旅とエッセイ 胡蝶の夢

ヤンゴン在住。ミラクルワールド、ミャンマーの魅力を発信します。

今は、横浜で引きこもり。

カラス

2015年07月09日 18時44分31秒 | エッセイ
 カラス

 通勤の関係でほぼ隣の駅まで歩いていた時期がある。途中川沿いの道を100mほど歩くのだが、春には色々な種類の桜が咲き、川には鯉が泳ぎ水鳥が来ていたりする。5-6月には枇杷の実が生っている。一度1mを優に超える青大将が川の淵を泳いでいて、上流に向かうその蛇を子供の一群が追いかけていた。蛇は岸に上がるに上がれず、どんどんと上流に向かって泳いでいた。あれはどうなったんだろう。
 その川沿いの道にカラスの群れが住みついていた。態度のでかいカラス共だ。鉄柵にとまっていて人が近づいても中々飛び立たない。余りのフテブテしさに腹がたち、充分近づいてパっと手を出したら、驚いたカラスが慌てて飛び去った。フン、勝ったね。
 ところがどっこい、直後に後ろから耳を掠めてバサバサバサ。ワー、びっくりした。とっさにかがんで首を引っ込めた。今度は奴の番だ。ザマーミロ、俺の勝ち、アホー。
 これはずいぶんたってからもう一度やられた。その時は手を出していない。ただ目が合っただけだ。勝手に飛び立ったカラスが後ろから頭の斜め横を通過した。ン?何だ?距離があって驚かない。するともう一度、今度は耳の横をバサバサ。チンピラカラスめ、目が合ったらインネンかよ。何年もたっていたから、別の個体に違いない。それからは川沿いのカラスエリアを歩く時は、後ろに気をつけて立ち木等の遮蔽物を利用している。
 釣ってきたフグをさばいていた時(身だけにして食う。真似しないで。)、この肝をあいつらに食わしてやろか、と思った。でもカラスは食わずに、バカな飼い犬とかが食ったりするんだろうな。
 写真家の藤原新也は近所のカラスといつも戦闘状態で、外を出歩く時はパチンコを持って行くそうだ。玉は致命傷を与えるほど硬くはないという。その気持ちよく分かります。相手は飛んでいるからね。傘を持っている日は絶対に有利だもんな。
 都会のカラスはゴミ箱を漁って、弁当箱からマヨネーズの子袋を見つけ器用に穴を開けて中身をすするそうだ。あのクチバシはどんだけ器用なんだ。カラスに襲われて食われたハトは、羽とそれを支える骨だけ残してきれいに食われている。
 またカラスは優秀なハンターで、スナイパーのように忍耐力がある。ある会社でスズメだったか小鳥がカラスに襲われ、羽毛を逆立て撒き散らしパニックになっていたそうだ。トドメを刺そうとするカラスからその小鳥を保護し、そこの社員が落ち着くまで1時間程オフィスに入れておき、大人しくなった小鳥をそっと表に出した。すると先ほどからひたすら待ち続けていたカラスが、飛び立った小鳥に襲いかかりパクっと一飲みにしたそうだ。毎年ツバメの雛が巣立ちする瞬間を狙っている、と言う。子猫を集団で襲うカラスの目撃談も聞いた。ホンにカラスは賢い。たくましい。敵ながらアッパレ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする