今日は晴れのち曇り。比較的暖かい一日で、昼間はストーブなしでも大丈夫でした。夜になって雨が降り出しました。図書館で借りて、村田沙耶香の「コンビニ人間」を読みました。芥川賞受賞ということで気になりつつも、なんとなく敬遠していたのですが、やっぱり読んでみようかなと思って予約を入れたら、ずいぶん待たされて、ようやく読むことができました。作者がコンビニでバイトしているというだけで、本の中身は全然知らずに読んだのですが、とても面白かったです。字が少なくて、あっという間に読み終わりました。東京へ行く行きの新幹線で読みました。先が気になって、どんどん読み進みました。ネタバレの感想です。
主人公の女性は、たぶん発達障害なのでしょう、幼い頃から他の人が当たり前に理解する「普通」が理解できず苦労します。幼稚園の頃、公園で死んだ小鳥を見つけて、「これ、食べよう。お父さん、焼き鳥好きだから」といって、母に怒られ、友達に泣かれ、でも何がおかしいのか分からない。母は、「かわいそうだから埋めてあげようね」といい、「花を供えてあげようね」といって、花の茎を引きちぎって、花を殺して供えている。出だしのこのエピソードは、かなり印象的でした。そういう「普通」はどうやって身に着けるのだろう、そもそも「普通」って何だろう、そんなことをずっと考えていました。
主人公は、自分から話したり行動したりしないことで、なんとか成長していきますが、大人になり、コンビニでバイトを始めたことで、人生が一変します。コンビニにはマニュアルがあり、マニュアル通りに動くことで、求められるコンビニ人間として、生きていくことができる。しかし、36歳になり、就職も結婚もせずにバイトを続ける主人公に、さらに「普通」であることを望む周囲の人たち。ある日、お金も仕事もない自己中心的な、ろくでもない男を家に泊めることになりますが、それを知った周りの人が、友達が妹が同僚が、あまりに喜び舞い上がるのを見て、そんなことでいいならと受け入れようとします。しかし...。最後は、すっきりとしたラストを迎えた気もしますが、なんかこの世はいびつだなあという薄気味悪い後味も残ります。でも、すごく面白かったです。いろいろ考えました。読んで良かったです。