覚書

イラストレーター進士遙のブログです。
随時更新。お仕事も随時ウエルカム。

あかぎれムンク

2005-12-23 08:42:01 | 展覧会
ちょっと前だけど、12月のはじめにroyal academy of arts でやって
ムンク展を見に行ってきました。

ムンクを見るのは初めてで、もちろん私の頭には「叫び」しかなかったんだけれど、今回のムンク展のテーマは「edvard munch by himself」自分や他人のポートレートが主に展示されていて、油絵のラフスケッチなんかも結構あった。一階と3階があったのだけれど、1階は彼が若いとき、3階はドイツで精神科の治療を受け故郷ノルウェーに帰った後の作品が展示されていた。
 絵は個人的には最終的な油彩よりもラフスケッチのほうが好き。特に若いときの。鉛筆や木炭だけじゃなくって、エッチングや木版、リソグラフとかでもラフスケッチをしてて、それがとても面白かった。でも、とにかく、自分を見つめて見つめて痛めつける人。実際体を傷だらけにするわけじゃないけど、自分を描くことによって、痛めつけてるってかんじがした。それに常に絵の対象の自分と、描いている自分がいて、それが晩年になってくると、近すぎて見えなくなるがゆえに、17歳のモデルを雇って(っていうかこの子をかこってしまうんだけれど。。。いぃぃ)その子を第三者として絵の中に置いて、再び自分を見つめ続けた、そんな気がした。だから絵の中にいる自分の顔はいつもぶれてる。その代わり第三者はすごくはっきりと描かれている。色は、とっても明るい色を使っているにもかかわらず、乾いていて悲しい色。苦い色。このひとの目のフィルターはどうしてもそういう色を作ってしまうらしい。常に死を意識してるんだけど、その意識するってことは生きてなきゃ出来ないことだから、ある意味とても死から正反対にいた人だと思う。すごく苦しそうで、あかぎれている感じなんだけど、その傷を決して治そうとはしなかったんだろうな。その痛みの中にいて初めてムンクが考えるムンクがあって、その中にいないと不安で、基い、不安の中にいないと不安なんじゃないか、そんなかんじ。

面白い展覧会でした。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ムンク (mitsuuko)
2005-12-23 20:32:16
そっか。ムンク展か。あたしも京都美術館に来てるとき行った。何年前かな。99年やったな。中国から帰ってきたばかりで、そういう洋風のもの久しぶりだったからっ自分の中でも結構ウキウキしてたんかもしれへんけど、どーんよりして帰ってきたのすごく覚えてる。彼の悲しみが、体中にのしかかってきて、友達と一緒に行こうとして、来れなかった分のチケットが一枚自分の手の中にあったけど、すごく渡しにくかった。その人は、仕事の都合で一緒に行けなかったけど、買ってあったチケットを楽しみにしてたので、行くと言ったけど、すごく渡しにくかった。 あの有名な「叫び」も、結構いろんな段階をへて有名な叫びがあるわけだったけど、あのいろんな「叫び」を描きたかった本人ってどんな気持ちやったんやろうか。ある意味自殺よね。今、思い出した。ま、人生は楽しいだけじゃないわよ。苦労の方がずっと多いとフジコヘミングは行ってたよ。
返信する
おおお・・・ (Meg)
2005-12-23 22:48:12
ほんとに、痛いね~。あの躊躇のなさはに息詰まる思いがした。彼にとって世の中ってあったのかな~、と思ってしまう。自分しか見えてないような気さえした。箱庭の中にいる自分を上からみてつついているような・・・。純粋なのか、ただ自虐的なのか。

色とか好きなんだけどな。
返信する

コメントを投稿