117 山本太郎
れいわ新選組代表、山本太郎と申します。 西村大臣にお聞きしたいんですけれども、まだ処理水の海洋放出は始まっていないということでいいですよね。いかがでしょう。118 西村明宏
ALPS処理水の放出はまだ行われていないというふうに承知しております。119 山本太郎
ありがとうございます。 一方で、その処理水であったりとか汚染水と言われるものは、原発施設内から今海洋に放出されているということはないということでいいですよね。処理水、ALPS処理水含めて、汚染水と言われるものも、海洋に今放出されている、原発施設内から流されているということはないですよね。120 西村明宏
御通告いただいておりませんので確認はしておりませんけれども、そういった状況はないのではないかというふうに考えております。121 山本太郎
ありがとうございます。 ALPS処理水をトリチウム水と呼ぶことがあります。これ、経産省の処理水に関する小委員会事務局の説明資料なんかでも、いわゆるトリチウム水というふうに表記されていたりとかするんですね。 海洋モニタリングを所管し正確な評価が求められる立場である環境省、環境大臣にお聞きしたいんですけど、これ同じこと復興大臣にもお聞きしました、ALPS処理水をトリチウム水と呼ぶことに関して違和感はありますか。122 西村明宏
その処理水に関してどういう呼び方をするのかというのは環境省として所管するところではないので、お答えを差し控えたいと思います。123 山本太郎
違和感持ってもらわなきゃ困るんですね。で、環境省から、やっぱりこれトリチウム水と呼ぶことには問題があるということを言ってもらわなきゃ困るんです。トリチウム水というと、入っているのはトリチウムだけだよと勘違いしてしまうんです。非常に悪質なプロパガンダと言えます。 処理水、トリチウム水、何と呼ぼうが汚染水です。 福島第一原発では、汚染水と一部処理した汚染水をタンクに保管しています。今年四月時点で十三億三千万リットル。これに加えて、毎日十三万リットルもの汚染水が生まれると。汚染水には、理論上、二百十種類の放射性物資が含まれる可能性が想定される。まどろっこしいですね。これ、実際には全てを測っていないので、理論上の想定となるということなんです。これまでの研究など知見から考えると二百十種類の放射性物質が含まれる可能性があり、その中から目立ったものをALPSで処理していると、減らしていると。ALPS処理で減らせる核種は、セシウム、ストロンチウムを含む六十二種類。その濃度を減らし、基準値未満にする。けれども、放射性物質そのものが消えてなくなるわけではない、浄化されるわけではない。 そもそも、ごく微量しか含まれていないんですと決めつけて測定しない、測定していない放射性物質もある。百七十近い放射性物質がほとんど含まれていないと決めつけて測定されていません。とてもこれ、トリチウムだけの水とは読めない。だからトリチウム水とは呼ぶのはまずいんですね。 よく政府や東電が使う基準値未満だから大丈夫という説明、そもそも海洋汚染リスクを正確に評価するためのこれ基準使っているのかということなんですけど、使っているのは飲料水の基準なんです。この基準値、正確には告示濃度限度比と呼ばれると。 告示濃度とは、毎日その濃度の水を二リットル飲み続けた場合、一年間で一ミリシーベルトの被曝となる濃度として設定、その限度が告示濃度限度。一つの放射性物質に対して一リットル当たり何ベクレルまでの濃度だったらよいかという最大値。この核種だけならば最大ここまでなら許します、放出できますというのが告示濃度限度。 測定される三十核種の告示濃度限度は、例えばヨウ素129だと九ベクレル、セシウム137だと九十ベクレル、ストロンチウムだと厳しくなって三十ベクレル。ただし、これは水の中にたった一種類、たった一種類の放射性物質が入っているという前提の最大の数値です。汚染水やALPS処理水のように複数の核種が混ざっているケースでは合計でどのくらいになるのかということが問題になってくるんですけど、それが告示濃度比の総和。全て足し合わせた合計が一。一という枠に収まればいいねという考え方なんですよ。 例えば、一リットルの水にセシウム137が九十ベクレル、この場合、告示濃度は目いっぱいになる。セシウム137だけで一という枠が全て埋まると、ほかの核種が混ざっている場合は流せません。もしセシウム137が四十五ベクレルなら、告示濃度の半分。半分だから告示濃度比は〇・五。一という枠の半分がセシウム137で、あと〇・五の枠が残っているから別の核種も流せますよねといった感じなんですね。 ALPS処理水にはトリチウム以外の核種もいろいろ混ざっているけど、告示濃度比の総和が一以下で管理して海に捨てるから問題ないと説明されてきました。これ、大臣、ALPS処理水の海洋放出が水産物の汚染に影響与えることはないとお考えになられていますか。いかがでしょう。124 西村明宏
海洋放出についての今細かい御説明をいただきましたけれども、御質問の通告がなかったので詳細については把握しておりませんけれども、基本的に、ALPS処理水の海洋放出に当たりましては、トリチウム以外の放射性物質につきましては規制基準を満たすまで浄化した上で、そしてまた、トリチウムの濃度を国の規制基準の四十分の一、WHOが定める飲料水基準の約七分の一である千五百ベクレル・パー・リットル未満になるように希釈して海洋放出しているということで、様々な影響のないように対応してやる方向で検討しているというふうに承知しております。- 125 山本太郎
- ありがとうございます。 ごめんなさいね、告知とか関係ないんですよ、通告とか関係ないんですよ。汚染水に関しての超基本的な話しか私していないんです。通告していないから理解していないということじゃ、汚染水流すということだったり、それをモニタリングするとかというような話って環境大臣として関われませんよ。当たり前の話しかしていませんからね、今、私。 はい、次に行きます。 六月五日、福島第一原発港湾内で基準値の百八十倍に汚染されたクロソイが捕獲されました。福島第一原発港湾外でも、福島県沖で二〇二二年、基準値超えのクロソイが試験操業で水揚げ、全量出荷停止となった。二〇二一年にも二月、四月に基準値超えがあった。クロソイ以外でも、今年二月にはいわき沖で福島漁連の自主基準を超えるスズキが見付かっている。これ、汚染の事例挙げ連ねたいという、そういう意図じゃないんですよ。このようなことがあるたびに、地元の漁業者、これ苦しい思い繰り返すことになるんですね。 で、先ほど大臣おっしゃいましたけれども、飲料水基準だというふうにおっしゃいました。それ以下でやっているということをおっしゃっているんだけど、これ、飲料水の基準じゃ駄目なんですよ。生態系濃縮のリスクを考慮した基準を策定しなきゃいけないんです、それで運用しないと。そういうことに転換していかなきゃいけないというふうに考えています。 様々な生物や有機物であふれている海、しかも同じポイントから数十年間放射性物質流し続ければどうなるかといったら、プランクトンだったり海藻だったりそのほかの有機物に蓄積されていくんです。プランクトンで生体濃縮された、そしてそのプランクトンを食べる小魚の中で更にこれ濃縮されて、その小魚を食べる魚の体内で更に濃縮されて、そういう食物連鎖がずうっと沿っていきながら濃縮が続いて、最終捕食者って誰ですかといったら人間になるんです。人間の体内に入っていって人体にも蓄積されていく、そういったリスクの評価が一ミリも考えられていないのが、政府のトリチウム水と偽装しながら海に垂れ流し薄める方針なんですね。 先ほどの飲料水の基準として考えられている告示濃度限度比、このような飲料水基準を海洋汚染評価に使うこと自体について海外の専門家集団から問題点が指摘されています。 太平洋諸国の首脳会議である太平洋諸島フォーラム、PIFの専門家パネルは、放射線や海洋環境の専門家などで構成されています。この専門家パネルが、東電、日本政府との会談内容、東電が提供した貯蔵タンク内の放射性核種データに基づき、測定法、評価法の根本的な問題点を指摘してくれています。その指摘の一つが、先ほど述べた告示濃度限度比という飲料水の基準では、長い期間を掛けた生体濃縮の危険が過小評価されるという指摘なんですね。 昨年八月十一日に同パネルが公表したペーパーでは次のように述べられています。 安全性を評価するための告示濃度比総和の評価手法には欠陥があり、不十分である。なぜなら、ストロンチウム90のような幾つかの放射性核種は海洋生態系において桁違いに再濃縮される可能性があることを考慮していないからだ。特に、ストロンチウムはカルシウムに似た性質を持つため魚介類に蓄積されやすく、一リットル当たりの濃度が微量でも、数十年も大量の水を放出し続ければ影響は計り知れない。水と性質が似ているとされるトリチウムでも、大量に同じポイントで放出を続ければ有機物と結合され蓄積されていく。 PIFの専門家たちは、同じペーパーの中でトリチウムの生体濃縮リスクも指摘します。該当部分、読み上げます。 東京電力が提案する海洋放出に対して、飲料水の有機結合トリチウムへの変換率を適用するのは科学的に有効でない。放出される水は直接人々が飲むものではなく、一リットル当たり千五百ベクレルの濃度に海水で薄めて拡散されるのである。そのため、関心を持つべき指標は、直接この濃度のトリチウム水を飲んだら人間の体で何が起きるかではなく、海洋生態系において何が起きるかである。通常の海水におけるトリチウム濃度は、一リットル当たり一ベクレル未満である。提案されている海洋放出を行った結果、自然界のトリチウム濃度、そして過去の核実験で放出された蓄積されたトリチウム濃度の数千倍の濃度のトリチウム蓄積が引き起こされる。さらに、この濃度での放出が特定の放出ポイントで何十年も続くことで、隣接する海洋環境の大部分において放射性物質の濃度勾配が生じ、海洋生態系に影響を与えるという、飲料水基準では不適切と指摘するPIF専門家たちの意見です。 本年二月には、先ほどの専門家パネルメンバーも含むPIFの代表団が訪日して、福島第一原発の現場視察も行われました。PIFはこの訪日に関して、二月六日にALPS処理水の評価をめぐる問題点を指摘したファクトシートを公表。その中で、生態学的影響や生物濃縮に関する考察が著しく欠けており、予測されるリスクについての信頼に足る根拠が見当たらないと東電の測定評価方法を批判しています。 処理水を海洋放出すれば、トリチウムも有機結合トリチウムとして海洋環境の中で濃縮される。通常の原発からもトリチウムは放出されていますから大丈夫ですよと、いつものやつあるじゃないですか。でも、福島第一原発からのトリチウムは放出量も放出期間も通常原発と比較にならないですよね。 経産省の資料によれば、福島第一と同じ沸騰水型原子炉では、通常運転時に放出されるトリチウムは多くても年間二兆ベクレル程度。福島第一原発からの処理水海洋放出によるトリチウム排出量は年間で二十二兆ベクレル。通常原発の十倍以上です。 そして、放出が続く期間も桁違いに長い。通常原発なら運転中にはトリチウム放出はありますけれど、廃炉が決まれば運転中ほどの放出はないですよね。福島第一の場合は、一九七三年に稼働が開始して、事故の起きた二〇一一年まで約四十年間、トリチウムを放出し続けていた。そして、これから更に何十年間も、年間二十二兆ベクレル、これ垂れ流し続けるわけですよね。 一方で、東電の影響評価書、トリチウムはほとんど生物濃縮、これしないんだという前提の評価になっているんですよ。二〇二三年四月十四日に行われたPIF専門家と日本政府の対話において、日本政府は、トリチウムの一〇〇%が有機結合トリチウムであったと仮定しても全体的な被曝評価は変わらないという趣旨の説明をしているんですね。 ここまではトリチウムに限った場合の話、今集中的にお伝えしましたけれども、溶け落ちた核燃料に直接触れた汚染水を処理したのがALPS処理水だと。通常原発の排水とは比べられない、当然多くの放射性物質をその中に含んでいるわけですよね。 で、先ほどお伝えしたように、これは測らないと決めているものが百七十もあるということでしょう。全部測ってはないんですよ。測らないと決めたものが後々、元々想定していたものよりも数値が高かったということもあったわけじゃないですか。一リットル当たりで見れば微量とされていても、長年放出し続ければ、セシウム、ストロンチウムなどは魚介類に蓄積され、食物連鎖を通じて汚染レベルが高まっていく。このことって環境省、実は知っているんですよね。 令和四年版放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料で、セシウムの濃縮係数を比べると、プランクトンより魚、魚よりは魚を捕食する大型哺乳類の方が高いことが分かりますと、ちゃんと理解しているんですよ。理解しているのに、そのリスク評価しないっておかしくないですか。飲料水というところに縛るのおかしくないですか。食物連鎖を通じて放射性物質が濃縮するってことを環境省自身が認めているんですよ。 もちろん、政府が海洋生物の汚染をチェックしていないと私言いませんよ、しているから。環境省は、福島第一原発周辺海域で海藻、魚類の汚染レベル測定していますよね。二〇二〇年度から開始した測定調査では、水生生物は年四回採取して、魚類はトリチウム、炭素14を測定して、海藻類はヨウ素129を測定していると。それ以前から行われているセシウムの調査もありますし。それでも、対象となる魚種、海藻類の種類は数種類のみなんですよ。放射性核種も限定されているんですよ。今後、モニタリングのスポット、これ頻度を増やす方向とは言っているんですけど、これでは生体濃縮のリスク、これちゃんと評価できるのかってことなんですね。 水産庁、令和四年六月から始まった水産物トリチウム分析で、東日本の太平洋側で採取された百九十四検体の分析実施しています。魚類二十九種と貝類が六種などが対象だと。今後、年間百八十検体ぐらいに対象、これ迅速分析を実施していくよという方針示しているんですけれど、環境省の調査よりかは確かに数は多い、けれども、分析するのはトリチウムのほかは幾つかの核種に限定されているんです。少なく見積もって数十種の放射性核種を含む汚染水を海に流すというのに、これでは海洋生態系への影響の全体像を把握している調査とは言えないんじゃないでしょうか。 これだけ多種多様な放射性物質を含み、自然界には存在しない濃度でのトリチウムを含む水を数十年流し続けるとすれば、本来、その影響を正確に評価するには隣接する海域全域でプランクトン、海藻、魚介類、あらゆる種類の海洋生物の汚染、これ調査、数十年以上行い続けなきゃならないんですね。今のようなサンプル調査、種類、ほかにも採取スポットを限定した調査では、これ生物濃縮、生体濃縮リスクの全体像を評価することできないんですよ。これ、網羅的な調査を全海域で数十年実施し続けることは政府には非現実的と見えるかもしれませんけど、だとするならば、海洋放出しないという選択肢がこれ最も賢明なリスクを減らす環境政策だと思うんです。これ、流しちゃ駄目なんじゃないですか。 リスク評価もやり方、これ異論が出ていますよ。原子力村とつながっていない、原子力推進機関とつながっていないようなピュアな海洋に対する専門家たちがこれに対して異を唱えているんです、やばいじゃないかと、飲料水基準でやっているってどういうことなんだと。このままこれを維持し続けるというの非常にまずい。だから当然、地元も反対するんですよ。 この間、経産大臣が地元行っても反対されていたでしょう、地元の人たち、福島の人たちも。宮城の人たちどうでしたか。来るの遅いわ言うてましたよ。こんなぎりぎりになって何来ているんだよと、もっとちゃんと話合いしたかったと言われていますよ。全く無視じゃないですか、現地のこと。 本委員会で西村大臣御挨拶と当初の頃やっていただいたときに、御自身が復興副大臣だった頃に被災地に何度も赴いて地元の方々のお話を伺った、現地の状況をしっかり捉え、地元の皆様の思いに寄り添い、環境再生に、環境再生に誠心誠意取り組んでいくということをおっしゃられたんですね。この御挨拶、偽りの言葉はないですかと聞いたら、偽りの部分ございませんとおっしゃっているんですけど、まさに今やろうとされているこの汚染水、もう事実上汚染水ですよ、これを飲料水基準とごまかしながら垂れ流し続ける、数十年も。しかも、その影響評価というものに関しては、生体濃縮であったりとか食物連鎖ってことを考えていない。 これもう一度、評価の仕方というのを立ち止まってもう一度策定し直すってことが必要だと思うんですよ。被災地の人たち、それ望んでいるんじゃないですか。意味も分からず反対しているわけじゃないですよ。国のこの誠意のない態度に対して反対しているんですよ。今ここにブレーキ掛けられるの大臣しかいないんですね。 総理に対して進言、提言していただけませんか。いかがでしょう。126 西村明宏
- まず、ALPS処理水の海洋放出、これに関しましては、国際基準及び国際勧告に沿った処分方法であるというふうに承知しております。また、グロッシーIAEA事務局長が、放出は環境にいかなる害も与えることはないと確信できるというコメントも出され、そして、本年の前半には包括報告書も公表される予定というふうに承知しております。 また、委員御指摘ありましたように、ALPS処理水に係る海域環境モニタリングに関しましては、IAEAによる分析機関間の比較の取組等を通じた信頼性の確保、またモニタリングへの地元関係者の立会いなどを通じまして、透明性の確保を図りながら進めているところでございます。 また、中について御紹介もありました、水生生物につきましても、漁業権設定区域との境界付近で水生生物中のトリチウムのモニタリングを実施しておりますし、また、その他、魚類の炭素14、また海藻類のヨウ素129についてもモニタリングを実施しているところでございます。 環境省としては、昨年から実施しております海域モニタリング、これを海洋放出の開始後更に拡充強化する予定でございます。客観性、信頼性、そして透明性の高いモニタリングを徹底するということで、地元の皆様の不安、そしてまた風評被害を抑えていくことにつなげてまいりたいというふうに考えております。
127 滝沢求
山本君、時間が過ぎておりますので、まとめてください。128 山本太郎
はい、まとめさせていただきます。 全く話かみ合っていないというか、ゼロ回答というんですね。それはそうですよ、心からというか、大臣のお立場で答えてないから、それも作られた作文読んでいるだけなんですね、残念ながら。 先ほど言ったとおり、地元の皆様の思いに寄り添いというような、元々言っていた偽りはないと言っていたことから考えれば、今やられようとしているこの汚染水の放出というのは偽りですよ。地元の人たちがどうして駄目だと言っているのかということを全く考えない。 IAEAのお墨付きもらったって言っているけど、原発推進機関なんだから、それは日本に原発続けさせていくということがもうメインテーマなわけでしょう。だからこそ、当然、汚染水だって問題ないし、土壌だって全国にばらまいても問題ないという判断しますよ。そういう話じゃないんです。透明性、客観性、全く担保されていないじゃないですか。透明性、客観性を持った科学者たちがこれはまずいということを言っているんです。 是非総理に提言をしていただきたい。是非もう一度、この策定という部分、今年の夏の放出というのを大幅延期する必要があります。測定評価の在り方から議論を仕切り直す、是非……130 山本太郎
大臣にやっていただきたいと思います。お願いします。 終わります。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・久しぶりの国会議事録だより。そういえば、つい最近のことだけれど、東京電力からラブレターが我が家にも届いている。「値上げ」という愛の言葉を添えたラブレターだ。犯罪企業東京電力、というと違和感を持たれる方がおられるだろうか。それとも、もっともと思われる方がおられるだろうか。私は明白な犯罪行為があったと思っているが法学者ではないので法理論を付言することはできない。しかし、はっきりとした「環境汚染」という現実が証明している。誰のものでもないがみんなのものである海洋を汚染させたという犯罪の結果であるということだ。明白な犯罪を現在の法律では裁けないらしい。さらに、この無法状態を創り出しているのは現政府であるということが、6月15日の答弁の中から浮上してくる。・・・・だったら政府を変えるしかないだろうね。ちなみに、私は毎日というほど魚を食べている魚好きである。(文責:吉田)
令和5年6月22日に『小日向白朗学会 HP準備室BLOG』に「上海コミュニケ 1972.2.28から」とするメッセージが掲載された。日本の安全保障を考えるうえで非常に重要なことであるため同メッセージに筆者の考えを付加させてもらうことにした。
ウクライナは、鬼畜ロシアの排撃を旗印に領土奪還作戦を声高に絶叫してきた。しかし、開戦から一年半が経過しようとしているが、これまで一ミリの領土も奪還したことはなく、今後もその見込みはない。加えてウクライナは、ブレジンスキーという最高指揮官が講和を拒否していることから今後もロシアと戦争を継続するいがいにない。
そのような中で、2023年6月21日からロンドンで日本を含む60か国余りの政府関係者や世界銀行などの国際機関、それに民間企業が参加してウクライナ復興会議が開催され、日本からも林外務大臣が出席している。このウクライナ復興会議は、ロシアの軍事侵攻で甚大な被害を受けたウクライナを復興しようというものである。
しかし、少し考えたならば、すぐに気が付くことであるが、ウクライナ復興会議は実に奇怪なのである。ゼレンスキーは徹底抗戦を主張し、アメリカ、イギリス、NATOはこれに同調している。加えてウクライナは開戦以来、劣勢であり、勝利の確率はほぼないばかりか、無条件降伏は時間の問題である。ならば、ウクライナはこれからもさらに灰燼に帰す地域が増えてゆくことになる。どこまでは破壊が進むかわからないうちウクライナを復興するなどという会議は、くだらない冗談意外な何物でもない。ウクライナは復興の前に、停戦もしくは休戦しなければ何も始まらないのだ。さすがゼレンスキーという喜劇役者の詐欺話だとしか考えられない。自分自身が雪隠詰であることを忘れたのかといわれるのが関の山であろう。
それもこれもウクライナが反転攻勢という「一撃講和論」を採用したことから、アメリカとNATO加盟国から「なけなし」の兵器を集めて漸く編成した兵力を、稚拙にも逐次投入したことで根こそぎ壊滅してしまったことで無条件降伏する以外に道はなくなったのだ。
ウクライナが一撃講和論で事態の収取を図ろうとしている時にロシアがとるべき戦法は、ウクライナ軍は補給に難のあることが明らかなためウクライナ軍が侵攻を試みた場合には、その前面の空間を広げてやれば、おのずとウクライナ軍はしゃにむに飛び込んでくる。そこを挟撃するだけでよいのだ。最近、ウクライナ軍が兵員輸送車などを進撃途中で放棄する事例が報告されているのは、恐らくこのことである。それをウクライナ軍は一部地域を奪還しつつある等と宣伝するのは、デマ情報でありプロパガンダンなのだ。現在のウクライナの状況は、敗戦間際の日本が一撃講和論から導き出した神風攻撃を行った時とまったく同じ状況なのである。
その結果、ウクライナの主要都市の防備は手薄となり、逆にロシアが攻勢をかけた場合、ウクライナにとって致命傷となる都市がロシア軍の手に落ちることを覚悟する必要が生まれている。これだけウクライナゼレンスキー政権が崩壊する危険が高まる中でウクライナの復興など単なる戯言である。イギリスもアメリカもNATOもウクライナが攻勢にでてロシアに一撃を加えたのち世論操作で嫌々ながらも休戦に応じたという結末を思い描いていたのであろう。そして、G7とEUを総動員してウクライナ復興という一大公共投資をおこなって傾いたG7とEU経済を活性化させる目論見でいたのであろう。しかし、その試みは、もろくも崩れ去った。それにも関わらずイギリス、アメリカがウクライナ復興会議開催を強行するのは、ほかに選択の余地がなくなったことを意味している。そればかりか、このままウクライナが無条件降伏してしまうと、アメリカ大統領選挙バイデンが行ってきたウクライナ支援政策が間違いであったことをアメリカ国民が気づくこととなり、厳しい反発を招くことになる。それは必然的に来年行われるアメリカ大統領選挙でバイデンの再選は不可能となる。その結果、NATO解体と朝鮮半島終戦を行おうとしていたトランプの地滑り的な勝利となる。アメリカ、イギリス、NATOにとって悪夢のトランプ復活を阻止するためには、ウクライナ復興という経済成長政策を実現させなければならないという焦りなのだ。
ところで追い詰められたゼレンスキー政権を取り囲む末期的な状況から、今後の日本政府の動向もある程度は推測することができる。
令和5年6月21日閉会の第211回通常国会は、閉会時期が迫るとともに解散総選挙が取りざたされ、それに合わせて東京株式市場も異例の上昇を見せていた。にもかかわらず岸田は解散総選挙を見送った。これは岸田総理大臣がウクライナの状況が危機的な状態になることをアメリカから知らされていたからに他ならない。もしも六月末に解散総選挙を行った場合、日本政府は8月中頃までは国際状況の変化に対応することができないことになる。その挙句、もしもゼレンスキーが白旗を挙げた場合には、ロシアがウクライナに侵攻したことを根拠に作成した防衛三文書を指針に防衛費拡大政策を強行してきた。これが日本政府による全くのでたらめであったことが白日の下にさらされることとなる。特に問題の箇所は、防衛三文書で、日本の仮想敵国をロシア、中国、北朝鮮としたことで、台湾有事に仮想敵国中国が尖閣列島に侵攻することが予想されるとして島嶼防衛及び奪還作戦能力を獲得しアメリカと対処するという基本方針を決めてしまったことである。
ところが、である。ブリンケン国務長官は訪中して中国首脳と会談する中で「One China Policy」つまり上海コミュニケを遵守して、「We don't support Taiwan's independence.」つまり台湾独立を支持しないと言ってしまった。これは政府が定めた防衛三文書の前提となっているアメリカが島嶼防衛に加わるということがあり得ないことを示している。
アメリカは「中国は一つである」ことから台湾の独立を支持しないし、台湾解放の一環として尖閣諸島に中国が侵攻しても、アメリカとして阻止することはないと言ってしまったのだ。つまり、防衛三文書の前提条件となっている事項は、莫大な防衛予算を獲得するための作り話だったのである。
そもそも防衛三文書は幼稚な思い込みが多くとても日本の安全保障の基本となるような代物ではない。その極めつけは「ロシアがウクライナに侵攻したことから、次は、中国も同様に尖閣諸島に進行してくる」という、相関関係と因果関係の区別もなく単なる連想ゲームのような稚拙な発想で増税を含む莫大な防衛予算を獲得するためだけの作文なのである。
それも恐らくはNATOと英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)に作文を手伝ってもらったものであろう。だからNATOは自身の生き残りのため日本に支店を作ることに同意しているのだ。
ブリンケンの真意が日本国民に正確に知らされ論議となったならば、解散総選挙は、いくら労働組合を引き込み、野党の国民民主党と日本維新の会を自民党の第二列と万全の体制で臨んだとしても、惨敗となることは必定であろう。だから解散総選挙はできなかったのである。ゼレンスキーのような詐欺師に騙されて日本の国防方針を作成した日本政府の国際政治感覚は愚かであるよりも危険である。
自民党の唯一の救いは、立憲民主党の党首が対局軸を作ることもできないほどに凡庸であることである。
以上(寄稿:近藤雄三)
ウクライナは、鬼畜ロシアの排撃を旗印に領土奪還作戦を声高に絶叫してきた。しかし、開戦から一年半が経過しようとしているが、これまで一ミリの領土も奪還したことはなく、今後もその見込みはない。加えてウクライナは、ブレジンスキーという最高指揮官が講和を拒否していることから今後もロシアと戦争を継続するいがいにない。
そのような中で、2023年6月21日からロンドンで日本を含む60か国余りの政府関係者や世界銀行などの国際機関、それに民間企業が参加してウクライナ復興会議が開催され、日本からも林外務大臣が出席している。このウクライナ復興会議は、ロシアの軍事侵攻で甚大な被害を受けたウクライナを復興しようというものである。
しかし、少し考えたならば、すぐに気が付くことであるが、ウクライナ復興会議は実に奇怪なのである。ゼレンスキーは徹底抗戦を主張し、アメリカ、イギリス、NATOはこれに同調している。加えてウクライナは開戦以来、劣勢であり、勝利の確率はほぼないばかりか、無条件降伏は時間の問題である。ならば、ウクライナはこれからもさらに灰燼に帰す地域が増えてゆくことになる。どこまでは破壊が進むかわからないうちウクライナを復興するなどという会議は、くだらない冗談意外な何物でもない。ウクライナは復興の前に、停戦もしくは休戦しなければ何も始まらないのだ。さすがゼレンスキーという喜劇役者の詐欺話だとしか考えられない。自分自身が雪隠詰であることを忘れたのかといわれるのが関の山であろう。
それもこれもウクライナが反転攻勢という「一撃講和論」を採用したことから、アメリカとNATO加盟国から「なけなし」の兵器を集めて漸く編成した兵力を、稚拙にも逐次投入したことで根こそぎ壊滅してしまったことで無条件降伏する以外に道はなくなったのだ。
ウクライナが一撃講和論で事態の収取を図ろうとしている時にロシアがとるべき戦法は、ウクライナ軍は補給に難のあることが明らかなためウクライナ軍が侵攻を試みた場合には、その前面の空間を広げてやれば、おのずとウクライナ軍はしゃにむに飛び込んでくる。そこを挟撃するだけでよいのだ。最近、ウクライナ軍が兵員輸送車などを進撃途中で放棄する事例が報告されているのは、恐らくこのことである。それをウクライナ軍は一部地域を奪還しつつある等と宣伝するのは、デマ情報でありプロパガンダンなのだ。現在のウクライナの状況は、敗戦間際の日本が一撃講和論から導き出した神風攻撃を行った時とまったく同じ状況なのである。
その結果、ウクライナの主要都市の防備は手薄となり、逆にロシアが攻勢をかけた場合、ウクライナにとって致命傷となる都市がロシア軍の手に落ちることを覚悟する必要が生まれている。これだけウクライナゼレンスキー政権が崩壊する危険が高まる中でウクライナの復興など単なる戯言である。イギリスもアメリカもNATOもウクライナが攻勢にでてロシアに一撃を加えたのち世論操作で嫌々ながらも休戦に応じたという結末を思い描いていたのであろう。そして、G7とEUを総動員してウクライナ復興という一大公共投資をおこなって傾いたG7とEU経済を活性化させる目論見でいたのであろう。しかし、その試みは、もろくも崩れ去った。それにも関わらずイギリス、アメリカがウクライナ復興会議開催を強行するのは、ほかに選択の余地がなくなったことを意味している。そればかりか、このままウクライナが無条件降伏してしまうと、アメリカ大統領選挙バイデンが行ってきたウクライナ支援政策が間違いであったことをアメリカ国民が気づくこととなり、厳しい反発を招くことになる。それは必然的に来年行われるアメリカ大統領選挙でバイデンの再選は不可能となる。その結果、NATO解体と朝鮮半島終戦を行おうとしていたトランプの地滑り的な勝利となる。アメリカ、イギリス、NATOにとって悪夢のトランプ復活を阻止するためには、ウクライナ復興という経済成長政策を実現させなければならないという焦りなのだ。
ところで追い詰められたゼレンスキー政権を取り囲む末期的な状況から、今後の日本政府の動向もある程度は推測することができる。
令和5年6月21日閉会の第211回通常国会は、閉会時期が迫るとともに解散総選挙が取りざたされ、それに合わせて東京株式市場も異例の上昇を見せていた。にもかかわらず岸田は解散総選挙を見送った。これは岸田総理大臣がウクライナの状況が危機的な状態になることをアメリカから知らされていたからに他ならない。もしも六月末に解散総選挙を行った場合、日本政府は8月中頃までは国際状況の変化に対応することができないことになる。その挙句、もしもゼレンスキーが白旗を挙げた場合には、ロシアがウクライナに侵攻したことを根拠に作成した防衛三文書を指針に防衛費拡大政策を強行してきた。これが日本政府による全くのでたらめであったことが白日の下にさらされることとなる。特に問題の箇所は、防衛三文書で、日本の仮想敵国をロシア、中国、北朝鮮としたことで、台湾有事に仮想敵国中国が尖閣列島に侵攻することが予想されるとして島嶼防衛及び奪還作戦能力を獲得しアメリカと対処するという基本方針を決めてしまったことである。
ところが、である。ブリンケン国務長官は訪中して中国首脳と会談する中で「One China Policy」つまり上海コミュニケを遵守して、「We don't support Taiwan's independence.」つまり台湾独立を支持しないと言ってしまった。これは政府が定めた防衛三文書の前提となっているアメリカが島嶼防衛に加わるということがあり得ないことを示している。
アメリカは「中国は一つである」ことから台湾の独立を支持しないし、台湾解放の一環として尖閣諸島に中国が侵攻しても、アメリカとして阻止することはないと言ってしまったのだ。つまり、防衛三文書の前提条件となっている事項は、莫大な防衛予算を獲得するための作り話だったのである。
そもそも防衛三文書は幼稚な思い込みが多くとても日本の安全保障の基本となるような代物ではない。その極めつけは「ロシアがウクライナに侵攻したことから、次は、中国も同様に尖閣諸島に進行してくる」という、相関関係と因果関係の区別もなく単なる連想ゲームのような稚拙な発想で増税を含む莫大な防衛予算を獲得するためだけの作文なのである。
それも恐らくはNATOと英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)に作文を手伝ってもらったものであろう。だからNATOは自身の生き残りのため日本に支店を作ることに同意しているのだ。
ブリンケンの真意が日本国民に正確に知らされ論議となったならば、解散総選挙は、いくら労働組合を引き込み、野党の国民民主党と日本維新の会を自民党の第二列と万全の体制で臨んだとしても、惨敗となることは必定であろう。だから解散総選挙はできなかったのである。ゼレンスキーのような詐欺師に騙されて日本の国防方針を作成した日本政府の国際政治感覚は愚かであるよりも危険である。
自民党の唯一の救いは、立憲民主党の党首が対局軸を作ることもできないほどに凡庸であることである。
以上(寄稿:近藤雄三)
上海コミュニケ~
『・・・・台湾問題は中国と合衆国のあいだの関係正常化を妨げている決定的な問題であること。中華人民共和国政府が中国の唯一、正当な政府であること。台湾はすでにずつと以前に母国に返還されている中国の一省であること。台湾の開放は中国の内政問題であって、他のいかなる国にも干渉する権利はないこと。そして、すべての米軍及び米軍事施設台湾から撤去されなければならないこと。中国政府は、「一つの台湾」「一つの中国、二つの政府」「台湾独立」などを創り出すことを目的としたり「台湾の地位は未定である」と主張したりするいかなる活動にも断固反対する。・・・・・・合衆国側は次のように宣言した。合衆国は、台湾海峡の両側のすべての中国人が、中国はただ一つであり、台湾は中国の一部であると主張していることを認識する。合衆国政府はその立場に異議を申し立てない。合衆国政府は、中国人自身による台湾問題の平和的解決に関心を持っていることをかさねて強調する。この展望を前提として、合衆国政府は、すべての米軍および米軍事施設を台湾から撤去するという最終目標を確認する。その間に、合衆国政府は、この地域における緊張が減少するにしたがって、台湾における米軍および米軍事施設を漸減させるであろう。・・・・・』(「周恩来 キッシンジャー 機密会談録」 毛里和子・増田弘監訳、岩波書店版より)
アントニー・ジョン・ブリンケン国務長官は中国を訪問、秦剛外相、王毅共産党政治局員、習近平氏と会談した後、ロンドンに飛んでウクライナ復興会議に参加したらしい。たいした活動振りである。メディアではポジティブ、ネガティブ含めて好き勝手な評論を付けているらしいけれど、まず、会いに行ったことはよいことだし、まあ、そうしなければならないアメリカの裏事情があったにしても、高く評価すべきではないだろうか。(かといって、思うように中国が動いてくれるわけはないが…)
習氏との会談後、NHKのネットニュースなどでは報道されているようだけれど、「one china policy」を明言していることも事実だ。one china principleとの違いは非常に大きい、この違いを認識しないメディアが多すぎるなどと得意顔で評論する外交専門筋も多いように見受けるけれど、「one china」という部分が大切なのではないだろうか。「原則」か「政策」かなどという言葉はまあ、とりあえずは脇に置いてもいいのではないだろうか。・・・てなことで、時は50年前に戻ったのだ。正確には51年4か月かな? キッシンジャーが国内政敵やCIAなどに内緒にしながら若干のNSCメンバーらとともにどうにか米中国交正常化にこぎつけてからすでにそんな長い時間が過ぎている。当時は我らが白朗が大いにキッシンジャーさんにエールを送ったものであった。
(文責:吉田)
2023年6月7日、ケルソン州にあるカホフカ水力発電所ダムが破壊されたことが世界中に配信された。この事件に付いては『2023年へルソン州ダム決壊と1938(昭和13)年黄河決潰事件』で報告した。その結論は、この種の事件の本質は「退却」若しくは「撤退」する側がインフラを破壊して、つぎの支配者に利用させないということである。そして同地域がロシアの支配下にあったことから、ダムを破壊したのはウクライナしかありえない。
したがってウクライナは、自国領土と主張する地域のインフラを破壊せざるを得ないほどに敗北しつつあるのだ。日本のマスコミは、ウクライナの優勢な反攻を喧伝すればするほど、ゼレンスキー政権が追い詰められている何よりの証拠でもある。
現状のウクライナは、国家財政は破城しデフォルト状態であるばかりか準備金も底払いしていて戦争を継続することは不可能である。それにも拘らずゼレンスキーが徹底抗戦を叫ぶのは、イギリス、アメリカ及びNATO諸国の軍事援助があるからだけである。その軍事支援がとまれば、おそらく、すぐさまウクライナの敗北が決まる。現にウクライナ軍は兵士に対する給与支払いが困難になっているという情報もある。
ではなぜゼレンスキーは、勝ち目のない戦争であるにも関わらず徹底抗戦を絶叫するのかと云うと、それにはアメリカ、イギリス、NATOが多額の軍事援助を与えていることが強く影響している。アメリカもイギリスもウクライナに友好的であることから莫大な軍事援助をしているわけではない。既に戦後を見越しているのだ。ウクライナの戦後とは焦土となった復興以外にない。そのアメリカやイギリスはウクライナの復興事業からロシアを排除してEU主導で実施することに掛けているのだ。そのためウクライナがロシアに無条件降伏することはウクライナ復興ビジネスが画餅となることから絶対に受け入れることはできない事態なのだ。
そもそもロシアとウクライナの戦争は、NATOがウクライナに核配備をするという悪巧みをロシアに見破られ撃破されてしまったことに始まる。しかし、ウクライナが単純に停戦もしくは講和してしまうと、NATOが張子の虎で無用の長物であることが白日のもとに明らかになり存続そのものがありえない。それで、NATOはロシアに一撃を加え、対等な条件で講和することでウクライナの復興ビジネスという利権を確保することを画策した。それがNATO、アメリカ、イギリスの軍事支援の本質なのである。つまりウクライナ戦争はビジネスなのである。
ところでウクライナで進められている一撃講和論は、実は戦前の日本も実施された実に愚劣な作戦なのである。
昭和19年7月11日付け陸軍大将東久邇宮稔彦王の日記に次のような記述がある。
『……わが海軍は、なお最後の一戦をやる余力があるから、陸海軍の航空戦力を統合して、アメリカ軍に一撃を加え、その時機に和平交渉をするのがよい。これがためには、陸海軍統帥部の一元化と航空戦力の一元化を、急速に実施しなくてはならない
……』
つまり、圧倒的不利な状況の中で敵軍に一撃を加えて、少しでも有利な状況で講和を模索するというものです。これが、当時、日本の戦争指導部の考え方を端的に示していて実に幼稚で虫の良い戦術なのである。現実問題として戦略的に圧倒的に有利な側が、一時的な損害を受けただけで講和に応じるわけはない。このような稚拙な戦術は、むしろ、相手側に決定的な勝利を献上することになるだけなのだ。それは、不足する戦力をかき集め準備できたところから逐次投入することからまともな戦果などあり得ない。迎え撃つ側からすると、相手が限られた地域に全力で飛び込んでくることから、実に手際よく処理することができた。その結果は、日本中が焼け野原であった。
日本の政治家やマスコミは、日本が敗戦に至るまでの戦術の変化を研究するならば、ウクライナのゼレンスキーがいかに確実に敗北してゆくのかが手に取るように見えてくるはずである。
最近、ゼレンスキーは移動列車のなかでメッセージをSNSで投稿していたが、それがトイレの中ではないのかと話題になっている。それが事実ならば、すでにゼレンスキーはNATOやアメリカ、イギリスの厳しい監視の下で勝手に講和を口にすることを封じられていると見ることもでき事態になっている。
以上(寄稿:近藤雄三)
2023年6月7日、朝日デジタルに『ダム決壊「最大4万人が被災」 親ロシア派トップが発言』[1]とする記事が掲載された。
『……
ロシア軍占領下のウクライナ南部ヘルソン州で6日、ダムが破壊され、住民が避難を余儀なくされました。
……
15:42(ヘルソン09:42)
ダム決壊で最大4万人が被災か 親ロシア派トップ発言
ウクライナ南部ヘルソン州の親ロシア派トップのウラジーミル・サリド氏は7日、同州のカホウカ水力発電所のダム決壊により、最大4万人が被災者となる可能性があると述べた。テレビ番組での発言をタス通信が伝えた。
サリド氏は被災地域の住民の数を、「速報値で2万2千~4万(人)」と話した。当初、行方不明とされた人の多くが見つかっているとし、現在不明の7人については、「島にいる可能性がある。すぐに島に行けるので、もしいれば救出する」と述べた。
ロシアはダム決壊を、ウクライナのミサイル攻撃によるものと主張している。
……』
この新聞記事の核心部分は、ロシア軍占領下でダムが決壊したということである。一般的に言って、ある軍事組織がある地区を占領したならば、占領地区の民心を掌握し安定させるためにインフラが破壊されたならば修復し安定供給することを最優先して行う。
ならば占領軍が、自ら進んでインフラを破壊するということは考えられない。あるとすれば、事故でインフラが壊れた場合は、住民の被害を最小にするため危険を知らせるとともに代替え手段を準備するのが普通であろう。
昭和13(1938)年4月7日から日本陸軍は蒋介石率いる国民革命軍を掃討するため徐州会戦を開始した。同年5月19日には、徐州を占領したものの国民革命軍主力を取り逃がしたことから追撃に移ることとなった。
中国軍主力は京漢線以西に撤退を急いだが、日本軍の追撃に防備体制が間に合わず、同年6月4日に蒋介石は「黄河氾濫」によって日本軍の侵攻を阻止することを下令した。同年6月9日に黄河堤防を爆破した。同月11日に、爆破口から大雨で増水し黄河濁流が溢れ出した。この黄河堤防爆破により日本軍追撃をくい止めることには成功した。これを黄河決潰事件という。
事件後の中国国民党は「黄河決壊事件は日本軍が引き起こしたものである」という発表を行った。さらに、6月11日午前、中央社(中国国民党系通信社)は「日本の空爆で黄河決壊」という報道を配信した。
黄河決潰事件と2023年6月6日のケルソン州にあるカホフカ水力発電所ダム破壊は時代を超えて同じ状況が生じている。
ウクライナ軍南部方面部隊は、ダム決壊後の6日午前7時30分過ぎにSNSに「露軍がカホフカ水力発電所を爆破した」と投稿している。蒋介石率いる中国国民党が黄河堤防爆破を報道したタイミングと動機は同じものなのだ。戦略にも戦術的にも追い詰められたウクライナ軍がロシア軍の攻撃を回避するため仕組んだ仕業であり、その後のプロパガンダなのだ。カホフカ水力発電所ダム破壊をロシア軍の仕業と喧伝するのは悪質なプロパガンダなのだ。それだけウクライナ軍が追い詰められている証拠でもある。また本年初頭から言われたウクライナ軍による大規模攻勢とは、ダム破壊程度がせいぜいなのだ。
以上のことから現在のウクライナが抱える最大の悲劇は、ゼレンスキーと云う喜劇役者が政権を掌握していることである。そしてゼレンスキーが政権を維持し戦争を継続しているのは、張子の虎NATOという時代遅れの軍事組織が自己存続のためゼレンスキーをパペット(操り人形)として利用しているに過ぎない。つまりゼレンスキーの戦いは、ウクライナ国民の為ではなく、NATOの存続と、NATOを手先として国際政治をもてあそんできたオバマおよびバイデンの悪事が白日の下に晒されるのを止めるという悲喜劇なのだ。
本当にウクライナ国民のことを心配するならば、即刻、停戦を実現し復興の道を探る以外に方法はない。決してウクライナに継戦を求めるような悪質なプロパガンダに惑わされてはいけない。
以上(寄稿:近藤雄三)
[1] https://www.asahi.com/articles/ASR670F79R66UHBI04B.html
106 照屋寛徳
○照屋委員 政府参考人にお伺いをいたします。 陸上自衛隊の教育組織の中に、旧陸軍中野学校の流れをくむ陸上自衛隊小平学校は存在しますか。また、同校の心理戦防護課程には毎年何名ほどの者が入校するんでしょうか。同課程のカリキュラム、卒業後の配属先や役職もあわせて伺います。107 豊田硬
○豊田政府参考人 お答えいたします。 陸上自衛隊の教育組織の中には幾つかの学校がございますが、先生御指摘の陸上自衛隊小平学校は、東京都小平市に所在いたしまして、情報科、警務科もしくは会計科に必要な知識及び技能、または人事、業務管理等に必要な知識及び技能を習得させるための教育訓練を任務としているところでございます。同校は、自衛隊創設以来、自衛隊の所掌事務遂行のための教育訓練を行う目的で設置されておるところでございます。 二点目の、心理戦防護課程についての御質問でございます。 陸上自衛隊小平学校で行っております心理戦防護課程の入校者数などにつきましては、これを公にした場合、陸上自衛隊の隊員養成の状況が明らかとなり、体制及び隊員の質的能力が推察され、任務の効果的な遂行に支障が生じるおそれがあるため、この点についてのお答えは差し控えさせていただきます。 三点目、同課程のカリキュラムの内容についてでございます。 概略ではございますが、陸上自衛隊小平学校で行われている心理戦防護課程では、有事の際に部外から自衛隊に対して行われるさまざまな心理的な揺さぶりに対しまして、隊員の動揺を抑え、組織の団結を維持するためにどのように対応するのかといった点について教育を行っているところでございます。 なお、この詳細な内容については、業務の性格上、お答えを差し控えさせていただきます。 四点目、入校者の課程修了後の役職という点でございます。 隊員の人事異動につきましては、本人の経歴や資質、適性、その職に要求される能力等の要件などを総合的に考慮して行っておりまして、当該課程を受講したことのみをもって、その後の配属先が決定するわけではございません。 御指摘の、心理戦防護課程を受講した隊員の配属先につきましても、個別のケースによって異なりますことから、一概に申し上げることは困難でございます。 以上でございます。108 照屋寛徳
○照屋委員 大臣、いわゆる別班問題については、いろいろ議論されて、大臣のコメントも私は承知をしておりますが、民主国家の基本原理である文民統制、これからしますと、別班が存在するならば、我が国の文民統制のあり方を根本から揺るがす大問題であります。陸幕長は運用支援部長に聞いただけ、大臣は陸幕長に聞いただけで済まし、制服組の言い分だけをうのみにして、別班は存在しないなどと断定するのは極めて危険であります。 文民統制の観点に立って、第三者による調査機関を設置し、別班の存在の有無について徹底的に調べ上げるべきだと考えますが、大臣の見解を伺います。109 小野寺五典
○小野寺国務大臣 いわゆる別班問題はたびたび国会でも議論されていると伺っておりますが、私も、改めて陸幕長を初め関係のところに確認をするよう命じまして、このような組織はないということで回答をいただいております。 いずれにしても、政治がしっかりとした機能を発揮し、このような疑いを持たれるようなことがないように、しっかりとした体制をとることが大切だと考えております。110 照屋寛徳
○照屋委員 終わります。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・総力戦に向けて軍部において諜報の重要性が認識され、昭和13年7月開校した陸軍中野学校、いわゆる諜報の専門家(俗称スパイ)を育成する組織のようだったが、昭和20年8月に消滅したことになっている。しかし、実はその後も生きて現在に至っているようだ。その名は「陸上自衛隊小平学校」。(文責:吉田)