夢色

集めてるもの 見たもの 書きたいものを 思いついた時に。
基本ネタバレ注意。
火月 神の気まぐれ よろずメモ。

結び目

2015-09-07 | ま行

久しぶりに 腕から外した 貴方の思い出
この手は これほどまでに軽く 不安定なものだったかしら
今では私には 分からない
冷えた風が 無言で撫でる
涙は落ちる前に 綺麗に世界を歪ませてくれるのね
上を仰ぎ続けるのはもう 疲れた
あの時から
どこまでも追いかける、と その背中も もう
見慣れ過ぎて 疲れたわ

逃げ出すことと 休むことの 
どこまでが同じで どこからが違うの
どこまでが正解で
どこまでが正しくて
いつかは終わるの 


雲間から白々しく陽が射して 
輝くこの空は 誰のためのもの
何処を向いても もう気付けない
繋がることのない光の束は この手に余るというのに
どうせ捨てるのなら
貴方がくれたこの心を 
この身体を この過ぎ去る時を 
全てを抉り去ってしまえばいいのに
知らなければよかった
どうして 未だに

叶わない夢と 信じ続ける夢と
どこまでが本当で どこまでがホンモノで
どこからが嘘で
どこからが無駄で


二度と 二度と

貴方を壊して この視界から消えて
違うの
どうか
私を壊して この世から消して
二度と 二度と
手に入らないのなら 初めから出逢わなければ
良かったのかしら
本当に そうなのかしら


千切れないようにあの日 固く結んだ だから今
こんなにも つらい
 

諦めちゃいけない想いと 届かない願いの
どこの隙間に真実は 横たわる
どこまでが 不足で
どこからが 過剰で
解けない結び目が だから今
こんなにも 切ない


水無月

2014-06-12 | ま行

何もない 乾いた時間が過ぎて ある日
昨日と違う いつもの風景


なみなみと 水が張られ

青い空と雲の白が さかさまに映り流れて行くさま
もう すぐ隣に 夏が来ている


緑色の小さな子供のような煌めきが 
整然と 柔らかな絨毯のように
その中で 白い頬被りをしたおばあさんが 
せっせと動いているのが小さく見える
その手元から大切に紡ぎ出される 穏やかな昼間の時間


ふくふくとした 土の匂いに
微笑みながら 陽
は落ちて
静まり返った紺色のベルベット
チラチラと万華鏡のように 揺れる月の欠片
未だ冷えたままの梅雨待ちの風が 夜更けを透きとおってゆく


大きく曲がる道の先は 見えなくても
嬉しいんだ 時が過ぎることが
この手が風に遊び 
この足で ひとり孤独に歩むことが

傍には にぎやかな蛙の大合唱が共にあり

命は とどまることなく巡る 
その結果に 意味や正解は必要なく
愛しさが 溢れている

 

眠る子雀が夢見る明日は
黄金色の未来 
希望に身を任せて 眠れ


MY HANDS

2009-06-28 | ま行

重力に負けた太陽が
その体を横たえる
ビル壁に点滅する フェイクスター
狭いプラネットでは
作り物の蝶が
空気を求めて 震えている
自らの痛みをこらえ 感謝を微笑む人がいる
どんな種類の神だっていい
彼らに夜明けを 見せてくれ


きみの左手が ひとつ
希望を捨てたなら
ぼくの右手で ひとつ
可能性を 届けよう
信じることは
容易いこと
信じ続けることは
いつだって
困難だ
きみは今 どこを歩いている?
背中合わせの悲しみは
夜更けと共に ぼくらを 歪ませる

気付いている
きみの息遣いが
ぼくの中で はばたきたいと
叫んでいる
“Call my name.”
叫んでいる


一日が目を醒まし
太陽は重力に抗い始めた
再び相対する
時間たちと幾千万の遺伝子

きみが否定する 運命を
ひとつずつ ぼくが 求めよう
拒絶された この道に立つとき
この手は
繋いだ ままで


My Dangerous Beauty

2009-06-12 | ま行

この口から転がり出た火種を
その瞬間 かき集めて飲み込んでしまいたい。
どんどん無口になる君に “メーデー! メーデー!”
あぁ しまった  只今 ポジショニングに失敗しました。
この空気ってやつはだね
マッチがなくても 3,2,1  blow up!
だって・・・も  ごめん、も  No no...
気配1/3減(当社比)です 直立不動で
Someone rescue me?
両目にキラめく たかが 食塩水が
最後通牒の ひとしずく
破壊力は えぇ
ボクがばっちり 保証します。


だから ねぇ ちょっと待って
キミは ぜったい 知っている
会った時から全ては 君のもの。
この両手に高く掲げる白旗が
見えないの
(もしや 見てくれないの?)

だけど ねぇ ちょっと待って
ボクは とっくに 分かってる
端からムボーな戦いなんだもの。
決して 逃げも隠れも
致しませんから。
(てゆか できませんから。泣)


この大きな壁の 向こう側で
しょんぼりしながら 
待ちまする。
“ドウカ 応答ネガイマス”


2008-04-22 | ま行

ひときわ強い風
ざざざ と木を揺らす
振り仰ぐ頭上に
葉がふりかかる
切り取られた空を舞い広がる ロンド


何を伝えようとしたのだろうか
私にはまだ
受け止めることが出来ない

新緑の合間から
陽が突き刺さる

光と影が
明日を紡いでゆく


2007-02-06 | ま行

とんだ茶番劇じゃない
そうやってだんだん 一人になってゆくのよ
可哀相に
深く打ち込んだ楔を
薄っぺらい笑顔で歓迎するわ
貴女が欲しいのは
物言わぬpretty doll
亀裂の入った思考回路に
気付かなくても 満足なんでしょ
絆は辛うじて保たれたつもりでも
YESと聞こえてさえいれば


広がる弾痕なんて
気に留めやしない


夢双

2007-01-25 | ま行

幾千年を超え
私が私であるままに
一本の大樹が 私を捕らえて離さない───


私は足を踏み入れた 一面広がるコケの絨毯へ
振り仰いだ聖なる地は 一斉に葉を放つ
あぁ 幾年月佇みつづけたのか この木漏れ日は
傷だらけのこの腕を軽やかに踊る
詩人の面影は 木陰へと私を誘う
歩み寄る     跪く
『願わくば 迷える旅人を 帰らせ給へ』
手掌かざして 声高らかに
                       囁くように

石造りの聖堂が守る事物
置き去りにされた子供
落剥したモザイク画
差し出した手は 夢の中
かろうじて私は すでに
自らがもてあます違和感を 感じている
突如 小鳥は飛び立った
枝が撓る 幻をみた
そよぐ風がツタを揺らし 記憶の果てを目指している
それは隠された庭園の魅せた 儚いユメ
回廊で出会った ほんの一瞬の交差反応
それなのに


朝を超え 夜を越え
一本の大樹が 私を捕らえて離さない
ちり り と 灼き責める ひかりのように
背後で震える かげのように
光景に息づく 一本の大樹が


私を捕らえて  離さない───

 

                                  ラベンナにて