森かずとしのワイワイ談話室

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河北潟周辺議会連絡会総会、河北潟視察

2008-05-15 22:50:15 | 議会活動
 河北潟周辺議会連絡会総会に参加しました。金沢市議会からは、正副議長のほか各常任委員会から正副委員長が参加しました。総会議事のあと、河北潟の環境対策に関して、文科省の実践型教育プログラム(GP)助成を受ける石川工業高等専門学校の教育活動の報告がありました。自然浄化作用が追いつかない河北潟の汚泥分解のために、「木工沈床」をつくって沈めると、湖底で微生物が活性化して分解作用が高まる実験。広大な遊休耕地の一部を使ってソーラー発電。電気自動車の製作と運行。ビオトープ。指導する高専準教授の熊澤先生の報告は、興味深い内容でした。地域で環境課題にとりくむ担い手として生徒を育てながら、技術開発をも行うという斬新な発想が文科省から出されているのは、意外でもありました。新学習指導要領や全国一斉学力テストの発想とはずいぶんとかけ離れているからです。
 しかしながら、広大な河北潟の環境悪化の規模からして、その有効性が明らかになるまでに時間が必要のようです。

 最も考えさせられたのは、講演後に視察した河北潟土地改良区と県排水事業でした。国営事業として干拓によってつくられた耕地が、減反政策と矛盾する中、畑作と牧畜農家が入植しましたが、農産靴輸入自由化の進展の影響設け、大きな負債を抱えて厳しい状況にあると聞いたのは、かなり前のことです。この苦境を乗り越えようと、土地改良区が水・土・里(みどり)ネットワークを組織して、全国的にも評価の高い地域活性化、都市生活と生産地の連携のとりくみを進めてきたのです。そう言えば、ひまわり村は特に有名ですね。
 その活動の報告には、汗と知恵が感じられました。しかしながら、驚かされたのは、この干拓地全体が、高いところでも海抜マイナス2メートルぐらいの土地であって、周りに残った河北潟、水路からの浸水、洪水時の灌水から守るために常に排水事業を継続しなければならないということです。考えてみれば、埋め立てではなく干拓ですから、水を抜いてつくった土地です。かつての河北潟の湖底で生産活動をしているのです。洪水期に備え、津幡排水機場では、直径1.5メートルもの排水ポンプがディーゼルエンジンで動かされます。すべての排水設備の運転コストは、国庫補助事業で年間1億6千万円!修繕費が年々かさんできている。古いものは40年経過。金沢市も国県以外の負担金20%中半分ぐらいは出していると思われます。
 こうした人工的な維持管理体制のもとでしか、この地では農業生産ができないということに、壮大な虚構的な存在、言葉を換えれば浪費を感じないわけにはいきませんでした。エネルギーを投入して、疑似自然体験をする。一緒に参加した保守系議員も、「今ならつくれない施設だ。」と漏らしていましたが、かつての国家プロジェクトの破綻を巨額な税金を投入し続けて埋め合わせなければならないという現実がここにはありました。もちろん、ここで生産が行われ、300戸の農家の方々が、奮闘しておられる。干拓後の河北潟の水質浄化に、地域住民も含めて汗と知恵を出してがんばっている。その現実も重いのです。

 今日、中山間地や遊休耕地の荒廃が、地域社会の大きな問題となっています。農業労働の担い手に資金を集中させれば食の生産を蘇らせることの出来る土地です。干拓と干拓後の維持管理に投じられる巨額の公的資金。一方で直接所得保障がいまだ十分には制度確立に到らないこの日本農政です。失政ともいわれる戦後農政の構造的な問題を目の当たりにする視察となりました。



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