内的自己対話-川の畔のささめごと

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黒田日出男『洛中洛外図・舟木本を読む』― 絵画史料で歴史を読むスリリングな愉悦

2018-11-15 19:29:21 | 講義の余白から

 授業の準備も兼ねてのことなのだが、日本中世史の大家で絵画史料研究の第一人者である黒田日出男氏の著作を読み漁ろうとしている。「読み漁っている」と書きたいところなのだが、大学の仕事や来週のシンポジウムの発表の準備などで思うように時間が取れず、もどかしく思っている。
 明日の午前中は、学部三年生の授業で近世の始まりについて話す。一応型通りに教科書的な説明をした後、ルイス・フロイスの『日本史』の一節を読み、西洋人の眼に映った当時の日本人の姿を瞥見する。
 そして、洛中洛外図屏風(舟木本)を、当時の時代の空気を知るための絵画史料として「読む」ことを、黒田日出男著『洛中洛外図・舟木本を読む』(角川選書、2015年)を道案内として学生たちとともに試みる。徳川家と豊臣家とが、それぞれ二条城と大仏殿に姿をかりて互いの威容を誇示し合い、時期も大坂の陣を間近かにひかえた、風雲急を告げるころである時期を描いたこの屏風絵は、その躍動性と細密性とにおいて、百点を超える洛中洛外図屏風の中でも飛び抜けている。黒田氏は、それらの洛中洛外図屏風は、「絵画史料読解の最高の対象である。そのなかでも舟木屏風は最も魅力的な作品であり、真に読みがいのある洛中洛外図である」と本書の中で仰っている。
 それに、本書でも言及されていることだが、東京国立博物館のウェッブ・サイトの「e国宝」というコレクションがほんとうに凄い。同コレクションでは、国が所有する国宝・重要文化財の美術品の高精細デジタル画像を公開している。舟木屏風を最大限に拡大すると、まるで屏風間近に迫って、しかも拡大鏡で見ているような精細な画像を見ることができる。世界中どこからでもアクセスできる。これを使わない手はないではないか。
 ただ解像度がとても高いからネットへの接続速度が十分でないと画像をすばやく拡大したり、移動させたりできない。そこで、主な場面をスクリーン・キャプチャーで取り込み、それらを使ってパワーポイントで解説付きのスライドを先程作成した。これで明日の授業の準備をほぼ終えることができた。今晩は「深夜大学」の営業をしなくてもよさそうである。












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