照る日曇る日 第1330回
アメリカ西海岸の病院で90歳近い夫を看取り、その空白を愛犬クレーマーとの同衾で埋めながら世界中を激しく動き回る還暦を過ぎた詩人の行状記ずら。
軽妙洒脱な筆致の中に黄昏ゆく人世の悲哀がぽっかりと浮かび上がってくる。
そして、セックスやチンポコのことをこのようにさらりというてのけるところにこの人の正直で飾りのない人柄がよく表れている。
著者は最近早稲田大学で講義をしているらしいが、先日その様子がSNSでアップされ、見ると、彼女も、学生も教室狭しと踊っていた。恐らくツイストではないかと思うが、こういう授業なら私も出たいと思ったことだった。
あるいは、今を真面目に生きようとすれば、テレビの画面がみなそうであるように、ただひたすらに踊り狂うしかないのかもしれない。泣くも笑うもこの時ぞ。この時ぞ。

子が腹に居ると知りてメトからの招きを固辞した佐藤しのぶよ 蝶人