やさしい猫
2022-05-31 | 本
今日は一日、家で仕事しました。途中、肺がんの集団検診に行ってきました。図書館で借りて、中島京子の「やさしい猫」を読みました。結構、長い話です。前半は、シングルマザーのミユキさんが、クマラさんというスリランカ人の男性が出会って、つきあって、結婚に至る、という話です。小学生の娘が語る形で話が進んでいきます。
祖母の反対にもめげず、ようやく結婚を決めたのに、何度も延期するクマラさん。この辺りから話は一変します。クマラさんは、失業して、仕事が見つからず、規定以外のアルバイトをして、ビザも切れてしまって、強制退去を言い渡され、捕まってしまいます。そのことを知らず、怒り、悲しみ、苦しむミユキさん。その時は仕方がないと思ってやったことも、立場的には解決することがとても困難で、苦しむ二人。最後は弁護士を立てて裁判を起こし、なんとか解決しますが、息苦しい展開が続きます。
知らないことがたくさんあるなと思いながら読み進めました。物語は、娘が誰かに語り掛ける話として書かれていて、最後にその誰かが明かされ、なんとかハッピーエンドを迎えますが、同じような状況でもっとつらい目に会っている人がいるのだろうと想像させられます。タイトルの「やさしい猫」はスリランカのお話ですが、表紙の絵とタイトルからは想像できない、重い話でした。でも面白かったです。