たびびとの写真帳

*小さな旅の思い出写真集*

旅先・散歩中の心に残る写真が中心です。
旅の思い出・滝・風景・花の写真など。

厳冬の「荒沢相生滝」「裏見の滝」

2017年02月01日 | 写真

 

  日光に数ある滝の中でも日本三名瀑の一つ「華厳の滝」と日本の滝百選の「霧降の滝」、それと「裏見の滝」が「日光三名瀑」で、「華厳の滝」「竜頭の滝」「湯滝」は「奥日光三名瀑」とされているがちょっとまぎらわしくてすぐには口から出てこない。これらはどれも駐車場からそれほど長い道のりというわけではなく、日光を訪れるたびに必ず立ち寄ることにしている。他にも日光山のすこし奥の「白糸の滝」も車道のすぐ近くにある。

 これらの中で「裏見の滝」への山道は比較的長く、数年前には崖崩れで相当期間進入禁止になったこともあった。「裏見の滝」の左脇には「荒沢相生滝」、右脇には「荒沢白糸滝」が並んでいて魅力的な眺めである。積雪が深い時は軽装備ではとても無理だと思うが、今回は幸い山道の雪は少なく、トレッキングシューズに簡単な滑り止めを装着するだけで滝前まで上がることができた。

 一枚目、二枚目の写真の「荒沢相生滝」は本体は右側の二筋の繊細な流れで観瀑台の目の前にあり、夏場などには水しぶきを浴びながら見上げる。厳冬期に滝前まで上がったのは今回が初めてで、その左側の岩壁が氷柱で覆われていたのにはびっくりした。とてもめずらしい姿だったので、いろいろとアングルを変えて何度もシャッターを切った。(2017/1/25 撮影)

 

 

 

 三枚目の写真は「荒沢相生滝」岩壁下の左端に三脚をセットして、この場所の「主役」である「裏見の滝」を右奥に写し込んだ。裏見の滝はいつも水量が多くて流れが激しく、おそらく氷結するようなことはないと思われる。そのような写真もこれまで見たことがない。昔「裏見の滝」はその名のとおり、岩壁が斜めにえぐれたように見える滝裏の通路に入り込んで激流を裏側から見ることができた。松尾芭蕉が「奥の細道」道中で日光を訪れた際にこの滝まで上がり、滝裏に入って詠んだ句がある。

暫時(しばらく)は 滝に籠るや 夏(げ)の初 1689年4月2日(旧暦)

 「裏見の滝」はその時は写真の姿よりもはるかに迫力があったはずである。というのは、1902年(明治35年)の大地震で滝上部の岩壁が大きく崩壊し、滝の落ち口がかなり下がってしまったからである。「日光三名瀑」としては落差がやや乏しく迫力が不足しているのがとても残念に思える。ともあれ雪が少ないおかげで厳冬期の「裏見の滝」と「荒沢相生滝」を撮影することができたのは幸いだった。「裏見の滝」右脇のもう一つの「荒沢白糸滝」は細長い潜流瀑(湧水瀑)で水量が乏しく、この日はほとんど流れにはなっていなかった。