現代の探検
子供の頃何になりたかった?色々あるよね。いくつもあったり、だんだん変わってきたりして。自分はスポーツ音痴ついでに歌音痴なので、野球の選手というのはまず無かった。小学校の文集などでは「学校の先生」と書いたが、あれはウソだ。子供の建前だ。本当は探検家になりたかった。考古学の博士というのも良いなー。両方合わさればインディー・ジョーンズだね。
子供の頃に良く読んでいた本に出てくるような冒険、探検がやりたかった。ヘイエルダールのコンチキ号漂流記や、ゴビ砂漠で恐竜の化石、恐竜の卵の化石を収集する、といった類の冒険だ。密林に埋もれたアンコール・ワットを訪れヨーロッパに紹介したフランスの植物学者アンリ・ムオ、トロイの遺跡を発掘するシュリーマンも良いね。中高生になってからは、河口恵海やスウェン・ヘディン、極地探検家のスコット隊や他の探検隊等に憧れた。
もっとも探検一直線ということはなく、「三国志」「アラビアのローレンス」「十五少年漂流記」各種の戦記等に浮気した。浮気ついでに言えば、オードリー・ヘップバーン、シャーロック・ホームズ、ジューヌ・ベルクにも西部劇にも嵌ったもんだ。
探検家にはならなかったけれど、大学生の時にタイや印度でミニ放浪をした。社会人になってからもタイ・カンボジア、タイ・ラオス国境地帯でボランティアをやった。大人になって貿易の仕事について、途上国を主として30ヶ国余を訪れた。スーツを着て冒険も無いものだが、中東や中南米諸国は特に面白かった。仕事が終わった後や休日、移動日などに街に出て散策するのは実に楽しい。仕事で高級なホテルに泊まっていたから旅は快適。
サラリーマンをリタイヤして警備員になってからは、旅行でカンボジアとベトナム、カンボジアとラオス、トルコ、ミャンマーと4回旅した。この4回とも旅行記をこのブログにupしているので、未だの人は是非読んでね。旅する時は、半年以上前からその国の事(文化・歴史・紀行文なんでも)を書いた本を集めて読み、カンビジア(クメール)語、トルコ語、ビルマ語を勉強する。これが相当に役に立つし、気分も盛り上がるってもんだ。ただトルコとカンボジア(アンコール・ワット)の本は沢山あったが、ミャンマーは少なくラオスはほとんど無かった。
ガイドさんを雇う観光旅行であっても、気分は探検だ。もっともこの4回の旅の間中、快適で楽しく危険のキの字にも遭遇しなかった。しっかし楽しかったな。また行きたい、というよりラオスとミャンマーには住みつきたい。この2ヶ国に住むなら、日本には微塵も未練はない。全く無い。ベトナムは住みたいとは思わない。住んだら常に気を張っていなければならない。治安でいえばカンボジアの方が少々悪いが、人はのんびりしている。ベトナムの人は頭が良い分、カモはだまさなきゃ、と思っている人も多いのだ。公安も怖い。
イスタンブールは3ヶ月位滞在したいね。トルコ国内も半年位かけて旅してみたいが、骨を埋めようとは思わない。第一異教徒は死んだらどこに葬られるんだ。それにしてもトルコの人々の底知れぬ親切には魂消た。食いものは5ヶ国の中で一番良い。どの国も良かったが、トルコ料理は文化の域に達している。日本にいてもミャンマー料理店よりは、トルコ料理店に行くね。ドネルケバブ、熱々の回転するオーブンにあぶられた肉を、長いナイフでこそぎ落し、パンに野菜と一緒に挟んだの、美味かったなー。1ヶ150円位だった。
さて今まで読んだ世界旅行(放浪)記、探検記、紀行文等で面白かったものをランダムであげてみよう。全てをカバーはしていないよ。文庫本がたまると定期的に古本屋に持って行って売っちゃうから、ああ面白い本だったな、と記憶に残っていても題名が出てこない。
*「糞尿博士・世界漫遊記」中村浩 現代教養文庫 : もう絶版だろうな。
*「どくとるマンボウ航海記」北杜夫 新潮文庫 : 子供の時は面白かった。今読んでもそうかは分からない。
*「深夜特急」1,2,3巻 沢木耕太郎 新潮社 : これは文句なしに面白い。入門編に良い。
*「全東洋街道」上・下 藤原新也 集英社文庫 : これは感動した。特にビルマとインドの話し。
*「インパラの朝-ユーラシア・アフリカ大陸684日」中村安希 集英社文庫 : 彼女の勇敢で公平な姿勢がよい。
*「さまよえる湖」スヴェン・ヘディン 鈴木啓造翻訳 中公文庫 :これぞ探検。
*「チベット遠征」スヴェン・ヘディン 中公文庫 : 探検は政治情勢の隙間を縫って。
*「メコン・黄金水道をゆく」集英社文庫 : 椎名誠は好きな作家だが、海外紀行物は感心しない。旅行期間が短くて深みがない。ただこの本は面白かった。
*「インドシナ王国遍歴記-アンコール・ワットの発見」アンリ・ムオ 中公文庫 これはいいよ。著者が好きになった。
*「アグルーカの行方」角幡唯介 集英社文庫 : 同じ著者で「空白の五マイル」ちょっと理屈っぽい。
*「アジアの旅人」下川裕治 : この人の本は真剣に読むというよりは、気楽に読めば良い。千人も乗った船で便所が2つしかない。朝になると男も女も尻を出して三人づつ、代わりばんこで大を出す。中国の話しだす。
*「東方見聞録」マルコ・ポーロ : 図書館で借りてね。長い本ではない。フビライ汗のもとを辞して数十年振りに故郷ヴェネチアに帰る。途中で賊が出ると一年も待ってから先に進む。宝石は服に縫いこんである。故郷に着いたら、誰もヨーロッパ人とは思わなかった。
*「秘境アジア骨董仕入れ旅」上下巻 島津法樹 講談社文庫 : これは文句なしに面白い。骨董屋になろうかと思う。
*「物乞う仏陀」石井光太 文春文庫 : 他に「絶対貧困」「神の捨てた裸体-イスラームの夜を歩く」共に新潮文庫。この人の本を読むなら覚悟がいる。相当きついエピソードがあるから気楽には読めないよ。
*「モンキームーンの輝く夜に」たかのてるこ 幻冬舎文庫 :この人の行動力には呆れる。深みは無いが軽みは負けへんで。
まだまだ沢山ありようだが、キリが無いのでこの辺で。
探検家の生きにくい世の中になったもんだ。二こぶラクダの隊商を連ね、先頭に日章旗を掲げてタクラマカン砂漠、天山南路を踏破した大谷探検隊の若者達がうらやましい。この地上で未踏破な場所は、チベットの奥地位しか残っていなかったが、そこも探検されてしまった。後は洞窟か深海か。洞窟は良いね。中国には未踏の洞窟がたくさんあるし、最近ベトナムで発見された洞窟も凄い。
或いは浮浪者の仲間になって生活体験をするか、モロッコに行って外人部隊に入るか。早稲田大学探検部の高野君(後輩なのでそう呼ばせてもらう。自分は探検部ではないが)も何を探検したら良いよか戸惑った。朝鮮人参の実(毒だよ)を山ほど食ったり、天狗茸(毒キノコ、幻覚作用あり)を探したり。朝鮮人参の時は、最初は何でもなかったのだが夜中に暴れだし、瞳孔が開いて1ヶ月ほど光と色彩が眩しくなって困っている。やがてコンゴにUMA、ムガンベを探しに行く。高野氏の本はどれも面白いが、正直ちょっと当たり外れがあるのでベスト5を挙げておくね。
1.「ミャンマーの柳生一族」
2.「アジア新聞屋台村」
3.「アヘン王国潜入記」
4.「謎の独立国家ソマリランド」
5.「腰痛探検家」
欄外。「ワセダ三畳青春記」「巨流アマゾンを遡れ」「幻獣ムガンベを追え」「西南シルクロードは密林に消える」etc
高野氏の探検の準備が面白い。行く土地の言葉を覚えるんだ。コンゴの時はフランス語とリンガラ語、ビルマの時はビルマ語とカレン語。いつも奇想天外なエピソードが出てきて捧腹絶倒、一つだけ種明かしをしちゃうね。
中国で、お産の時に新生児と一緒に排出される胎盤を食う習慣がある、という話を聞きこんだ。近所でお産があると、親戚縁者が箸を持って産婦の胎盤料理を食いにぞろぞろ集まるという。本当かよ。高野氏は箸を持って真相を探りに出かけるが、さすがに中国でも「エエー、ウソー」となりーーー
子供の頃何になりたかった?色々あるよね。いくつもあったり、だんだん変わってきたりして。自分はスポーツ音痴ついでに歌音痴なので、野球の選手というのはまず無かった。小学校の文集などでは「学校の先生」と書いたが、あれはウソだ。子供の建前だ。本当は探検家になりたかった。考古学の博士というのも良いなー。両方合わさればインディー・ジョーンズだね。
子供の頃に良く読んでいた本に出てくるような冒険、探検がやりたかった。ヘイエルダールのコンチキ号漂流記や、ゴビ砂漠で恐竜の化石、恐竜の卵の化石を収集する、といった類の冒険だ。密林に埋もれたアンコール・ワットを訪れヨーロッパに紹介したフランスの植物学者アンリ・ムオ、トロイの遺跡を発掘するシュリーマンも良いね。中高生になってからは、河口恵海やスウェン・ヘディン、極地探検家のスコット隊や他の探検隊等に憧れた。
もっとも探検一直線ということはなく、「三国志」「アラビアのローレンス」「十五少年漂流記」各種の戦記等に浮気した。浮気ついでに言えば、オードリー・ヘップバーン、シャーロック・ホームズ、ジューヌ・ベルクにも西部劇にも嵌ったもんだ。
探検家にはならなかったけれど、大学生の時にタイや印度でミニ放浪をした。社会人になってからもタイ・カンボジア、タイ・ラオス国境地帯でボランティアをやった。大人になって貿易の仕事について、途上国を主として30ヶ国余を訪れた。スーツを着て冒険も無いものだが、中東や中南米諸国は特に面白かった。仕事が終わった後や休日、移動日などに街に出て散策するのは実に楽しい。仕事で高級なホテルに泊まっていたから旅は快適。
サラリーマンをリタイヤして警備員になってからは、旅行でカンボジアとベトナム、カンボジアとラオス、トルコ、ミャンマーと4回旅した。この4回とも旅行記をこのブログにupしているので、未だの人は是非読んでね。旅する時は、半年以上前からその国の事(文化・歴史・紀行文なんでも)を書いた本を集めて読み、カンビジア(クメール)語、トルコ語、ビルマ語を勉強する。これが相当に役に立つし、気分も盛り上がるってもんだ。ただトルコとカンボジア(アンコール・ワット)の本は沢山あったが、ミャンマーは少なくラオスはほとんど無かった。
ガイドさんを雇う観光旅行であっても、気分は探検だ。もっともこの4回の旅の間中、快適で楽しく危険のキの字にも遭遇しなかった。しっかし楽しかったな。また行きたい、というよりラオスとミャンマーには住みつきたい。この2ヶ国に住むなら、日本には微塵も未練はない。全く無い。ベトナムは住みたいとは思わない。住んだら常に気を張っていなければならない。治安でいえばカンボジアの方が少々悪いが、人はのんびりしている。ベトナムの人は頭が良い分、カモはだまさなきゃ、と思っている人も多いのだ。公安も怖い。
イスタンブールは3ヶ月位滞在したいね。トルコ国内も半年位かけて旅してみたいが、骨を埋めようとは思わない。第一異教徒は死んだらどこに葬られるんだ。それにしてもトルコの人々の底知れぬ親切には魂消た。食いものは5ヶ国の中で一番良い。どの国も良かったが、トルコ料理は文化の域に達している。日本にいてもミャンマー料理店よりは、トルコ料理店に行くね。ドネルケバブ、熱々の回転するオーブンにあぶられた肉を、長いナイフでこそぎ落し、パンに野菜と一緒に挟んだの、美味かったなー。1ヶ150円位だった。
さて今まで読んだ世界旅行(放浪)記、探検記、紀行文等で面白かったものをランダムであげてみよう。全てをカバーはしていないよ。文庫本がたまると定期的に古本屋に持って行って売っちゃうから、ああ面白い本だったな、と記憶に残っていても題名が出てこない。
*「糞尿博士・世界漫遊記」中村浩 現代教養文庫 : もう絶版だろうな。
*「どくとるマンボウ航海記」北杜夫 新潮文庫 : 子供の時は面白かった。今読んでもそうかは分からない。
*「深夜特急」1,2,3巻 沢木耕太郎 新潮社 : これは文句なしに面白い。入門編に良い。
*「全東洋街道」上・下 藤原新也 集英社文庫 : これは感動した。特にビルマとインドの話し。
*「インパラの朝-ユーラシア・アフリカ大陸684日」中村安希 集英社文庫 : 彼女の勇敢で公平な姿勢がよい。
*「さまよえる湖」スヴェン・ヘディン 鈴木啓造翻訳 中公文庫 :これぞ探検。
*「チベット遠征」スヴェン・ヘディン 中公文庫 : 探検は政治情勢の隙間を縫って。
*「メコン・黄金水道をゆく」集英社文庫 : 椎名誠は好きな作家だが、海外紀行物は感心しない。旅行期間が短くて深みがない。ただこの本は面白かった。
*「インドシナ王国遍歴記-アンコール・ワットの発見」アンリ・ムオ 中公文庫 これはいいよ。著者が好きになった。
*「アグルーカの行方」角幡唯介 集英社文庫 : 同じ著者で「空白の五マイル」ちょっと理屈っぽい。
*「アジアの旅人」下川裕治 : この人の本は真剣に読むというよりは、気楽に読めば良い。千人も乗った船で便所が2つしかない。朝になると男も女も尻を出して三人づつ、代わりばんこで大を出す。中国の話しだす。
*「東方見聞録」マルコ・ポーロ : 図書館で借りてね。長い本ではない。フビライ汗のもとを辞して数十年振りに故郷ヴェネチアに帰る。途中で賊が出ると一年も待ってから先に進む。宝石は服に縫いこんである。故郷に着いたら、誰もヨーロッパ人とは思わなかった。
*「秘境アジア骨董仕入れ旅」上下巻 島津法樹 講談社文庫 : これは文句なしに面白い。骨董屋になろうかと思う。
*「物乞う仏陀」石井光太 文春文庫 : 他に「絶対貧困」「神の捨てた裸体-イスラームの夜を歩く」共に新潮文庫。この人の本を読むなら覚悟がいる。相当きついエピソードがあるから気楽には読めないよ。
*「モンキームーンの輝く夜に」たかのてるこ 幻冬舎文庫 :この人の行動力には呆れる。深みは無いが軽みは負けへんで。
まだまだ沢山ありようだが、キリが無いのでこの辺で。
探検家の生きにくい世の中になったもんだ。二こぶラクダの隊商を連ね、先頭に日章旗を掲げてタクラマカン砂漠、天山南路を踏破した大谷探検隊の若者達がうらやましい。この地上で未踏破な場所は、チベットの奥地位しか残っていなかったが、そこも探検されてしまった。後は洞窟か深海か。洞窟は良いね。中国には未踏の洞窟がたくさんあるし、最近ベトナムで発見された洞窟も凄い。
或いは浮浪者の仲間になって生活体験をするか、モロッコに行って外人部隊に入るか。早稲田大学探検部の高野君(後輩なのでそう呼ばせてもらう。自分は探検部ではないが)も何を探検したら良いよか戸惑った。朝鮮人参の実(毒だよ)を山ほど食ったり、天狗茸(毒キノコ、幻覚作用あり)を探したり。朝鮮人参の時は、最初は何でもなかったのだが夜中に暴れだし、瞳孔が開いて1ヶ月ほど光と色彩が眩しくなって困っている。やがてコンゴにUMA、ムガンベを探しに行く。高野氏の本はどれも面白いが、正直ちょっと当たり外れがあるのでベスト5を挙げておくね。
1.「ミャンマーの柳生一族」
2.「アジア新聞屋台村」
3.「アヘン王国潜入記」
4.「謎の独立国家ソマリランド」
5.「腰痛探検家」
欄外。「ワセダ三畳青春記」「巨流アマゾンを遡れ」「幻獣ムガンベを追え」「西南シルクロードは密林に消える」etc
高野氏の探検の準備が面白い。行く土地の言葉を覚えるんだ。コンゴの時はフランス語とリンガラ語、ビルマの時はビルマ語とカレン語。いつも奇想天外なエピソードが出てきて捧腹絶倒、一つだけ種明かしをしちゃうね。
中国で、お産の時に新生児と一緒に排出される胎盤を食う習慣がある、という話を聞きこんだ。近所でお産があると、親戚縁者が箸を持って産婦の胎盤料理を食いにぞろぞろ集まるという。本当かよ。高野氏は箸を持って真相を探りに出かけるが、さすがに中国でも「エエー、ウソー」となりーーー