フラメンコのあと、中華レストランでおかゆを頼んでしゃべって帰ったら、すっかり帰りが遅くなって国鉄の駅に着いたのが12時近くなっていた。(というのも私だけロンドンの田舎に住んでいて、地下鉄がないので乗り換えなければならない。しかも国鉄は本数が極端に少なくて、一時間に2本程度。)この日も次の電車が来るまで30分以上あったのだが、ロンドンにコンビニとか気の効いたものはないので、眠いのも手伝ってそのままベンチに座ってボーっとしていた。この時間になると目に付くのが鳩とホームレス。今日はその鳩とホームレスの話。
上海に居るときは街中で鳩を見ることはめったになかった。人民公園という市の中心にある広場には放し飼いにされていた鳩が居たけれど、まぁ、そのくらい。むしろ、鳩は食べるものだったのでレストランでご対面が一番多かったとおもう。その鳩がロンドンには腐るほど居る。しかも丸々太っているくせにすっごくまずそう。それはなぜか、汚いからである。鉄橋の下や国鉄のホームは大体鳩の巣窟になっていて、地面はかなり糞だらけ。昔住んでいたkentのプラットホームも鳩の粉塵(糞とか羽とか)が舞っていた。その鳩がその12時ごろになると人がいなくなる分、食べ物にわんさか群がっていた。どうも駅に住み着く鳩は特に脚をどっかに引っ掛けることが多く、つめが足りなかったり、足首(?)から下がなかったりするのだが、それでもお構いなしに食べ物を捜し歩く(しかもあまり飛ばない)。そして体は大体すす汚れている。その群がってる鳩もそんなのばっかりで、でも喉を鳴らして雌にアプローチしたり、追い掛け回したりしている。そして人が通っても退きもせず、ひたすら頭を前後に振りながら食べ物をつつき、繁殖していく。
そうやって鳩をぼーっと見ていたら隣にどかっとホームレスが座った。ロンドンにはホームレスもたくさん居る。今は日本にもたくさん居るだろうけど、上海に居たときはこういう種類のいわゆるホームレスは居なかったように思う。もちろん物乞いは居るし、ごみをあさって食べたり売ったりして生活している人も居る。ただ、その人たちは、そう、そうやって生活をしている、つまりスタンス的にもうちょっと仕事なかんじがした。掘っ立て小屋でもどっかでも家はあって、休憩中には物乞いを休んで煙草をふかしてたりする。だからこの人たちは別に怖くなかった。ロンドンのホームレスは逆に名前が消されてホームレス、ってなったみたいだ。結構な割合で心が壊れちゃってる人も多いし、見てると行動が鳩にダブる。この前も駅の薬屋でテスターの化粧品を使いまくって化粧してたホームレスが居たけど、その行動は完全におかしいんだよね。人の前にでるための化粧と、その人の前であからさまに周りを無視している矛盾。ただ人間だから、鳩に対するようにあからさまに避けていいのかどうか、いつも少し迷う。その隣に座られたときも、どうしようか迷いながらもその場を去ったのだけど、時間が時間だから、そのあとも電光掲示板の前に立ってると2,3人のホームレスに(上海のようにしつこくはないので無視すればいいんだけど)お金をせがまれる。それは仕方ないにせよ、隣に座られたときって言うのは、あっちからのアプローチが何にもないのにこっちから「避けている」という行動を起こしてるわけだよね。それをするとき、いつも2年半前、夏に英語を勉強しに来たときのことを思いだす。
そのとき私はとりあえずなにか人の写真をとりたくて、いつもカメラを持ち歩いていたのだけれど、地下鉄の階段を下りているときおじさんに声をかけられた。ただ、何を言ってるかわからなかったので、無視したら、小さく「sorry」という声が聞こえた。いや、あやまるって、こっちが無視したんだし、と思い、振り返って話しかけたらそのおじさんは英語がわからなかった。とりあえずどこから来たの、というのを身振り手振りで聞いたらコロンビアから、ということだった。じゃあ、スパニッシュしゃべるんだね、といったら「わかるのか?!」と目を輝かせて聞いてきた。もちろんわかんないので、そう言ったら残念そうだったので、かわりに写真を撮らせてもらった。カメラを向けると、俺を、撮るの?とびっくりしていたが、照れくさそうにポーズをとってくれた。ちょうど電車が着たのでさよならをいうと、手をとって涙ぐんで礼を言ってくれた。電車に乗った後、国には長いこと帰ってないといってたし、もしかしたらホームレスだったのかなぁ、と思いつつ、帰路についたわけだけど、たぶんそうだとしたら余計、無視されることが日常なのかなぁ、とそのことがぐるぐると頭をまわった。無視される日常。毎日毎日が傷になってゆく。おじちゃんの涙がぐぐっとしみた。
だからその日ももしかしたら隣のホームレスを傷つけちゃってるのかなぁとも思いつつ、でもどーしようもないよなぁ。だってごめん、やっぱり怖いし。お風呂はいってないし。でもやっぱり一番ツライのはbig issueというホームレスの社会復帰のための雑誌を売ってるホームレスの声。あの人たちは社会に対して前向きなんだもん。でもやっぱり無視は続くのです。
上海に居るときは街中で鳩を見ることはめったになかった。人民公園という市の中心にある広場には放し飼いにされていた鳩が居たけれど、まぁ、そのくらい。むしろ、鳩は食べるものだったのでレストランでご対面が一番多かったとおもう。その鳩がロンドンには腐るほど居る。しかも丸々太っているくせにすっごくまずそう。それはなぜか、汚いからである。鉄橋の下や国鉄のホームは大体鳩の巣窟になっていて、地面はかなり糞だらけ。昔住んでいたkentのプラットホームも鳩の粉塵(糞とか羽とか)が舞っていた。その鳩がその12時ごろになると人がいなくなる分、食べ物にわんさか群がっていた。どうも駅に住み着く鳩は特に脚をどっかに引っ掛けることが多く、つめが足りなかったり、足首(?)から下がなかったりするのだが、それでもお構いなしに食べ物を捜し歩く(しかもあまり飛ばない)。そして体は大体すす汚れている。その群がってる鳩もそんなのばっかりで、でも喉を鳴らして雌にアプローチしたり、追い掛け回したりしている。そして人が通っても退きもせず、ひたすら頭を前後に振りながら食べ物をつつき、繁殖していく。
そうやって鳩をぼーっと見ていたら隣にどかっとホームレスが座った。ロンドンにはホームレスもたくさん居る。今は日本にもたくさん居るだろうけど、上海に居たときはこういう種類のいわゆるホームレスは居なかったように思う。もちろん物乞いは居るし、ごみをあさって食べたり売ったりして生活している人も居る。ただ、その人たちは、そう、そうやって生活をしている、つまりスタンス的にもうちょっと仕事なかんじがした。掘っ立て小屋でもどっかでも家はあって、休憩中には物乞いを休んで煙草をふかしてたりする。だからこの人たちは別に怖くなかった。ロンドンのホームレスは逆に名前が消されてホームレス、ってなったみたいだ。結構な割合で心が壊れちゃってる人も多いし、見てると行動が鳩にダブる。この前も駅の薬屋でテスターの化粧品を使いまくって化粧してたホームレスが居たけど、その行動は完全におかしいんだよね。人の前にでるための化粧と、その人の前であからさまに周りを無視している矛盾。ただ人間だから、鳩に対するようにあからさまに避けていいのかどうか、いつも少し迷う。その隣に座られたときも、どうしようか迷いながらもその場を去ったのだけど、時間が時間だから、そのあとも電光掲示板の前に立ってると2,3人のホームレスに(上海のようにしつこくはないので無視すればいいんだけど)お金をせがまれる。それは仕方ないにせよ、隣に座られたときって言うのは、あっちからのアプローチが何にもないのにこっちから「避けている」という行動を起こしてるわけだよね。それをするとき、いつも2年半前、夏に英語を勉強しに来たときのことを思いだす。
そのとき私はとりあえずなにか人の写真をとりたくて、いつもカメラを持ち歩いていたのだけれど、地下鉄の階段を下りているときおじさんに声をかけられた。ただ、何を言ってるかわからなかったので、無視したら、小さく「sorry」という声が聞こえた。いや、あやまるって、こっちが無視したんだし、と思い、振り返って話しかけたらそのおじさんは英語がわからなかった。とりあえずどこから来たの、というのを身振り手振りで聞いたらコロンビアから、ということだった。じゃあ、スパニッシュしゃべるんだね、といったら「わかるのか?!」と目を輝かせて聞いてきた。もちろんわかんないので、そう言ったら残念そうだったので、かわりに写真を撮らせてもらった。カメラを向けると、俺を、撮るの?とびっくりしていたが、照れくさそうにポーズをとってくれた。ちょうど電車が着たのでさよならをいうと、手をとって涙ぐんで礼を言ってくれた。電車に乗った後、国には長いこと帰ってないといってたし、もしかしたらホームレスだったのかなぁ、と思いつつ、帰路についたわけだけど、たぶんそうだとしたら余計、無視されることが日常なのかなぁ、とそのことがぐるぐると頭をまわった。無視される日常。毎日毎日が傷になってゆく。おじちゃんの涙がぐぐっとしみた。
だからその日ももしかしたら隣のホームレスを傷つけちゃってるのかなぁとも思いつつ、でもどーしようもないよなぁ。だってごめん、やっぱり怖いし。お風呂はいってないし。でもやっぱり一番ツライのはbig issueというホームレスの社会復帰のための雑誌を売ってるホームレスの声。あの人たちは社会に対して前向きなんだもん。でもやっぱり無視は続くのです。