというエフド・オルメルト副首相の意向」に関する国会演説、2006年3月1日、モシェ中将(退役)で引用)ヤアロン、ガザ沿岸水域からの英国ガスの購入予定はイスラエルの国家安全保障を脅かすのか?エルサレム広報センター、2007 年 10 月)
イスラエルの意図は、パレスチナ人に使用料が支払われる可能性を排除することであった。2007 年 12 月、BG グループはイスラエルとの交渉から撤退し、2008 年 1 月にイスラエルの事務所を閉鎖しました。( BG ウェブサイト)。
侵略計画は白紙に
イスラエル軍関係者によると、「キャスト・リード作戦」によるガザ地区侵攻計画は2008年6月に開始された。
「国防関係筋の情報筋によると、イスラエルがハマスと停戦協定の交渉を始めていたにもかかわらず、エフド・バラク国防大臣は半年以上前(6月か6月以前)にイスラエル国防軍に作戦の準備をするよう指示したという。」(バラク・ラビッド、「キャスト・リード」作戦:数カ月の計画に基づくイスラエル空軍の攻撃、(リンク有)ハアレツ、2008年12月27日)
まさに同月、イスラエル当局はガザの天然ガス購入に関する重要な交渉再開を目指してブリティッシュ・ガス社に連絡した。
「財務省のヤロム・アリアヴ局長と国家インフラ省のヘジ・クグラー局長は、イスラエルが交渉を再開したいという意向をBGに伝えることに同意した。
関係者らは、BGはまだイスラエルの要請に正式に応じていないが、おそらく数週間以内に同社幹部らがイスラエルを訪れ、政府関係者と会談するだろうと付け加えた。(Globes online - イスラエルのビジネス アリーナ、2008 年 6 月 23 日)
ブリティッシュ・ガス(BG、British Gas)との交渉を加速するという決定は、時系列的には6月に開始されたガザ侵攻計画と一致した。イスラエルは侵攻前にBGグループと合意に達することを切望していたようであり、侵攻はすでに高度な計画段階にあった。
さらに、ブリティッシュ・ガスとのこれらの交渉は、エフド・オルメルト政権が軍事侵攻が計画にあることを承知の上で行われた。おそらく、ガザ地区に対する新たな「戦後」の政治・領土協定もイスラエル政府によって検討されていただろう。
実際、ブリティッシュ・ガスとイスラエル当局の間の交渉は、12月27日の爆撃開始の2~3か月前の2008年10月から継続されていた。
2008年11月、イスラエル財務省と国家インフラ省はイスラエル電力公社(IEC)に対し、ガザのBGの沖合利権からの天然ガス購入についてブリティッシュ・ガスと交渉を開始するよう指示した。(グローブス、2008 年 11 月 13 日)
「財務省のヤロム・アリアヴ局長と国家インフラ省のヘジ・クグラー局長は最近、IECのアモス・ラスカー最高経営責任者(CEO)に書簡を送り、今年初めに承認された枠組み提案に沿って交渉の進行を許可する政府の決定を伝えた。
モティ・フリードマン会長が率いるIEC理事会は、数週間前に枠組み提案の原則を承認した。取締役会が入札免除を承認した時点で、BGグループとの交渉が始まる。」(グローブス、2008年11月13日)
ガザとエネルギーの地政学
ガザの軍事占領は、国際法に違反してガス田の主権をイスラエルに移譲することを目的としている。
侵略の後、私たちは何を期待できるでしょうか?
パレスチナの天然ガス埋蔵量に関するイスラエルの意図は何ですか?
イスラエル軍および/または「平和維持」軍の駐留を伴う新たな領土協定?
ガザ海岸線全体の軍事化はイスラエルにとって戦略的ですか?
パレスチナのガス田を完全に没収し、ガザ海域に対するイスラエルの主権を一方的に宣言したのだろうか?
これが実現すれば、ガザのガス田はガザ地区のガス田に隣接するイスラエルの沖合施設に統合されることになる。(上記の地図 1 を参照)
これらのさまざまな海洋施設は、イスラエルのエネルギー輸送回廊ともリンクされており、石油パイプラインターミナルであるエイラート港から紅海に面し、アシュケロンの港湾パイプラインターミナル、そして北に向かってハイファまで伸び、最終的にはリンクされている。トルコのジェイハン港とのイスラエルとトルコのパイプライン計画を通じて。
ジェイハンはバクー、トブリシ ジェイハン カスピ海横断パイプラインの終点です。
……』
 この記事で明らかなことは、「キャスト・リード作戦」(Operation Cast Lead)はガザ地区沖合にある天然ガス資源と深い関係があったのだ。

 ここで話を今次の紛争と天然ガス問題の関係に付いてみてみる。注目すべき情報として2023 年05月06日、ARAB NEWS「イスラエル、ガザ地区沖の天然ガス採取めぐりパレスチナ自治政府と内密に協議中」がある。些か長いが全文を引用する。
『……
・1990年代に発見されたガザ地区沖の天然ガス田は稼働開始すれば、エジプトに天然ガスを輸送してからヨーロッパに販売することになる
・パレスチナ自治政府は天然ガス田の所有権を主張しているが、イスラエル政府は、天然ガス田を合法的に管理する権利があるのは国家のみだと主張する
モハメッド・ナジブ
ラマッラー:イスラエル政府は、ベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアヴ・ガラント国防相の同意を得て、ガザ地区沖のガス田(通称ガザ・マリン)からガスを抽出するためにパレスチナ自治政府と内密に協議を行っていることが、現地の情報筋の証言により明らかになった。
この情報筋によると、イスラエル政府は昨年末から、ガザ海岸から36km離れた地中海沿岸にある天然ガス田に関する内部協議を続けているという。
この協議は、米国の仲介により始まったばかりのイスラエルとパレスチナ自治政府の間の政治・安全保障関係の構築の一環として、ふたたび行われるようになった、と情報筋は述べている。
また、アカバとシャルム・エル・シェイクで行われた会談では、ガザ沖の開発と天然ガス採掘の準備の問題が中心であったという。
この会談では、米国の支援のもと、パレスチナ側とイスラエル側の安保・政治関係者が一堂に会した。ヨルダンとエジプトも協議に参加したとされる。
イスラエル側は、イスラエル国家安全保障会議議長のツァヒ・ハネグビ氏と、イスラエル占領地域での政府活動の調整役であるガサン・オルヤン氏が中心となっている。
イスラエルは、この開発はパレスチナ人に経済的な利益をもたらし、長期的には安全保障上の緊張緩和に寄与する可能性があると考えている、と情報筋は述べている。また、ガザ・マリンから天然ガスの抽出を行うには「イスラエルの承認が必要になる」と付け加えた。
また、イスラエル側は、ガス田を合法的に管理する権利を持つのは国家だけだと主張しているため、議論が行き詰まっているという。
国家として認められていないパレスチナ自治政府が単独で天然ガスを採取することは認められないので、エジプトがガス採取プロジェクトを監督すれば、問題は解決するとイスラエル側は言っている。
情報筋によると、最近この件に関してイスラエルとエジプトの高官による協議が行われたとのことだ。
パレスチナ投資基金(Palestinian Investment Fund)は2021年2月、エジプトガス公社(EGAS)の請負業者協会と、ガザ沖天然ガス田の開発で協力する契約を締結している。
イスラエルは、この件に関して内部協議を再開させたことを、「複数の窓口を通じて」パレスチナ自治政府と米国、エジプトに通知している。エジプト側と米国側は、パレスチナ側を懐疑的に見つつも、このプロジェクトを支持している。
1990年代末に発見されたガザ・マリン油田は自分たちが所有している、とパレスチナ側は主張している。
しかし、パレスチナはイスラエルに対して開発を許可するよう要求したものの、拒否されたため、天然ガスの採取は行っていない。
情報筋は、このプロジェクトの完了には安全保障上の課題があるとみている。
イスラエルの分析によると、「ガス田の開発を武装組織ハマスが黙って見ているわけがないので、どのように開発を進めるのかが最大の問題」である。ハマスに対抗する措置をとると批判を招くかもしれない、とイスラエルは懸念している
この油田は当初、2000年にブリティッシュガス社が開発し、その後ロイヤル・ダッチ・シェル社(現シェル社)に引き継がれたものの、同社も2018年に撤退した
同地区の天然ガス埋蔵量は1.1兆立方フィート、あるいは320億立方メートルと推定される。これは20年間、毎年15億立方メートルの生産能力に相当する
昨年10月、パレスチナの有力な情報筋は、ガザ・マリンからの天然ガス抽出に関するエジプト・パレスチナ・イスラエル間の合意は存在しないとした。
同筋はまた、当時の協議はイスラエル側の参加なしにパレスチナとエジプトの間で行われたものだとし、「われわれのものを取り出すためにイスラエルに金を払うことはない。これは容認できない……イスラエルに求められているのは、作業を妨害しないことだけだ」と述べていた。
パレスチナ政府は閣僚委員会を立ち上げ、パレスチナ投資基金がエジプトとの間でガザ・マリンの資金調達と運営に関する合意を完了させるための支援を行っていた。
この天然ガス採取プロジェクトは、2021年11月以降、深刻な財政危機に見舞われているパレスチナ自治政府にとって、不可欠といっていいほど戦略的に重要なものである。
パレスチナの経済専門家サミア・フーリエ氏はアラブ・ニュースに対し、ガザ・マリンが稼働した場合に得られる年間収入は7億ドルから8億ドルになると述べた。10年以内には70億ドルから80億ドルの収入が得られる。
フーリエ氏によると、パレスチナは天然ガスパイプラインをイスラエルの都市アシュドッドヘではなく、エジプトの都市エル・アリーシュにまで延長する予定だ。そこで天然ガスを処理し、エジプトの天然ガスとともにヨーロッパに販売する計画である、と同氏は述べた。
パレスチナ自治政府の高官筋はアラブ・ニュースに対し、「天然ガスが採取されれば、パレスチナ自治政府の国庫にとって重要な収入源となり、今年末までに6億500万ドルに達する水不足を解消することができる」と語った。
……』
 今次紛争前に「イスラエル、ガザ地区沖の天然ガス採取めぐりパレスチナ自治政府と内密に協議中」だったのである。
以上(寄稿:近藤雄三、図はグローバルリサーチより引用)


[i] https://mail.google.com/mail/u/0/#inbox?projector=1

[ii]『戦争と天然ガス:イスラエルの侵攻とガザ沖合ガス田

https://www.globalresearch.ca/war-and-natural-gas-the-israeli-invasion-and-gaza-s-offshore-gas-fields/11680

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岸田首相は「憲法改定」を口にするなら、自由民主党が売国政党だということを認めなさい! -岸田文雄内首相はインパール作戦総司令官牟田口廉也と同じ無能な総司令官-

2023-10-26 | 小日向白朗学会 情報
 2023年10月25日の衆参両院本会議で岸田首相は「自民党総裁任期中に憲法改正を実現したい」と代表質問に答弁した[i]。
自由民主党が唱える憲法改正に付いては、
で述べてことであるが、売国政党の極みなのである。
 自由民主党は、アメリカと「日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定」と「行政協定(日米地位協定)」を締結したことで、日本の主権(自衛隊指揮権、航空管制権、電波権)をアメリカに売渡してきた。これを受けてアメリカは、二つの協定を締結した自由民主党に政権を維持させることに決めた。それは、日本がアメリカと締結した協定が国会承認を必要とする条約と違い、アメリカと当時の政権が決めたことであるため、締結した政党を存続させる必要があった。そして、自衛隊の指揮権を握ったアメリカは、朝鮮戦争と台湾有事に自衛隊を海外派兵することにした。その際に障害になったのは日本国憲法の存在であった。そのため自由民主党は、憲法を改正して自衛隊を海外派兵してアメリカに提供することが党是となったのだ。
 売国政党である自由民主党が憲法改定を云うのは、自衛隊をアメリカの傭兵として提供できるようにすることであり、その様は、アメリカ軍の手配師なのである。陰湿かつ卑屈な政党が自由民主党なのだ。
 したがって、憲法改定は、日本が国家主権を取り戻してから開始すべきなのである。
 自由民主党に与して憲法改正を口にする公明党、日本維新の会、国民民主政党は、尽く売国政党なのである。
 最近では、木原防衛大臣が2023年10月15日に、衆議院長崎4区の補欠選挙の応援演説で「自民党候補を応援していただくことが自衛隊ならびにご家族の苦労に報いることになる」と発言している。ある意味で正しい。自衛隊をアメリカの意向で日本の国防とは関係のない危険な任務に使役させていることで自由民主党は存在してきたのだ。自衛隊職員および家族に感謝して当たり前なのだ。

  自衛隊の最高司令官は岸田文雄内閣総理大臣である。
したがって最高司令官岸田文雄内閣総理大臣は、インパール作戦の最高司令官牟田口廉也と同じ無能な総大将なのである。
以上(寄稿:近藤雄三)
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王毅外相訪米!日本政府の安全保障政策は破綻した -島嶼防衛などという無駄、無理、無能な戦術-

2023-10-25 | 小日向白朗学会 情報
 2023年10月24日、NHKは『中国 王毅外相が訪米へ 米中首脳会談に向け調整か 米国務省』とする日本の防衛政策に大きな影響を及ぼす記事を配信した。
『……
アメリカ国務省は、中国の王毅外相が今週26日から首都ワシントンを訪問し、ブリンケン国務長官と会談すると発表しました。
  来月のAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議に合わせた米中首脳会談の実現に向けた調整も行われるものとみられます。
アメリカ国務省は23日、中国の王毅外相が今週26日から28日にかけて、首都ワシントンを訪問し、ブリンケン国務長官と会談すると発表しました。
 また、アメリカ政府高官によりますと、期間中、ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官とも会談することにしているということです。
会談では、中国が海洋進出を強める南シナ海や東シナ海、台湾について議論するほか、緊迫するイスラエル・パレスチナ情勢やロシアによるウクライナ侵攻、弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮をめぐる問題についても議題にするとしています。
政府高官は今回の訪問について「中国との競争を責任あるかたちで管理するために対話のチャンネルを維持する努力の一環だ」としています。
 また今回の訪問では、バイデン大統領と習近平国家主席の首脳会談の調整も行われるものとみられ、来月中旬にサンフランシスコで開催されるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議に合わせて、会談が実現するかが焦点となります。
……』
 いよいよ、日本政府が昨年来、強引に開始している安全保障政策が破綻に至ったということが白日の下にさらされることになった。その要点としては、バイデン政権が「一つの中国政策」に回帰したことから台湾有事問題にアメリカ軍は介入しないことになったことが指摘できる。これは、2023年7月18日、『一つの中国政策」の立案者キッシンジャーが中国を訪問し、李尚福国防相と会談して「米中は誤解をなくし、平和的に共存し、対立を避けるべきだ。米国も中国も、相手を敵対視する余裕はないことは、歴史と実践が絶えず証明してきた」と述べたことの延長上にある[ii]。よって、日本政府が立案した「台湾有事とともに中国軍が尖閣列島など島嶼部に侵攻に対してアメリカ軍支援のもとで防衛する」という、いわゆる島嶼防衛という作戦は、成り立たないのだ。
これに付いてはこの件に関しては既に次のスレッドで詳しく書いてきた。
 ところでNHK配信記事にもう一つ注目すべき点がある。それは、王毅外相とサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)との会談が予定されていることだ。サリバンと云えば、2022年08月02 日にペロシ下院議長に台湾を訪問したことから台湾有事を扇動した張本人である。その時期、サリバンが台湾有事について如何なる政策を実施しようとしていたのかを示す記事がある。
それが、2022年9月8日、BLOOMBERG「中国の台湾侵攻、なお「明白な脅威」-サリバン米大統領補佐官」である。
『……
サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は台湾に関するバイデン政権のスタンスは変わっていないと述べる一方で、中国による台湾侵攻がなお「明白な脅威」との認識を示した。中国は米政権に「一つの中国」政策を守るよう求めている。
サリバン氏はカーライル・グループの共同創業者デービッド・ルーベンスタイン氏がホスト役を務めるブルームバーグテレビジョンの番組「ザ・デービッド・ルーベンスタイン・ショー:ピアツーピア・カンバセーションズ」のインタビューで、「台湾を巡る軍の有事が起こり得るということが引き続き明白な脅威だと思う」と述べた。
  同氏は台湾侵攻が起こり得る時期については言及しなかったものの、「中国は公式方針として、台湾侵略を選択肢から外さないと表明している」と指摘した。
  サリバン氏はまた、米国の台湾政策を変更することになる台湾政策法案について協議するため、7日中に議会指導部と会う予定だと述べた。同法案は超党派で広い支持を得ており、台湾の事実上の「同盟国」指定や45億ドル(約6500億円)の安全保障援助、国際機関加盟の支援などが盛り込まれている。
……』
 バイデン大統領、ブリンケン国務長官、サリバン大統領補佐官、ヌーランド国務副長官代行は、2022年にウクライナがロシアと和平交渉に付くことを禁じて長期化させてきた張本人たちである。その張本人であるサリバンが、王毅外相と会談を行うというのだ。もし、サリバンが王毅外相との会談で「中国による台湾侵攻」について懸念を伝えたならば、会談は決裂するとともにアメリカ国務省が望む「サンフランシスコで開催されるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議」でのバイデン大統領と習近平総書記との会談は水泡に帰すことになる。したがって、ブリンケン及びサリバンが王毅外相と会談を行うにあたって共通の基盤は「一つの中国」政策に同意しているということなのだ。
 ところが日本政府は「防衛三文書」で日本の仮想敵国を中国、北朝鮮、ロシアとしてしまった。そして仮想敵国が尖閣列島などの島嶼部に侵攻してきた場合に、アメリカ軍と共に防衛戦を実施すると公言して莫大な予算を獲得することに成功してしまった。
 日本はアメリカに自衛隊指揮権、航空管制権、電波権を売飛ばしてしまった国家主権の無い国である。なので、日本独自の国家安全保障政策はあり得ない。そのような背景からみれば、アメリカの対中政策が僅か一年の間に180度異なることなどはある意味当たり前なのだ。その結果、日本は、中国にこぶしを振り上げたものの、アメリカが安全保障政策を変更したことで、振り上げたこぶしはそのままで、無様な醜態をされることになってしまったのだ。具体的には、日本政府が言うところの島嶼防衛と称する愚かな作戦は、旧日本軍が太平洋戦争中におこなった島嶼防衛とい大失敗の反省もないまま、新たな玉砕の島を築こうとしているだけなのだ。
 日本はこのまま無様な姿で立ち続けるのであろうかと考えると憂鬱になる。ところで、無能な政権とだらしない野党に見切りをつけてか、独自の動きが活発化してきた。
2023年10月24日、NHK『日中、平和条約発効から45年 関係改善模索も残る懸案』に一中の動きが活発化するきっかけとなる行事を報告している。
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日中平和友好条約が発効してから45年となった23日、北京で福田元総理大臣や中国の王毅外相らが出席して、記念式典が開かれました
中国の首都、北京にある釣魚台迎賓館で23日に開かれた式典には、日中両国の関係者およそ200人が出席しました。
この中であいさつした王毅外相は、現在の日中関係について「習近平国家主席は両国関係の重要性は今もこれからも変わらないと指摘した。安定的で互恵的な両国関係は世界にも重要な影響力がある」と述べました
 一方で、台湾情勢や歴史問題については「両国関係の政治的基盤と基本的な信義にかかわる」などと述べて、日本側をけん制しました。
 日本側を代表してあいさつした福田康夫・元総理大臣は、45年前、父親の福田赳夫・元総理大臣が平和友好条約を締結した際、自身も立ち会ったことを振り返り「さらに条約の質を高めていくという努力をしなければいけない。それがわれわれの責務だ」と述べました。
  また北京に駐在する垂秀夫大使は、東京電力福島第一原発の処理水放出を受けた日本産水産物の輸入停止措置などの中国側の対応について「もっとも重要なよりどころは科学と理性である」と日本側の立場を示したうえで、日中関係を再構築するには戦略的な思考が重要だと強調しました。
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 この記事の重要な点は、日中平和友好条約締結45周年記念行事を紹介していることではない。そもそも日中が平和友好条約を締結したのは、両国が一致して「一つの中国」を確認したからであった。ところが、日本政府は、昨年来、日本の仮想敵国を中国としたうえに、台湾有事に日本も介入することを公言してしまった。その結果、日本と中国は、平和条約締結後、最悪の関係となってしまった。この点に関して、今月訪米する王毅外相が「安定的で互恵的な両国関係は世界にも重要な影響力がある」と述べていることは、日本が中国を敵国とする関係にあることを解消しようというメッセージなのだ。
 今やアメリカは、人権もイデオロギーもかなぐり捨てて、中国との関係改善に邁進しているが、台湾周辺及び尖閣諸島で散々に危機感を煽ってきたことから現地軍が偶発的な衝突を起すことを警戒するようになった。その様子は、2023年10月25日、日本経済新聞に『米国、中国の次期国防相と対話に意欲 偶発的衝突を懸念』とする記事で確認することができる。
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【ワシントン=中村亮】米国防総省のライダー報道官は24日の記者会見で「米国と中国の高官が対話を続け、軍を含むことが極めて重要だ」と述べた。中国の李尚福国務委員兼国防相の解任を受け、後任との国防トップ対話を目指す。
中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会は24日、李氏の解任を決めた。中国国営中央テレビ(CCTV)が伝えた。全人代常務委は後任を発表していない。李氏は3月に国防相へ選出されていた。
ライダー氏は記者会見で「潜在的な誤解を防ぐために開かれた対話ルートを確保する機会を引き続き探っていく」と言及した。米国は台湾や南シナ海を念頭に偶発的な衝突を避けるため軍同士の対話が必要だと訴えてきた。
米国には李氏の解任が国防トップ対話に向けて追い風になるとの見方がある。中国は李氏が米国の制裁対象となっていることを理由にトップ対話を拒否してきたからだ。
 米中関係をめぐってはブリンケン国務長官やイエレン財務長官、レモンド商務長官が中国との閣僚対話を再開させたが、オースティン国防長官と李氏の会談は見送りになってきた。
11月中旬にインドネシアで拡大東南アジア諸国連合(ASEAN)国防相会議が予定されている。米中の国防トップが参加すれば、会談する可能性がある。国防トップの会談は2022年11月以来、実現していない。
ブリンケン氏やサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は今週、首都ワシントンで中国の王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相と会談する。米政府高官は国防対話がテーマの一つになると説明している。
バイデン政権は、中国との偶発的な軍事衝突を懸念している。国防総省は10月中旬、中国軍機が米国や同盟国の航空機に対して危険な飛行を繰り返していると非難した。2年間で300件近くの事例があると指摘していた。
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 ずばり、アメリカ軍の本音は「台湾や南シナ海を念頭に偶発的な衝突を避ける」ための処置なのである。

 この大失策について、自由民主党と日本外務省は、日本国民にどのように説明する心算なのか。
そして莫大な防衛予算で潤う予定であった経団連は責任の所在を明らかにせよ!
消費税による還付金と云う悪巧みは既に多くの国民の知るところとなっている!
以上(寄稿:近藤雄三)
(NHK配信記事より引用)
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