ブログ「かわやん」

森羅万象気の向くままに。

日曜新聞紙読書欄簡単レビュー第2弾:川瀬俊治

2010年10月18日 21時50分48秒 | Weblog
読売が冨山一郎、森宜雄『現代沖縄の歴史経験 希望、あるいは未決性について』(青弓社、3400円)を取り上げている。評者は今福龍太。評者のまとめは難しいので、私なりに言い換えると、沖縄の歴史は整理されて評者が述べた安定的視点、すなわち正史となり位置を占めているものではない、現在の人々により作られる民衆の交流からなされる新たな解釈、動態を生むものだというわけだ。平板ではなく、あくまで運動する主体が紡ぐ営みが歴史経験というわけだ。「社会秩序が正当性の歴史を獲得することによって忘却された、それ以前の、社会のなかに継続してきたいまだ決定されていない可能性のことだ」と評者はまとめてもいる。島嶼世界として自立する営みベースにあr。おりしも国連人権委員会は沖縄を先住民族の地だと昨年声明したことは記憶に新しい。11編の論文からなる本書には戦後沖縄の姿を語る。

毎日でみずのわ出版刊行、斉藤潤『島ー瀬戸内海をあるく』第2集(2940円)の書評が出ている。瀬戸内の島々をめぐり人々の生活をルポする旅行作家の作品だが、本格的なルポルタージュだと評者湯川豊は評している。家船のこどもたちのために設けられた学寮を紹介しているほか、岡山県笠岡市の「島おこし海援隊」について、その島おこしの模様を著者は同行、新たな移住希望者の話をこまかく紹介している。評者がこの書の心打たれた最大の点は著者が島に対する限りない愛着をもっていることだという。そういえばこの出版社の代表も島に限りない愛情をもつ出版人で、周防大島にかかわる本を刊行し続けている。この出版社と著者の出会いが本書を生んだといえる。宮本常一の本を出しているみずのわ出版だが、島への愛着が新たな著者との出会いを生み、第3集の刊行が待たれるほどに成長してきたといえる。文中敬称略

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