6月30日、金沢弁護士会が、中部弁護士連合会、富山弁護士会とともに、「秘密保全法」に反対する市民集会を開催した。国家権力が、自分たちの権力を脅かすような人々の動きを押さえ込むために、「国家機密」というものをつくり出し、それを漏洩させる者を処罰する。こうしたことは、様々な国で、そして歴史の中で度々繰り返されてきた。
主権在民、基本的人権、平和主義の日本国憲法下の日本では、その国是である戦争放棄・平和主義に触れる防衛機密から、その法的な網を広げてきた。スパイ防止法とか国家機密法とか名づけられた情報と言論統制を意図した法律制定運動が自民党政権時代に何度か目論まれたが、全体法 には到っていない。しかし、9.11を奇貨として、小泉政権時代に有事法制の一環として自衛隊法の中に軍事機密保持が法制化された。
そしてその総仕上げとして物理的にも、理念的にも崩壊寸前の民主党政権下で、全体法制としての「秘密保全法」の制定が企図されている。国を取り仕切る官僚の目論見が雪崩を打って表面化している。これを止める政治的意思は、政権には既に失われているのか。
集会では、25年前に自民党の「スパイ防止法」制定に反対して、金沢弁護士会が弁護士自身が俳優となって制作した裁判劇が上演された。「片町の灯は消えて」飲み屋での会話が自衛官から記者に流れて報じられた事件を、裁判がスパイ事件として有罪判決を出すという架空の創作劇だ。現在活躍中の名だたる弁護士達が、達者な演技を展開して会場内を沸かせる。しかし、内容はシビアだ。誰もが、情報漏洩者として処罰の対象になる暗黒社会を描いているのだから。
メディア統制に詳しい上智大学の田島泰彦教授が、「情報は誰のものか?市民にとっての秘密法とは?」と題して、秘密保全法のもつ危険性に関する詳細な講演を行った。
民主党政権の情報統制は、税と社会保障にかかる「共通番号制度」、コンピュータ監視法、そして内閣に置く「人権委員会設置法」である。これらから見えてくるのは、情報とは権力の者であり、市民のものではないこと。権力に都合の悪い情報は隠されること。情報は統制されるということだ。秘密保全の対象は、これまでの防衛機密も含んで国が重要と判断したものを「特別秘密」として指定し、漏洩者には厳罰を科す。また秘密を知ることや秘密の漏洩を働きかけた者も処罰の対象になる。それは報道関係者にとどまらず、国地方の公務員、民間企業の社員、大学研究者、国の政策に反対する市民運動家にも及ぶし、その家族や友人にも及んでいく懸念が強い。そうなれば、一億総スパイにされて、口封じの監視社会にすらなっていくだろう。
秘密を取り扱う者に対する適正評価というものがある。法律が制定されてもいないのに、その先取りが行われているという。それは、以下の福島瑞穂社民党党首が行った質問趣意書「政府の秘密取扱者適格性確認制度について」と答弁書に明らかにされている。ご覧頂きたい。
3 秘密取扱者の適格性確認を行う場合、対象者本人の同意を得てから照会することを法令上規定するかについて議論されているが、現在は対象者本人の同意を得ないで行っているのか。
4 自治体等に対し、この法制に基づく照会についての情報公開が請求された場合、「存否応答拒否」を行うかどうか議論がなされた旨が議事要旨に記載されているが、その後どのような方針が決定されたのか。
5 現在、秘密取扱者と認定された者は何人いるのか。また、その内訳について、国家公務員、地方公務員、民間団体職員及び企業社員別にそれぞれの人数を明示されたい。
6 「秘密取扱者適格性確認制度」の対象となった者で、不適格者となった者はいるのか。不適格者となった者がいる場合、その人数を明らかにされたい。
実は、情報統制の網は、国会議員にも及ぶ可能性がある。国政調査権の侵害だ。地方議員とて、自治法上の調査権が侵害される異も考えられるのだ。この民主主義と人権を破壊する危険性について、最も死活的な立場にあるメディアが口をつぐんでいる。
日本弁護士会は、この「秘密保全法」は法案化される前につぶすと意思統一しているという。法律関係者だけではなく、広く市民が自分自身の問題としうて認識するようにしなければならない。その意味で、長い報告をさせていただいた。以下に、日本弁護士連合会が発表した「秘密保全法制に関する決議」紹介しておく。
主権在民、基本的人権、平和主義の日本国憲法下の日本では、その国是である戦争放棄・平和主義に触れる防衛機密から、その法的な網を広げてきた。スパイ防止法とか国家機密法とか名づけられた情報と言論統制を意図した法律制定運動が自民党政権時代に何度か目論まれたが、全体法 には到っていない。しかし、9.11を奇貨として、小泉政権時代に有事法制の一環として自衛隊法の中に軍事機密保持が法制化された。
そしてその総仕上げとして物理的にも、理念的にも崩壊寸前の民主党政権下で、全体法制としての「秘密保全法」の制定が企図されている。国を取り仕切る官僚の目論見が雪崩を打って表面化している。これを止める政治的意思は、政権には既に失われているのか。
集会では、25年前に自民党の「スパイ防止法」制定に反対して、金沢弁護士会が弁護士自身が俳優となって制作した裁判劇が上演された。「片町の灯は消えて」飲み屋での会話が自衛官から記者に流れて報じられた事件を、裁判がスパイ事件として有罪判決を出すという架空の創作劇だ。現在活躍中の名だたる弁護士達が、達者な演技を展開して会場内を沸かせる。しかし、内容はシビアだ。誰もが、情報漏洩者として処罰の対象になる暗黒社会を描いているのだから。
メディア統制に詳しい上智大学の田島泰彦教授が、「情報は誰のものか?市民にとっての秘密法とは?」と題して、秘密保全法のもつ危険性に関する詳細な講演を行った。
民主党政権の情報統制は、税と社会保障にかかる「共通番号制度」、コンピュータ監視法、そして内閣に置く「人権委員会設置法」である。これらから見えてくるのは、情報とは権力の者であり、市民のものではないこと。権力に都合の悪い情報は隠されること。情報は統制されるということだ。秘密保全の対象は、これまでの防衛機密も含んで国が重要と判断したものを「特別秘密」として指定し、漏洩者には厳罰を科す。また秘密を知ることや秘密の漏洩を働きかけた者も処罰の対象になる。それは報道関係者にとどまらず、国地方の公務員、民間企業の社員、大学研究者、国の政策に反対する市民運動家にも及ぶし、その家族や友人にも及んでいく懸念が強い。そうなれば、一億総スパイにされて、口封じの監視社会にすらなっていくだろう。
秘密を取り扱う者に対する適正評価というものがある。法律が制定されてもいないのに、その先取りが行われているという。それは、以下の福島瑞穂社民党党首が行った質問趣意書「政府の秘密取扱者適格性確認制度について」と答弁書に明らかにされている。ご覧頂きたい。
3 秘密取扱者の適格性確認を行う場合、対象者本人の同意を得てから照会することを法令上規定するかについて議論されているが、現在は対象者本人の同意を得ないで行っているのか。
4 自治体等に対し、この法制に基づく照会についての情報公開が請求された場合、「存否応答拒否」を行うかどうか議論がなされた旨が議事要旨に記載されているが、その後どのような方針が決定されたのか。
5 現在、秘密取扱者と認定された者は何人いるのか。また、その内訳について、国家公務員、地方公務員、民間団体職員及び企業社員別にそれぞれの人数を明示されたい。
6 「秘密取扱者適格性確認制度」の対象となった者で、不適格者となった者はいるのか。不適格者となった者がいる場合、その人数を明らかにされたい。
実は、情報統制の網は、国会議員にも及ぶ可能性がある。国政調査権の侵害だ。地方議員とて、自治法上の調査権が侵害される異も考えられるのだ。この民主主義と人権を破壊する危険性について、最も死活的な立場にあるメディアが口をつぐんでいる。
日本弁護士会は、この「秘密保全法」は法案化される前につぶすと意思統一しているという。法律関係者だけではなく、広く市民が自分自身の問題としうて認識するようにしなければならない。その意味で、長い報告をさせていただいた。以下に、日本弁護士連合会が発表した「秘密保全法制に関する決議」紹介しておく。