お父さんは雑だったけど、植物を育てるの、意外とうまかったなあ‥。
と、つくづく思ったのは、窓際に置いた植物群に水をやろうとした時だった。
「‥むむ、枯れている(それか、しおれている)。」
それが何ヶ月か前で、それからなるべく忘れないようにして、水をあげているのだが、どんどん元気がなくなっていく。
春なのに‥。
あまり元気に外に出歩けなくなった頃、お父さんはまず外にいろいろな野菜を植え、外にもでるのが大変になったら、
今度は家の中でいろいろ育て始めた。
プチトマト、ネギ、小ねぎ(ネギは好きだったねえ)、とうがらし、みかんなど、食べた後タネがでるものいろいろ。
せっせと埋めては、育っていくのを見て喜んでいた。
リビング泥だらけだったけど。
土なんか買わずに、うちの見るからに栄養がなさそうな土を使っていたけど、生ゴミとか卵のカラとか、マメに埋めていた。
中途半端に埋めるからコバエが出てたいへんだったけど。
まあその甲斐あったのか、育たないのもあったけれど、結構勢いよく育った植物も多かった。
お母さんが生きている頃からずっと育てていたシャコバサボテンも、もう亡くなって30年近く経つのに、
葉っぱがペラペラになりながらも、毎年たくさんの花を咲かしてくれていた。
毎年、それをみながらお父さんと
「えらいなあ、ろくに手入れもしないのに、今年もこんなに咲いてくれて」
と感動していたものだった。
それが気がつくと、植物たち、ほとんど枯れている。
ずーっと頑張ってくれていたシャコバサボテンまで瀕死状態。
元気だった唐辛子も葉っぱの先が枯れかけていて、ろくに実ががなっていない。
お父さんとともに植物たちも旅立っていく。さびしい。
‥というか、要するに私が下手なんだね、育てるの。
ごめんよ、植物たち。
天国で、お父さんとお母さんの周りで咲き誇っておくれ。