小日向白朗学会 HP準備室BLOG

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やはり愚図だった石破茂元幹事長 ―元幹事長の訪台は麻生太郎の防衛利権を擁護するだけの愚策―

2024-08-15 | 小日向白朗学会 情報
 自由民主党総裁選挙が近づく中で石破茂元幹事長が動き出した。2024年8月12日、朝日新聞デジタルは『石破茂氏が台湾訪問、頼総統らと面会へ 安保政策で存在感アピール』で石破元幹事長の動向を配信している。
『……
自民党総裁選に立候補の意向を固めている石破茂元幹事長が12日、台湾を訪問した。14日まで。頼清徳(ライチントー)総統や蔡英文(ツァイインウェン)前総統らとの面会を調整している。
 訪問したのは、超党派の国会議員でつくる「日本の安全保障を考える議員の会」で、石破氏は教育無償化を実現する会の前原誠司代表と共同団長を務める。自民党の中谷元・元防衛相らも参加した。
 訪問を前に石破氏は「北東アジアの安全保障環境をどのように考えるのか。問題意識を共有しておかないと、これから先の安保環境を語ることはできない」と強調した。台湾有事への懸念を背景に安保政策で存在感をアピールする狙いがある。
……』
 石破茂氏は、自民党総裁選で現政府が行っている非常に危険な対中国政策を引き継ぐことを内外に明らかにしてしまったのだ。
愚かの極みと云う以外に無い。
対中国外交に関して上川外務大臣は、事あるごとに「戦略的互恵関係」であると断言している。戦略的互恵関係はと云えば「一つの中国」政策であり、その本質は「台湾は中国領」だということである。
 ここで云う「戦略的互恵関係」に付いては外務省広報に『「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明』[i]として厳密に定義されている。
『……
  1. 双方は、日中関係が両国のいずれにとっても最も重要な二国間関係の一つであり、今や日中両国が、アジア太平洋地域及び世界の平和、安定、発展に対し大きな影響力を有し、厳粛な責任を負っているとの認識で一致した。また、双方は、長期にわたる平和及び友好のための協力が日中両国にとって唯一の選択であるとの認識で一致した。双方は、「戦略的互恵関係」を包括的に推進し、また、日中両国の平和共存、世代友好、互恵協力、共同発展という崇高な目標を実現していくことを決意した。
  2. 双方は、1972年9月29日に発表された日中共同声明、1978年8月12日に署名された日中平和友好条約及び1998年11月26日に発表された日中共同宣言が、日中関係を安定的に発展させ、未来を切り開く政治的基礎であることを改めて表明し、三つの文書の諸原則を引き続き遵守することを確認した。また、双方は、2006年10月8日及び2007年4月11日の日中共同プレス発表にある共通認識を引き続き堅持し、全面的に実施することを確認した。
  3. 双方は、歴史を直視し、未来に向かい、日中「戦略的互恵関係」の新たな局面を絶えず切り開くことを決意し、将来にわたり、絶えず相互理解を深め、相互信頼を築き、互恵協力を拡大しつつ、日中関係を世界の潮流に沿って方向付け、アジア太平洋及び世界の良き未来を共に創り上げていくことを宣言した。
  4. 双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならないことを確認した。双方は、互いの平和的な発展を支持することを改めて表明し、平和的な発展を堅持する日本と中国が、アジアや世界に大きなチャンスと利益をもたらすとの確信を共有した。
(1)日本側は、中国の改革開放以来の発展が日本を含む国際社会に大きな好機をもたらしていることを積極的に評価し、恒久の平和と共同の繁栄をもたらす世界の構築に貢献していくとの中国の決意に対する支持を表明した。
(2)中国側は、日本が、戦後60年余り、平和国家としての歩みを堅持し、平和的手段により世界の平和と安定に貢献してきていることを積極的に評価した。双方は、国際連合改革問題について対話と意思疎通を強化し、共通認識を増やすべく努力することで一致した。中国側は、日本の国際連合における地位と役割を重視し、日本が国際社会で一層大きな建設的役割を果たすことを望んでいる。(3)双方は、協議及び交渉を通じて、両国間の問題を解決していくことを表明した。
  1. 台湾問題に関し、日本側は、日中共同声明において表明した立場を引き続き堅持する旨改めて表明した。
……』
とある。
2には「戦略的互恵関係」の基盤となったのは1972年9月29日に発表された日中共同声明、1978年8月12日に署名された日中平和友好条約及び1998年11月26日に発表された日中共同宣言であったことが纏められている。これらの中で最も重要なことは5でも協調しているように「一つの中国」なのである。これを簡単にまとめると次のようになる。
「戦略的互恵関係」=「一つの中国政策」=台湾は中国領
対中国政策に関してあの上川外務大臣ですらも「戦略的互恵関係」を支持すると断言しているのだ。
 それにもかかわらず日本政府は、台湾有事という中国敵視政策を行っている。それは「防衛三文書」で中国を仮想敵国として防衛力を整備することで莫大な予算を獲得することができたからである。つまり日本政府が二重規範(ダブルスタンダード)外交を行っているのは防衛予算という防衛利権を失いたくないためである。これに尽きる。
 しかし、日本政府は、危険な二重規範外交を続けていることを国民に知らせないように巧妙に隠蔽している。そのため「戦略的互恵関係」が「一つの中国」政策であることを悟られないようにしている。そのため「これほど今の両国関係の実態とかけ離れた言葉はない。これをうのみにして厳しい国際情勢への直視を怠り、軍事的、経済安全保障的に日本にとっての脅威、懸念である中国との付き合い方を誤る国民や企業が出てくることを恐れる。」[ii]という社説まで登場してきている。
 そのため、2024年5月20日、中国の呉江浩駐日大使は、台湾情勢をめぐり日本が台湾の独立に加担すれば「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」と発言するまでに至った[iii]。これは現日本政府が二重規範外交を行っていることについて中国としては、日本に国連憲章「旧敵国条項」を発動する可能性を示唆することになった。
 この敵国条項に関する日本政府の解釈であるが、平成21年六6月19日提出の衆議院「国連憲章の旧敵国条項(第五十三条、第百七条)に関する質問主意書」[iv]にみることができる。特にアンダーライン部分は注意されたい。
『……
さらに、二〇〇六年四月六日の参議院外交防衛委員会において、麻生外相(当時)は、「敵国条項につきましては、一九九五年、今から約十一年前になりますけれども、そのときのいわゆる国連の総会で死文化、死んだ文章、既に死文化しているとの認識を示す決議案というものが圧倒的多数の賛成で既に可決をされておりますんで、死文化したというのはもう現実であります。
  ただ、昨年の九月のあの国連、あれは首脳会合だったと記憶しますが、成果文書におきましても、この条項において敵国への言及を削除するとの決意というものがなされております。ただ、今おっしゃいますように、これを正式な文章から削除するためには加盟国の三分の二の批准というものが必要とされておりますんで、これは安保理改革を含む話とちょうど関連をするところでもありますので、敵国条項の削除については今後とも求めていくのは当然のこととして、今現実問題として死文化されておるというところまで、日本、ドイツ、いろいろ努力をした結果というものは既に十一年前にでき上がっておるところではございます。」と答弁されている。
……』
 この主意書が引用した日本政府の旧敵国条項に対する考え方を説明したのが、台湾有事を演出して莫大な防衛利権を手に入れた張本人である麻生太郎副総裁である。その麻生副総裁によれば、日本政府は「敵国条項は死文化」としている。ただし「正式な文章から削除するためには加盟国の三分の二の批准というものが必要」で、そのためには「敵国条項の削除については今後とも求めていく」と、死文化しているといいながらも国連憲章本分からは削除されていないことを認めている。つまり、日本政府の「死文化」という解釈は間違いなのである。
 したがって呉江浩駐日大使が言うように、日本政府が二重規範外交を続けた場合には、中国は日本に対して敵国条項を発動して「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」というのは正しいのだ。
その結果、中国が「敵国条項」を適用して尖閣列島侵攻するならば、日本の道理は通用せず、国連憲章の下で鉄槌を食らわされることになる。その際に日本政府が頼みの綱とする「日米安保条約」は、昨年、アメリカが中国と「一つの中国」政策に回帰したことから台湾有事に軍事介入しないだけではなく、更に上位の旧敵国条項によりアメリカでする中国を支持する以外にないのだ。これが、アメリカは日本の安全保障には何ら役立たないという現実なのだ。
 以上のように日本政府は危険な外交を展開している中で、石破茂元幹事長は、よりによって、訪台して台湾政府と台湾有事について会談するということは麻生太郎副総理が始めた「台湾有事」を継続させて「日本の民衆が火の中に連れ込まれる」ことも厭わないという狂気の会談なのである。
そのうえ石破元幹事長とともに訪台するのは防衛三文書を取りまとめることに尽力するだけでなく、自民党の安全保障政策に反対する野党を分断させてきた「教育無償化を実現する会」の前原誠司代表である。これは、自由民主党が分裂して下野することで莫大な外交利権及び防衛利権そして公共利権を失うことを恐れる麻生太郎副総理による、自民党温存策に石破茂元幹事長が乗ったということを意味している。

 やはり、石破茂元幹事長は、イスラエルが孤立し、ウクライナが崩壊に直面し、BRICSのGNPがG7を超えたという世界情勢が理解できない単なる「軍事おたく」の愚図だった。(寄稿:近藤雄三)

【参考】




[i] 『「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声』https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/visit/0805_ks.html

[ii] 2024年4月24日、産経新聞「<主張>戦略的互恵関係 誤解を招く「言葉遊び」だ」https://www.sankei.com/article/20240424-LQL5GKHOTNN5RLQFSOHVO4VKOY/

[iii] NHK「中国駐日大使 “台湾独立加担 日本民衆火の中に” 外務省抗議」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240531/k10014467041000.html#:~:text=%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%91%89%E6%B1%9F%E6%B5%A9,%E3%82%92%E6%98%8E%E3%82%89%E3%81%8B%E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82

[iv] 衆議院質問主意書「国連憲章の旧敵国条項(第五十三条、第百七条)に関する質問主意書」https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a171569.htm

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紅卍会資料編…昭和12年12月南京での出来事‥‥どなたか和訳を

2024-07-26 | 小日向白朗学会 情報

どうにか読み取れたご遺体数は62011.
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「もしトラ」が「かくトラ」へと飛躍! (2024年2月15日掲載分の再録)

2024-07-19 | 小日向白朗学会 情報
 
 目次
1.「もしトラ」で懸念されること
2.朝鮮戦争と日本政府の安全保障政策
3.消費税と「防衛三文書」との関係
4.まとめ

1.「もしトラ」で懸念されること
 2024年2月現在、アメリカ大統領選挙の行方が、俄然、世界中の注目を集めている。無論、その中心はアメリカ共和党候補としてトランプ大統領の再選が現実味を帯びてきたからである。この現象を「もしもトランプ大統領が再選された場合に起こりうる諸政策の変更」を「もしトラ」という。では「もしトラ」の何が問題なのか。
 2024年01月18日、PICTETが「トランプ氏の再選リスク 「もしトラ」の現実解は?」と題するレポートを公開している。ピクテは、同社沿革によれば「スイス・ジュネーブに1805年に設立されました。ナポレオン戦争時に貴族たちが資産を守るために頼ったのが、ピクテをはじめとするプライベート・バンク。以降、200年の年月を超えて、どんな時も、欧州の王侯貴族をはじめとした顧客の資産を保全し継承することで、信頼を築いてきました。世界の富裕層に向けて絶えず高度化してきた資産運用サービスを、日本では一人でも多くの投資家にお伝えし、豊かな人生の実現に役立てていただくこと。それが、私たちの使命です」という会社である。
『……
1月15日の米アイオワ州共和党党員集会でトランプ前大統領が圧勝した。アイオワ州の党員集会は大統領選の共和党候補者を決める初戦であり、今年11月5日の米大統領選までまだ約10カ月もあるが、米国株式市場では早くもトランプ関連銘柄を物色する動きが強まっている。もしトランプ氏が再選された場合、米国政治はどのように変貌するのか?当レポートでは「もしトラ」の現実解を探る。
米アイオワ州の共和党党員集会でトランプ前大統領が勝利
今年11月の米大統領選挙における共和党候補者を決める初戦となったアイオワ州の党員集会で、トランプ前大統領が圧倒的な勝利を収めた。現地1月15日夜に行われたアイオワ州党員集会の結果は、トランプ氏が51.0%の得票率でトップとなり、2位のデサンティス・フロリダ州知事(21.2%)と3位のヘイリー元国連大使(19.1%)を大きく引き離した(図表1)。事前にある程度予想されていたとは言え、改めてトランプ氏の根強い人気を印象付けた格好だ。
共和党候補者の指名争いの道のりは長い。今年7月に開催される共和党全国大会までに、2,429人のうち少なくとも1,215人の代議員を確保する必要がある。代議員は州ごとに割り当てられており、アイオワ州では40人、1月23日に予備選挙が行われるニューハンプシャー州は22人だ。最も多くの予備選挙/党員集会が同時に実施されるのが3月5日のスーパーチューズデーで、16の州/米自治領で合計874人の代議員がこの日だけで割り当てられる(図表3)。獲得できる代議員数は、1月15日から3月5日までの累積でも過半数には届かないが、この日で指名争いの流れが概ね決まると言われている。
一方、民主党候補者はバイデン現大統領が有力視されている。指名者候補の戦いは最後まで分からないが、大統領選挙は今のところバイデン現大統領とトランプ前大統領の戦いになることがコンセンサスとなっている。政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」が集計した各種世論調査によれば、全米支持率は1月17日時点でトランプ氏が45.9%、バイデン氏が44.6%とトランプ氏がややリードしている(図表2)。「もしトラ(もしトランプ氏が再選)」となった場合、米国政治はどう変わるのだろうか?
外交・貿易・気候変動政策の変貌
外交面ではNATO(北大西洋条約機構)離脱やウクライナ支援の打ち切りが一部で警戒されている。だが、米議会が昨年12月に可決した2024年度のNDAA(国防権限法)には、大統領がNATO離脱を決める際の条件として議会との事前協議を義務付ける条項が盛り込まれており、仮にトランプ氏が再選されたとしてもNATO離脱は容易ではない。一方、ウクライナ支援に関してはすでに予算が枯渇した状態だ。トランプ氏の再選可否に関わらず追加支援の目途は立っていないことから、地政学リスクが今後ますます高まりかねない点には注意が必要だろう。
貿易面では保護主義的な措置がいっそう強化される可能性がある。トランプ氏は米国の輸入製品に原則10%の関税をかける構えを示す。現在の平均関税率は3%強とも言われており、実現すれば物価や景気への悪影響は避けられないだろう。また、中国に対しては最恵国待遇に相当する「PNTR(恒久的正常貿易関係)」を剥奪する可能性もあり、その場合も輸入関税率の引き上げにつながる。
気候変動対策にも先行き不透明感が漂う。トランプ氏はパリ協定から再離脱する可能性があるほか、化石燃料への投資を増やし、電気自動車や再生可能エネルギーへの転換を後押しする規制や補助金を撤廃するとも言われている。バイデン大統領が2022年8月に成立させた「IRA(インフレ抑制法)」に関しては、テキサス州やワイオミング州などの共和党支持者が比較的多い州でもその恩恵が享受されているため、完全撤廃は想定しづらい。しかし、部分的な縮小は視野に入れる必要があるだろう。
トランプ関連銘柄には早くも物色の動きが強まる
アイオワ州の共和党党員集会の結果が明らかとなった1月16日のS&P500指数は、市場の大幅な利下げ観測をウォラーFRB理事が牽制(米10年国債利回りは上昇)したこと等から軟調に推移した。市場全体では今回のトランプ氏勝利はさほど材料視されていないように見えるが、トランプ関連銘柄には早くも物色の動きが強まっている。
1月16日は、トランプ・メディアとの合併後に同社上場を目指すSPAC(特別買収目的会社)のデジタル・ワールド・アクイジション(DWAC)や、20年の大統領選でトランプ陣営のキャンペーンを手掛けたソフトウェア会社のファンウェア(PHUN)、保守系動画プラットフォームのランブル(RUM)などのトランプ関連銘柄が急騰した一方、ファースト・ソーラー(FSLR)やサンノヴァ・エナジー・インターナショナル(NOVA)、サンラン(RUN)といった太陽光発電関連銘柄が急落した(図表4)。
アイオワ州の党員集会で大差をつけて勝利したトランプ氏の躍進は、株式市場において「もしトラ」を意識させるきっかけになったと考えられる。
……』
このレポートでは、トランプ元大統領が2024年11月に行われるアメリカ大統領選挙で再選された場合に如何なる変化が起きるのかを予想したものである。
第一に、NATOから離脱
第二が、ウクライナ支援の廃止
第三が、保護貿易
第四が、気候変動政策の廃止
である。
上記レポートは、G7各国で一般的に云われていることである。ところで日本では、これらアメリカの政治変化が日本に及ぼす影響に付いて口にすることを憚られる雰囲気があり積極的には行われていない。実に残念なことである。日本のマスコミは「トランプは何をするかわからない危険な人物である」というイメージを植え付けることに成功していることから、トランプ大統領が再選された場合に、日本の変化を正確に分析することはできていない。一般的に言って宗主国アメリカが激変すれば、属国日本に大激震が起きない訳はない。トランプ大統領が前回の政権時に、日本政府が標榜する安全保障政策を根底から揺さぶる事件が起きている。まずは、この件から始める。

2.朝鮮戦争と日本の安全保障政策
これまでトランプ大統領と朝鮮戦争の問題については下記のスレッドでまとめてきたので、その要点のみを纏めてみる。
日本政府は、サン・フランシスコ講和条約を締結したその日に、アメリカと旧日米安全保障条約(日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約)を締結した。その中で日本は、自衛隊の指揮権をアメリカに移譲することを日米行政協定(後に日米地位協定に改定)で認めた。それと共にサン・フランシスコ平和条約の効力発生後も朝鮮派遣国連軍が日本国に滞在することを、しぶしぶではなく、嬉々として認めた。これは後に国連軍地位協定(日本国における国際連合の軍隊に関する地位協定)となっている。
したがって日本は二つの地位協定が存在する。この二つの協定を順守し継続させるためアメリカが準備したのが自由民主党であった。アメリカが自由民主党に求めたことは二つの地位協定を順守し継続することと、折角に取得した自衛隊の指揮権ではあったが憲法があって海外派兵ができないため改正して自衛隊を海外派兵できるようにすることであった。したがって憲法改正とは、自衛隊をアメリカ軍の指揮下で海外展開できるようにすることを求めたもので、国民の求めたものではない。
それから60有余年たったある日、突然、朝鮮戦争が終戦となる事態が発生した。
それが、2018年6月12日にシンガポールでアメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長及び国務委員会委員長による史上初の首脳会談が行われたことであった。その会談後に出された共同声明は次のとおりである。
『……
共同声明
アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプと朝鮮民主主義人民共和国の金正恩国務委員長は、史上初の首脳会談を2018年6月12日、シンガポールで開催した。
トランプ大統領と金正恩委員長は新たな米朝関係や朝鮮半島での恒久的で安定的な平和体制を構築するため、包括的かつ誠実な意見交換を行った。トランプ大統領は朝鮮民主主義人民共和国に安全の保証を与えると約束し、金正恩委員長は朝鮮半島の完全な非核化に向けた断固とした揺るぎない決意を確認した。
新たな米朝関係の構築は朝鮮半島と世界の平和と繁栄に寄与すると信じると共に、相互の信頼醸成によって朝鮮半島の非核化を促進すると認識し、トランプ大統領と金正恩委員長は次のように宣言する。
(1)アメリカ合衆国と朝鮮民主主義人民共和国は、平和と繁栄を求める両国国民の希望に基づき、新たな米朝関係の構築に取り組む。
  (2)アメリカ合衆国と朝鮮民主主義人民共和国は、朝鮮半島での恒久的で安定的な平和体制の構築に向け、協力する。
  (3)2018年4月27日の「板門店宣言」を再確認し、朝鮮民主主義人民共和国は朝鮮半島の完全な非核化に向け取り組む。
  (4)アメリカ合衆国と朝鮮民主主義人民共和国は朝鮮戦争の捕虜・行方不明兵の遺骨回収、既に身元が判明している遺体の帰還に取り組む。
トランプ大統領と金正恩委員長は「史上初の米朝首脳会談が、両国の数十年にわたる緊張と敵対を乗り越える新たな未来を築く重要な出来事であった」と認識し、この共同声明の内容を「完全かつ迅速に履行すること」を約束した。
アメリカ合衆国と朝鮮民主主義人民共和国は米朝首脳会談の成果を履行するため、「マイク・ポンペオ国務長官と朝鮮民主主義人民共和国の高官の交渉を続けて可能な限り迅速に履行する」と約束した。
トランプ大統領と金正恩委員長は「新たな米朝関係の発展と、朝鮮半島と世界の平和、繁栄、安全のために協力すること」を約束した。
……』
 この時、アメリカと北朝鮮は共同声明で朝鮮戦争を終結させることで合意したのである。その後も両国による接触が続いて2019年2月27日、ベトナムの首都ハノイでドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による2回の会談が行われ、朝鮮半島の核兵器廃絶に向けた進展について協議したもようであった。さらに、2019年6月30日、ドナルド・トランプ米大統領は、韓国と北朝鮮を隔てる軍事境界線を挟み、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と握手した後、現職の米大統領として初めて、境界線を歩いて越え、北朝鮮側に入った。これに続き、金氏がトランプ氏と並んで境界線を越え南側に入った。そして、軍事境界線を挟んでトランプ氏が「また会えて嬉しいです」と声をかけると、金委員長はトランプ氏を招き入れるような仕草を見せ、これに応えてトランプ氏が境界線をまたいで北朝鮮側に入った。両首脳は10歩ほど進み、北朝鮮側で再び握手している。
 米朝が朝鮮戦争終結に向けて動き出した時、それを苦々しく思う自由民主党政権と外務省があった。
 それは朝鮮戦争が終結すると「日米同盟」を日本の安全保障の基盤である位置付けてきた自由民主党と外務省の根拠が失われてしまうとともに「外交と安全保障」利権が消滅するからであった。
  朝鮮戦争が終結すると、どのようなことが起きるのかというと、これまで日本政府は朝鮮戦争を継続するためアメリカおよび参戦各国と「日本国における国連連合の軍隊の地位に関する協定」(国連軍地位協定)を締結しアメリカ軍などが国内に駐留できる根拠を提供してきた。ところが、その協定には協定期限の定めはないものの、その代わりとして朝鮮戦争が終結した場合の対処方法が取り決められていた。それが、第六条である。
『   日本国との平和条約
昭和二六年九月八日サン・フランシスコ市で著名
昭和二六年一一月一八日批 准
昭和二六年一一月二八日批准書寄託
昭和二七年四月二八日効力発生
昭和二七年四月二八日公布(条約第五号)
……
第六条
  1. 連合国のすべての占領軍は,この条約の効力発生の後なるべくすみやかに、且つ、いかなる場合にもその後九十日以内に、日本国から撤退しなければならない。但し、この規定は、一又は二以上の連合国を一方とし、日本国を他方として双方の間に締結された若しくは締結される二国間若しくは多数国閻の協定に基く、叉はその結果としての外国軍隊の日本国の領域における駐とん又は駐留を妨げるものではない。
……』
 つまり、朝鮮戦争が終戦となると国連軍は90日以内に、日本国から撤退しなければならないとあってアメリカ軍が日本に駐留する根拠がなくなるのだ。これまで自由民主党は「アメリカの核の傘」と「駐留米軍」が日本の安全保障の礎としてきたが、その駐留米軍は日本を撤退しなければならない。そしてアメリカが、朝鮮戦争継続するため国連軍を日本に駐留させるための要件を定めた「日米地位協定」は駐留アメリカ軍が朝鮮半島と日本から撤収するために、この協定は有名無実となる。
 したがって自由民主党は、これまでアメリカ軍の威信をかりて自国の安全保障政策の一環と主張して、本来は不要な基地を建設するなどして莫大な利益を生んできた防衛利権が消滅することになる。
アメリカ軍が日本から撤収するとなると思い浮かぶのは、アメリカ海兵隊が使用するということで建設中の辺野古基地は使用するアメリカ海兵隊自体が沖縄から撤収するということだ。したがってアメリカ海兵隊が使用するという理由で建設を強行してきた辺野古基地は不要になるのだ。
一事が万事、日本政府と外務省が外交と安全保障という聖域を私物化してきたことが、朝鮮戦争終戦とともに国民の目の前にその嘘をさらけ出すことになる。
 朝鮮戦争が終戦となった後も、長年にわたり国民をだましてきた自由民主党政権が、その後も継続して政権を維持できると考えるのは単なる妄想なのである。
 ただし、国連軍地位協定には、日本政府が懇願すればその限りではないとある。しかし、これは交渉事であってアメリカが拒否する場合もありうる。この点に付いてトランプ大統領は駐留を継続するならば駐留経費を増額するように求めていた。これはアメリカとNATOとの関係と同じでNATO加盟国に駐留経費の増額をもとめていたことから日本の場合も同様となる。通常の国ならば、長年にわたり国民を疲弊させてきた駐留軍が自ら進んで撤退するというのに「ぜひとも駐留継続をお願いします」と懇願する馬鹿な政権はあり得ない。そこには国民の意思とは全く異質の利権があって、その利権を守るため国民を犠牲にしても構わないという腐った政権があるからである。それが自由民主党政権なのである。
 既に、2024年2月現在、トランプ大統領は再選したばあいにNATOとの関係を見直すことを表明している。したがって朝鮮戦争終戦は、トランプ大統領が再選されると同時に再燃する問題なのである。そして、今度こそ朝鮮戦争は終戦となる。
 ただし「もしトラ」の場合ではあるが。
 ところで、自由民主党政権は「日米同盟」を根拠に「日米地位協定」と「国連軍地位協定」を締結して安全保障政策を組み立てきたが、米朝が朝鮮戦争を終結させることに合意したことで終戦とともに二つの協定は有名無実化もしくは破棄されることが明白となった。すなわち、「日米同盟」を具体化する「日米地位協定」と「国連軍地位協定」を遵守するとともに、更に憲法改正をすることで自衛隊海外派兵を可能とするということが使命である自由民主党、その自由民主党は政権党として存続する意味がなくなるとともに、これまで築き上げてきた「外交及び安全保障」にともなう特殊利権が消滅してしまうことにもなる。例を挙げるなら、アメリカ海兵隊が使用するためという理由で辺野古沖合を埋め立てて基地建設を行ってきたが、アメリカ海兵隊が撤退した後も、延々と莫大な費用を掛けて埋め立てを続ける馬鹿はいない。終戦ならば、即刻中止となる。このことに恐怖を覚えた自由民主党と外務省は、直ちに、対応策を講じることにした。
 それが「日英円滑化協定」である。
 日本政府がイギリスと締結した協定は「日英円滑化協定(Japan-UK Reciprocal Access Agreement)」という名称である。この協定で最も注目すべき項目は「日英円滑化協定」第四条である。
『……
第四条
3 この協定は、千九百五十四年二月十九日に東京で署名された日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定に基づいて国際連合の軍隊として行動する間の連合王国の軍隊が実施するいかなる活動についても適用しない
……』
とある。この条項に中にある「国際連合の軍隊の地位に関する協定」とは1953(昭和28)年に朝鮮派遣国軍との間に締結した「日本国における国連連合の軍隊の地位に関する協定(国連軍地位協定)」なのである。そして、日本とイギリスが締結した「日英円滑化協定」は「国連軍地位協定」が有効な間は適用しないというものである。つまり朝鮮戦争が継続するうちは「日英円滑化協定」は機能しない。
 そうなのである。「日英円滑化協定」は、朝鮮戦争が終戦となると機能するように設計されたもので、アメリカ軍が撤収したら今度はイギリス軍が日本の基地を使用することを認めるというものである。そして、イギリス軍が日本国内に駐留することから「日米地位協定」もそのまま存続させることができる。つまり、自由民主党と外務省は、もしも、朝鮮戦争終戦でアメリカが撤収しても、その代わりにイギリスを駐留させて莫大な権益を守ろうとしているのだ。つまり「日英円滑化協定」は自由民主党と外務省による特殊利権のもち逃げということになる。これれは、トランプ大統領が政権を握っているときの話である。
 ならば「もしトラ」となったらどうなるのか。
 自由民主党及び外務省、経済産業省、経済産業省(アメリカ製兵器の輸入は同省が管理している)など「外交及び安全保障」利権に群がって甘い汁を吸い続けてきた省庁にとって莫大な利権を失う最悪なシナリオということになる。そのため自由民主党及び外務省が最後の大博打に出たのがメッキの剥げた「日米同盟」を基盤とした「防衛三文書」を根拠とした「外交及び安全保障」政策なのである。
 つまり「もしトラ」まえに、もう一度、荒稼ぎをしようと云う魂胆のである。
そもそも、日本政府は、日本の安全保障の礎とまでしてきた「日米同盟」の根幹をなす「アメリカの核の傘」と「駐留米軍」であるが、「アメリカの核の傘」については米中が「一つの中国」最策に回帰したことで台湾有事にアメリカは介入しないとしたことから「核の傘を」使用することはなくなっており、「駐留米軍」は朝鮮終戦で完全撤退する。それにも関わらず「外交及び安全保障」利権の中心に座る麻生太郎自由民主党副総裁が、台湾やアメリカにわざわざ出かけて「日米同盟」の化けの皮がはがれる前に、その重要性を説いて回っているのだ。
 自分たちの利権確保以外の何物でもない動きなのである。
以上が「もしトラ」が日本の安全保障に及ぼす影響である。
【参考】
・トランプ氏と朝鮮戦争終戦問題
・バイデン政権と朝鮮戦争の関係
・朝鮮戦争が終戦となった場合の日本政府の対応

3.消費税と「防衛三文書」との関係
現在、日本の国会で問題となっている消費税についてトランプ大統領は関税障壁であると痛烈に日本政府を非難していた。したがってトランプ大統領が復活した場合には、日米経済問題として「いの一番」に顕在化することである。
2018年12月07日、週プレNEWSに岩本沙弓氏『最大の障壁は国内の反対勢力ではなくトランプ政権? アメリカが日本の「消費税引き上げ」を許さない理由』とする消費税について興味深い記事がある。
『……
■消費増税に反対する「巨大な外圧」の存在
来年10月に8%から10%への引き上げが予定されている消費税。「深刻な財政難のなか、少子高齢化に伴い増え続ける社会保障費の財源を確保するには消費増税しかない」というのが、財務省や政府の一貫した主張だ。一方、立憲民主党など野党の一部は「日本経済がいまだにデフレ脱却を果たせていない状態で消費税を引き上げれば経済に深刻な悪影響を与えかねない」と、増税に反対の姿勢を見せている。ところが消費税の引き上げにおいて、こうした国内での議論とは別に日本が無視することのできない「巨大な外圧」があるという。それは消費税という制度そのものに否定的で、消費税を「非関税障壁」と見なすアメリカの存在だ。
「来年以降、『アメリカ・ファースト』(アメリカ第一主義)を掲げるトランプ政権との貿易交渉が本格的にスタートするこのタイミングで、日本が消費税10%引き上げへ向かえば、アメリカの強い反発を招くことは避けられません」
……
アメリカが消費税導入に否定的だとしても、彼らが他国の税制に「不公正だ」「非関税障壁だ」と不満を訴えているのはなぜなのか?
その最大の理由は、日本も含めた消費税導入国が自国の輸出企業に対して行なっている「輸出還付制度」の存在だ。アメリカはこれを「自由競争の原則を歪(ゆが)める制度」だとして問題視しているという。
……
仕入れから製造までを国内で行なう企業がその製品を海外に輸出する場合、消費税は実際に消費が発生する輸出相手国の税制に沿って課されることになります。
仕入れの段階でも日本の消費税を払っているので、このままでは輸出相手国と国内とで2度消費税が課されることになる。そうした『二重課税』が起きないよう、輸出製品については仕入れなどにかかる消費税が国から還付されることになっています。これが『輸出還付制度』です」
……
ではアメリカにとって日本の消費税引き上げはどんな意味を持つのだろう?
「もちろん、こうしたアメリカ側の主張については、さまざまな異論もあると思います。しかし、あくまでアメリカ側の立場で見れば、日本の消費税の8%から10%への引き上げは、『日本の輸出企業へのリベートの引き上げ』と『日本向けアメリカ輸出企業への実質的な課税強化』ととらえることになる。当然、アメリカが強く反発するのは避けられないでしょう。
アメリカは日本だけ目の敵にしているわけではありません。欧州の付加価値税や日本の消費税のような間接税については還付制度を認め、直接税では認めないWTO(世界貿易機関)のルール自体を変えるべきだと主張しているのです」
■自工会が増税支持から懸念表明に転じた理由
実は、そうしたアメリカ側の空気に最も敏感に反応しているのが、日本の自動車メーカーによる業界団体で、トヨタ社長の豊田章男氏が会長を務める「日本自動車工業会」(自工会)だ。
これまで基本的に政府の「消費税引き上げ」という方針を支持してきた自工会が、今年9月20日に発表した「平成31年度税制改正に関する要望書」では増税反対という明確な表現は避けながらも、消費税10%への引き上げについて国内市場縮小への懸念を強く訴えている。
岩本氏は、こうした自工会の消費税に対する姿勢の変化に、彼らの日米関係に対する「シビアな現状認識」が表れているとみている。
……
そんな状況で日本が消費税の引き上げを強行すれば、日米交渉のテーブルではアメリカ側が態度をさらに硬化させ、場合によっては自動車関税25%発動という、自工会にとって最悪のシナリオを招きかねません」
なるほど。アメリカはどこまで本気なのか?
「今年9月25日、国連総会出席のため訪米した安倍首相に同行した茂木敏充経済再生担当大臣がUSTR(アメリカ通商代表部)のライトハイザー代表と会談しましたが、このライトハイザー氏は消費税の『輸出還付制度』を一貫して不当なリベートだと訴え続けてきた人物として知られています。
安倍首相の訪米直前のタイミングで、自工会があえて『消費増税への懸念』を表明したのも、アメリカ側に配慮した自工会のメッセージではないかとみています。
……』
 日本政府は、輸出企業に徴収した消費税を『輸出還付金』として交付している。これをトランプ政権は、日本政府による輸出企業にたいする『実質的なリベート』だと強い不満を訴えていて自動車関税25%を検討していた。これに対して日本政府は、現在は裏金問題と派閥解消で渦中にある茂木敏充元経済再生担当大臣をUSTR(アメリカ通商代表部)のライトハイザー代表と会談と交渉にあたらせていた。
 したがって「もしトラ」となった場合にアメリカは日本に消費税は関税障壁として『輸出還付制度』を是正して『実質的なリベート』の廃止を求めてくることは確実なのだ。
 この点に関して茂木自由民主党幹事長は、充分に理解している。それにも拘らず茂木幹事長は、使い物にならに安全保障政策である「防衛三文書」を盾に「外交・安全保障」利権の拡大を狙って自民党中枢を掌握して国会を強行突破する覚悟のようである。
 したがって「もしトラ」が実現した場合に日本の税制は大ダメージを被るのは必須である。
 ところで、上記論文で気になる箇所がある。それは、消費税問題で多額の還付金を受け取っているとやり玉にあがっている自動車産業会(自工会)が、消費税を8%から10%に改定することに反対していたことである。つまり自動車産業会(自工会)は「還付金」を受取り続けることはアメリカで事業を継続することが難しくなると考えていた。現在の日本は、大多数の国民にとって賃金が伸びないだけではなく物価上昇に苦しんでいるなかで消費税を廃止もしくは縮小することがマクロ経済学から考えて最も理にかなった経済政策である。
ところが日本政府は、防衛増税と消費税を19%まで引きあげることに注力している。やはり、日本政府が理にかなった経済政策をおこなわない理由は新しい安全保障政策「防衛三文書」にその鍵がある。
 日本政府は、日本製武器輸を海外に積極的に輸出することを「防衛三文書」で決めている。しかし、日本製兵器は、性能は高いがコストも高いとう世界市場では競争力のないものとなっている。加えて、実際に輸出するとなると設定価格よりさらに廉価となることはさけられない。これでは兵器産業は安定した利益を産み出すような経営は難しい。ところが、日本には、輸出した場合の優遇政策「輸出還付制度」があって、兵器を輸出しても安定した利益を出すことが可能な仕組みが出来上がっている。
 この制度を有効に利用しようとしているのが自由民主党中枢を握り「外交・安全保障」特権を維持拡大しようとする「茂木派と麻生派」という戦争屋政策集団と、それに賛同する国民民主党、日本維新の会、立憲民主党執行部、教育無償化を実現する会、経団連、連合なのである。
 つまり「防衛三文書」による「日本の外交と防衛を行おうとする」政治集団と「消費税をさらに上げようとする」政治集団」とは同一なのである。繰り返しになるが自工会は「輸出還付制度」を利用して利益を得ることには消極的ですらあった。つまり自工会傘下の企業が受け取る「輸出還付金」を隠れみのとして、由民主党国防部会(部会長・國場幸之助衆院議員(岸田派))及び安全保障調査会(会長・小野寺五典衆院議員(岸田派))と「日本防衛装備工業会」(Japan Association of Defense Industry 略称JADI))は、連携して日本の兵器輸出ルールを定めた「防衛装備移転3原則」を破棄して兵器輸出を促進しようと積極的な活動を続けているのだ。その結果、多くの「輸出還付金」を受け取るのが「日本防衛装備工業会」の協賛企業なのである。したがって自由民主党の「外交安全保障」政策を進める限り、消費税を値上することはあっても、値下げしたり、廃止することは「兵器輸出」企業に対する「輸出還付金」が減少もしくは廃止となることであり、「兵器製造」企業としては事業継続が難しくなるため決して容認できることではないのだ。
 尚、自由民主党国防部会と安全保障調査会は「アメリカ国家安全保障戦略」を金科玉条とする部会であって「自衛隊の指揮権をアメリカに売り渡す」ことを積極的に容認する不届きな議員らなのである。そして、國場幸之助衆院議員は統一教会の韓鶴子を「マザームーン」と呼ぶほどであるとともに「日韓海底トンネル」にもかかわる典型的な統一教会系国会議員なのである。そのうえ國場幸之助衆院議員は、沖縄の「國場組」を基盤として防衛利権をふんだんに享受する根っからの防衛利権屋なのである。その様な國場議員が座長を務める自由民主党部会が取りまとめた日本の安全保障政策が、日本国民のためであるわけはない。そのうえ國場衆院議員が所属していた岸田派であるが、岸田文雄首相が2022年9月に自由民主党と統一教会は「絶縁」することを宣言しているが自派閥の国会議員は統一教会推薦の国会議員が要職を占めていることから「口先」だけの実に軽い内閣総理大臣であるだけではなく国を亡ぼす極めて危険な人物である。
 ところが、これら自由民主党が進める利権まみれの安全保障政策を賛美し愛国的であるとする同党取り巻きの文化人がいる。彼らの中には、最近、更に扇動的な「国のために死ねるか」などと言い出す者まで出現している。売国奴が自己利益のために愛国心を口にする典型的なプロパガンダであって、あまりにも馬鹿らしく相手にする気もならない。
【参考】

4.まとめ
 「もしトラ」となった場合に、朝鮮戦争は終戦となり、併せて、「日米同盟」を基軸に安全保政策を進めた自由民主党と外務省はその責任を追及されることになる。
 ついで現代日本の税制が「六公四民」という極めて苛烈な税制度となっていて日本の発展の阻害要因となっている。その中でも悪名の高い「消費税」は「実質的なリベート」であるとアメリカ政府から追及を受けることになる。
以上により、現在の日本が国として抱える重大課題である「外交及び安全保障」問題と消費税問題は「もしトラ」で解決する可能性が高い。
したがって「防衛三文書」で規定した仮想敵国は消滅して日本近辺に日本の安全保障を脅かす国はなくなって打撃力は不要となる。さらにアメリカの要請で開始した憲法改定もその目的である海外派兵自体の必要性がなくなることになる。
 日本の論壇では「もしトラ」で憲法改定がやりやすくなるという意見もあるが、馬鹿も休み休みにしたほうが良い。日本周辺に緊張がないならば、何故に海外派兵までする必要があるのか、…もちろん全く無い。あるのは独自の核プラットフォームがある数隻の潜水艦だけであり、その耐用年数が過ぎているのに改修すらできずにオーストラリアに押し付けるだけしかできない落ちぶれたイギリス、そんなイギリスと「日英円滑化協定」を締結しても、日本にとって一円も得なことはないのだ。せいぜいイギリスの番犬に悪用されるだけなのだ。そしてもう一度日露戦争をやらされることになる。このくらいは少し歴史を勉強すれば常識である。その常識が理解できない自由民主党政権は、今後も生き延びてはいけない政党なのである。
 そして日本を疲弊に追い込んだ外交政策(防衛三文書)と特殊利権(ODA及び防衛費)及び税金(防衛費増税および消費税)は、自由民主党と外務省、経済産業省、防衛省、財務省の錬金術であって国家的な犯罪であることを充分に理解しておくべきなのである。
 これこそが日本国民を苦しめる諸悪の根源なのである。
したがって自由民主党を解体すること、外務省を憲法に則り運営できる組織に再際させること、自由民主党が独占してきた「外交及び防衛利権」に群がった官僚及び野党そして経団連と連合は国民により厳しく糾弾されるべきなのである。
(寄稿:近藤雄三)
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東京新聞さんのPFAS追及は素晴らしい…もっともっと攻めて都政をただしてほしいものだ

2024-07-10 | 小日向白朗学会 情報
 東京新聞は本日(2024.7.10)、東京のPFAS汚染について、日米地位協定に基づいて昨年1月の横田基地で発生したPFAS汚染について公表しなかったことを明らかにしている。すなわち、「米軍基地の環境汚染問題については、日米地位協定の環境補足協定(2015年締結)に基づき、日本政府と米側が、有害物質の漏えいなどの情報を相互に提供することに努めることを規定する。ただ、日本政府が米軍から得た情報を地元自治体に説明する義務は定められていない。
」・・・・ということだ。な、なんと、日米地位協定っていうのは軍事のお話(指揮権移譲)ではなかったのか、‥‥と思われる方のおられるだろうけれど、それはとんだ勘違いだ。日本の国民である都民の命にかかわることだって、都合の悪いことは隠してしまうのである。これこそが地位協定の本質であると云えよう。地位協定の犠牲者は沖縄県民だけではないのである。
 さらに、東京新聞は「米軍横田基地(東京都福生市など)で昨年1月に発生した高濃度の有機フッ素化合物(PFAS)を含む汚染水の漏出事故について、日米両政府が非公表とする方針で合意していたことが、政府関係者への取材で分かった。日本政府は、米軍側から・・・情報を外部に出さないよう求められ、これに従っていた。(松島京太)」とも報道している。
 日本政府、と言われると私はどういう訳か岸田総理の顔を思い浮かべてしまうが、横田の一司令官あたりがわが国のトップを前にして命令している風景を想像してしまうのである。これこそ日本が米国の事実上の植民地であることの証左であろう。山本太郎氏が岸田総理に「日本はアメリカの植民地ですか。」と国会質問していた景色を思い出してしまうのは、果たして私だけだろうか。参考までに東京新聞が2023年6月16日に報道した「PFASを漏出させても報告せず、米軍側の「やりたい放題」を可能にする日米地位協定」という記事も紹介しておく。
 
 ところで、7月7日に都知事選が行われた。小池百合子さんも蓮舫さんも石丸伸二さんも田母神さんも、おそらくその他の候補者の方も、こんな大事な都民の命にかかわる問題をまさかスルーはしないだろうと思ってはいたけれど、私の期待は裏切られてしまったようだ。知事選の政策テーマにPFASが取り上げられることは…なかったか…。いや、一人だけいた。うつみさとる(内海聡)氏だ。たまたまNHKの放送で聞いてしまったのだけれど、コロナワクチンの悪だくみの首謀者ファウチ証言(米国議会下院新型コロナ特別小委員会の公聴会 )も取り上げていたけれど、都の水道事業民営化の問題(東京水道㈱=野田数代表)も、そしてPFAS問題も取り上げ、都知事選の論点にしていたのだった。
 なーんだ、まともな候補者もいたのではないか。私は、結果はともかくとして、知事候補の中にもしっかりと知性が残っていたことにややほっとしている。(文責:吉田)


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 「中国、北朝鮮、ロシアは敵国ではありません」・・・・

2024-06-30 | 小日向白朗学会 情報
 Brics Newsは、Xで2024年6月29日に次のようなメッセージを発信している。『Donald Trump says China,Russia and North Korea will not be enemies if elected President.』
 ここで指摘された3つの国、中国、ロシア、北朝鮮であるが、いつか聞いた国々であることに違和感を覚えたかたもいらっしゃるだろうか。そう、2022年末に閣議決定された防衛三文書である。三文書の一つ、国家防衛戦略の中の「戦略環境の変化」のタイトルの中にはっきりと明記されているのを再確認してみる。小見出し「我が国周辺国等の軍事動向」の中で●中国、●北朝鮮、●ロシア‥の3国をはっきりと記載して、例えば中国に関しては「‥‥これまでにない戦略的挑戦」、北朝鮮については「‥‥従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威」、ロシアに対しては「我が国を含むインド太平洋地域において、中国との戦略的な連携と相まって防衛上の強い懸念」・・・・と記載し、明確に仮想敵国としていることが読み取れる。
 近未来の時点でプレジデントとなった暁のトランプ氏は、この3国は「敵ではない」とするわけだ。そう、北朝鮮とのデタントに動いた歴史的な瞬間、あの南北朝鮮国境を徒歩でまたいだ映像を思い出す方もいるかもしれない。要は、朝鮮戦争がはっきりと終焉し、朝鮮国連軍の撤退がはっきりしてくるであろうことが、さらに、当然日米地位協定はレゾンデートルを失い破棄されるであろうということも読み取れる。
 中国にしても今から52年も前になるが、キッシンジャー大活躍で実現した上海コミュニケ(実は、わが小日向白朗がNSC=キッシンジャーに請われて陰で動いて実現したものだが)のなかではっきりと「ひとつの中国」が明言されているだけでなく、昨年には老体に鞭打って99歳のキッシンジャーが訪中、ブリンケンまで出かけて中国とone china policy を再確認していたこともあるので当然であるが、この当たり前の方針を継承する、とトランプ氏は言っているのである。つまり、好戦派民主党の面々の中にはごちゃごちゃ言う台湾ロビーもいる中で、中国は敵ではないと明言しているのである。さらに言えば台湾有事は幻想だと言っているのである。
 浅学にしてロシアには疎いが、核バランス回復の方向でトップ間折衝にまでいくことはあったとしても、米国がロシアに宣戦布告することはあり得ない。換言すれば、Brics News の情報は「当たり前」の再確認といったものと言える。
 日米軍事同盟は継続してもいいだろうけれど、地位協定の破棄(非更新)で、わが国の主権、中でも国防権が回復すれば、米国が日本の領土内に軍事基地を置く根拠が失せるので、当然ロシアは北方返還に動くはずである。余談ながらプーチン氏は本当は返還したくて仕方がないのではないかと、私は思っている。
 ‥‥わが国では戦後続いてきた自民党政権がその依って立つ根拠(売国利権)を喪失してしまうであろうし、米国ではソ連崩壊後に何を勘違いしたのか「世界はわがもの」と世界中に火種をまき散らしてきた好戦派、例えば、ウォルフォウィッツ・ドクトリン を捨てきれないネオコンたちの動きも風前の灯火といったところとなるであろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
わが国と米国の選挙を目前にして激動しているように見える世界の動向であるが、まさかの蜃気楼にはならないであろうことを願うばかりである。そういえば、フランスもイギリスも大転換直前の様相をしている。(文責:吉田)
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