内的自己対話-川の畔のささめごと

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《 information 》再論 ― ジルベール・シモンドンを読む(132)」

2016-10-21 17:41:28 | 哲学

 シモンドンの information をめぐる議論は錯綜していてとてもわかりにくい。シモンドンが « information » という言葉を使うとき、それをそのまま「情報」とは訳せない場合の方が圧倒的に多く、したがって information をめぐるシモンドンの議論を情報理論と命名すること自体が途端に誤解を生んでしまう。
 そうかといって、他に適当な訳語が見つからない。シモンドン読解を開始した今年の二月以来、何度かこのブログの記事の中でもこの問題を取り上げ、「形成」「情報形成」「形態情報」などを暫定的な訳語として提案してみたが、そのいずれもシモンドンの information 理論の全体をカヴァーできていないことは即座に認めなくてはならない(information を取り上げている記事として、3月28日3月31日4月12日4月13日を参照されたし)。
 そもそもシモンドンの同語の用法が混乱しているのだという批判もある。しかし、そのような批判が妥当かどうかを検討するためにも、シモンドンのテキストをまずは追ってみる必要がある。私たちがずっと読んできているシモンドンの主著のタイトル L’individuation à la lumière des notions de forme et d’information であることを改めて思い起こすまでもなく、« information » がシモンドンの個体化理論の要をなす根本概念の一つであることは明らかなのであるから。
 結論部にも information の定義に割かれた長い段落が一つある。それまでの議論が凝縮されていることもあり、そこだけ読んで簡単に理解できるような論述の仕方にはなっていないのだが、シモンドンの個体化理論の中で information という概念がいかに重要な位置を占めているかはそこを読むだけでもよくわるとは言える。
 明日から、これまでの読解作業から得られた理解を基に、その段落での information の定義を少しずつ解きほぐしていくことにする。












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