森かずとしのワイワイ談話室

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東松山市教委、八戸市環境政策視察概報

2008-07-19 00:42:48 | 議会活動
 教育環境常任委員会視察から帰りました。全国的な猛暑の中、16日は東松山市、17日は青森県八戸市を委員8人と議会事務局の随行員1人の計9人で視察しました。

 私にとっては2月の訪問以来2度目の東松山市。昨年7月に就学指導委員会あらため「就学支援委員会」も廃止し、「就学相談会議」という新体制に転換し、4月からインクルージョンを大きく進めています。
 就学先を指定することを廃止し、保護者に情報提供に基づく就学相談を行う体制とは、金沢市教委をはじめ、学校教育法で「就学先の決定に当たっては、保護者等意見を聞く」との趣旨が加えられて保護者・本人の希望を尊重し、障害児が地域の普通学校に就学することを特例的に認めてきたこととは段階を画する制度です。この点は、特別支援教育に移行しても、日本の教育制度としては根本的な改革が進まなかった部分です。東松山市においては、就学は障害を理由として、第3者から指示・指定されることがない、つまりは、地域の学校で学び育つ権利を保障する制度だからです。
 東松山市では、来年度の就学に向けて、4月から就学相談活動が始まっています。窓口の市教委学校指導課、教育センターの担当者が、保育所や幼稚園を回り、就学相談のチラシを配布し、相談を呼びかけています。1学期間で16件の相談があり、年間6回予定の就学相談調整会議で情報提供を始めていて、昨年度一年分と同数になっているそうです。障害児学校希望の保護者にも、普通学校に就学した場合のメリット・デメリットを説明することで、分けない教育について考えてもらうように情報提供していると言います。一般的な就学指導は、就学先判定が障害児学校や学級になった子の保護者が普通学校への就学を懸命に希望して交渉し、市教委は執拗に障害学校の利点を説得するという図式ですから、その違いは明瞭です。東京や県内他市からの相談もあるというこの相談体制について、他の委員からも質問が重ねて出されました。また、学校での受けとめについても質問されました。障害児の受け入れをめぐって大もめになるケースもあるからです。
 現時点で小中学校合わせて16校に市費の介助員を43人!配置しています。人件費は5000万円。因みに金沢市は80数校に42人。2800万円です。一人当たりの勤務時間も違うようです。坂本市長の「兄弟であるのに、障害があることで違う学校に通うのはおかしい。」という発想から、市長部局から教育委員会に強いリーダーシップが及び、この制度転換が図られたことは以前も紹介しました。議会事務局の職員の話では、市の総合福祉エリアのS職員が市長と共感し、制度設計の中心を担ったといいます。金沢でも、福祉と教育の融合が目指されているのですから、この経過について、より深く調査し、金沢のノーマライゼーション、インクルージョン教育に生かしたいものです。
 本市教育委員会は、今年度中に特別支援教育指針を策定します。また、ノーマライゼーションプランの改訂作業にも着手します。一方議会は、障害者の権利に関する条約の早期批准を国に求めました。この流れと経過は、各議員にも、足元の教育制度の見直しに明確なビジョンをもって審議に当たる責務を要請しています。目に見える形であるかどうかは別に、今回の東松山市の視察が共通基盤の底上げに結びつけばと願います。私は、福祉からの制度設計に関心が残りましたので、今年度中に学校現場の参観も含めて再々度の東松山市視察を考えてみたいと思っているところです。

 17日の八戸市は、金沢市などとも環境モデル都市に応募している環境施策を視察しました。私は初めての訪問でした。
 八戸は漁業と工業のまちで、人口24万人、青森第2の都市です。新産業都市指定後の公害問題を教訓に、環境政策に力点を置き、環境基本条例の下で環境都市宣言、環境基本計画を策定し、まちぐるみで住民参加型の環境保全のまち作りを展開しています。青森エコタウンの指定、八戸港リサイクルポート(廃棄物から金属類の再資源化)、そして今日では、温室効果ガス削減のうみねこプラン、はちのへクリーンパートナー(清掃里親制度)、家庭ゴミ有料化によるゴミ減量作戦、廃食油のバイオディーゼル活用プロジェクト、事業系の紙ごみの削減・再資源化、エコレンジャー(環境政策課職員による)による子ども啓発など、硬軟取り混ぜた多様なとりくみが成果を上げてきていました。本市も、環境政策では、先駆的な施策で自負しているようですが、八戸の自信にも相当なものを感じました。
 視察先を移動し、八戸下水道事務所現地では、新エネルギー産業技術総合開発機構NEDO技術開発機構からの委託事業「水の流れを電気で返すプロジェクト」を視察しました。ソーラー、風力と下水の活性汚泥からのバイオマスエネルギーから発電し、それで、地域の上水道施設や学校の電気を賄うという新エネルギー地域集中実証研究の成果に期待しました。原発に代表される巨大集中発電施設からの送電体制は、大きな送電ロスを伴い、一斉停電などのリスクも伴うため、コジェネや地域型小規模発電システムがオルタナティブなエネルギーシステムとして注目を受けているからです。
 国による発電送電システム設置から5年間の実証実験の結果は、エネルギー供給の見通しは立ったものの、メンテナンスなどランニングコストが電力収益の4倍!という不採算システムであるということでした!!そこで金食い虫のバイオマスボイラー、風車、燃料電池、学校間の送電線を撤去し、汚泥発電のみで処理場と市庁舎の電気のみを賄うシステムに縮小して、事業を引き継ぐことにしたのです。このあたりの経緯について、下水事業部の職員は、極めて率直に批判的に説明をされました。
 研究開発には数十億円の投資が国庫によって行われたのですから、国家プロジェクトのありがちな失敗と切り捨てることも出来ましょうが、発電システムの完全自然エネルギー化という大目標には、むしろまだ投資が少ないのが日本だと言われています。原発や火力などの大システムの開発、建設の投資を、全国の地域で地域型発電システムの開発に振り向けるという考え方に立てば、自治体での事業継続も含めて財政基盤をつくる方向もあって良いと思うのです。そうすれば、機材の単価やメンテナンス費用も低減させる道もあろうかと思います。
 見ようによっては落ちの付いたような現地視察になりましたが、私には、将来構想に消せない視点をもらったように感じているのです。

 八戸のまちは、東北の人情を感じさせ、中心市街地の活性化に汗を流す市民との交流も深めることが出来ました。呉越同舟の常任委員会視察ですが、日頃の立場を越えて、様々に意見交換を深めることが出来、有意義な行政視察となったことを報告します。

 あす(今日)19日早朝から、市議会ボート部の練習が河北潟で始まります。
 

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