三洋電機は11日、携帯電話事業の売却に向け京セラと交渉入りすることで合意したと発表した。売却額などを詰め、年内の決着を目指す。
三洋は、携帯・通信関連事業から完全撤退する。
●シェア2位に浮上
売却対象になるのは、大阪府大東市の研究開発拠点、マレーシアと中国・天津の製造工場、海外の販売会社などの携帯電話事業と、PHS基地局など通信事業。
三洋はこれらを分社化した上で、全株式を京セラに売却する方針。携帯電話の主力生産拠点の一つである鳥取三洋電機は売却せず、カーナビなど車載事業の拠点に衣替えする。
売却対象となる事業の07年3月期の連結売上高は2770億円。携帯事業は07年3月期に営業赤字に転落していた。売却額は京セラ側が資産価値を調査した上で今後の交渉で詰めるが、500億円以下になる可能性が高いとみられる。
京セラにとって最大の狙いは、北米市場での事業強化。
同社は00年の北米参入以来、端末の提供先が中小通信事業者に限られていることもあって赤字が続く。大手のスプリント・ネクステルに端末を提供し、北米で黒字を維持する三洋の事業を取り込むことで、黒字化を図る考えだ。
三洋はこれで大型の事業再編は一段落し、収益力の高い充電池や太陽電池、業務用機器などの事業に経営資源を集中して再建を加速させる。
両社の国内出荷台数シェアを単純合算すると約12%になり、シャープ(21%)に次ぐ第2位に浮上する。
【記事引用】 「asahi.com」