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米中が核協議!! -日本の安全保障の要「アメリカの核の傘」って、どんな傘?-

2023-11-08 | 小日向白朗学会 情報
 2023年11月7日 19:33、AFPは『米中、核軍備管理で異例の協議 首脳会談控え』を配信した。
『……
【11月7日 AFP】米中両国は6日、来週予定されている首脳会談を前に、核軍備管理に関する異例の協議を米首都ワシントンで行った。
 核兵器に的を絞った両国の協議は、バラク・オバマ(Barak Obama)米政権以降初めて。米国側はマロリー・スチュワート(Mallory Stewart)国務次官補(軍備管理・検証・順守担当)、中国側は外務省の孫暁波(Sun Xiaobo)軍縮局長が出席した。
 米国務省のベイダント・パテル(Vedant Patel)報道官は記者団に対し「われわれは中国に対し、軍備管理問題や戦略的リスクの軽減に取り組むよう求め続けてきた。今回の協議は責任を持って関係を管理し、競争が紛争に発展しないよう努力を継続していくためのものだ」と述べた。
 一方、中国外務省の汪文斌(Wang Wenbin)報道官は首都北京での会見で、両国は「軍備管理および不拡散をめぐる国際条約の履行など幅広い問題について意見交換する」と述べた。
 米国防総省は先月議会で、中国が予想を上回るペースで核兵器開発を進めていると報告。運用可能な核弾頭数は2023年5月時点で500発以上あり、30年までに1000発を超えるとみられている。
 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、各国が保有する核弾頭数はロシアが1位で約4500発、米国は次いで約3700発で、3位中国の410発を大きく引き離している。
 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米前政権は、中国の核兵器保有数の増加を懸念し、米ロ間の「新戦略兵器削減条約(新START、New START)」の後継条約に中国を含めるよう主張していた。
 ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は就任時に、新STARTの期限を2026年2月まで延長することで合意している
……』
 遂に米中関係は核協議にまで及ぶことになった。昨年来、米中関係の経緯は次の通りである。
1、2022年8月2日、アメリカのナンシー・ペロシ(Nancy Patricia Pelosi)下院議長がロシアによるウクライナ侵攻を口実に台湾を訪問し台湾有事を演出して極東問題に介入した。
これに相応して日本政府は、仮想敵国をロシア、中国、北朝鮮と決定し、大規模な自衛隊の兵備拡充を行うことになった。


2、2023年6月18日から19日にかけて、アントニー・J・ブリンケン(Antony John Blinken)国務長官は訪中して習近平国家主席、中国共産党中央外交弁公室の王毅主任、秦剛国務委員兼外相と会談した。その結果、ブリンケンは、しぶしぶ、米中間には「One China Policy」が存在し、この方針にバイデン政権も従うことを認めた。これで、バイデン政権は台湾有事があったとしても何ら関わらないことを中国に再確認させられてしまった。

3、ブリンケンが中国を去った翌日、2023年6月20日、バイデン大統領は習氏を「独裁者」と呼び、中国政府が厳重に抗議する事態となってしまった。

4、2023年7月6日、怒れる中国政府を鎮めるため、今度はイエレン財務長官を謝罪特使として中国に派遣することにした。北京に到着したイエレンは、何立峰副首相と面会時に3度もお辞儀をしただけではなく、李強首相のときも「へつらう」様な笑顔を向けていることが様々なメディアに報じられてしまった。

5、イエレンが北京を訪れた直後の2023年7月18日、こんどはキッシンジャーが中国を訪問し、李尚福国防相と会談をおこなった。そしてキッシンジャーは「米中は誤解をなくし、平和的に共存し、対立を避けるべきだ。米国も中国も、相手を敵対視する余裕はないことは、歴史と実践が絶えず証明してきた」と述べた。この意味するところは、1972年2月28日に、ニクソン大統領、キッシンジャー補佐官、周恩来首相により纏めた上海コミュニケ(Shanghai Communiqué)について、アメリカは今後も堅持すると取り纏めたキッシンジャー自身がわざわざ訪中して確約したというところにある。したがってバイデン政権が進めていた台湾問題を利用した中国包囲政策は完全に放棄されたのだ。

6、2023年8月1日、アメリカは、期日は未定ではあるが王毅外相をアメリカに招待することにした。

7、2023年10月27日、アメリカの求めに応じて訪米した王毅外相は、ブリンケン国務長官と会談して、これまでアメリカと中国で取り決めた三つの共同コミュニケに従って米中間は行動することを両者で確認した。三つの共同コミュニケとは次のものである。
第一回目
1972年2月28日、リチャード・ニクソン大統領と周恩来首相により取りまとめた。いわゆる「上海コミュニケ」である。アメリカは、「台湾海峡の両側のすべての中国人が、中国はただ一つであり、台湾は中国の一部分であると主張している」ことを正式に認めた。
第二回目
1979年1月1日、鄧小平とジミー・カーターは「外交関係樹立に関する共同コミュニケ」(Joint Communiqué on the Establishment of Diplomatic Relations)に調印した。これにより、アメリカは、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを認めたうえ正常な関係の開始を正式に宣言した。これにより、アメリカは、中華民国(台湾)との正式な政治的関係を終了した。加えてアジア太平洋地域におけるいかなる国の覇権も回避したいとの考えを再確認した。
第三回目
1982年8月17日、双方が経済、文化、教育、科学、技術面での関係をさらに強化していくことを再確認した。台湾への武器売却問題については決定的な結論は出なかったが、アメリカは台湾への武器売却を段階的に減少させる意向を表明した。

8、2023年11月3日、「米中高官が南シナ海及び東シナ海の海洋問題の協議を開始した。

 そして今日の本題である「米中による核協議」なのである。
これでお気づきであろう。
 日本の安全保障は日米安保を基軸に2022年末「防衛三文書」で仮想敵国を中国、北朝鮮、ロシアとして反撃能力の向上と島嶼防衛などを盛り込んだ安全保障政策を策定し本年度から実施を開始している。ところが当の中国はといえば、本年8月にバイデン政権は突然に米中融和へと舵を切ってしまった。したがって、もしも、台湾有事であっても尖閣諸島問題であってアメリカは中国に対して武力介入しないと誓ったのだ。ただし、これは通常兵器の場合であったことから核も含め武力介入しないことを約束する必要があった。そのためアメリカの報道官が両国の核が「紛争に発展しないよう努力を継続していく」と述べたのだ。
 これでも日本の安全保障は万事休す!!
 日本の安全保障の大前提であったアメリカの傘は、仮想敵国中国に使用しないことで協議が始まったのだ。
 
 ところで、ここまで、アメリカが踏み込まざるを得ない理由がある。それは、世界の核バランスだ。
 戦争利権屋であるバイデン大統領、ブリンケン国務長官、サリバン大統領補佐官、ヌーランド国務副長官代行は、ロシアがウクライナに侵攻したことを絶好にビジネスチャンスとした莫大な軍事資金をゼレンスキー政権に投入してきた。その結果、中国と北朝鮮をロシアに接近させる結果となってしまった。これでこれまでは「1位でロシア約4500発、米国は次いで約3700発で、3位中国の410発」の核兵器が「中露で4910発vs. アメリカ3700発」と変化してしまい核バランスにはならない事態が生じてしまった。
 このことを憂慮したキッシンジャーが米中融和に動き出した動機なのである。キッシンジャーが、1971年7月、中国に電撃訪問したのはベトナム戦争を終わらせるかめであったが、もう一つの理由は、1969年ダマンスキー島事件でソ連と中国の関係が極度に緊張していることを利用して中国をアメリカの対ロシア包囲網と経済圏に組込むこむことであった。そのためキッシンジャーはロックフェラーの親書を預かって訪中したのだ。

 岸田政権は、防衛三文書で決めた国防費増額という無理な政策によって、国民の税負担をかってない程に引き上げてしまった。現在、日本の国会で財源論の話がかまびすしいが、其れよりは、根拠のなくなった国防政策を破棄し、旧来の自衛隊予算に戻せば済むことである。
 これを行わない限り日本は、中国と交渉の席に着くこともできないことを思い知るべきだ。
 アメリカと云うご主人様は、中国に変心してしまったのだ。

・(2023.06.22)『上海コミュニケ

(岩波書店版「周恩来とキッシンジャーの機密会談録」の表紙から)
以上(寄稿:近藤雄三)
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