闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.2022、2022、2023
1)中村義洋監督の「ジェネラル・ルージュの凱旋」
総合病院の経営と権力構造、複雑怪奇な人間模様を緊急救命センターの活躍を軸に描いた医学エンターテインメント映画の秀作なり。
2)黒澤明監督の「赤ひげ」
理想主義者の黒澤は、常に普遍的かつ絶対的な善悪と正義を描くが、それで良かった。こういう人物がいたからこそ、他の監督は単純ならざる視点から、善悪併せのむ相対的な映画を撮ることができたのである。
3)是枝裕和監督の「万引き家族」
ほんとの親がほんとの子供を虐待して殺してしまう世の中だから、じつの家族よりも寄せ集めの偽家族の方がむしろ「かぞく」らしいということは十分にありそうな話だ。中級の佳作だとは思うが、しかしカンヌのグランプリをかっさらうほどの傑作とは思えないずら。
天皇制に触れたる歌の一首なく新聞歌壇は無難に推移す 蝶
