メディア史が専門の佐藤卓巳さんが毎日新聞(大阪本社)1月25日夕刊でライブドアグループの犯罪を「メディアの犯罪」と呼ぶべきだと論じていた。論拠は既存マスコミがその犯罪に加担して「有名人」を作り出すことで「ホリエモンもマスコミとともに繁盛したからである」というのだ。
たしかにマスコミは有名人を作り出すことで視聴率、購読数をあげる。ネットで同様だ。しかしその有名人は「消耗」材でしかない。消費者の購買意欲をさそうための「消耗」材であり、ときがくれば忘れ去られる。
佐藤卓巳さんが語っていたことで面白かったのは、マスコミは有名人を作り出すが、英雄は作らないということの指摘だ。世間は本物の英雄を作ることを望んでいないし、「人気があるのは『チャンスさえあれば自分たちもなれる』有名人である」という。
ここは違う。英雄は民衆が作り出すものであり、日本にはいま英雄がいないが、お隣りの韓国では英雄はいつも作られている。偽造の幹細胞で信頼が失墜した黄教授はいまも熱烈な黄教授支持者がいる。韓国哲学の小倉紀蔵さんが「日本はタレント化するが、韓国は英雄化する」とどこかで言っていたが、英雄化するのは民衆の集団意識があらわれたものといえる。だから、韓国は民衆という存在がまだ生きているといえるのではないか。
ただ英雄の危うさを知っているのも民衆であるから、有名人として消費することは安全弁かもしれない。それが日本なのか。英雄を生む構造は戦時下にあのある朝鮮半島の危機のあらわれかもしれない。
大分論点がずれたが、ライブドアショックはマスコミにも当然ないといけないが、これが皆無なようなのが解せない。「メディアの犯罪」といった佐藤さんは今回の事件での様々な人の発言の中で光っている。
株価を吊り上げた舞台回しをマスコミが受けもったとすれば、そこの情念分析は非常にたいせつだろう。情念とはホリエモンを持ち上げ関心の中心にすえる感情の流れ、感情の発露である。
経済という化け物が牽引したから舞台回しも居場所があったのであり、情念と経済は現代を解く2大要素だ。この2大要素に担がれて粉飾決済による株価吊り上げ、大メメディア買収収交渉と続くわけか。
しかし日当3000円を500円あげろと世論調査の仕事で交渉した経験を私はもつが、この3000円、3500円の世界に住む私の方が偽装はないからましなのかもしれない。ホリエモンを支えた情念と経済に無縁だからだ。(ジャーナリスト・ネット1月27日掲載分)
たしかにマスコミは有名人を作り出すことで視聴率、購読数をあげる。ネットで同様だ。しかしその有名人は「消耗」材でしかない。消費者の購買意欲をさそうための「消耗」材であり、ときがくれば忘れ去られる。
佐藤卓巳さんが語っていたことで面白かったのは、マスコミは有名人を作り出すが、英雄は作らないということの指摘だ。世間は本物の英雄を作ることを望んでいないし、「人気があるのは『チャンスさえあれば自分たちもなれる』有名人である」という。
ここは違う。英雄は民衆が作り出すものであり、日本にはいま英雄がいないが、お隣りの韓国では英雄はいつも作られている。偽造の幹細胞で信頼が失墜した黄教授はいまも熱烈な黄教授支持者がいる。韓国哲学の小倉紀蔵さんが「日本はタレント化するが、韓国は英雄化する」とどこかで言っていたが、英雄化するのは民衆の集団意識があらわれたものといえる。だから、韓国は民衆という存在がまだ生きているといえるのではないか。
ただ英雄の危うさを知っているのも民衆であるから、有名人として消費することは安全弁かもしれない。それが日本なのか。英雄を生む構造は戦時下にあのある朝鮮半島の危機のあらわれかもしれない。
大分論点がずれたが、ライブドアショックはマスコミにも当然ないといけないが、これが皆無なようなのが解せない。「メディアの犯罪」といった佐藤さんは今回の事件での様々な人の発言の中で光っている。
株価を吊り上げた舞台回しをマスコミが受けもったとすれば、そこの情念分析は非常にたいせつだろう。情念とはホリエモンを持ち上げ関心の中心にすえる感情の流れ、感情の発露である。
経済という化け物が牽引したから舞台回しも居場所があったのであり、情念と経済は現代を解く2大要素だ。この2大要素に担がれて粉飾決済による株価吊り上げ、大メメディア買収収交渉と続くわけか。
しかし日当3000円を500円あげろと世論調査の仕事で交渉した経験を私はもつが、この3000円、3500円の世界に住む私の方が偽装はないからましなのかもしれない。ホリエモンを支えた情念と経済に無縁だからだ。(ジャーナリスト・ネット1月27日掲載分)