今日も冷え込む一日でした。図書館で借りて、伊吹有喜の「ミッドナイト・バス」を読みました。「四十九日のレシピ」を書いた人の新刊ということで借りてみました。短めで、さらっと読めた「四十九日のレシピ」と違って、今回は結構長くて、読み応えがあります。
東京と新潟を結ぶ深夜バスの運転手をしている主人公の利一。彼を取り巻く家族や恋人たちが、いろいろな事情や思いを抱え、とまどい、ぶつかりながらも、一歩前に進もうと、もがき続ける話です。利一の別れた元妻、東京に住む今の彼女、彼女に恋する男、新潟の家に逃げ帰ってきた息子、夢に向かって迷走する娘、娘の婚約者、元妻の父親、元妻の彼氏、いろいろな人が出てきます。最初は何を思っているのかよく分からず、イライラするのですが、だんだんそれぞれの思いが明らかになり、面白くなっていきます。
でも、私には、やはり、かなりまだるっこしい感じがしてしまいます。まあ、そうでないと小説にならないのでしょうが、考え方とか話す言葉とか、なんとなく共感しづらくて、でもまあ、家族というのは、こういう独特の距離感だったりするのかなあ、と思ったりして読みました。文章はとても読みやすくて、どんどん読み進めます。最後は、みんなそれぞれに一歩踏み出すことができ、ホッとする結末で良かったです。