照る日曇る日第1315回
しがない受領の娘が、エリート貴族にのぞまれて玉の輿に乗ったはいいいが、一夫多妻の世の中なれど、かてて加えて色好みの夫に「夜離れ」の憂き目にあわされ、いくつかの喜びの夜はあれども涙に暮れる日々多く、「こんなのありかよ、これが平安の女の一生なのか」、と臍を噛みつつ、「出世と女色に現をぬかす浮気男のことなんか忘れっちまえ」とばかりに、一粒種の長男のラブレターの代作までやってのける。
行く末短い自分を看取ってくれるかも、と深窓の養女を見つけたが、それをつけ狙うヒヒジジイが現れ、必死で防戦したり、そのジジイがとんでもない重婚野郎と判明して引き下がったり、その合間にも亭主は位人臣を極める割には、こっちはこれっぽっちも報われず、とかくするうちに長き冬の日は暮れていくのでした。
平安時代の小説やエッセイはどことなく非現実的なものが多いが、「更級日記」の親戚にあたる藤原道綱の母が書いたこの半自叙伝は、喜びも悲しみも現代ドキュのように超リアルだ。

次々に怪我人が出て休場し上位が敗れる九州場所だ 蝶人