最近お父さんはときどき大便が間に合わないことがある。
今日は病室に行くといちだんと臭ったので
「トイレは大丈夫?」
と聞いたら
「ああ大丈夫だ」
と、仰向けになったまま答えた。
そうか、同室の患者さんの臭いなのかな?
うーんけっこうにおうなーお父さんも大変だなー
と思ってしばらく話していると、
「どうもズボンにちょっと便がついてしまったようだ」
と言い出した。
ズボンについたって事は、ステテコにもパンツにもついてるよね。
全部換えた方がいいじゃない?
「いや大丈夫だ!ズボンだけ換えれば大丈夫だから!」
と言い張る。ジャージのズボンを脱がしてもそれほどついていない。
「一応ステテコもぬがしてみるね」
嫌そうなお父さんのステテコを脱がすとそこには大便の固まりがべったりついていた。
さらにパンツのすきまから、お尻に便がついたままなのが見えた。
「トイレでもう一度ウォシュレットで流してきた方がいいよ」
起き上がった拍子にシーツにも便がつく。
看護師さんを呼んできて、シーツを換えてもらった。
家に下着を持って帰って考えた。
今まで、少しは便がついていたことがあったけれど、こんなにがっつりついているのは初めてだ。
洗濯のとき、どこで便を流せばいいのだ?
お風呂場で流すのもなんだかなー。
結局手袋をはめてトイレの水でブラシでこすってだいたいの便を洗い流し、
お風呂の残り湯があったので、バケツの中に洗剤をいれてこすり洗い、
水を換えてしばらく洗剤(驚きの抗菌力!と書いてあるやつ)につけて
それから洗濯機に洗剤と柔軟剤(本格消臭!て書いてあるやつ)を入れて洗った。
慣れてないせいもあって、下着とジャージのパンツ、三枚洗うだけでずいぶん時間がかかった。
そして精神的に疲れた。臭いってけっこうダメージくるね〜。
便を洗った場所にはしつこく臭いが残るのだ!
こういうことを毎日やっている介護者は本当に偉いと思う。
私も淡々とできるようにがんばろう。慣れれば大丈夫!
たぶん!きっと!
がんばれオレ
お父さんは私に、便を漏らしたってことを見られたくなかったんだろう。
なんといっても強くて自信満々のお父さんだったから。
また情けない思いをしたと思う。
家に帰ってきても、便が間に合わなくても、
お父さんは絶対オムツをしたがらないと思う。
プライドが高いのって介護する側が苦労するなー。
けれど、お父さんがもし、
自分でできるんだ〜!バカにするな!オレは大丈夫!
という気持ちを失ったら、一気にがっくりきそうだし、
まあそれよりましなのかな。