南町の独り言

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自己責任の時代に突入?

2013-03-12 18:43:46 | 経済
未組織勤労者のための保証機関である「静岡県勤労者信用基金協会(勤信協)」の評議員会がありました。
勤信協は未組織勤労者の労金利用の道を開拓するために、その債務保証を行う機関として1965年に任意団体として設立されました。
これにより未組織勤労者も(地区労福協に加入することが必要)、安心して労金を利用できるようになったわけです。
県下の労働組合や行政も出損金(出資金)拠出に協力してくれたりして保証業務は順調に拡大していきます。
そして1978年には財団法人として認可されました。

いまや債務保証残高1396億円、基本財産100億円の堂々たる保証機関として育っています。
今年度の大きな特徴点はふたつあります。
ひとつは公益法人制度改革によって、2013年4月より「一般財団法人静岡県勤労者信用基金協会」として法人登記されることです。
種々の事情により公益法人としての申請はしませんでしたが、一般法人といえども事業内容の公益性は完全に認められた移行でした。
もうひとつは勤信協が未組織勤労者向けの住宅ローン保証料を大きく引き下げたことにより、その保証料を静岡労金が負担をして、未組織勤労者の保証料負担をゼロとする画期的な制度を実施したことです。
このことにより多くの未組織勤労者の支持を受け、融資が大きく伸びています。

このような組織(労金・勤信協)や仕組み(勤労者の保証料負担軽減)は、まさに助け合い、支え合いの賜物です。
ところが社会は大きく自己責任の時代に舵を切りはじめています。
たとえばこの3月で切れる「金融円滑法」
これは平成21年12月に施行されたもので、資金繰りが悪化した中小零細企業の事業主や、返済に苦しむ住宅ローンの借り手を支援するために、借入金返済を猶予する法律です。
業績の悪化した企業や不良債務者を救済することは問題の先送りにしかならないとする市場万能主義勢力の復活で、この制度が廃止されるのです。
休職中の労働者に出す休業手当の一部を政府が補助する「雇用調整助成金」にもメスが入ろうとしています。
これらの余波を受けて代位弁済(債務の立替払い)増加が懸念されることから、引当金の積み増しや流動性資金の確保も勤信協では考えております。

アベノミクスの裏側に見える深刻な現実のひとつです。