県民福井(11月2日付)
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「ちりとてちん」、「オバマ氏」で波及効果 小浜市の観光客 好調に推移
NHKの連続テレビ小説「ちりとてちん」の舞台となり、米国の大統領候補・オバマ氏にあやかって国内外にアピールしている小浜市。市内の観光施設などを訪れる来館者は昨年の実績を既に上回っており、経済波及効果も小さくない。「小浜フィーバー」を検証しながら展望を探った。
■若狭塗ばし人気
テレビ放送開始の昨年10月から、市内にある御食国(みけつくに)若狭おばま食文化館や、ロケ地を自由に回れるレンタサイクルなどの利用者が目に見えて増加。同市によると、市内の主要観光施設の利用者は、昨年10-12月の3カ月で前年同期比5万人増の45万6,000人を記録。本年度上半期の利用者は102万人に達し、昨年同期に比べて17万人増となるなど、好調な推移をたどっている。
特産品の中でも、ドラマで再三取り上げられた若狭塗ばしが人気の的だ。マイ箸ブームも追い風となり、約3,000種類の塗りばしを置く同市福谷の「箸のふるさと館WAKASA」には、以前は少なかった観光バスによる予約客が連日押し寄せている。
■「若狭」認知進む
特に職人の手作業が加わる高級品の売れ行きが好調で、中には作業が追いつかずに品薄状況の品も少なくない。若狭箸工業協同組合の古川正弘事務局長は「はしを通じて“若狭”の認知も進んでいる」と、同市に対する関心の高まりを実感している。
若狭の塗りばしは以前から、国内塗りばしシェアの八割以上を占めていたが、ほとんどは量産による低価格品で、あえて「若狭」と銘打ってはいなかった。
ところが、観光客の増加に伴い、貝殻などの模様が入った「若狭」をイメージさせるはしを注文する客が絶えないらしい。
■ブームは一過性?
課題は、若狭の知名度アップが、宿泊客の増加に直結していないことだ。同市は「海外メディアに取り上げられ、外国人観光客も増えたが、多くは一部の観光施設に足を運ぶ人ばかり」と悩みを打ち明ける。
観光客からの要望もあり、同市小浜広峰などに今年3月開店した土産物店「若狭屋」は、当初の期間限定営業から軌道修正し、営業期間を延期する予定だ。経営する佐野達也さん(45)は「伝統的建築が並ぶ地区への出店も図り、観光促進に一役買っていきたい」と意気込む。
小浜フィーバーが一過性のブームで終わるのかどうか、官民とも正念場を迎える。
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