覚書

イラストレーター進士遙のブログです。
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胸ぐら掴まれた。

2006-09-05 21:11:45 | 思ったこと
助走してたら一週間たっちゃった。

日本から上海への帰りの飛行機でのこと。
荷物が重かったので手荷物の中は本だらけ。
その中に母親がネットで頼んだ「大地の咆哮」という、
元上海総領事が書かれた本も入っていた。離陸までの間、
取り合えず読んでみたらこれがまた面白い。
今年8月になくなった著者杉本信行氏が70年代に外務省から
派遣されたころの話にはじまり、文革が中国に及ぼした影響や、
靖国問題、環境問題、そして農村の実態などに対する彼の視点が
かなり正直に書かれているもので、結構飛行機の中でどきどきしながら読んだ。
全部は読んでないけど、でも、だんだんやるせなくなってきた。
というのも、例えば環境問題。国が大きくて、人もおおくて、
それでいて世界の工場なんて呼ばれていれば問題の規模だって
半端じゃない。それにどうやって取り組むか、気が遠くなる。
それに金銭的手助けをしている日本、でもそれを知らない日本人や中国人。
でもそれを「日本がやったんだよ、」といいまくる
(又は言いまくらなきゃいけない)状態とはなんだろう。
そう主張しまくらなきゃ何も援助していないことになる、
それは困る、別に、恩着せがましくしてるわけじゃないけど、でも
知らせる必要はあるし、そうするためにはわめかないといけない、
なんでだ、だって、その下には戦争がある。

靖国のことだって、謝罪のことだって、
言われたら言い返せない、それは知らないからだけど、
知ったとしても、勉強しまくったとしても、
それを言ったとしても、お互い多分妥協しなかったら平行線のままだろう。
でも、妥協点を見つけられないから、(だってお互い自分が正しいと
思ってるんだもんね。どう、妥協していいかわからないよ)
平行線なわけであって、それがもう困ったことに歴史になっているから、
どう歴史を解釈しても(これは教科書問題とかも入ってくるけど)
それは解釈、という時点で個人の視点が入ってしまうから、公平に見る、なんて
不可能だ。

その、不毛な言い争いはずっと続いてくのかな、とか。


その後気分が沈んだので、
卒論用の資料に目を通す。



卒論の勉強で中国の文献(ってほどでもないけど、例えばまあ、
ネットとかの文を)読むわけだけど、
どこまで信用していいのか正直困る。
斜めをむいて読んでしまう自分にもちょっとあきれたりするけど、
なんだかんだで大好きなっていうより、もっと身内な気が(勝手に)
する中国って、そういう誇張や、建前よりもすごい美辞麗句も
その中国の文化なわけで、さらにそれにかかわっていくっていうのは
相当労力っていうか、神経図太く(よい意味でね)ないといけないなぁと、
ちょっと遠い目。


中国と日本の間で児童文学(絵本も含む)交流がここ15年
日中に文化センターが作られたおかげで盛んになってきていて、
そちらの方でも話を伺うことが出来たんだけど、
そのときに頂いた資料を読むと、そのセンターの創設には
やっぱり戦争が密接にかかわってるんだ。
遠い話じゃないんだ、実際に戦争を体験した人たちが
その個々の思いがあってセンターを立てた。
だからこそ友好を作ってかなきゃってそれが始まり。

考えてみたらそういう思いが設立にいたるって、別に不思議なことじゃ
ないんだけれど、思いもよらなかったから、ここでも
戦争、の2文字が出てきてちょっと呆然。

そのあとチラッと飛行機の見ると7月1日に開通した
北京からチベット自治区までを結ぶ青蔵鉄道の記事。
頂いた資料に目を戻すと中国田舎の子どもたちのルポ。
青海省にいったときのことがばぁっと頭の中をよぎる。

が、前の席のおじさんの話が耳に入ってくる。
隣の席の若い日本人の女の子(多分留学生)に
日本が中国を何故侵略をしたか、でも、彼はそれを侵略とは呼ばず、
しょうがなかったことだといっていた。別に極論ではなかったし、
私らがすぐ思い描く、「南京大虐殺はなかった」とかほざく
オジサンではなかった。「悪いことであった」といっていたし、
話の内容も(忘れちゃったけど)理論的ではあった。
でもそのおじさんが「これが正しい歴史観だ」みたいなことを言った時点で
多分私の中でやるせなさがまた顔をだした。
しゃべらないことがよいこと、ではないのは知ってるよ。
多分自分もどうしてよいかわかんないからやるせなくなったのか。

でも、このことを中国の人の前でいったら彼らは腹が立つだろう。

むぅ。平行線。


でもね、なににしろね、そのやるせない気分ってのは
結局は胸ぐらつかまれてるからなんだ。
気が入るから、気になる。気になるんだよ、もう
つばつけられちゃったアンパン。

交流センター設立した方々だって色んな理由で胸ぐらつかまれてるんだ。

10年いた上海だろうと、昔あった家のうらの肥溜だろうと、
裸電球の下がった校舎だろうと、遊び場の工事現場だろうと、
バカみたいにぼこぼこ建つビルだろうと
あの、青海省の子達とか、砂漠とか、青い空とか緑の土地とか、
なんか、もう胸ぐらつかまれちまったなぁ。


日本の10日間で、むにゃむにゃ思ってたこと。
よくわかんないままだけど、よくわかんないまま、こんな感じ。
これから、長いんじゃね?

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