7月8日(火) 雨 (民宿「あしたの城」~稚内市・「稚内モシリパユースホステル」)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/d1/ca937b13905f9f0aa2482a78da1ba7a3.jpg)
5時05分、稚内までは40km以上。早めに支度をして、相変わらず降りしきる雨の中を出発。田園地帯は本当に緑が鮮やかだが、遠方は白い霧の中に煙っている。
5時40分、昨日の道を戻り、稚咲内(わかさかない)交差点で右折。国道106号線に合流する。
以後は、昨日と同じく一本道がどこまでも続く光景の中を、雨に打たれながらひたすら歩く。デジカメも防水仕様ではないので、今日もザックの中。
左側は日本海の荒波が打ち寄せ、右側はサロベツの緑の原野が雨に霞んでいる。上からは雨がふりそそぎ、足元は水溜りが連なって靴の中は水浸し、通過する大型トラックが容赦なく水飛沫と旋風を前からも後ろからも浴びせかけていく。ザックは下ろせず、時がたつとともに肩に食い込んでくるが耐えるのみである。わずかに1キロごとに数字が減っていくキロポストと、時折現れる「稚内○○km 抜海○○km」という距離表示だけが、心に変化をつけてくれる。
……と書くとなにやら悲壮な感じだが、でも考えて見れば、この広大なサロベツ原野の天地を独り占めしつつ歩いているわけだから、まあこんな「貴重な」経験は誰でもがそうそうできるものでもない。宗谷岬まであと残り100kmを切っている事からくる、気持ちの余裕のなせるところかもしれないが。
それに仮に好天で、太陽にじりじりと照らされながらの行動だったら、それもまた悲惨なことではあろう。いずれにしても、ここは人間を拒絶しようという自然の意志が垣間見られる場所ではある。
7時55分、稚内市に入る。兎も角、記録だけはしておこうと、ザックを雨に濡れている路肩に下ろし、かろうじてカントリーサインと距離表示の写真を撮るが、すぐにまたカメラはザックの中に。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/ba/eeefeb14afdd5935c1a413dd23a7e0f7.jpg)
途中で、自転車の男性に追い抜かれる。見るとビニール合羽の上半身と、素足に草履で、ウエットスーツのような下半身。元気なチャリダーだ。笑って手を上げて挨拶をしていった彼の姿が、地平線にエゾニュウの花のように、雨に煙る中どこまでもどこまでもずっと先まで見通して確認できる。
10時30分、ようやくにして浜勇知(はまゆうち)原生花園にある展望休憩所「こうほねの家」に着き大休止。
誰もいないが、やっと落ち着いてザックを下ろし、椅子に座ることができる。
食事は、あんドーナツと、食パンにバターを塗って甘納豆をはさんだもの。でもこれがご馳走だ。
Bさんに電話をすると、名寄(なよろ)から美深(びふか)に向かっている途中とのこと。彼の方も雨の中の行動という。
予定では「稚内森林公園」のキャンプ場で泊まるつもりだったが、雨天であり、体も冷え切っている、一応予算もまだ足りているなどと理屈をつけ、日和って宿に泊まることにする。稚内の「モシリパユース」に2泊の予約をすると、今夜のメニューはイクラ丼だが嫌いではないか、とのこと。「大好きです。」
11時10分、歩行再開。
その後も同様な景色の中を、同様にトラックにあおられながら歩く。だが、宿を決めてしまったせいか気楽になり、トンネルの通過と同じように、懐メロ大全集も口をついて出る。
12時05分、抜海(ばっかい)岬が近づいてくる頃に雨がいくらか小降りになったので、カメラを出し右手の沼の写真を撮る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/bd/b455a314c9ef74133fc9ffb658fba0a7.jpg)
沼の水も丘の森の木々もいかにも北の最果てといった風情の色だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/c8/1c7afc019ae478b7930687a64ff05164.jpg)
よく見ると白い鳥の群れが沼の真ん中あたりにかたまっている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/72/7139cc16fb6a092b5fe9e30f6b477086.jpg)
抜海漁港への交差点を右折し、
12時40分、抜海郵便局のATMで2万円下ろす。
抜海市街を抜けるとふたたび小雨。海岸線に沿って原野が続く道を行くと、利尻山の大きな写真の看板がある。晴れていれば……。
ようやくちらほらと人家が現れ、ノシャップ岬へ向かう道道254号線を左に見送り坂を上ると、
14時25分、「夕日が丘パーキング」である。トイレの建物の入口に、本日4度目のザックを置き小休止。利尻山の展望地とあるが、今は全く見えず。
稚内市街地に入っていくころに雨があがり、JR宗谷本線の踏切をこえて国道40号線に合流。
稚内駅手前のセイコーマートで買い物。牛乳、かりんとう、バターピーナッツ、甘納豆。
16時10分、JR最北端の駅である稚内駅(北緯45度24分44秒)に到着。4月11日に通過した最南端の西大山駅から、鉄路は3126kmかけて日本列島を貫き、ここ稚内駅までつながっている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/4c/d1b1a3cb255a28025bbf4ad94b8c2c2d.jpg)
駅横のバスセンターで、明日の宗谷岬からの帰りのバス時刻を確認する。
16時30分、「稚内モシリパユースホステル」に到着。「モシリパ」とはアイヌ語で「国の北の端」という意味だそうである。
同室の休学中という大学生と少し話をする。彼は、優等生を演じるのに疲れ1年ほどひきこもっていたのだが、この北海道旅行をきっかけにして復学するつもりだ、とのこと。頑張れとエールを送る。
夕食はイクラ丼を美味しくいただく。
さーて、いよいよ明日は宗谷岬だ。
連泊で食事は夜1回、宿泊代、7820円。
経費 8,519円 累計 330,934円
歩数 67,061歩 累計 4,529,973歩
距離 46km 累計 2,999km
(本日の到達地点――稚内市)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/29/835ebd598608c036287d11fefcde8e6f.jpg)
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5時05分、稚内までは40km以上。早めに支度をして、相変わらず降りしきる雨の中を出発。田園地帯は本当に緑が鮮やかだが、遠方は白い霧の中に煙っている。
5時40分、昨日の道を戻り、稚咲内(わかさかない)交差点で右折。国道106号線に合流する。
以後は、昨日と同じく一本道がどこまでも続く光景の中を、雨に打たれながらひたすら歩く。デジカメも防水仕様ではないので、今日もザックの中。
左側は日本海の荒波が打ち寄せ、右側はサロベツの緑の原野が雨に霞んでいる。上からは雨がふりそそぎ、足元は水溜りが連なって靴の中は水浸し、通過する大型トラックが容赦なく水飛沫と旋風を前からも後ろからも浴びせかけていく。ザックは下ろせず、時がたつとともに肩に食い込んでくるが耐えるのみである。わずかに1キロごとに数字が減っていくキロポストと、時折現れる「稚内○○km 抜海○○km」という距離表示だけが、心に変化をつけてくれる。
……と書くとなにやら悲壮な感じだが、でも考えて見れば、この広大なサロベツ原野の天地を独り占めしつつ歩いているわけだから、まあこんな「貴重な」経験は誰でもがそうそうできるものでもない。宗谷岬まであと残り100kmを切っている事からくる、気持ちの余裕のなせるところかもしれないが。
それに仮に好天で、太陽にじりじりと照らされながらの行動だったら、それもまた悲惨なことではあろう。いずれにしても、ここは人間を拒絶しようという自然の意志が垣間見られる場所ではある。
7時55分、稚内市に入る。兎も角、記録だけはしておこうと、ザックを雨に濡れている路肩に下ろし、かろうじてカントリーサインと距離表示の写真を撮るが、すぐにまたカメラはザックの中に。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/ba/eeefeb14afdd5935c1a413dd23a7e0f7.jpg)
途中で、自転車の男性に追い抜かれる。見るとビニール合羽の上半身と、素足に草履で、ウエットスーツのような下半身。元気なチャリダーだ。笑って手を上げて挨拶をしていった彼の姿が、地平線にエゾニュウの花のように、雨に煙る中どこまでもどこまでもずっと先まで見通して確認できる。
10時30分、ようやくにして浜勇知(はまゆうち)原生花園にある展望休憩所「こうほねの家」に着き大休止。
誰もいないが、やっと落ち着いてザックを下ろし、椅子に座ることができる。
食事は、あんドーナツと、食パンにバターを塗って甘納豆をはさんだもの。でもこれがご馳走だ。
Bさんに電話をすると、名寄(なよろ)から美深(びふか)に向かっている途中とのこと。彼の方も雨の中の行動という。
予定では「稚内森林公園」のキャンプ場で泊まるつもりだったが、雨天であり、体も冷え切っている、一応予算もまだ足りているなどと理屈をつけ、日和って宿に泊まることにする。稚内の「モシリパユース」に2泊の予約をすると、今夜のメニューはイクラ丼だが嫌いではないか、とのこと。「大好きです。」
11時10分、歩行再開。
その後も同様な景色の中を、同様にトラックにあおられながら歩く。だが、宿を決めてしまったせいか気楽になり、トンネルの通過と同じように、懐メロ大全集も口をついて出る。
12時05分、抜海(ばっかい)岬が近づいてくる頃に雨がいくらか小降りになったので、カメラを出し右手の沼の写真を撮る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/bd/b455a314c9ef74133fc9ffb658fba0a7.jpg)
沼の水も丘の森の木々もいかにも北の最果てといった風情の色だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/c8/1c7afc019ae478b7930687a64ff05164.jpg)
よく見ると白い鳥の群れが沼の真ん中あたりにかたまっている。
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抜海漁港への交差点を右折し、
12時40分、抜海郵便局のATMで2万円下ろす。
抜海市街を抜けるとふたたび小雨。海岸線に沿って原野が続く道を行くと、利尻山の大きな写真の看板がある。晴れていれば……。
ようやくちらほらと人家が現れ、ノシャップ岬へ向かう道道254号線を左に見送り坂を上ると、
14時25分、「夕日が丘パーキング」である。トイレの建物の入口に、本日4度目のザックを置き小休止。利尻山の展望地とあるが、今は全く見えず。
稚内市街地に入っていくころに雨があがり、JR宗谷本線の踏切をこえて国道40号線に合流。
稚内駅手前のセイコーマートで買い物。牛乳、かりんとう、バターピーナッツ、甘納豆。
16時10分、JR最北端の駅である稚内駅(北緯45度24分44秒)に到着。4月11日に通過した最南端の西大山駅から、鉄路は3126kmかけて日本列島を貫き、ここ稚内駅までつながっている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/4c/d1b1a3cb255a28025bbf4ad94b8c2c2d.jpg)
駅横のバスセンターで、明日の宗谷岬からの帰りのバス時刻を確認する。
16時30分、「稚内モシリパユースホステル」に到着。「モシリパ」とはアイヌ語で「国の北の端」という意味だそうである。
同室の休学中という大学生と少し話をする。彼は、優等生を演じるのに疲れ1年ほどひきこもっていたのだが、この北海道旅行をきっかけにして復学するつもりだ、とのこと。頑張れとエールを送る。
夕食はイクラ丼を美味しくいただく。
さーて、いよいよ明日は宗谷岬だ。
連泊で食事は夜1回、宿泊代、7820円。
経費 8,519円 累計 330,934円
歩数 67,061歩 累計 4,529,973歩
距離 46km 累計 2,999km
(本日の到達地点――稚内市)
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とうとう稚内ですね。
サロベツ原野はいつか訪れたいところです。
雨でなければ写真も見られたのに、残念です。
あとわずか。気持ちが沸きたちますね。
いつの日にか、今度は晴天の日に、海上の利尻山を眺めながらもう一度歩きたいと思っております。
翌日は雨も上がって、いくらか写真を撮ることができましたので御期待?ください。