あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

吉田日出子著「私の記憶が消えないうちに」を読んで

2024-06-27 14:17:58 | Weblog

 

照る日曇る日 第2068回

 

きのうの黒柳徹子に続いて、今年傘寿を迎える個性豊かな俳優の半生記を読む。

 

吉田日出子は、あの「上海バンスキング」のヒロインだが、高次脳機能障害を患ってげんざい療養中である。

 

高次脳機能障害とは、交通事故などによって脳がダメッジを被り、失語、失行、失認のほか記憶、注意、遂行機能、社会的行動に障害があらわれる症状を指し、このために彼女は舞台や映画、テレビの現場から遠ざかって久しい。

 

だからこそこの本は、「私の記憶が消えないうちに」に書き残されたわけだが、その生い立ちから始まって、自由劇場をともに立ち上げた仲間たちの思い出、60年代のシュトルムウントドランクの狂乱と自由のなごりを生々しく伝えて、図らずもおらっちの興奮を呼ぶ。

 

どういう風の吹き回しか、途中では彼女の母親の問わず語りまで飛び出すのだが、これがまた抜群に面白く、「この母にしてこの子あり」と痛感する。

 

困難な重度の障害にめげず、背筋をピンと伸ばして人生の荒波に立ち向かう著者に向かって、難病回復祈願の超念力を発散放射するとともに、彼女を全力で支援する姉妹に深甚なる敬意を表したい。

 

施設では飽食の自由許されず一膳飯で痩せていく息子 蝶人

 

 


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