里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

小正月行事「団子刺し」

2023年01月15日 | 暮らし

当地方では1月14日から15日がいわゆる小正月。
小正月には団子刺しをするのが習わしです。
小正月は女の正月とも言われますが、団子刺しは、その名にふさわしい華やかな行事と言えるでしょう。
団子刺しは、団子の木に団子を刺して飾り付けます。


これが団子の木。見にくいですが、一番手前の木です。


正式名はミズキ(水木)。当地では誰もが団子の木と言います。
当県にはこけし作りで有名な所が数カ所あり、弥治郎系、遠刈田系、作並系、鳴子系などその地名の付いたこけし名で呼ばれます。
そのこけしを作る材料として用いられるのがミズキで、重要な樹種なのです。
それを団子の木と言うくらいですから、小正月の団子刺しは大きな行事だったのです。
ミズキは枝がなめらかですんなりと伸びます。


肌は赤みを帯び美しい。枝先は団子が刺しやすい形状で、木全体がバランスのとれた扱いやすい姿をしています。このような樹種はほかに見当たりません。


一昨日、保育園児達が団子刺しを体験する姿がニュースで流れていました。
当地では昔から続く豊作や家内安全・家内繁栄を祈願する風習なのです。
ミズキの枝先に紅白や緑の団子を刺し、鯛や宝船などの飾り物をぶら下げ、神棚や部屋に飾り付けます。

これは大黒様のようです。


小生が幼少の頃は大きなミズキに沢山の団子を刺し、部屋中一杯になるほど飾ったものでした。
今はほんの形ばかりと言ったところですが、近隣で実際にやるお宅は見かけなくなりました。
実は、我が家も助っ人が我が家の分まで作ってきてくれるので、有り難く御相伴に与っている次第。


ミズキだけは我が家の山に沢山あります。
もっとも、昔、大きな木に団子を数え切れないくらい刺したのから見ればささやかなものです。
昔と言えば、15日の夜明け前に「暁(あかつき)団子」を食べたのを思い出します。
囲炉裏に大きな鍋を掛け、薄い小豆粥の中に団子が入ったようなものでした。未明に起こされた幼少の身には眠いだけ。今となっては朧気にしか憶えていません。小正月の様々な行事も次第に姿を消してきたのが現実です。