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■フランスでの歌舞伎

2004年10月25日 | 日毎の些事
今月8日に始まった十一代目市川海老蔵襲名披露のパリ公演が先週22日めでたく楽をむかえました。何て言ったって成田屋さんの御曹司の襲名お披露目ですからご贔屓衆も大勢パリまで芝居見物に行かれたようで、ご贔屓筋サイトのパリ観劇記書き込みで公演の盛況ぶりを伺い知ることができます。病気休演が続いていたお父様団十郎さんの復帰後初めての舞台でしたが無事に勤められてなによりです。

さて今回のパリ公演の出し物は、『鳥辺山心中』 『口上』 『鏡獅子』 で、口上ではフランス語の台詞も交えて挨拶したとのこと。まあ、それはいいんですけど、異国の地での公演で何故「鳥辺山…」をやるのでしょうかね?

『鳥辺山心中』は岡本綺堂(半七捕物帳の作者)作の歌舞伎で、江戸の旗本で22歳の若侍が京の祇園で17歳の遊女をみそめ通い詰めの日々、些細な口論から同輩の弟を殺してしまい、あげくの果て遊女を道連れに鳥辺山で心中した、というお話です。美男美女(美女形)の手に手をとっての死出の道行を美しく見せる場面がうりの芝居です。しかし端的にいえば《殺人事件を起こしてしまった若造が逃げ場がなくなりコギャル連れて自殺した》に過ぎないわけです。

日本の舞台では倫理的な面はさて置き、人気役者が演じる様式美の世界に女性客がうっとり…でいいのかもしれません。でもフランス人がこういう芝居をみて日本人と同じように、「セ・ボン!」「トレビア~ン!」などとうっとりしてくれるでしょうか?

西洋にもシェークスピア「ロミオとジュリエット」のように《若気の至りで人を殺め自ら命を絶つ》話がありますが、こちらの方は最後は反目し合っていた両家が和解したということで落とし所が用意されています。『鳥辺山心中』はどう贔屓目にみても《被疑者死亡で書類送検》の殺人事件としか思えないのですが、こんなことを言っている私はひどく無粋な人間なのかもしれませんね。


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2 コメント

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なぜ鳥辺山か・・・ (nao)
2004-10-29 15:51:24
はじめまして!いきなり失礼します!



私も何故?って思ってたんですけど、

今月号の「GQ」に載ってました。



ヴィトンの5代目のご子息ブノアが日本で観て気に入り、

ブノアの希望で「鳥辺山」になったそうですよ!
それは初耳 (まーどんな)
2004-10-29 16:56:02
>naoさん、ようこそ。

「GQ」ですか…、新手の男性誌まではチェックしていませんでした、情報有難うございます。成田屋さんにとって Vuitton は大スポンサーですからね!?