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■「第九」 考

2005年12月10日 | 私のこだわり・音楽編
年の瀬恒例となっているベートーヴェンの第九、 まぁ 日本特有の風物詩のようですが、 ただ単に12月だから第九を聴くのではなく、この曲の初演の様子を振り返ってみよう という演奏会 が予定されていて、 そのプレ・レクチャーを聞いて来ました。

交響曲第九番は 1824年5月7日にウィーンでベートーヴェン立会いのもとで初演が行なわれたそうです。 当日のプログラムは下記の3曲。 前半のプログラムから合唱、ソリストらが大活躍したわけです。
「献堂式」序曲
「荘厳ミサ」より「キリエ」「クレド」「アニュスデイ」
交響曲第9番ニ短調「合唱付き」

レクチャーでは「荘厳ミサ」の聴き所も解説があり、 さて本題の第九。 まず4楽章の長い序奏部分を聴いていき、 バリトン独唱が始まる所、
O Freunde, nicht diese Töne !
sondern laßt uns angenehmere anstimmen, und freudenvollere.

ドイツ語がよく分からなくても、 nicht ~ sondern ~ はハッキリ聴こえるはず。 英語でいうなら not ~, but ~ にあたり、 何かを否定しているのだということがわかります。 では何を・・・?

再度4楽章の冒頭を聴いてみると、 ところどころに 1楽章、2楽章、3楽章のメロディが顔を出していることに気づくはずです。 つまりバリトン独唱者は、 「オイ、みんな、 そんな音調じゃなくて、 もっと心地よく歌いはじめようよ、 喜びにみちてさー」 と歌っているわけです。 この部分はシラーの詩にあったわけではなく、ベートーヴェンが勝手に挿入したものだとか。

ベートーヴェンは自分が作った1~3楽章を、 自ら否定して壮大な4楽章をド~ンと持ってきたんですね。 ではこの4楽章が特別のものかというと、 一番最後は ”ラ レ” で終わらせていて、 これは前の1~3の各楽章の終わり方と同じ音になっている・・・、 な~んだ、きちんと4つの楽章を関連付けてまとめるじゃないの、かなり計算高い したたかな人だわ~、 と感じ入ってしまいます。

いつ聴いても聴き所満載だと感じる第九、 でもやはり日本にいると、12月は絶対に外せない (演奏会に行かないわけにはいかない) と思ってしまいます。