夢色

集めてるもの 見たもの 書きたいものを 思いついた時に。
基本ネタバレ注意。
火月 神の気まぐれ よろずメモ。

夢双

2007-01-25 | ま行

幾千年を超え
私が私であるままに
一本の大樹が 私を捕らえて離さない───


私は足を踏み入れた 一面広がるコケの絨毯へ
振り仰いだ聖なる地は 一斉に葉を放つ
あぁ 幾年月佇みつづけたのか この木漏れ日は
傷だらけのこの腕を軽やかに踊る
詩人の面影は 木陰へと私を誘う
歩み寄る     跪く
『願わくば 迷える旅人を 帰らせ給へ』
手掌かざして 声高らかに
                       囁くように

石造りの聖堂が守る事物
置き去りにされた子供
落剥したモザイク画
差し出した手は 夢の中
かろうじて私は すでに
自らがもてあます違和感を 感じている
突如 小鳥は飛び立った
枝が撓る 幻をみた
そよぐ風がツタを揺らし 記憶の果てを目指している
それは隠された庭園の魅せた 儚いユメ
回廊で出会った ほんの一瞬の交差反応
それなのに


朝を超え 夜を越え
一本の大樹が 私を捕らえて離さない
ちり り と 灼き責める ひかりのように
背後で震える かげのように
光景に息づく 一本の大樹が


私を捕らえて  離さない───

 

                                  ラベンナにて



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