闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.533
はじめはもしかすると知的障碍のあるピアニスト(ジェフリー・ラッシュ)の奇妙な寓話的フィクションかと思って眺めていたが、最後に主人公夫妻への謝辞がクレジットされたので、どうやらほんとうの話の映画化らしい。
オーストラリアの貧しい家に生まれた天才少年が、エキセントリックな父親の過剰な愛情や突然の事故や病気と闘いながら、プロのピアニストとして身を立てていく奮闘努力と涙のメロドラマだが、主人公の、(堀越学園のスローガンでもある)「太陽のように生きよう!」的キャラクターのお陰で、さながら夢の中で大いに俗了されたような幸福な気持ちになってしまえる奇矯、ではなかった奇特で貴重な映画としてお薦めできます。
いまちょっと調べてみたら映画のモデルになったのはデイヴィッド・ヘルフゴッドという1947年生まれのピアニストで、映画に出てきた星占い師の夫人と共に元気に生活しているらしい。めでたし、めでたし。
月に一度君と二人千五百円のイタリアン食べる程度のしあわせ 蝶人