ようこそRAIN PEOPLES!超バラバラ妄想小説『雨族』の世界へ! since1970年代
「雨族」
断片14―世界を救う者~首吊りの唄
うまれながらにしてからだが弱く
うまれながらにして気が優しくて
うまれながらにして正しい精神を持ち
うまれながらにして不器用で
うまれながらにして不細工で
うまれながらにして親にも捨てられ
うまれながらにして正直もので
うまれながらにして美しい心を持っていた
高尚なる者。
天から、この世界に授けられ捨てられ拾われ、福祉事務所の手続きにより、清水市近郊の児童養護施設「夢の木学園」に入園す。
☆十三年後☆
赤ん坊のまま捨てられた僕は、市の養育施設の御世話になり、3才くらいから、10年くらいに渡って、職員の人たちや民生委員の教育係の人たちのみならず、同胞のはずの年下年上の親無しやネグレクトのチルドレンたちの喜びと幸福の的にされました。
毎日毎日、色んなコトをされました。
主な日課は、裸にされて、教練室の真ん中で、好きな女の子や皆に囲まれ殴られ蹴られ、ウンコをさせられます。
みんな、凄く楽しそうです。
ケースワーカーや民生の委員や同年代の仲間たちに、つねられたり、ツバをかけられたりしながら、毎日、屋上から裸のままゴムロープで吊るされます。
そして、下からゴムホースで水をかけられ、屋上からは施設の下水からバケツで汲んできた濁った廃液を浴びせられます。
それが日が暮れ始めるまで続いて、ロープを放され地面にベタっと落とされると、みんなゲラゲラ(^▽^)笑って喜んでて(^▽^)、凄く楽しそうです(^▽^)。
最後に皆の楽しい笑い声と一緒に教練室に引きずられて行って、昼間した自分のウンコを食べさせられます。
それが、だいたい僕に課せられた、十年くらい続いてるメインの日課です。
ほかにも色々あるんですけど、いっぱいありすぎて、いちいち挙げてたら大変なので、はぶきます。
そうして、今日も、金属バットで叩かれながら自分のウンコを食べさせられる事になったのですが、どうしてか、今日に限って、どうしても嫌になっちゃったんです。
どうしても、ウンコをみんなの前で食べるのが嫌で嫌で仕方なく涙が出てきて、ああ、自分は何て嫌な人間なんだ、ちゃんと食べれば皆、喜んで楽しく笑って幸福になれるのに、どうして、今日に限って僕はできないんだ。
僕は、そんな悪い自分が嫌になり、みんなのためだと、一生懸命、ウンコを食べようとするのですが、どうしても、自分でも分からないくらい自分が拒否するのです。
僕の身体は、両手両足をバタバタさせて、思いっきり嫌がりました。
嫌がり続けていると、サックつきのパンチや靴の先に鉄の釘が付けてあるキックが、あちこちから飛んできます。
それでも嫌がると、カエルの解剖用のメスで指と爪の間を切られたり、机や椅子の角で身体中をどつかれ頭も顔もどつかれました。
特に僕の大好きなヒロミちゃんはギャアギャア(^▽^)笑って、僕の口唇をペンチで潰して椅子の足を突っ込んでくるんで、バキバキ鳴って上下の前歯が折れて血がいっぱい出ました。
すると皆、汚い、汚いと言って色んな物をぶつけてきて、養護教員のマサコ先生とタクヤ先生がキャアキャア(^▽^)笑いながら近くにいた年下組の5~6人の優等生のイケメンの男の子とエロかっこいい女の子に、『誰でも使える力のいらない強力安全ペンチ』と、『誰でも使える力のいらない強力安全植木鋏』を持たせて、僕の口から突っこんで顎を挟むと、皆の “せ~の!” の掛け声とともに、下顎をバラバラにされました。
ガリゴリ!グシャ!っと音がして凄く痛くて、次第に痺れて顔半分の感覚が無くなりました。
床を見ると、血があたり一面に飛び散って、真っ赤っかです。みんな、困った顔をしています。
ああ!最初から自分のウンコを食べていればこんなことにならず、今日に限って嫌がった自分が悪い、皆喜んで幸せになってたはずなのにと自分を責めたのです。
皆も、“死ね死ね死ね死ね死ね、お前がいると、その血でバレる、死ね死ね死ね、死ね死ね死ね死ね死ね、教えてある首吊りの木に行って首吊って死ね”と言います。
民生委員の福祉係の人も園の先生たちもネグレクトな子供達も孤児の先輩も後輩も同輩も、みんなで大合唱です!
“死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね”
それで、僕は自殺を決意したのです。みんなのためです。悪いのは僕だから仕方ありません。
真っ赤な夕暮れの中を一人で、近くのひと気の無い枯れ山に向かいました。
前から教えられていた首吊りの木が見えてくると、冷たい風が吹いてきました。
荒れ野を走る冷たい風が、絵画的遠近感を僕と、その奇妙な石と、木に垂れ下がった首吊りの縄の作り出す、この真っ赤な風景に、やけにボウッと、眼球にゼリーを、はりつけたように、僕に対して、ぼんやり印象づけています。
僕は一直線に首吊りの木に向かいましたが、途中で、巨大なウンコが二つも僕の目の前に落ちてきました。
施設の建物の半分くらいの大きさだったので、ちょっとビックリしました。
何だか分かりませんが、気にしません、避けながら木の下に辿りつきました。
さぁ、皆のために、これから僕は死ぬのです。
血みどろの首に縄をかけて、ギュ!っと締めました。
きっと、そうする事が皆の喜びであり幸せなのでしょうから。
【首吊りの唄】(作詞:作曲:唄:kipple)
♪
ケラケラケラケラ ケラケラケラケラ
笑い声が聞こえてきます
きっとみんなの笑い声です
みんな喜んでいるのです
僕は、これから、この奇妙に積み重ねた石の上に乗り
一、二、の、三!で跳ね上がるのです
赤一色の空に向かって、跳ね上がるのです
そして、落ちる。僕は落ちる。
僕は、蓑虫の如く、ぶらさがり 少しづつ 少しづつ 落ちてゆく
僕の首が、細くなり
僕の鼻から口から耳から、じゅるじゅると白いモノ、赤いモノ
空に混じるのだ
真っ赤な空の仲間入りをするのです
ケラケラケラケラ ケラケラケラケラ
又、笑い声が聞こえてきました
とても苦しいけれど、これでみんなが幸せになれば、ソレで良いと思います
みんな、サヨナラ、幸せになってね
♪
バサバサバサバサバサバサバサバサバサ
3天使飛来。
ホウキとチリトリとゴミ袋を各自持ち、お掃除開始!
“あ~あ、また効果無かったねぇ。あれ?彼の幽体は?もう上に行ったの?”
“え?ばかねぇ~!彼は、雨族じゃないってば!即行天界よ~!”
“テっちゃん、しっかり!彼は、ほら、あれなのよ。聖者ってか、救世主って言うか、そんな感じの人よ!時折、神様が落す微かな救いってヤツよ。”
“あ、そーか!俗に言う「究極ペット」の涙ってヤツね!きゃぁ~!最高位天使様の出動だったんだわ。えぇ~!じゃぁ、人間たちは、自分たちを救ってくれる人を、イジメ殺しちゃったんだぁ・・・バカでぇ~!”
“ほんと!救いようが無いとは、まさにこの事よねぇ!”
“ねぇ気づいてる?神様のウンコがだんだん大きくなってるよね”
“うん、形も崩れてきてるし量も多くない?下痢っぽいのも多いよね”
“こんなことばっかしだと神様どんどんオカシクなってきちゃうよね。今度のは、けっこうヤバくない?”
“うんうん、そうよね。最近、この系統の世界、感じ悪くない?ねぇ、何だか嫌な予感しない?”
“する”
“する”
“ま、一応、片付け終わりね。帰りましょう”
バサバサバサバサバサバサバサバサバサ
三天使、宵闇の宙に舞い消える。
断片14 終
This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)