小日向白朗学会 HP準備室BLOG

小日向白朗氏の功績が、未だ歴史上隠されている”真の事実”を広く知ってもらう為の小日向白朗学会公式HP開設準備室 情報など

第15回BRICSヨハネスバーグ首脳会議の意味

2023-07-27 | 小日向白朗学会 情報
  1. BRICS会議と開催都市ヨハネスバーグ
2023年6月1日、ロイターが『BRICS首脳会議は南アで開催、プーチン大統領氏巡り法的対応検討=外相』を配信している。これによればBRICS首脳会議が2023年8月22日から24日にヨハネスブルグで開催される。そして、ロシアのウクライナ侵攻に関連して国際刑事裁判所(International Criminal Court: ICC)が逮捕状を出しているということから、同首脳会議に、ロシアのプーチン大統領が出席するかが焦点となっているというものである。ICCがプーチン大統領に逮捕状を出しているというならば、ウクライナのならず者ゼレンスキーは様々な容疑で逮捕状が出てもおかしくないはずであるが、トンとその話は聞かない。これは暫くわきに置く。
筆者が同会議に注目したのは、ウクライナ問題が収束しない中でのBRICSとヨハネスバーグという都市である。最初にBRICSであるがブラジル(Brazil), ロシア(Russia), インド(India), 中国(China)、南アフリカ(South Africa)により構成された経済的な関係であって同盟や連合ではない。その理念は、非干渉、平等、相互利益である。その経済規模は、いささか古い統計であるが2003 年にゴールドマンサックス証券の投資家向けレポートでは、BRICS の GDP 合計額は、2039 年には G6(アメリカ・日本・ドイツ・イギリス・フランス・イタリア)の GDP 合計額 を上回り、さらに 2050 年には経済規模の順位が中国・アメリカ・インド・日本・ブラジル・ロシア・イギリス・ドイツ・フランス・イタリアの順になると予測していた。
また、ブルームバーグによれば、2020年にはBRICSとG7(英国、ドイツ、カナダ、日本、イタリア、フランス、米国)の寄与率はそれぞれ31%だった。しかし、近年G7が占める割合は小さくなり始めており、2023年には29.9%に、BRICSは32.1%になるとみられている。そして5年後の2028年には、BRICS の寄与率が33.6%、G7が27.8%になるという。
 どうも世界経済の潮流はBRICSに傾いているようである。
そのBRICSがヨハネスバーグに各国首脳を呼び寄せて何を打合せしようとしているのか。それは金本位制の復活なのだ。金本位制であるが、それは「いつでも固定レートで金と交換できることを保証する通貨制度」のことである。
そもそも現代の国際通貨制度は、第二次大戦中の1944年にアメリカのニューハンプシャー州ブレトン・ウッズで行った会議で金と米ドルとの交換比率を1オンス=35ドルと決め、アメリカ・ドルと各国通貨の交換レートを固定するドル本位制が始まった。その後のアメリカは、1950年代に長期化したベトナム戦争でアメリカ経済が深刻な打撃を受けたことで1971年8月にニクソン大統領が米ドルと金の交換停止とドルの実質切り下げを断行し、同年末に金1オンス=38ドルで多角的に通貨調整をおこなって固定相場制の維持を図ったが失敗した。そして1973年から変動相場制に移行しG7はこの金融制度を採用している。
現代の通貨制度の違いを単純化すると、
BRICS vs.G7=兌換紙幣vs. 不換紙幣=金(gold)vs. 信用
ということになる。この関係式にロシアとウクライナの戦争の当事国と支援国の関係国を入れてみるともっと興味深い結果が生まれる。
当事国(ロシアvs.ウクライナ)≒支援国(BRICS vs.G7)
である。そうなのである。ウクライナとロシアの軍事対立は、実は国際通貨制度の対立でもあるのだ。RUICSヨハナスブルグ首脳会議がいかに重要な会議であるかを理解いただけるであろう。

 2、ウクライナとロシアの対立の原因
これまで国際通貨制度が変化するのは、大体は大きな戦争の勝敗が決まったときなのだ。現在ではウクライナとロシアの戦争である。つまりウクライナとロシアの戦争は2023年8月22日開催のBRICS首脳会議と密接な関係があるのだ。
そもそもロシアがウクライナに侵攻した理由は、マイダン革命で現職のヤヌコーヴィチをロシアに追放したことに始まったことは夙に知られている。
このころのウクライナ経済は2009年の経済危機からの回復が遅れていて、欧州復興開発銀行(EBRD)によれば12年の実質国内総生産(GDP)成長率は2%と低迷し、13年にはマイナス0.5%の景気後退となっていた[i]。13年の景気後退は、干ばつによる農産物生産の不振、対外経済環境の悪化による輸出の低迷、12年の議会選挙後の国内需要の停滞、欧州サッカー選手権(12年に開催)後の投資の大幅な減少などによるものであった。されに財政難のウクライナ政府は巨額の債務返済期限が迫っていて「いずれかの形での資金援助を受けなければ、経済的な安定を維持できない状況にあった」[ii]。ウクライナ・アザロフ首相によれば200億ユーロ(270億米ドル)の融資及び援助を必要としていた。そのためウクライナは、EUとロシアの両方に経済支援を打診していた。これに対してEUは6億1000万ユーロ(8億3800万米ドル)と少額融資を表明したものの、資金提供の見返りとしてウクライナに法律の改正及び改革を要求していた。このような条件を付加したEUの真意は、ウクライナが債務不履行後に当然のこととしてIMF管理に移行させようと考えていたのである。
対するロシアは150億ドルの提供と、ガス価格を千立方メートルあたり約400ドルから同268.5ドルに値下げすることを提案した。さらにロシアは、EUと違い融資に付帯条件を付けることはなかった[iii]。ロシアが提示した金額には、ウクライナの天然ガス代金未払50億ドルが含まれていないことから実質は総額200億ドルとウクライナにとって非常に有利な提案であった。
 2013年12月25日、ウクライナ・アザロフ首相は、ロシアがユーロ建ウクライナ国債を購入することにより総額150億ドルと、天然ガス輸出価格の値下げすることことに合意した。また、アザロフは同月24日に既に初回分として30億ドルを受領済みであることも公表した。これら一連の動きに付いてアザロフ首相は「ロシアからの援助は、わが国の財政と経済を安定化させる重大な要因だ」と述べた[iv]。このヤヌコーヴィチ内閣が融資をロシアから受けることにしたのは、ウクライナがEU加盟手続きを進めても加盟となるのは長期の年月を要することから当面の寒厳期をロシアの援助で乗り切ることを優先した結果であった。しかし、このヤヌコーヴィチの発表に欧州統合支持者や政権汚職に反対する市民は納得せず大規模な反政府デモが発生することになった。そして、ヤヌコーヴィチ政権は崩壊した。
 その後のウクライナは、本来ならば2015年3月29日に行われる予定であったウクライナ大統領選挙を2014年5月25日に実施してポロシェンコが過半数を制し大統領に選出された。同年6月6日にポロシェンコは大統領に就任することになった[v]。ちなみに同大統領選挙で2位となったのは、あの2004年のオレンジ革命の中心人物であり、ロシアから天然ガスを輸入する際に中間利益を加えたことからウクライナのガス価格が高騰しウクライナ経済に壊滅的な被害を与えた[vi]ティモシェンコ元首相であった。どちらの候補が勝利してもEUとNATO加盟を推進する立場に変わりはなくヤヌコーヴィチ追放後におこなった大政翼賛選挙であったことは間違いない。
 同年4月30日、同大統領選挙に先立ち、IMF理事会はウクライナに約171億ドルの金融支援を実施することを正式に承認した。そして同年5月7日にウクライナ政府は第1回目の融資を受けとっている[vii]。
つまりウクライナの政変とは、ウクライナがEUとG7の西側経済圏にはいるか、BRICSの経済圏に入るかの対立であった。平たく言えば、IMFはウクライナに融資し莫大な利息をうけとることができなかったことからクーデターによる政変で趣意返しをしたのだ。
 IMFの融資が始まった後のウクライナ内政は、国内に残る親ロシアを抑え込んで政権を安定させることであった。そしてウクライナ政権はアゾフ大隊(注:日本の公安調査庁でも同団体をネオナチとして監視していたが、ロシアのウクライナ侵攻後削除されている)と云うギャングをつかって親ロシア勢力を排除することにした。ウクライナ各地で親ロシアの排斥が始まり血なまぐさい対立が続いた。
 ところでヤヌコーヴィチ追放でロシアの融資を覆されたプーチン大統領は、アメリカ、イギリス、EU、NATO、IMFの「悪巧み」を予測して、2013年末にロシアがヤヌコビッチ政権に融資した30億ドルのユーロ債に強力な時限爆弾を組み込んでいた。ロシアの融資条件に、ウクライナの財政悪化に歯止めが掛からない場合、ロシア政府が即時返済を要求できる条項を盛り込んでいた[viii]。それは、ウクライナが発行したユーロ債はイギリスの法準拠とし、イギリスの裁判所が法的強制力を持てるような仕組みになっていた。そのため、たとえウクライナが債務不履行となっても全債務の約5分の1を保有するロシアが債権者として強い影響力を保持したままであることが判明した。その詳細は、小日向白朗学会HP準備室BLOG『日本の安全保障に関する情報戦(プロパガンダ)(第三回 2-1) -日本政府の隠蔽と虚言-』(クリックで遷移)で紹介ずみである。その中で引用したロイター(2014年9月25日)『焦点:ウクライナに債務不履行懸念、ロシア向け債権めぐる憶測で」は西側の「悪巧み」を紹介したが、この寄稿文でも全文を載せておく。
『……
[ロンドン 24日 ロイター] - ウクライナのドル建て債が売られたことで、ロシアが旧ヤヌコビッチ政権時代のウクライナから支援の一環として引き受けた30億ドルのユーロ債に関心が集まっている。投資家の間では、プーチン大統領がこの債務を利用してウクライナ政府の発行したユーロ債の幅広い銘柄に債務不履行を引き起こすのではないかと懸念が高まっている。
このユーロ債は昨年末に発行された。ウクライナの財政悪化に歯止めが掛からない場合、ロシア政府が即時返済を要求できる条項が盛り込まれている。
つまり西側諸国の貸し手はウクライナ向け融資の拡大を余儀なくされる可能性がある。またその可能性は低いとは言え最悪のケースでは、ロシア向け返済が期日を守れず、ほとんどのユーロ債に付随する「クロスデフォルト条項」(デフォルト発生時には債務者が抱える返済期日が来ていない残りの借り入れも不履行とみなす取り決め)が発効してウクライナが他のドル建て債についても返済を迫られることもあり得る。
プーチン大統領は経済的な影響力を最大限に駆使し、西側寄りのポロシェンコ・ウクライナ大統領が欧州連合(EU)と自由貿易協定を結ぶのを阻止する構えだ。
このユーロ債の問題の核心は、ウクライナの国債と政府保証債の対国内総生産(GDP)比率が一時たりとも60%を超えてはならないという、めったにない条項が付帯している点にある。
ウクライナは経済の悪化と通貨フリブナの下落が続き、債務の対GDP比率は既にこの上限を上回っているかもしれない。そうでなくとも、国際通貨基金(IMF)が見込む今年末の債務比率は67%だ。
スタンダード・バンクのアナリストのティム・アッシュ氏は「債務比率が限度を超えるのは間違いない。ロシアはこのユーロ債を使ってウクライナを苦しめる公算が大きい」と話す。
もっともロシアとしては即時返済を求めずともウクライナに対する立場を強める手段が他にもある。
<ロシアの影響力>
抜け目ないロシア政府は問題のユーロ債を英国法準拠とし、英国の裁判所が法的強制力を持てるような仕組みにした。だから返済要求をせずとも、ウクライナが債務再編に追い込まれた場合にロシア政府は全体の約5分の1を保有する債権者として強い影響力を持つ。
他に債権者は少なく、ロシア抜きなら債務再編は比較的簡単になるだろう。つまりウクライナにとってはロシア向けのユーロ債が償還期限を迎える2015年12月まで債務再編を遅らせて、ロシアが再編交渉のテーブルに着けないようにするのが得策だ。しかし今のところウクライナがそれまで持ちこたえられるようにはみえない。
一方、プーチン大統領のウクライナへの影響力行使はロシア政府にとってもリスクを伴う。
ロシアの銀行は既に一部が西側の経済制裁の影響にさらされているが、ウクライナが債務不履行に陥れば打撃を受ける。ズベルバンク、VTB、アルファの大手3行はウクライナでも大手の立場にある。ムーディーズの昨年の推計によると、ガスプロムバンク、VEB、ズベルバンク、VTBのウクライナ向けのエクスポージャーは合計で最大300億ドルに達する。
<不愉快な債務>
ウクライナの財政悪化にともない、債券市場は債務再編を織り込み始めた。
オックスフォード・エコノミクスのグローバル・マクロ・ヘッドのガブリエル・スターン氏は、ギリシャは2012年を期限とする債務120億ユーロの返済が大き過ぎて不履行に陥ったと指摘した。ウクライナにとっては50億ドル程度の天然ガス代金を除けばロシア向けユーロ債が最大の支払い案件だ。
スターン氏は「ウクライナはある時点で返済ができないと認めざるを得ないし、私のみるところ30億ドルの返済がそのときだ」と話す。
これまでのところウクライナがこの債務返済を拒否する兆しはみえないが、そうすべきだとの見方もある。
ジョージタウン大のアン・ゲルパーン教授はこうした主張を強く展開している1人。ウクライナはこの債務は「不愉快な債務(odious debt)」だとして支払いを拒否すべきだと主張し、英国の議会と裁判所もこのユーロ債の契約履行を拒否すべきだとしている。不愉快な債務とは、前体制が借りたもので、不適切、あるいは国民の利益に適わない債務を指す言葉だ。
一方、BNPパリバの新興国市場戦略部門ヘッドのデービッド・シュピーゲル氏は、裁判所が「不愉快な債務」という主張を認めたことはほとんどないと指摘。「ヤヌコビッチ氏が借りた債務なのは事実だし、同氏は公的な利益で動いていなかったという主張は存在する。しかしヤヌコビッチ氏が民主的な選挙で選ばれたという事実は変わらず、不愉快な債務という主張は裁判では通用しないだろう」と述べた。
……』
ヤヌコーヴィチ追放の目的は、ロシア融資を反故にする為だけではなかった。アメリカ、イギリス、EU、NATOはIMFがウクライナに融資した経済利権を守るためNATOをウクライナに配備して、ロシアの下腹にNATOの核を設置しようとしていたのだ。これではプーチン大統領が怒ったとして当たり前である。プーチン大統領が正しいのだ。これを卑近な例でいうと、昔、国民的大スター高倉健が主演した東映映画と同じ筋書きだと思えばほぼ間違いない。無論、プーチン大統領が高倉健である。冗談が過ぎた。
そしてこの時ウクライナがIMFから融資を受けていることが、現在も続いているウクライナとロシアによる戦争でウクライナが無条件降伏できない理由でもある。それはNATOやEUは、ウクライナの戦後復興をIMF主導でおこなうことでウクライナに対しておこなった融資の返済を円滑に進めるだけではなく、復興資金と云う莫大な新規融資を狙っているのだ。西側諸国は、ウクライナに対する復興資金と云う新たな投資案件を失わないためには、ゼレンスキーが敗れては困るのだ。そのため西側諸国は、ウクライナがロシアに一撃を加えるだけの戦力を提供するとともに、国際世論を誘導してゼレンスキー体制を維持させて融資資金の保全を図ろうとしているのだ。もしもゼレンスキーがロシアに無条件降伏した場合に、ウクライナ復興の主導権はロシアが握ることとなる。その際、IMFがウクライナに融資した莫大な資金は、国際通貨制度が異なるため紙くずになる可能性が高い。G7及びEUそしてNATOはゼレンスキーに資金と兵器を供与し叱咤激励して戦争に駆り立てているのだ。そして本年春から西側はウクライナの大攻勢を声高に喧伝してきたが、実際にはウクライナが勝利することはあり得ないことが明らかになっている。
その原因の一つとしてウクライナの指導者ゼレンスキーがパフォーマンスはうまいが戦争の素人だということである。彼は幾度も幾度も反転攻勢を口にしてきた。対するロシアは敵が攻めてくると、攻めてくると大騒ぎしていてその際に使用する兵器も数量も後方支援の規模もわかっているのだから、迎え撃つ準備を「おさおさ怠りなく」行えばよいだけであった。このことに付いてアメリカ統合参謀本部議長のマーク・ミリーも認めていて「ロシア人には多層防御線を構築する時間があった」と述べている。その結果、現在のウクライナ軍は壊滅的な損害を被っており、今後、継続して戦争を遂行する能力も資金もない。したがって現在のウクライナに残された道はロシアに白旗をあげる以外にない。その時、ウクライナに残されたものは、コメディアンの大統領と、疲弊した経済と、焼け野原となった国土という厳しく且つ過酷な現実である。

 3、ヨハネスブルグと金(gold) 
ところでBRICS首脳会議が開催されるのは南アフリカ・ヨハナスブルグという町であるが、この町の歴史をたどるとBRICS首脳会議の違った意味合いが見えてくる。
この町は、1830年代ころから、イギリス領ケープ植民地に居住していたオランダ系移民(ボーア人)が、イギリス統治への反発などから、内陸への集団移動を開始した。その結果、ヴァール川の北方(トランスヴァール)にボーア人が拠点を築くことになってできた街なのである。そしてケープ植民地との武力闘争後の1852年にトランスヴァール共和国( Transvaal Republic)が成立した後も大きな変化はなかった。しかし、1886年にヨハネスブルグ金鉱ウィットウォーターズランド(Witwatersrand)で金鉱脈が発見されると、移住者が増加し様相が一変した。それと同時にイギリスは金とダイアモンドを独占することを目指しオレンジ自由国(Orange Free State)及びトランスヴァール共和国(Transvaal Republic)と第二次ボーア戦争(Second Boer War)(1899年10月11日 - 1902年5月31日)となった。その先頭に立っていたのはセシル・ローズ(Cecil John Rhodes)であった。戦争の詳細は省くが、この戦争により大きな影響を受けた国があった。それは日本である。イギリスは、金及びダイアモンドを独占するため、2億1,115万6,000ポンドに及ぶ莫大な戦費と347,000名の陸軍を投入することになった。その結果、清国で義和団事件が起きるとイギリス、アメリカ、ロシア、フランス、ドイツ、オーストリア=ハンガリー、イタリアら欧米七列強と日本による8か国で連合軍を編成して各国大使館員を救出する作戦を実行した。しかし連合国の中で中国に最大の利権を有するイギリスは、欲望に任せて始めたボーア戦争の最中でもあり、申し訳程度の兵力しか投入することができなかった。これに対してペルシャ、アフガニスタン、チベットとインド防衛ラインを形成する地域で対立していたロシアは、義和団事件を口実に満洲に進出することが可能となってしまった。イギリスとしてはこの事態を放置することは、後々、上海、香港の防衛に重要な脅威を及ぼす可能性があった。そこで考えられた戦略は、日本をロシアに対峙させることであった。その手始めとして日英同盟の締結し、そして開始させたのが日露戦争であった。努々、日露戦争は「ロシアが日本に脅威を及ぼした」ことで戦うことになったという巧妙な作話に騙されないことである。
日本がイギリスの巧妙な戦略に気が付くのは日英同盟改定後に条約の運用を協議する時である。イギリスは、日本陸軍をアフガニスタンやペルシャに派遣させてインド防衛の一翼として利用することだったのである。何やら現代の「開かれたインド太平洋」と同じ匂いがするのは筆者だけであろうか。つまりイギリスは、金とダイアモンドの収奪に自国軍隊を使い、イギリスの最大の敵国であるロシアに日本を使うという今も昔の変わらない強欲な国なのである。
ボーア戦争当時のイギリスと、BRICS首脳会議を開催される今年のイギリスを比べると隔絶の感が否めない。
ボーア戦争当時のイギリスは強力な海軍力と金本位制度を武器に巧妙な外交を展開し覇権を謳歌していた。しかし、現在のイギリスは、海軍は勃興するBRICSをおさえるため「インド太平洋」の防衛に自衛隊を利用することでその微弱さを補おうと躍起となり、イギリスの東側防衛ラインを形成するNATOの戦力は張子の虎に過ぎず、そのうえ金融は変動相場制と云う実体のない決済システムを維持することに躍起となっている。したがってBRICSヨハネスブル首脳会議で「金本位制」が決まれば、イギリスとアメリカの衰退は確実となる。
それと共にウクライナの戦争は終局へ向かい最終的にウクライナ経済はBRICS圏に向かうことになる。それはウクライナの特産物である穀物は不換紙幣経済圏で取引するよりも、兌換紙幣経済圏で取引する方が有利である。ところがゼレンスキーは不換紙幣経済圏に入ることを求めてやまない。したがって、ウクライナ政府と国民は、大きく分裂すると考えられる。ならば今後のゼレンスキー政権は軍事の面でも、経済の面でも命脈は尽きることになる。

 尚、NATOが単なる張子の虎であることは、やはり、小日向白朗学会HP準備室BLOG『日本の安全保障に関する情報戦(プロパガンダ)(第三回 3) -日本政府の隠蔽と虚言-』(クリックで遷移)で、2018年5月22日付Spiegel誌が「ドイツ空軍主力戦闘機「ユーロ・ファイター」の内、戦闘任務に投入できる機数は全128機の内わずか4機」や「ドイツ陸軍が保有するレオパルト2戦車244輌の内、戦闘行動可能なのは95輌」であることなどを紹介ずみである。NATOは各国のなけなしの兵器をウクライナに逐次、送っていることから戦略的にも戦術的にも勝敗は明らかなのである。唯一つ西側が有利なのはプロパガンダだけである。

 4、ブリンケン、イエレンそしてキッシンジャーの訪中
 BRICSが金本位性に移行していくなかで、不換紙幣の法主、アメリカの動向についてみておく。
アントニー・J・ブリンケン(Antony John Blinken)国務長官は、2023年6月18日から19日にかけて、習近平国家主席、中国共産党中央外交弁公室の王毅主任、秦剛国務委員兼外相と会談するため中華人民共和国首都北京を訪問した。アメリカ国務省によれば表向きの会談内容は「双方は2国間関係や幅広い国際的・地域的な課題について、率直で建設的な議論を行った」としている。しかし、本当の理由は「中国がロシアに立ってウクライナとの戦争に参戦もしくは介入する」ことを止めるため出かけたと考えられる。このように考える理由は、会談終了後のブリンケンの記者会見にある。
ブリンケンはバイデン政権が進めている対中国包囲網を包囲する政策とは全く正反対の「one china policy」を堅持することを表明してしまった。この「one china policy」とは、これもまた「ブリンケン国務長官の訪中と「One China policy」そしてウクライナ復興会議」(クリックで遷移)で述べているが、再度、その詳細を引用しておく。
『……
台湾問題は中国と合衆国のあいだの関係正常化を妨げている決定的な問題であること。中華人民共和国政府が中国の唯一、正当な政府であること。台湾はすでにずっと以前に母国に返還されている中国の一省であること。台湾の開放は中国の内政問題であって、他のいかなる国にも干渉する権利はないこと。そして、すべての米軍及び米軍事施設台湾から撤去されなければならないこと。中国政府は、「一つの台湾」「一つの中国、二つの政府」「台湾独立」などを創り出すことを目的としたり「台湾の地位は未定である」と主張したりするいかなる活動にも断固反対する。・・・・・・合衆国側は次のように宣言した。合衆国は、台湾海峡の両側のすべての中国人が、中国はただ一つであり、台湾は中国の一部であると主張していることを認識する。合衆国政府はその立場に異議を申し立てない。合衆国政府は、中国人自身による台湾問題の平和的解決に関心を持っていることをかさねて強調する。この展望を前提として、合衆国政府は、すべての米軍および米軍事施設を台湾から撤去するという最終目標を確認する。その間に、合衆国政府は、この地域における緊張が減少するにしたがって、台湾における米軍および米軍事施設を漸減させるであろう。
……』
ブリンケンはバイデン政権が進める反中国政策が正当性だということを発信しておくためアリバイとして訪中したのであろう。ところがここで中国首脳の反撃にあい「one china policy」が現在も有効であることを認めざるを得ない羽目に陥ってしまった。そのため言い訳がましい記者会見となったのだ。
そもそもバイデン政権が反中国政策を具体的に動き出したのは、2022年8月2日、アメリカのナンシー・ペロシ(Nancy Patricia Pelosi)下院議長が台湾を訪問したことに始まる。ペロシの台湾訪問についてBBCニュースは次のように伝えていた。
『……
ペロシ氏は台湾への到着前に声明を発表。今回の訪問は「台湾の活力ある民主主義を支援するというアメリカの揺るぎない約束」を尊重するものだとし、アメリカ政府の方針と矛盾しないと主張した。また、「世界が独裁と民主主義との間で選択を迫られているなか、台湾の2300万人とアメリカがいま連帯するのは、かつてないほど重要だ」とした。この声明が出されたのと同じタイミングで、米紙ワシントン・ポストはペロシ氏の寄稿を掲載。その中で同氏は、台湾の「強固な民主主義が(中略)脅かされている」と書いた。また、「中国共産党が攻撃を加速させる中での私たち議会代表団の訪問は、アメリカが台湾を支持していることの明確な表明と見なされるべきだ。台湾は民主的なパートナーであり、自らと、自らの自由を防衛しているとした。
……』
そうである。NATOや日本政府は、ロシアがウクライナに侵攻したことにたいして「力による一方的変更を許さない」と声高にロシアを非難していたこととおなじ文脈のものである。つまりペロシは既に半世紀前に解決済の問題を蒸し返して極東の安全保障に火をつけるために訪台したのだ。
このペロシ訪台で極東情勢を流動化させたことに相応して、日本政府はNATOとイギリス王立防衛安全保障研究所(RUSI:The Office of Distinguished Ambassador to Japan Royal United Services Institute for Defence and Security Studies, UK)の協力で作成したのが「2022年 防衛三文書」なのである。その中で日本の敵はロシア、中国、北朝鮮と決定した。そして出てきたのが「台湾海峡の平和と安定は、国際社会の平和と安定と繁栄に不可欠」という意味不明の文言である。これは、中国が台湾に侵攻を開始した場合に、日本は国際社会の平和と安定という大義名分で自衛隊を台湾有事に参戦させたいということである。
これは危機を煽り莫大な予算を獲得しようとする日本政府の「悪巧み」を支援する輿論操作なのである。そもそも自衛隊の指揮権を持つアメリカ軍は、台湾有事に参戦して自衛隊を台湾防衛部隊として使用することを決めている。それを正当化して日本国民を納得させるために台湾有事と国民的な関心事である尖閣諸島問題をリンクさせて自衛隊が台湾防衛に参戦した場合に国民の拒絶反応を和らげるために仕組んでおいたのだ。加えて尖閣問題に関して日本政府は国民に公表できない事実がある。それは、台湾が尖閣列島を自国領だと主張していることである。この経緯は、岸信介が蒋介石に対して、尖閣諸島近海で石油の埋蔵が確認されていることから台湾が領有宣言をおこない台湾が独自に採掘することを勧めたのであり、これを受けて蒋介石が尖閣列島の領有宣言をおこなった、というものもである。この岸信介による売国行動は、その直後から国会で大きく取り上げられ大問題となった。慌てた政府は、時の内閣総理大臣であり岸信介の実弟である佐藤栄作が尖閣列島は日本領土であるという声明を発表して事態の収拾を図った。その結果、蒋介石は、開発中止を決定したものの尖閣諸島領有宣言に付いては、取消すことなく現代まで至っている。現在の台湾政府は中国が台湾進攻したばあいにアメリカ軍と自衛隊による支援を期待して日台友好を進めているが、その一方で日本人の愛国心に火をつけてしまった尖閣領有問題では依然として領有を取り下げていないのだ。つまり二重規範なのだ。そしてこの台湾が尖閣列島の領有を主張していることは、中国の「one china policy」からすると尖閣も自国領となってしまう。ここが尖閣列島問題の核心なのである。
台湾有事にアメリカ軍の指揮のもと自衛隊が死に物狂いで自国領土の防衛に当たった尖閣は、実は日本のものではなく台湾領有だったとしたら、それは、まるで詐欺のようなものである。
 もしも、この事実を日本国民が知ったならば台湾防衛など誰も言い出さないであろう。そのため日本政府は台湾による尖閣諸島領有宣言の存在を公表することは控えているのである。なぜ日本政府は、詐欺まがいの防衛政策をおこなっているのかというと「尖閣列島防衛」を掲げる方が莫大な防衛予算を獲得できるからである。
 ところで、台湾有事に駐留アメリカ軍が如何なる行動を取るのかが如実にわかる実例がある。1958(昭和33)年8月23日、台湾の金門島に対し中国人民解放軍が同島に侵攻するため砲撃を開始した。第2次台湾海峡危機である。これに対し日本に駐留するアメリカ海軍第七艦隊は空母7隻を台湾海峡に出動させている。この事態に国会では台湾有事と「日米全保障条約」及び「行政協定(日米地位協定)」は密接不可分であって、日本政府としては、アメリカ軍の行動に何ら対処する術がないことを明らかにしている。その会議議事録は「第29回国会 参議院 外務委員会 閉会後第3号 昭和33年8月29日」である。
『……
007 岡田宗司
○岡田宗司君 
……日本が、日米安全保障条約によりましてアメリカ軍の日本に駐留することを認め、日本に軍事基地を提供しておる。で、今日、私は、アメリカ軍がこの基地を中国の紛争のために使っておるかどうか、これは私知りませんが、しかしながら、安全保障条約や行政協定の規定によりますというと、ここにおけるアメリカ軍は、完全なる行動の自由をとることを許されておるわけであります。そして、アメリカ軍はいつでも日本の飛行基地から飛び立つことができるし、アメリカの戦闘に従事する戦闘態勢を整えた艦船も、日本の軍港にいつでも入ることができ、出ていくことができるわけです……あの台湾海峡における軍事行動に、日本のアメリカ軍基地なり日本におけるアメリカ軍というものは密接なつながりを持っておりまして……その基地を提供し、アメリカ軍を駐留さしておる日本も、とにかくこの危険に巻き込まれる……法律的に言えば……安全保障条約並びに行政協定に基いてアメリカ軍が行動をすることに対して、日本は異議を差しはさむ余地はないかもしれません。しかしながら、……そういう際に、アメリカ軍が日本の基地を利用し、また、ここにおるアメリカ軍がこの戦闘に参加するということに対しまして、外務大臣は、これをやらせないようにアメリカに申し入れをする、あるいはアメリカと協議をするというおつもりがあるかどうか、その点をお伺いしたいのであります。
……』
質問者である岡田宗司は「台湾有事にアメリカ軍は安全保障条約及び行政協定に基いて行動をすることに対して、日本は異議を差しはさむ余地はない」が「日本政府としてアメリカ軍に戦争に参加することを協議できるか」と問いただした。これに対する外務大臣藤山愛一郎は協議することはできるとは終ぞ言わなかった。いや、外務大臣はできるとは言えないのだ。日本は自衛隊指揮権をアメリカに売渡してことから自衛隊の運用に関してアメリカは日本政府の了解を得る必要も、協議する義務も微塵もないからである。アメリカ軍の日本での法的立場は「超法規」なのだ。昭和33年当時の国会議論で注目すべき点がもう一つある。それは尖閣諸島の問題が出てこないということである。つまり、アメリカ軍は尖閣問題があってもなくとも台湾有事に自衛隊を指揮して参戦するのだ。これでお判りであろう。ペロシが台湾を訪問したのはロシアがウクライナに侵攻したことを利用して1958(昭和33)年と同様の台湾有事を作り出すことすことだったのである。

 これに悪乗りするかの如く日本国内では2022年09月07日付けで「台湾を見捨てない 今こそ、国防強化で日本を守り抜く」[ix]など日本が台湾防衛に寄与することを政策にすべきだとするトンデモ論議まで出させて輿論の反応を窺っていたのだ。
 その後、日本政府は、令和4年9月22日、内閣総理大臣岸田文雄が「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の開催を決定した。この告示を受けて、同有識者会議は、開催決定から僅か一週間の令和4年09月30日には開催される運びとなった。第一回目の会議には、有識者として上山隆大、翁百合、喜多恒雄、園部毅、黒江哲郎、佐々江賢一郎、中西寛、橋本和仁、山口寿一が、政府側として岸田内閣総理大臣.木原内閣官房副長官〔官房長官代理〕、林外務大臣、鈴木財務大臣、浜田防衛大臣等が出席した。
つまり、防衛と外交利権の関係者を集めて有識者会議を開催して、政府に有益な政策を提言させるという芝居を打ったのだ。その後、日本政府が、この有識者会議の提言をうけて急遽作成したのが「防衛三文書」という莫大な予算を必要とする根拠を造った。(尚、「令和4年日本国国防方針」批判(第二回) -国防権のない日本の危険な外交と国防-」(クリックで遷移)に詳細を報告済である。)
 そして、そもそも予算根拠に乏しいことを自覚している政府は、毎年国会で予算審議をしていては、そのうちにぼろが出ることを恐れ「防衛財源確保法」を制定して国会で防衛論議を行わないで莫大な予算を手に入れることに成功した。そして令和5年6月21日に第211回国会を閉会した。ここまでは政府の目論見通りにすすめることができた。
ところがブリンケンは、2023年6月18日に訪中し、習近平国家主席、中国共産党中央外交弁公室王毅主任、秦剛国務委員兼外相と会談をおこなったが中国の激しい抵抗にあい「one china policy」を渋々認めることになってしまった。これで、バイデン政権は台湾有事があったとしても、何ら関わらないことを中国に再確認させられてしまったのだ。すなわちブリンケンの訪中は「藪をつついて蛇を出す」という結果におわってしまった。ところがアメリカの失態はさらに続くことになった。ブリンケンが中国を去った翌日、バイデン大統領は習氏を「独裁者」と呼び、中国政府が厳重に抗議する事態となってしまった。怒れる中国政府を鎮めるため、今度はイエレン財務長官を謝罪特使として中国に派遣することにした。イエレンが北京に到着したのが2023年7月6日である。北京に到着したイエレンは何立峰副首相に会った時に3回もお辞儀をしたことと、李強首相と会ったときも「へつらう」様な笑顔を向けているが様々なメディアに報じられてしまった。イエレンが謝罪特使ならば説明がつくはなしである。
 イエレンが北京を訪れた直後の2023年7月18日、こんどはキッシンジャーが中国を訪問し、李尚福国防相と会談をおこなった[x]。そしてキッシンジャーは「米中は誤解をなくし、平和的に共存し、対立を避けるべきだ。米国も中国も、相手を敵対視する余裕はないことは、歴史と実践が絶えず証明してきた」と述べた。
 この意味するところは、1972年2月27日に、ニクソン大統領、キッシンジャー補佐官、周恩来首相により纏められた上海コミュニケ(Shanghai Communiqué)について、キッシンジャーはわざわざ訪中しアメリカは今後も「one china policy」を堅持すると中国に確約した。したがってバイデン政権が進めていた中国包囲政策は放棄されたのだ。
それと同時に、日本政府の安全保障政策は破城してしまったのだ。

尚、上海コミュニケに付いては小日向白朗学会HP準備室BLOG「上海コミュニケ  1972.2.28から」を参考にされたい。


 5、防衛三文書には根拠がなく莫大な予算を獲得するための欺瞞であった
防衛三文書で日本は仮想敵国をロシア、中国、北朝鮮とし、自国防衛力強化を図るとともに日米安全保障条約によりアメリカと共同して仮想敵国と対峙することを決めている。ところが、ブリンケン国務長官は訪中した際にアメリカは「一つの中国」(one china policy)につて合意していることから中国とは戦わないことを再確認してしまった。すなわち、台湾有事もしくは尖閣有事にアメリカ軍は中国と戦争をしないと言っているのだ。日本の防衛三文書で決めた日本の安全保障政策は根拠がないどころの話ではなく、国民の目を欺くためプロパガンダを連日テレビに出演させて偽情報で輿論操作をおこなうという計画的かつ恣意的な政策だったのである。したがって次回開催する国会で、防衛三文書を根拠とする安全保障政策と防衛費に関するこれまでの審議が国民を騙し国民の税金を恣意的に使おうとした詐欺的な政策であったことから、国会が紛糾して当たり前なのである。
 このような国賊的な安全保障政策を白々しくも日本の安全保障政策であると公言してきた自由民主党であるが、これを命じたのは日米安全保障条約を効率的に運用するため日米地位協定25条の規定に従い設置された日米合同委員会というGHQ(General Headquarters)なのである。この日米合同委員会が日本政府に命じたのが防衛三文書なのである。そして、何故に日米合同委員会が日本政府に取るべき政策を命じることができるのかと云うと、吉田茂と岸信介が自衛隊の指揮権(統帥権)をアメリカに売渡し、さらに日本の主権である電波権や航空管制権を国民に知られないように次々と売飛ばしていたからなのである。そのため日本国民は基本的人権すら無視され塗炭の苦しみを味わっているのだ。最近では、横田基地内で発癌性のあるPFAS(有機フッ素化合物)を含む泡消火剤の漏出あったことが確認されているが、日本政府は日米地位協定があることから横田基地を使用停止にすることができない。しかし、昭四二年に制定した公害対策基本法では「第一条 この法律は、事業者、国及び地方公共団体の公害の防止に関する責務を明らかにし、並びに公害の防止に関する施策の基本となる事項を定めることにより、公害対策の総合的推進を図り、もつて国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全することを目的とする。」とある。そして現在の日本政府は、国民の健康を保護することも、生活環境を保全することも行っていないのだ。
「無能ここに極まれり」という話で、日本政府は統治能力をなくしているのだ。
ならば、アメリカに日本の主権を売渡すことで政権を維持してきた自由民主党をその座から引きずり下ろして国権を回復すことこそが、野党国会議員が党派を超えて最優先で行わなければならない仕事なのだ。その後、国会でイデオロギー論争でも、憲法改正論でも、ナルシシズム(narcissism)の披歴でもなんでもやっていただいて結構である。日本国憲法で許された言論の自由により、赤でも黒でも納得のゆくまで議論の限りを尽くしていただきたい。
ところが国民民主党党首玉木雄一郎や立憲民主党健太は、自由民主党と日本労働組合総連合会(連合)が仕組んだ野党分断工作に唯々諾々と従うと云う間抜けであるだけではなく、腑抜けで、口先だけの党首というほかない。このような党首がいる限り国民の声は永遠に反映されないし救われない。
その間抜けぶりは、自由民主党が単独で政権を維持できなくなった時のために予備として準備してきた「維新の会」という「日本に首都が二ついる」や「賭博をアミューズメント」と主張するトンデモ政策を旗印にする覆面与党にまで馬鹿にされる始末なのである。最近では、覆面与党という立場をかなぐり捨てて公明党の代わりに与党入りすることを目指して、東京六区に自民党幹部の長男が「維新の会」から出馬するという。危機意識のない野党より、与党の方が、候補者調整が数段に先行している何よりの証拠なのだ。更には2023年7月23日に、日本維新の会の馬場伸幸代表は、インターネット番組「ABEMA的ニュースショー」で日本維新の会は「第1自民党と第2自民党が改革合戦をして国家・国民のために競い合うべきだ」と、売国政党自由民主党の第二列だと公言しているのだ。敵ながらあっぱれである。
ならば再度いう、いま、野党がやらなければならない最大の仕事は、売国政党自由民主党を政権の座から引きずり下ろすための「選挙」という国民運動を真剣に戦うことなのだ。そして70年の長きにわたり主権をアメリカに売渡しきた自由民主党が今後も政権に居座ることがよいかについて民意を問う必要がある。そのために野党は連携し全選挙区に候補者を立てなければ全国民の民意を聞くことにはならないのだ。
できない理由をグダグダと言い訳する政治家はリーダーであってはいけないのだ。

P.S.  
この原稿を投稿する前に日本労働組合総連合会(連合)のニュースが相次いで報道された。
第一が、2023年7月21日、日本経済新聞に「芳野連合会長、次期衆院選《立民・国民は候補者調整を》」に連合会長芳野友子氏の政局に対する連合の立場を説明する記事が掲載された。芳野氏の要点は「連合として一貫して候補者調整をやってほしいと言っている」であり「共産党との関係はあり得ない。連合の考え方ははっきりしている」だとしている。国難である自民党との関係に付いて主権回復よりもイデオロギーが優先する、つまり、自民党とは対峙しないと言っているのだ。やはり連合が国民民主党と立憲民主党を支援する意味は、自民党政権を脅かす存在とならないように分断しておくことが最大の理由なのだ。
さらに2023年7月21日、朝日新聞デジタル版には「連合会長の出身労組はベアなし 「組合員は悔しい思いをした」」という記事が掲載された。芳野会長の出身母体ではベースアップすら獲得できなかったというのである。
直参組合はもとより国民は物価高騰と低い給与に困窮している。それを救うのが「連合」の役割であったはずである。しかし現在の「連合」はCIAによる野党分断工作(これは陰謀論ではない。アメリカ公文書に残る史実である)にいそしむ労働貴族であることから「ケセラセラ」なのである。連合は、物価高騰により組合員の可処分所得が減っていることを憂いているならば、何故に「消費税撤廃」を云わないのだろう。そうすれば組合員の給与は確実に10%増えたと同じ効果がある。しかし、労働貴族は「日本の財政が破綻する」などと「物知り顔」で政府と同じように説明するであろうが、政府が破綻する前に国民が破綻するのだ。
そこまでいかなくとも、少なくとも「組合費免除」を言い出さないのだろうか。組合員の窮状に耳を傾けない日本労働組合総連合会(連合)は不要であるばかりか、日本の国難を助長する存在なのだ。
以上(寄稿:近藤雄三)

[i] 「ウクライナの経済危機とビジネス環境」https://iti.or.jp/flash/223 (2023.02.05閲覧)

[ii] 産経新聞(2013/12/18)「ロシア、ウクライナに1・5兆円財政支援、ガス価格も値下げ 首脳会談」

https://www.sankei.com/article/20131218-UGJGXR5KQJLKZG6ATXAXHL6KDU/ (2023.02.08閲覧)。

[iii] 産経新聞(2013/12/18)「ロシア、ウクライナに1・5兆円財政支援、ガス価格も値下げ 首脳会談」

https://www.sankei.com/article/20131218-UGJGXR5KQJLKZG6ATXAXHL6KDU/ (2023.02.08閲覧)。

[iv] 「ロシア、ウクライナに150億ドルの緊急援助へ」『ロイター』(2013年12月25日)

https://jp.rEUters.com/article/l3n0k40wy-ukraine-russia-bailout-idJPTYE9BO05S20131225 (2023.02.08閲覧)。

[v] ロイター(2014年6月6日)「ウクライナ、さらに領土失えばデフォルトの公算=S&P」

https://www.rEUters.com/articlEUkraine-default-sp-idJPKBN0DL0WL20140505 (2023.02.08閲覧)

[vi] (2011年8月9日)「ティモシェンコの裁判がキエフで再開されると抗議者が集まる」

https://www.bbc.com/news/world-europe-14419216 2023.02.10閲覧)。

[vii] JETRO(2014年5月23)「IMFの金融支援で当面のデフォルト危機を回避」

https://www.jetro.go.jp/biznews/2014/05/537c16f2088b8.html (2023.02.08閲覧)

[viii] (2014年9月25日)「焦点:ウクライナに債務不履行懸念、ロシア向け債権めぐる憶測で」

https://www.rEUters.com/article/analysis-ukraine-default-possibility-idJPKCN0HK0CN20140925 (2023.02.08閲覧)。

[ix] 「幸福実現党NEWS」https://info.hr-party.jp/2022/12942/(2023.07.25閲覧)。

[x] 2023年7月18日、ロイター「再送中国国防相、キッシンジャー氏と会談 「米は正当な戦略判断を」」

https://jp.reuters.com/article/china-usa-defence-idJPKBN2YY0OA(2023年7月26日閲覧)。

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上州群馬の知事選・・・「県」なんて無用無駄論誕生!! 新たな政治展望に期待したい

2023-07-24 | 小日向白朗学会 情報
 昨日7月23日に群馬県知事選があった。山本一太氏が継続して知事を務めることとなったが、残念なことだと思う。誇らしく自らの成果を掲げているが、「首相・大臣との直接面会知事就任以来67回」だって。さらに全国トップ級のコロナワクチン接種実現も誇らしく掲げている。上州に住む人たちに具体的に何をしたのかはさっぱりわからない。ワクチンの科学的分析が進んでいる現在、接種は望ましいことではないことは自明ではないのだろうか。全く勉強していないのかな?
 これに異を唱えたのが清水澄(ますみ)氏だ。「最悪の消費税は廃止すべきです。」筆者もその通りであると思っている。「国は地域をサポートするのが使命であり、全ては生活圏ファースト。最早、道路や災害、警察を除きも県の役割なんてどこにもありません。」・・・これは筆者も思いつかなったけれど、素晴らしい廃県プロジェクトだ。維新の時の藩置ではなくて、「廃県」だ。知事になって知事職そのものを無くしてしまおうという目論見は素晴らしいの一言だ。
 地方自治という美名のもとに比較的狭い国土の中にいたずらに小さな「主権」を乱立させて多くの対立構造を構築している現在、主権としては「国家主権」のみとして国が直接生活圏をマネージメントしていくという発想は評価できると思う。要は、我が国は大昔から「お偉いさん」を乱造しすぎているのである。そしてその「お偉いさん」同士が覇権争いして豊かなる山川草木を焦土とする歴史が繰り返されてきている。この辺でちょっとは頭を使え、ということなのだろう。
 わが上州はあの小栗上野介忠順公の土地柄である。新たな「小栗」が生まれてくるかもしれない、という楽しい夢を見てくれたのが清水氏だと、上州人である筆者は評価したいと思っている。
(文責:吉田)
(7月25日追加・・・筆者はつい最近まで都民だったため県内事情に疎いことがわかりました。「廃県」は清水氏が何年にもわたって温めてきているお考えらしいこと、前回の知事選でも同じ趣旨で立候補していらっしゃったらしいです。筆者には新鮮に見えましたが県内ではすでにずーっと以前から知られている公約でした。)
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維新正観(蜷川新著)にみる薩長の頽廃~大野芳文庫から

2023-07-20 | 小日向白朗学会 情報
 大野芳氏が逝かれてから1年と2か月半が過ぎてしまった。古より時の流れは無常であり、人の心も移ろいやすいものである。などと言い訳をしつつ「整理」作業はなかなか進捗しないものの、残された「資料」という名の文字や音声を追っているつもりではある。果たして、幾分かでも大野氏が俯瞰していた世界を垣間見ることが叶うかどうかは疑わしいが、つい最近その中から「維新正観」というタイトルの書を手に取った。書といっても全体がコピーされているものであり、詰めて読まれていた様子が付箋の状態からもうかがわれた。
 「明治維新の正体見たり、枯れ尾花」。そこには見事に平易な文章で法律学者として維新の解説がなされていた。長年の閉鎖的な鎖国状態から我が国を開放し広く世界へと飛翔せしめるための最初の跳躍としての明治維新、などという世迷言はさっぱりと吹っ飛んでしまう内容である。主権概念も知らず、さらに「戦争」の何たるかをも知らずに展開される姑息で執拗な私怨、天皇を騙りながらその実は薩長を主とする藩利藩略、国のガバナンスに対する俯瞰した統治理念の全き欠如…等々、換言すれば、単なるテロリズム、覇道むき出しの権力闘争、人殺し集団の論理が一貫しているものであった。開国派といわれる井伊直弼、攘夷をもって国難としていた仲の良い家茂(注1)と孝明天皇(注2)などを次々に暗殺して、外堀を埋めていった。片や、265年にわたり安寧の世を主導してきた徳川政権を有能なる幕僚ともども塵芥のように放擲してしまった15代将軍慶喜の小心に後押しされたことも勢いを助長させたであったろう。維新、とはそういうものだった。その悪しき初志は、1868年の明治維新から1945年の敗戦を経てもなお息を秘めるがごとく延命し続け、今に至るまで一貫して生き続けているのではないだろうか。読後、こんな杞憂にとらわれてしまうのである。
 その著者の名は蜷川新。結構引用されたりして著名のようだが、私は浅学にして初めて知る名前であった。あの幕末の忠臣小栗上野介忠順公の義理の甥であり、法学者であるという。ウィキペディアによれば、「1873年(明治6年)1月14日~ 1959年(昭和34年)8月17日、86歳で死去。法学者、外交官、大学教授(国際法)。旗本小栗忠順の義理の甥に当る。1912年博士号を得てフランスに留学し、このときに田中義一と親交を結んだ。」などと記されている。
 その蜷川氏の小栗忠順に対する顕彰の念は極めて厚く、維新正観の中で外交、財政に於ける手腕を高く評価しているだけでなく、横須賀造船所・鉄工所創設等我が国産業革命の祖とも評す。もっとも、爾後の明治政府により幕末の徳川政権の実態はすべて隠蔽され、成果のみ薩長による維新の結果としたため表の歴史からは抹殺されたままとなっている。実際には、中堅幕臣らの強気ともいえる外交姿勢は相手国の高い評価を得ただけでなく、維新後の明治政府による阿諛追従に満ちた恥辱外交とは好対照をなすものであった。対ロシア外交で手腕を発揮した川路聖謨(としあきら)らを含め外交に関しては幕末幕臣はつとに有能人材に富んでいた。
 小栗といえば、41歳で上州権田の里(現・群馬県高崎市倉渕町権田)、烏川の河原で原保太郎によって惨殺された。原は板垣退助の指示で殺したというが(のちに蜷川新が原から直接聞きだしている)、その裏に岩倉具視がいた。小栗の首級は館林城で待つ岩倉具視の息子具定による首実検を経て当地の法輪寺に埋葬されたが、のちに盗掘されて権田の東善寺に眠ることとなったのである。小栗が最後のとき約1か月の時間を東善寺で過ごしていたが、筆者は、つい最近同寺を訪ね村上泰賢住職とお話しする機会を得た。村上住職はまるで小栗忠順が乗り移られたかのように、とうとうとその偉業を語られていた(・・・ように感じられた)。墓参も実現して合掌し、ほぼ2時間を同寺で過ごし、私も住職の言われる‘小栗病’に罹患したかのようであった。また、東善寺から車で6~7分、烏川河原の水沼地区に「偉人小栗上野介罪なくして此所に斬らる」と彫られた顕彰慰霊碑がある。書は蜷川新によるものである。(東善寺にて頂いた小栗上野介の史蹟を紹介するパンフレットの写真を添付する。)
 蜷川新は維新正観の中で明治政府について次のように言っている。「維新は万機公論に決すべしというのが、その本体であった。天皇は、その誓文を神に捧げて、その実現を、誓われたのであった。天皇権力万能の主義は、岩倉、伊藤らの明治政府人等が、維新の目的を無視して、プロシャ人、グナイストに教えられて、日本に作り上げた政体であった。即ちそれは、天皇の民主的の誓文を破棄し、独逸流の権力主義の国と変えたのである。それは、政府要人が、その権力維持を、永続せしめようとした一種の権謀であった。」・・・・155年という時間を経て、そろそろ薩長の権謀から解放されてしかるべきであろう。別に私が小栗ゆかりの上州人だから言っているわけではない。
  注1・・・蜷川新氏の父蜷川左衛門尉親賢は当時小姓組頭であり、将軍に扈従して長州征伐に従軍し、常に将軍に近侍していた。それゆえこの事情を熟知しており、それを新の母に伝え母から秘話として幼少時に新に話されていた事実という。
  注2・・・「岩倉はこの暗殺を行った人であるが、初めは失敗し、二度目に成功した」という。このことは由来世人はよく知っていたことである。岩倉は妹を宮中に入れ、女官となし、その女官に命じて天皇を暗殺せしめた。その女官は薩人に殺害せられたという。蜷川新はその話を漢学の師であった清田嘿氏から聞いたという。
(文責:吉田)

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自由民主党稲田朋美氏が北方領土問題を語る

2023-07-13 | 小日向白朗学会 情報
 2023年7月09日、FNNプライムオンラインに次のような記事が載っていた。『自民稲田氏「二島返還の方針は正しかった」』[i]である。
この中なかで稲田氏は、非常に重要な問題を話している。
『……
私は防衛大臣のとき、本当にもうロシアがもうアメリカに対して不信感いっぱいで、そのときイージスアショアを置くということについても、ミサイル防衛で、ロシアは「自分のところにミサイルが飛んでくる」ということを言う。もうすごい不信感があって、ロシアは(北方領土を)絶対にこれは返さないなって思った。ただ、安倍元首相とプーチン氏との関係で、もし二島返還が実現し、平和条約が締結されたら、やっぱり対中国、対北朝鮮という意味においても、非常に国益に合致するということで、安倍元首相は頑張られたが、やっぱりロシアはそんな戦争で取ったものを返さないと。不法なものだが。
……』
まともに聞いたら安倍晋三と稲田朋美そして日本政府の努力に頭が下がるおもいに至るであろう。大した役者である。

 このころプーチンと日本政府が如何なる交渉を進めようとしていたのかを纏めた『ポスト・プーチンのロシアの展望』[ii]とする報告書がある。尚、この報告書をまとめたのは、防衛三文書を決定するまえに開催された有識者会議座長である佐々江賢一郎が理事長であった公益財団法人日本国際問題研究所である。そのなかでプーチンは、ロシアが日本と北方領土問題を交渉するさいに日本側が抱える問題点について鋭く指摘している。
『……
1.日本テレビとの会見(2016 年 12 月)
日本には(日米)同盟上の義務がある。しかし日本はどこまで自由で、どのくらいまで踏み出す用意があるのかを見極めなければならない。
2.東京における記者会見での発言(2016 年 12 月)
ウラジオストクとその北には大規模な海軍基地があり、太平洋への出口である。日米の特別な関係と日米安保条約の枠内における条約上の義務を考慮すれば、この点について何が起こるかわからない。
3.サンクトペテルブルグにおけるマスコミ代表者との会見(2017 年 6 月)
アラスカや韓国など、アジア太平洋地域で米国のミサイル防衛(MD)システム が強化されており、ロシアにとっての安全保障上の脅威である。
・我々は脅威を除去せねばならず、島(北方領土)はそのために好適な位置にある
・返還後の北方領土には米軍基地が設置される可能性が排除できない。これは日米間の合意の帰結であり、公開されていないが、我々はその内容を全て知っている。
4.モスクワにおけるマスコミ代表者との会見(2018 年 12 月)
・沖縄では米軍基地移設に対する反対運動が広がっているが、その声が日本の政策に反映されていない
・この問題について、日本にどこまで主権があるのかわからない
・日露が平和条約を締結した後に何が起こるかわからない。これに対する答えなくして具体的な解決策を取ることはできない
・米国の MD システムは戦略核戦力の一部であり、防衛的な性格であると理解することはできない。
……』
 プーチンが日本と北方領土問題を交渉する際の懸念は、日本が主権を放棄して日米安保条約を締結していて、アメリカが求めるミサイル防衛網の基地を北方領土に建設するために返還交渉をしているのではないかと考えていたのだ。プーチンが指摘している「日本には主権がない」ということと「北方四島にミサイル防衛網を建設する」ため返還交渉を進めていたことは国会議事録でも確認することができる事実である。つまりプーチンが抱いていた懸念は全て正しいのだ。
 アメリカが北方領土にミサイル防衛網を建設していたということは、にわかには信じられない話で陰謀論に聞こえるかもしれないが「昭和29(1954)年12月03日参議院「電気通信委員会」[iii]国会議事録に記載がある事実なのだ。こおときアメリカのミサイル防衛網建設で生まれた特殊利権が日本テレビ開設なのである。
 そのことをプーチンは懸念していたのだ。そのうえでプーチンは正直に自国の安全保障上の問題を述べるとともに、日本に主権がないことから返還した北方領土にアメリカ軍を配備しなという約束ができないことを熟知していたのだ。その返還交渉の相手である安倍晋三はといえば、アメリカに日本の自衛隊を売渡した歴代内閣総理大臣の一人であって、日米安保を破棄する心算もないことから、そもそも交渉の成立はあり得なかったのである。それにもかかわらずプーチンは誠実に交渉テーブルについて誠実に対応していたのだ。稲田氏が言わんとする悪徳暴君プーチンのイメージとは作話でしかすぎない。
つまりプーチンと安倍晋三の北方領土返還交渉とは、アメリカが日本とロシアによる北方領土問題を利用して返還後の北方領土にロシアに対するミサイル防衛網の完成を狙ったが、プーチンにその真意を見透かされ、折角の安倍晋三による懇願外交も水泡にきすことになったというものであった。安倍晋三は、プーチンに、アメリカが北方四島にアメリカ軍基地を設置してミサイル防衛網を完成させるためであることを指摘され「ぐうの音」も出なかっただけなのだ。
安倍晋三の返還交渉が失敗したことを受けて、動き出したのがアメリカに主権を売渡したことで享受してきた防衛利権と外交利権を死守しようとする自由民主党中枢及び防衛と外交官僚であった。
 彼らが打ち出した次の手段は、北方領土問題でプーチンに懇願し泣きつくソフトな方針を捨てて、ロシアを仮想敵国とするハードな方針に変更すことであった。その第一歩が防衛三文書の根拠となった「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」を形式的に開催して防衛力強化という利権拡大方針を日本の安全保障政策とすることであった。
そのため同有識者会議の座長が元外務官僚佐々江賢一郎なのだ。佐々江は、『ポスト・プーチンのロシアの展望』で、日本の北方領土返還交渉の本質は、アメリカの要請で北方領土にアメリカ軍基地を設置しミサイル防衛網を完成することと、ロシアを北方領土方面から威嚇する前進基地を建設することが、プーチンに見透かされて大失敗であったことを熟知していた。
 そして生れたのが「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」であり、その提言で出来上がったのが、あの新しい安全保障戦略である「ロシアを仮想敵国とする」防衛三文書なのだ。それも、お粗末にもNATOとイギリス王立防衛安全保障研究所(RUSI)の支援を受けて作成した防衛三文書であったことから、ロシアによるウクライナ侵攻が中国による台湾進攻を惹起するという単なる相関関係である事象をあたかも因果関係のように大々的に喧伝し、まんまと莫大な防衛利権を手に入れてしまった。本来ならば中国による台湾進攻が日本の安全保障に影響を及ぼさないよう最大限の外交努力を傾けるのが外務省であるが、それとは反対に率先して武力拡大に奔走するという間抜けな仕事ぶりなのである。つまり佐々江を代表とする宗主国アメリカの現地テクノクラートが行おうとしていたことは、危機を演出し日本の憲法を改正して自衛隊を海外派兵できるようにすることである。それに合わせて莫大な軍事予算を恒久的に獲得することだったのである。つまり彼らにとって、膨大な軍事予算を獲得するための動機は何でもよかったのである。
 北方領土問題が解決しなかった根本原因は、自由民主党が日本の国権を秘密裏にアメリカに売り渡したことにある。日米安保条約と行政協定(日米地位協定)がある限りアメリカは何時如何なるときにでも日本領土内にアメリカ軍基地を設営する権利を有しているのだ。プーチンと温泉につかって話あっても解決する話ではないのだ。
 稲田朋美氏は、安倍晋三の北方領土返還交渉がプーチンに真意を見透かされ大失敗であったことを自らかが追認したことに他ならない、語るに落ちたのである。稲田氏を含む自由民主党々員は、北方領土問題が解決しない理由として、自分達の党がアメリカに日本の主権を売渡したことが原因であるとは間違っても認めることはできないのだ。
尚、北方四島問題に付いては、小日向白朗学会HP準備室BLOG「令和4年日本国国防方針」批判(第六回) -国防権のない日本の危険な外交と国防-」(クリックでジャンプ)に詳しく報告済みである。参照願いたい。

P.S.  
2023年7月11日、日本経済新聞に『国民・玉木代表「政策の一致なく、候補者調整しない」』とする記事が掲載された。その中で国民民主党玉木雄一郎代表はつぎの様に語った。
『……
……11日の記者会見で、次期衆院選での共産党を含めた野党間の候補者調整を改めて否定した。「政策の一致がないのに候補者調整することは今までもないし、これからもない」と述べた。
玉木氏は「自民党の数を1議席でも減らすために、政策を全部置いて一つにまとめることは国家、国益のためにならない」と強調した。
……』
 此の党首は、自由民主党が日本の主権を70有余年の長きにわたりアメリカに売渡してきた政党で、その政策はアメリカの意向によるものであったということをご存じないようだ。不勉強の党首である。政策が一致しないため、主権回復する政治運動には応じないというのだ。民主党党首は、国権の回復と政策、どちらが重要なのか理解できないらしい。つまりこの党首は、自由民主党と同様にアメリカに日本の主権を売渡す政策を継続したいと公言しているのだ。同党首は、日本のような主権のない国家の方が、居心地が良いといっているのだ。アメリカが自衛隊を私兵として世界各地の戦場に派遣するため憲法を改正して、アメリカのエゴで始まる戦争に黙々と且つ勇敢に戦うことが日本の国威発揚だと言っているのだ。
 おそらく同政党は早晩、消滅する。なぜなら自由民主党と同様に売国政党であるからである。宗主国アメリカは、来年の大統領選挙で日本の国家主権を掌握し続けてきたCIAは組織存続の危機に陥ることになるはずである。その時、CIA資金で国家主権を譲渡するために結党した自由民主党は存続の危機に陥ることになる。
 ついでなので、この際、国民民主党と立憲民主党の支持母体である「日本労働組合総連合会」(通称:連合)について一言付言しておく。自由民主党がCIA資金でできたことは既に述べたとおりであるが、じつは連合のルーツをたどると設立母体である旧民主社会党がCIAの影響下にあったということが重要である。CIAは、自由民主党を設立するとともに、旧社会党が再び統一し自由民主党政権を脅かす存在とならないように、社会党右派に7万5000ドルの資金を注入して民主社会党を設立させるという絶妙の野党分断工作を行ってきた。連合が、労働者のことよりも、自由民主党に擦り寄り、自民党の棄民政策に賛成するのは、このようなルーツがあるからである。つまりCIAによる野党分断政策が現代においても有効に機能しているのだ。要するに、連合がやっている政党支援とは、国民民主党と立憲民主党が共闘して自由民主党を脅かす存在とならないように分断しておくことが目的なのだ。努々、連合委員長の言うことを信じてはいけない。
以上(近藤雄三)
                            

[i] https://toyokeizai.net/articles/-/685599

[ii] 小泉悠「軍事面から見た日露平和条約交渉」『ポスト・プーチンのロシアの展望』日本国際問題研究所(2019年 3月)。

[iii] 『第20回国会 参議院 電気通信委員会 第2号 昭和29年12月3日』。

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自由民主党の命脈

2023-07-10 | 小日向白朗学会 情報
 現代日本の国難は、自由民主党という売国政党が70有余年間にわたり国民をだまし続けひたすら自己利益の獲得に没頭してきたことである。そのため治山治水は放置され毎年自然災害で多くの国民を犠牲にするばかりか、電力会社と組んだ原子力政策の失敗によりあわや日本列島の半分が汚染地帯となる瀬戸際まで追い詰めてしまうという大失敗を行っただけではなく、その復旧もままならないなかで今度は安全保障の危機を声高に叫びながら莫大な防衛利権を手にいれることまでおこなってきた。これらをいかに控えめに云おうと自由民主党による稀有の悪政といういがいにない。
 一刻も早く、日本の国難をとりのぞかねばならない。
そのためには自由民主党のアキレス腱を探し出して徹底的に追及し、早期に命脈を断つ努力を行う以外に方法はない。そのヒントは、自由民主党の結党動機から考えるとおのずと見えてくる。
 昭和30(1955)年11月15日、日本の保守政党であった自由党と日本民主党が合同し、自由民主党を結成した。この裏には、アメリカCIAが緒方竹虎(コードネーム:POCAPON)を通して保守合同を働きかけていたことが吉田則昭  著『緒方竹虎とCIA』で明らかになっている。
 保守合同を行った直接の原因は、社会党左右両派が昭和30(1955)年10月13日に社会党(鈴木茂三郎委員長、浅沼稲次郎書記長)を再統一したことであった。当時の社会党は、昭和26(1951)年に、サンフランシスコ講和条約を巡って、講和条約賛成派の社会党右派と講和条約反対派の社会党左派に分裂していた。その後、保守政権による再軍備や改憲に対抗するために反対運動を推進していた社会党左派が選挙毎に議席をのばしていたものの社会党右派は党内の対立があって明確な主張を出せなないまま議席の伸び悩みに苦慮していた。ところが昭和30年に社会党が再統一を成し遂げたことで、いよいよ、社会党を中心とする野党が政権を奪取する可能性が生まれた。これを社会党が政権を取ったならば、日米安全保障は期限が到来するまで継続するものの、その後は、日米安保条約のためにわざわざ国内法をゆがめてまで締結した行政協定は、政権移譲とほぼ同時に破棄、若しくは段階的解消してゆくことは明白であった。係る事態を避けるためアメリカが採用した方法は、日本の国内政治に干渉し、分裂している保守二党を合同させてアメリカの制御が可能な政権与党を早急に準備することであった。そこまでアメリカが日本の政治に介入する必要があったのは、日米安保条約で獲得した自衛隊の指揮権を最大限に利用し自衛隊の戦力増強を図って第二次朝鮮戦争や台湾有事に朝鮮半島や台湾に自衛隊を出兵させることが不可能となるからであった。加えてアメリカ軍は自衛隊の指揮権を見事に手に入れることができたものの、実際に自衛隊を海外に派兵するにあたり最大の障害となったのが、皮肉にもアメリカの占領施政下で制定した日本国憲法がアメリカの極東戦略とは相いれないばかりか阻害要因となっていた。
  これらアメリカにとっての不都合な事案を包括的に解決するため、日本国内の保守を合同して出来上がった政党に政策と資金を注入して安定的な政権与党を作ることにした。そのため自由民主党がアメリカから与えられた任務は、アメリカが日本の主権を剥奪する根拠となっている行政協定を継続的に容認し順守することと、自衛隊を海外派兵する障害となっておる憲法を改正してアメリカの世界戦略の中で自由に運用できる制度を確立することになった。これは陰謀論ではない。アメリカの公文書に記載された事実なのだ。その要点については小日向白朗学会 HP準備室BLOG『「総理、日本はアメリカの植民地ですか。」第211回国会参議院予算委員会第13号令和5年3月23日から』(クリックでジャンプ)を参照していただきたい。
 一見すると蟻地獄を思わせるような盤石な仕組となっていて、考えただけでも気分が重くなる。しかし、盤石と思える仕組みのなかに最大の弱点を見出すことができる。
  それは当時の政治状況から、日本の主権をアメリカに売り渡す条約は結ぶことが難しいことから日本の行政長が自ら国内法の一部をアメリカに差し出させるという方法をとった。それが問題の行政協定であり、のちの日米地位協定なのである。
 そのため新しい行政の長が誕生すると、必ずアメリカを訪問し行政協定(日米地位協定)を遵守することをアメリカ大統領に誓うという朝貢外交を行ってきた。そのかわりとしてアメリカは朝貢外交をおこなう政権には継続して政権を維持できるように便宜を図ってきた。
 つまり自民党政権が長期政権となることができたのは、自衛隊の指揮権をアメリカに売り渡していたからなのである。そして現場自衛官の我慢が、自由民主党をして政権与党にとどめていたのだ。
 これが日本の外交なのである。
 ならば行政の長は、行政協定の破棄をアメリカに通告すれば手続き上は終了することができるし、国内の法的な矛盾は解消する。ただし、行政法の破棄を通告しそうな行政の長が政権の座に就いた場合に、アメリカと日本国内のエージェントは様々な手段を講じて排除に努めるのが常であった。その例としては、日中国交を進めた田中角栄政権であり、日米地位協定の見直しを掲げた鳩山由紀夫政権なのだ。そういえば「知の巨人」が書いた「田中角栄研究」が田中角栄追い落としの狼煙であったし、ルーピ(loopy)と鳩山由紀夫の人格攻撃があったことは記憶にとどめておく必要がある。つまりアメリカが持つ自衛隊指揮権を破棄する気配のある為政者には、呵責ない世論操作を繰広げて国民から見放されたという世論を作り上げて次第に政権の座から追い落とすことを執拗に繰返すことが常套手段なのである。その結果、現在の国会は、自由民主党におもねる公明党、維新の会、国民民主党、それに立憲民主党とまるで売国政党の幇助集団となってしまっている。それと近年の野党党首は幼稚なイデオロギー論争を振りかざし、本来やるべき売国自民党を打倒して国家主権を回復するという大義を忘れ去っている。
 野党がやるべき仕事は、売国政権が行う政策は全て拒否し総選挙に持ち込み売国政党自由民主党の命脈を断つことなのだ。

 そして、そのチャンスは着実に近づいている。
帝国(empire)が倒れるのは、内部崩壊からであり従属国の反乱ではない。2024年に行われるアメリカ大統領選挙ではバイデンが民主党候補に選ばれるかは不透明である。その際の民主党候補ロバート・F・ケネディ・ジュニア(Robert F. Kennedy Jr)が立候補することを公言している。その際にRFKJはCIAの悪行と対峙することを公言している。つまり来年のアメリカ大統領選挙は共和党候補が勝利しても民主党候補が勝利しても、諸悪の根源であるCIA問題に踏み込むことはあきらかなのである。その際に、CIAの資金援助で設立した自由民主党の命脈も尽きることになるはずである。

P.S
2023年7月7日、朝日新聞に「立憲・泉氏「間違っていたと思わない」 野党の候補者調整へ一転も」とする記事が掲載された。記事を読んで感じたことは、この期に及んでも自分の正当性を口にするさまは凡庸ぶりを遺憾なく発揮しているとしか思えないものであった。本来ならば「之までのいきさつを捨て、恩讐を超え、万難を排して、売国政党自由民主党を打倒し日本国の主権を回復する戦いの先頭に立つつもりである」位は言うべきではないのか。ゴシャゴシャと言い訳するくらいなら、早期に退任してほしい。自民党からすると凡庸な野党党首がナルシストであることは「敵の敵は味方」ということなのである。
以上(寄稿:近藤雄三)
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ウクライナに一撃講和論を薦めるアメリカ

2023-07-06 | 小日向白朗学会 情報
 2023年7月2日、NHKニュースで『米有力紙「ウクライナ 領土取り返し年末までに停戦交渉計画」』とする報道があった。
『…
アメリカの有力紙、ワシントン・ポストは、CIA=中央情報局のバーンズ長官が6月、ウクライナを極秘に訪問した際、ウクライナ側が反転攻勢によってこの秋までに領土を大きく取り返し、ロシアが一方的に併合したクリミア半島に迫った上で、ロシア側との停戦交渉に持ち込む計画を明らかにしたと伝えました。
……
一方、アメリカ軍の制服組のトップ、ミリー統合参謀本部議長は30日、首都ワシントンで講演し、ウクライナ軍による反転攻勢について、「人々が予想したよりも進み方が遅いが、私は全く驚かない。6週間から10週間の時間を要するだろうし、多大な流血を伴う困難なものになる」との見方を示すとともに、「誰も幻想を抱いてはならない」と強調しました。
…』
 このニュースは、アメリカCIA長官が、ウクライナに「一撃講和」を提案したというのである。一方では、今年の春から大々的に喧伝していた反転攻勢は、順調に進んではいないと統合参謀本部議長は指摘している。
 これは、アメリカがウクライナに赫々たる大戦果を要請しながらもその進捗は思わしくないといっているのである。つまりアメリカはウクライナに、ロシアに対して一撃だけでも一矢を報いてほしいと懇願もしくは強要しているのだ。これで資金も兵器も弾薬も西側の支援がなければ24時間と持ちこたえることができないウクライナのゼレンスキー政権は、単独で白旗をあげることはでき無くなってしまった。悲惨なのはウクライナ国民である。アメリカは、既にウクライナが勝利する見込みは寸分もないのにロシアに勝つまで戦争を継続しろと強要しているのだ。
 そもそもゼレンスキーが国民の人気取りのためにロシアと結んでいた協定を無視したことが「事の真相」である。それにも関わらず、アメリカ、イギリス、NATOがマスコミを大量動員しておこなったプロパガンダ「ウクライナ可哀そう」「ウクライナ軍の大攻勢」「悪党ロシア」「プーチン病気説」などありもしない偽情報で世界を騙し続けていたことが、徐々に化けの皮がはがれてきて身動きが取れなくなったのだ。その行き着く先に出てきたのが、身勝手で戦争の現実も知らない「一撃講和」論なのだ。一撃講和論が出てくる背景は、自軍が窮地に陥っていることを苦し紛れに婉曲的に言い訳しているだけで、危機的な戦況であることにかわりはない。
 このような壊滅的な状況までウクライナが停戦できない原因の一つにNATOの存在がある。すでに歴史的な役割を終え碌な戦力も持たないポンコツNATOが、その生き残りをかけて組織維持をはかるために様々な国際紛争に積極的に介入したことで逆に国際間の緊張を高めてきた。そして、よりによって手を染めたのがロシアの下腹ウクライナにNATOの核を配備するという悪巧みだったのだ。それがロシアにばれて懲罰としてウクライナ侵攻となった。そのためウクライナが停戦もしくは敗戦となると、第一番目に問題となるのは、自分のレゾンデートルのためにウクライナに戦争をさせてきたNATOなのだ。当然、事後はNATO再編もしくは解体ということになる。さもなければ2024年11月に行われるアメリカ大統領選挙でバイデンが再選されなければ自動的に消滅の道を進むことになる。どちらにしろNATOの解体は避けられないのだ。そのためNATO事務総長はやめることができずに任期延長となったのだ。
 今後起こるであろうNATO混乱は、日本政府の命運も制することになる。岸田政権は、昨年末にポンコツNATOと英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)の指導の下で作成した防衛三文書で莫大な防衛利権を生み出すことにしていたが、その根拠が真っ赤な嘘であることが白日の下にさらされることになるのだ。極めつけは、ブリンケン国務長官が中国訪中時に中国による台湾進攻とそれに伴う尖閣列島上陸には関与しないことを公言している。
 日本の外務省も防衛省も、尖閣防衛の根拠が嘘だとばれてしまったではないか。そもそも尖閣列島の領有権を台湾に売飛ばしたのは岸信介だ。それなのに、自由民主党政権は、日本の統帥権をアメリカに売飛ばして自衛隊をアメリカの私兵として提供し更には憲法をも改正して自衛隊を世界各地の戦争に投入することが、日本の正しい選択であると日本国民を騙してきた。
つまり日本の国難は、尖閣列島の領有問題ではなく、自由民主党の存在なのだ。速やかに自由民主党による大政奉還を切望する。
 売国奴自由民主党に、日本の安全保障及び憲法改正問題そして統一教会問題を主導させてはいけないのだ。自由民主党と統一教会は裏と表であって、裏を解体すると表の自民党も自壊するため永久に解体することはできないのだ。
あわせて売国政策を厚顔無恥に実施してきた自由民主党に迎合している公明党、日本維新の会、国民民主党および立憲民主党を、自民党と同じ売国奴もしくは売国議員といわずになんという。「国会で議論を尽くす」と言いながら売国政策を助長してきた国会議員は、知能が低いか、モラルの欠如か、わからないが、次の選挙では「売国議員」と後ろ指をさされないようご注意申し上げる。
以上(寄稿:近藤雄三)
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