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百十五皿目 読書 ターミナル・エクスペリメント(映画化希望!)

2013-01-14 | 読書
百十五皿目 読書 ターミナル・エクスペリメント(映画化希望!)

ロバート・J・ソイヤー作
ターミナル・エクスペリメントを読みました。
少し前からソイヤーを読んでいますが面白いわけです。
内容も最近ハマっているSFでハリウッド向けの内容だと思うのでぜひ映画化を希望します!

医学博士のホブスンは、死にかけた老女の脳波の測定中に、
人間の「魂」とおぼしき小さな電気フィールドが脳から抜け出してゆくのを発見した。
魂の正体を探りたいホブスンは自分の脳をスキャンし、自らの複製を三通り、
コンピューターの中に作りだした。

自らの複製を三通りとはどういうことか

・死後の生はどんなものなのか?人間の精神のどの部分が肉体を離れた後で生き続けるのか。
 それを調べるため、コンピュータ処理で肉体を関係のあるすべての要素を削除する。
 ホルモン反応とか、性衝動とかいった生物学的な機能をすべて削除しているもの。
 これをスピリットと呼ぶ

・もう一つは自分は肉体的に不滅な存在だと自覚しているシュミレーション
 肉体の衰えに関係のあるすべての要素を削除する。
 老いや死の恐怖とか、これをアンブロトスと呼ぶ

・最後の一つは他の二つと比較するためのホブスンそのもの
 これをコントロールと呼ぶ

ところが現実に、この三つの複製ののうちどれかの仕業としか思えない殺人が次々に・・・
はたして犯人はどの「ホブスン」なのか?
1995年のネビュラ賞に輝く衝撃の話題作

この著者の他のタイトル
『イリーガルエイリアン』
『さよならダイノサウルス』
『スタープレックス』

三作を読んだ後にこれを読んだわけですが、この人の脳内は一体どうなっているのでしょう。
臨死体験や「魂」の存在を科学的に突き詰めようとする前半から、
コンピュータ上の完全な人格コピーを使った実験、それが引き起こす「殺人」事件の犯人&動機探し・・
個々のアイデアだけでも単独で長編が書けてしまいそうな面白いアイデアを盛り沢山で惜し気もなく繰り出しながら、
最後のまとめ方、見事です。

脳を扱っている関係上、脳の話も多く出てくるのですが、
その中でわたしがもっとも感心した文章を紹介します。

笑いというのは、たとえそれが内面だけの笑いであろうとも、
脳の内部で生まれた新たな連結に付随する反応だ。
つまりシナプスが、それまでなかった、あるいはめったになかったかたちで発火するということだな。

中略

社交的な笑いには、内面的な笑いとは違う目的があるんだと思う。
つまり、予期せぬ連結は面白いかもしれないが、それは同時に狼狽させられるものでもある。
脳は、機能不全が起きたのだろうかと悩んでしまい、周囲に他人がいれば笑いという合図を送り、
同じ合図が返ってくると安心する。だが、もしも合図が返ってこなかったら、のは不安になる

自分の方になにか問題があるのかもしれないと

だからこそ、「意味がわからないのかい?」と熱心にたずねたりするんだな。
どうしてもジョークの意味を説明したくなって、
他の人々がそれをおもしろいと感じてくれない時には本気で狼狽する。

テレビのコメディ番組で笑い声が流れるのも同じ理由だ。
あれは、面白い部分を視聴者に教えているわけではなくて、
それを面白いと感じることがごく正常な反応だと知らせて、
われわれを安心させようとしているんだ。
録音された笑い声がながれたところで、ばかげた番組がよりおもしろくなるわけではないが、
安心できるおかげでその番組をいっそう楽しめるようになる。


ホントにこの人の知識はどこまで広がっているのでしょうか。
知らない事がないのでは?と思わせるほど広範囲の知識を持っています。
先ほど紹介したこの著者の他のタイトルもジャンルはSFながら恐竜あり、エイリアンあり、人工知能あり
しかもいろいろありながら登場人物の会話を通じて技術について説明をしてくれるので
SF小説を読んだことがない人にもぜひ読んでほしい。面白いです!

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