「超万能ぐすり」
私は、超万能薬を手に入れた。
どうやって 私が、その超万能薬を手に入れたのか。
それは、誰にも教えない事にしている。
ヒントは言っても良い。
しかし、このヒントから、解答を導き出す事は、誰にも出来ないだろう。
練金釜。
レシピのヒント。 青銅のサンダル + ドゥルーズ的問いを極限まで加速させる思考の擾乱 + ??????
これだけだ。
その超万能薬は凄い。私は、10錠持っている。これで、たくさんだ、と思う。
その超万能薬を一錠飲むと、十年間の超安定状態が訪れる。
病気にもならないし、激昂したり、気が滅入ってくる事もない。
たえず落ち着いたハイの状態になっているのだ。
全ての苦痛は排除される。
全ての不快感は一掃され、たとえ事故や暴力によって腕や足や、身体のどこかを損壊したり失ったりしても、24時間以内には完全に再生される。
ウイルスや毒物や細菌も、すぐに無効化されてしまう。
老化も10分の1の速度になる。近視も治り、虫歯も無くなる。
スタイルも、およそ考えられる限り、BESTの状態になる。
そして頭は、いつもスッキリしていて冷静で鋭い。
感性も想像力も、まるで幼児のように新鮮に豊かに強力に働く。
運動能力も飛躍的に向上する。
私は、10錠持っているので、100年間は、最高の状態を維持できるわけだ。
超万能薬は私の 小心さを打ち砕き、行動的にし、感情を絶えず安定させ、あらゆる才能を無限に与えてくれる。
おかげで、最愛の女性と結婚し子宝にも恵まれ、理想的な家庭を手に入れた。
全ては絶好調で何もかもが私を通して明るく光り輝き、私は無類の幸福を手に入れた。
そして、私は、とてつもなく死に憧れ始め、これから死のうと思う。
どうしてだと思う?冷静に分析したところ、私は、おそらく完全に満足してしまったからだと思う。
人間の最も幸福な死は、幸福の絶頂の状態で死ぬ事である。
どんな苦悩、苦痛の中でも、自ら死を選択してはいけない。
自ら死を選択して良いのは幸福の絶頂の最中にある時だけなのだ。
そして、もちろん、私は、シチリアのエトナ山に行き、火口から身を投げた。
え~んぺど~くれ~す~!
さようなら。
This novel was written by kipple
(これはミニ・web小説なり。フィクションなり。妄想なり。)
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