コロナ禍に苦しむ国内航空業界、夏が行き先占う分岐点!
新型コロナによる需要減退の影響でJAL(日本航空)グループが展開する新たな国際線中長距離LCC(格安航空会社)、「ジップエア(ZIPAIR Tokyo)」が、2020年5月に予定されていた定期便開設を延期すると、2020年4月9日(木)に発表しました。ジップエアのボーイング787-8型機(2019年12月、乗りものニュース編集部撮影)。
当初ジップエアは5月14日(木)に成田~バンコク(スワンナプーム)線でデビューを計画していましたが、新型コロナウィルスによる航空需要減退の影響をうけ、予定通りの開設を断念。新たな就航時期は、確定次第公表するとのことです。
ジップエアは、JALグループが100%出資する完全子会社で、同社の国際線成長計画の目玉のひとつ。将来的には北米路線も視野に入れて、新路線の開設を目指す方針です。2020年4月現在、先述の成田~バンコク線についで、7月1日(水)に成田~ソウル(仁川)線の開設がすでに発表されています。
同社は2020年4月現在、2機のボーイング787-8型機を保有しており、成田空港、中部空港、関西空港を中心に訓練飛行を行っています。機内は290席を配し、上位クラスの「ジップ フルフラット(ZIP FULL-flat)」18席、普通席のスタンダードシート272席の2クラス制で、全席にUSBポートと電源コンセントが設置されています
機体記号(レジ) 運航会社 シリーズ 型式 製造番号 登録
JA822J ZIPAIR 787-8 Dreamliner 787-8 Dreamliner 34832/23 2019/10
JA825J ZIPAIR 787-8 Dreamliner 787-8 Dreamliner 34835/33 2020/01
JAL時代 JA822J 2019/10 ZIPAIRへ移籍
JAL時代 JA825J 2020/1 ZIPAIRへ移籍
移籍
1号機
ZIPAIR Boeing 787-8 Dreamliner (JA822J)
4月2日迄飛行訓練は行われていたが
3日以降行われていなかったが19日行っている
4月19日 実施している(成田➡︎関空➡︎中部➡︎成田)
関空飛来時
2号機
ZIPAIR Boeing 787-8 Dreamliner (JA825J)
2号機には出会っていない
7日まで飛行訓練
8日以降は行われていない
ZIPAIR/ジップエア、5月に予定していた就航の延期を発表
2020年4月9日 sky-budget
ZIPAIR/ジップエアは、2020年5月に定期便の運航開始を予定としていましたが、
2020年4月9日 sky-budget
ZIPAIR/ジップエアは、2020年5月に定期便の運航開始を予定としていましたが、
就航を延期する方針であることを発表しました。※正式発表がなされリリース当初から一部変更を加えています。
当初の計画では、2020年5月14日から成田~バンコク/スワンナプーム線に就航し、2020年7月1日からは成田~ソウル/仁川線に就航する計画としていました。
しかしながら新型コロナウイルスの影響により、入国規制や航空需要の減退により就航が難しい状況となったことから就航を延期とし、今後事業計画の見直しを迫れることになります。
同社は、日本航空の完全子会社で将来的に欧米線の開設を計画し、日本で初めての欧米線を運航するLCCになることを長期計画に掲げています。なお現在はJALから移管を受けた2機のB787で就航に向け飛行訓練を続けています。
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ビジネス2020年4月3日 / 18:18 / 11日前
焦点:コロナ禍に苦しむ国内航空業界、夏が行き先占う分岐点
白木真紀
3 分で読む
[東京 3日 ロイター] - 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による需要急減が、航空会社の経営に打撃を与えている。ANAホールディングス(9202.T)や日本航空(JAL)(9201.T)は大幅減便・運休などで対応しているが、感染の終息は見通せず、金融市場でも信用力への懸念が出ている。業績の先行きを占う上で、本来なら繁忙期であるはずの夏をどう迎えるかが鍵になりそうだ。
<GWの予約も状況変わらず>
「数時間立っていても、乗客2人に対応する程度」――。成田空港国際線カウンターで働くスタッフは、ここ1カ月余りの空港の様子をこう語る。例年、忙しい時間帯には約30組が並び、トイレに行く暇もないが、今は人の気配がない。
感染拡大を防ぐため、各国は渡航規制を強化。日本政府も世界の約3分の1強となる計73カ国・地域を渡航中止勧告の対象とし、国民に外出自粛も要請している。
4月の予約数はANA、JALともに国際線が約8割減、国内線は約6割減となり、運航数も国際線で9割近く、国内線で2割に相当する減便に追い込まれている。両社はゴールデンウィーク(GW)期間中の減便・運休を近く発表するが、関係者は「GW中の予約も4月とほぼ同じ状況で、同規模の減便・運休が続くだろう」と話す。
国内航空19社が加盟する定期航空協会によると、コロナの影響による2―5月までの業界全体の減収は約5000億円で、2008年のリーマン・ショック時の約3000億円をすでに上回る。事業環境は悪化しており、この状態が1年間続けば2兆円は下らないことになる。協会は国に政府保証付き融資、着陸料や空港使用料、燃料税などの減免、雇用調整助成金の引き上げなどを求めている。
国土交通省は、国管理空港などで2月分から半年間の使用料徴収を猶予する。
<金融市場の警戒感>
金融市場の懸念も高まっている。企業の信用力を予想して売買するクレジット・デフォルト・スワップ取引では、ANAの倒産に備えた保証料率(5年物、IHSマークイット)が2月後半から急上昇、一時約1.6%を付けた。感染が中国から欧州へ広がり「世界的な拡大は時間の問題」とみられ始めたタイミングだと野村証券のクレジットアナリスト、荻野和馬氏は話す。
市場全体のリスク回避的な動きや投機的な動きもあり要因の切り分けは難しいが、約1.6%の保証料率は計算上、「5年以内に破綻する可能性が10%程度織り込まれている」(荻野氏)水準を意味する。
JALとANAでは売上高の約9割が費用で、うち約半分が人件費や航空機リース代などの固定費が占める。減便・運休で燃料代などの変動費は抑えられるが、それでも固定費はかかる。
ANAの平常時の国際・国内線収入は月平均で約1000億円。これまでの減便規模からすると1カ月分はすでに「蒸発」し、手元の流動性資金は3000億円程度に減っているもようだ。何も手当てせずこのまま同規模の減収が続けば、フリーキャッシュフローの赤字継続は不可避だ。
手元資金を確保するため、ANAは例年6月に実施する500億円前後の借り換えを4月に前倒しし、複数の民間銀行から計約1000億円、日本政策投資銀行からも約3000億円を調達する方向で協議している。コロナの影響が1年程度続く場合に備え、複数の民間銀行に計約3000億円、政投銀に約1兆円の融資枠も求めている。[nL4N2BR3FZ]
麻生太郎財務相は3日の会見で、航空産業は地域経済や訪日需要を支える「日本経済の屋台骨だ」と語り、民間金融や政府系金融機関で危機対応融資を活用して航空各社の資金繰りに万全を期す方針を示した。
ANA、JALそれぞれの昨年12月末時点での現預金は1268億円、2964億円、有価証券は2632億円、300億円。純有利子負債残高はANAが4581億円、JALが1562億円だが、関係者は「ここ数カ月で状況は様変わりしている」と話す。
<分岐点は今夏>
野村証券の荻野氏は「まずは書き入れ時の夏までに部分的にでも運航を再開し、その先の需要が戻る見通しを立てられるかどうか」が、業績の先行きを占う上での分岐点になるとみている。
各社は手元のキャッシュ確保が喫緊の課題だが、コロナ終息後の需要拡大に備え、雇用は維持する。ANAは新人客室乗務員658人の入社時期を約1カ月先送りするほか、現役の客室乗務員約6400人を対象に毎月1人当たり3―5日程度、4月から一時帰休させる。旅客機「A380」の3号機納入も当初の4月から約半年延ばし、メンテナンス費用などを抑える。役員報酬や管理職賃金も減額する。JALも4―6月まで役員報酬10%を自主返上する。
19年4―12月期の当期利益ベースでの進捗率はANAが92%、JALが82%と順調だったが、通期業績の下振れは避けられそうにない。通期予想は、ANAが15%減の940億円(リフィニティブ集計の予測平均値790億円)、JALは同38%減の930億円(同879億円)。
コロナ禍の終息時期が見通せない中、両社とも21年3月期予想を公表できない可能性もある。市場予想はANAが796億円、JALが711億円で、さらなる減益が想定されている。