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非ミステリ感想-『虐殺器官』伊藤計劃

2021年06月19日 | ミステリ感想
~あらすじ~
サラエボでテロリストにより核兵器が使用され、世界はテロのるつぼに落ちた。
米軍のクラヴィス・シェパード大尉ら情報軍は、虐殺の首謀者を暗殺するが、常にジョン・ポールという謎の男を取り逃がす。
目撃情報を追いプラハに至ったクラヴィスは、思いも寄らない虐殺の真実を知る。


~感想~
伊藤計劃がプロローグと梗概だけ遺して没した後に、円城塔が完成させた「屍者の帝国」が人生ワーストワンくらい口に合わなかったので、どっちが原因かはっきりさせるために伊藤計劃のデビュー作にして代表作「虐殺器官」を読むことにした。
結果100ページ足らずで原因は円城塔とわかったし、なんなら「屍者の帝国」もプロローグまでは全然問題なく読めていたので最初からわかってた。あれを共著と呼ぶのは無茶だと思う。

それはともかくとして本作はアニメ化もなされた超有名作であり、今さらミステリバカの門外漢が感想を書いていい代物ではないが、普通に楽しく読めた。
舞台は近未来、サラエボでテロリストによって核兵器が使用され、歯止めを失い核戦争が現実のものとなった世界で、米軍の暗殺部隊員を語り手に、SF兵器ありバトルありスパイあり謀略ありのフルコースが、決して長くない文量で披露される。
加えてタイトルでもある虐殺器官がケレン味ある素晴らしい発想で、結末も意表を突きながらもこれしかないと納得するものだった。なるほどこれは売れる。
SF好きならもっと楽しめること請け合いの秀作である。


21.6.9
評価:★★★ 6

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